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わざわざ往復12時間かけて行った吉原という駅。そこにたどりつくまでに富士山への思いというか、見とれている時間というのか、それはもうたっぷりでした。
愛知県から静岡県に入ったらすぐに小さく富士山が見えていました。
浜名湖を通るときも、浜松の町を通過しても、天竜川を越えて磐田のまちなどを抜けても、ずっと富士山は見えていた。だから、電車の左側に座るのではなくて、右側の横一列シートに座り、ななめ右側に見える富士山を目で追いかけていました。
ビルに邪魔され、山が現れ、角度も変わり、油断していると富士山は隠れてしまう。だから、私がそばまで行く間は、どうぞ雲も出ないようにしてほしい。
たまたまななめ右を見ていると、そちらに若いカップルが座っていて、そのおねえさんがわりと美人さんでした。でも、私は女の人には興味はないから、富士山を見たいだけなのに、おねえさんが邪魔で少しモヤモヤします。
カップルはどこで降りたかなあ。島田あたりだったかな。島田からは大井川も見えるし、お客も込んできました。小学生の女の子たちグループはドア付近でたむろしておしゃれ談義をしている。たぶん小学生なのに、イアリングなんかつけている。わりと地味なセーターなんかを着ているけれど、ところどころにおしゃれはしているみたいでした。
彼女たちは富士山を見つけて、「テンションあがるー」などと言っている。女の子たちは、元気だ。それに比べて男どもは、スマホに魅入られている。何をしているのやら……。オッチャンは、ぼんやり富士山を見つめている。本も読まない。音楽も聴かない。ぼんやり座っているだけだ。
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清水の駅で乗り換えです。あと少しでめざす吉原の駅です。その前に、東海道五十三次の宿場でいうと、興津・由比・蒲原と3つあります。あと少しとはいえ、海スレスレを行かなくてはならない。
清水を出ると、すぐに海が迫ってきて、駿河湾がボッカリ見えました。光を浴びてキラキラしていた。ここの写真はチャンスを逃してしまう。そして、海のキラキラは止まって撮らなきゃいけないし、移動する車内からは無理でした。
伊豆半島もきれいに先の方まで見えました。私は、伊豆には縁がなくて、今まで一度も出かけたことがありません。ただキレイだなとながめるだけです。何だかもったいない。
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由比・蒲原と抜けていく途中で、できたら田子の浦も見たいなあと思うようになっていました。
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吉原に着いて、すぐには岳南電車に乗らず、駅を出て海側に出てみることにしました。
港は、わりと近くにあって、ネットで調べたのはいいかげんだけど、とにかく海がみれたらいいやとテクテク行きました。
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クレーンがあったりする。漁港は反対側なので歩いては行けない。
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尾道から来ている船はちょうど出て行くところだった。
ああ、これが「田子の浦ゆ……」の海なのか、富士山はそれを見下ろしている。富士山の足下の海なのです。
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何だか解放された、のびやかな気持ちで、岳南電車に乗るという目的はどうなっているんでしょう。時間はあまりないのです。遊んでいる場合ではなかった。いや、すべてが遊びなんだから、何をするのも自由なんだけどね。