先日の熊野の旅、道の駅のところにクルマを止めたら、近所の小学校からバス二台が来ていました。あれ、こんなところに来ていたんだ!
修学旅行で今夜泊まって、明日帰る? それとも、昨日泊りで今日帰る? どっちだったんだろう。
大人だったら、金曜・土曜と働いて、日曜と月曜は代休というのがうれしいけど、どっちだったのかな。子どもたちの名残り惜しそうな、何だかはじけていない感じは、もう帰る途中だったのかもしれませんけど……。
いつもの年なら、三重県の小学生は奈良・京都が定番の修学旅行コースでした。中学生になったら東京か、それとも広島か沖縄で、少しずつ世界を広げてもらうんでした。修学旅行に行かないという選択肢はないから、コロナ禍の最近では、県内で一泊の旅行というのがよくあるみたいです。小学生から高校生まで県内での修学旅行か……。まあ、行く先なんて、どこでもいいんだけどな。
県内の学校の団体さんで、伊勢志摩などはお客さんが来てもらえて喜んでいるみたいでした。
去年出会ったのは、県の北部の中学生だったと思うけど、今年は小学生もめったに行くことのない熊野地方へ来ていたのでしょうか。
アクティビティとしては、今だったらミカン狩りがあるそうで、ミカン狩りのできる大きな施設は大にぎわいということでした。これは最近の県内ニュースで知ったことでしたね。この前は、そういう団体さんには出会いませんでした。
私たちは国道をまたぐ陸橋から、海を見てみたら、一直線に並んだ小学生たちが、うつろな感じで海に向き合っていました。
去年だったら、こんなにキラキラしていたのに、この前は空はイマイチで、雨は降っていなかったけれど、海も少し濁っていました。それに、この二十数キロある海岸線は、波が打ち寄せるけれど、水には触れられない海岸でした。少し水の中に入ったら、すぐに深い海になっていて、簡単に引き込まれてしまうのです。だから、絶対に海に触れてはならない。何だか海さえ神話的でしょ? なんてったって、クマノ地方なんですから!
監督する大人は、「見るのはいいけど、水には触れられないからね」とクギを刺さねばなりませんでした。
私がずっと見てると、やはりオッチョコチョイの子が、つんのめったのか、誰かに押されたのか、既定のラインから踏み外した子がいて、みんなに助けられていたけれど、波は彼の足元にもしっかり来ていました。みんなが見ているから、さらうことはなかったけれど、誰かの目がなかったら、危なかったでしょうね。
私たち家族は、六年間この海に向き合わされたので、時々さらわれて二度と戻って来なかったというニュースを聞くこともありました。地元の人でさえ、時には命を落としてしまう深い海でした。泳ぎ自慢で、この海を泳いだという伝説はたまに聞くこともあったけれど、実際に見たことはありませんでした。
マンボウもいる。サンマはもう何年も戻って来ない。イワシやキス、イカはいると聞きますが、釣りをしないので、そういうことらしい、と思うだけです。
紀伊長島町、今は南の町と合併して紀北町というんだけど、マンボウの串焼きは道の駅でも名物のようです。でも、どんなにおいしかろうとも、私んちは食べないと思います。
釣られてしまえば、食べてあげないことには、命がもったいないのだけれど、それでも、あのキャラクターの魚ですから、うちの子が大好きな魚だし、誰も食べたいと思いません。
そんな海、小学生たちはうつろだった。この子たちのマネをして、うちの子も海に石ころを投げ入れてたみたいですけど、
「あれまあ、うちの子って、ものを投げるっていうのをあまりしてこなかったんだな」
と、自分の育て方を反省してしまって、もっとあれこれさせてあげればよかった! 相手をしてやらなきゃいけなかった! そんなことを思ったものでした。うちの子とたき火はしたんだけどな。そんなのじゃダメだったかな。