昨日(28日)、四天王寺の古本市に行きました。本は3冊、絵ハガキ3セット。そのうちの「中禅寺湖」というセットは、ふつうの8枚セット、白黒写真に色が施してあって、まあまあの仕上がりです。そんなに古いものではなくて、60年代から70年代のものだったでしょう。
猪熊弦一郎さんがその見開きのところにコメントを書いておられました。
私の印象
僕は塩原の絵を描いてくれとたのまれて去年出かけたんだが、塩原はあまり箱庭的で絵にならず、仕方なく石が面白かったので河原の石が並んだのを描いてきた。塩原より日光の中禅寺湖から先の湯元付近が面白いと思ったね。とくに湯元に行く途中の戦場ヶ原の風景はゴビ砂漠を見るような死んだ風景で立ち枯れた木の姿などが面白いね。
それから陽明門も面白いと思った。あまりに大衆的だと言われてるが、僕はそうは見えなかったね。建築家の傑作というものではなく、地方にいる大工の名工が命令で奉仕した感じで、その考えが入っているので非常に可愛らしいと思った。
そもそも自然の姿だけ見せて観光地にするのは間違いで、ホテルもなければならずアミューズメントの面もなければ観光地ではないね。日光にはこれがあるから整備されればよい所になる。
ということでした。猪熊さんは観光学者でもないし、画家なんだけど、どうしてそのコメントを絵ハガキセットに載せたのか、それが気になります。猪熊さんのお墨付きというのか、保証書というのか、そういうのを作りたかったのかな。