鉄橋は特別な所です。
鉄橋を渡る電車は、これまた特別な電車になります。
街中や、駅や工場街、田んぼや畑、山と海のそば、いろんなところを鉄道は走りますけど、鉄橋の上を走る電車は、大きな音を出して、川に轟音をとどろかせて走っていきます。
まるで今まではじっと息を殺しながら、抑えて走ってたけど、川の上に来たら、少し解放されて、大きな声を出してみたみたいな、大きな音が出ます。
電車が声を上げるわけはないのだから、鉄橋は筒抜けになってて、音がそのまま川面に届き、跳ね返りながら広がっているだけなんだろうけど、少しだけホッとするところもあるのかな。
今までは電車も、まわりに気を使いながら走っていたけれど、この川の上だけは、クルマも来ないし、人もいないし、風は吹き抜けていくだけだし、何もかもが自由になれそうで、「本当ならずっと鉄橋の上を走っていたいよ」なんて電車も思ってるかもしれない。
でも、ずっと鉄橋ばかりでは鉄道はオカネにならないし、やはり人が住んでるゴチャゴチャしたところも走らないといけないんでしょう。
電車よ、これからも鉄橋の上だけは心おだやかに走りなさい。そして、たくさんたくさんお客さんを乗せなさい。
今は世の中がコロナということで、電車も少しこまっているでしょ?
もうしばらくしたら、みんなが電車に押し寄せるから、魅力を磨いて、たくさんのお客さんを呼べる鉄道風景を作っていってくださいね。それは、沿線の人々の責任でもあるなあ。