報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「真相の情報量が多過ぎて」

2025-02-21 16:20:50 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月7日11時30分 天候:曇 千葉県千葉市若葉区貝塚町 千葉刑務所]

 沖野献受刑者のあまりにも突拍子も無い真相の独白に、私はただ茫然とするしか無かった。
 その為、後半はほぼ善場係長が質問する形となっていた。
 呆然としていた私であったが、善場係長のある質問と、沖野受刑者の回答については我に帰ることができた。

 善場「あなたの立場は、あくまでも白井伝三郎容疑者の秘書であって、助手ではないのですね?」
 沖野「ええ。なので、研究施設に立ち入る機会はあっても、直接本部長の実験などに立ち会う機会はありませんでした」
 善場「では何故あなたは、愛原氏と上野氏の体が入れ替わったことを御存知なのですか?」
 沖野「それは……本部長がそのように仰っていたからです。『これで“転生の儀”の成功を確信した』とお喜びでしたから」
 善場「つまり、あなた自身は直接は見ていないということですね?」

 沖野受刑者の表場が硬くなる。

 沖野「何が言いたいんですか?」
 善場「いえ、何でも……。話は変わりますが、『転生の儀』とやらは、さぞかし大掛かりな実験なのでしょうね?」
 沖野「そりゃあそうでしょう」
 善場「となると助手が必要ですね。とても白井容疑者1人でできるとは思えません」
 沖野「確かに助手はいましたね」
 善場「それが誰かは御存知ですか?」
 沖野「えーと……確か……。下の名前までは忘れましたけど、斉藤って言いましたよ」
 愛原「……ファッ!?」
 沖野「……ダメだ。下の名前は思い出せない」
 善場「秀樹という名前ではありませんでしたか?」
 沖野「あー……確か、そんな名前だったかも」
 愛原「斉藤元社長が、白井の助手だったって!?」
 善場「これで、また1つ斉藤容疑者の罪が増えましたね。助手という立場から、『転生の儀』の事はあなたよりも詳しく知る立場にありそうですね」
 沖野「そりゃあ、私は所詮事務方の秘書ですから……」
 善場「もう1つ確認ですが、その斉藤助手、今はどこで何をしておられるか御存知ですか?」
 沖野「日本アンブレラを辞めて、大日本製薬の社長になられたんでしょう?器用な方ですね。潰れかかった製薬会社の役員となって、それを立て直したんですから」
 善場「大日本製薬の立て直しには、日本アンブレラからも多大な支援があったと聞いていますが、なるほど……。ここで繋がったのですね。分かりました」
 沖野「お話はこんなところで宜しいですか?」
 善場「はい。本日は長々とありがとうございます。また何かありましたら、宜しくお願い致します」
 沖野「分かりました」
 善場「因みに今、刑務作業では何をされておられるのですか?」
 沖野「革製品の製作です。バッグの製作を行っています。靴を作ることもありますので、もし宜しかったら……」
 善場「なるほど。千葉刑務所では、革製品の製作もしていますね」

 ここで面会は終わった。

 善場「大丈夫ですか、愛原所長?」
 愛原「え、ええ……」

 面会室をあとにし、駐車場に向かう。

 愛原「私は……上野医師なのでしょうか?」
 善場「車の中で、取りあえずお話ししまょう。ただ……私は違うと思います。これは別に気遣いとかではなくて、本当にそう思っています」
 愛原「そうなんですか?」
 善場「はい」

 駐車場に戻り、車に戻る。
 車の中では、白峰主席が運転席で待っていた。

 白峰「お疲れさまです。千葉駅に戻りますか?」
 善場「そうですね……。いえ、本八幡駅まで送ってあげましょう」
 白峰「本八幡ですか?しかし、まだ調査の途中……」
 善場「私達は千葉県内を捜索することになっています。本八幡駅は千葉県市川市内ですので、千葉県を出ることにはなりません。出てなければ、上に対しては何とでも言い繕えます」
 白峰「そ、そうですか。そういうことなら……」

 白峰氏は車を発進させた。
 善場係長は助手席ではなく、リアシートの私の横に座っている。

 白峰「京葉道路経由でいいですか?」
 善場「いいですよ」
 白峰「分かりました」

 車は刑務所を出て、まずは国道51号線に出た。
 そこから最寄りの京葉道路の入口に向かうという。
 京葉道路と言っても、名前のよく似たJR京葉線とはルートが違う。
 京葉線の横を通るのは首都高湾岸線、京葉道路はあくまでもJR総武線の横を通る。

 愛原「ふう……」

 私はペットボトルの水を一気に半分くらい飲んだ。

 善場「お疲れさまでした。色々とショッキングな話が出てきましたが……」
 愛原「全くですね」
 善場「私がその体、上野医師のものではないと申し上げたのは、根拠が無いからです。あくまでも沖野受刑者は、白井容疑者の元秘書として実験の成功を信じていたでしょう。その気持ちが、今でも残っているのだと思われます。実際、私が質問したところ、やや歯切れの悪い回答をしましたね?そういうことです」
 愛原「顔を整形したとか、随分と生々しいことを言ってましたが……?」
 善場「私が見た限り、所長の顔には整形の跡は見られません。また、それ以前にも所長、色々と身体検査をしたことがありましたね?」
 愛原「ええ」
 善場「もしアンブレラに体を弄られた形跡があるのなら、その時に分かるはずです」
 愛原「そ、それもそうですね」
 善場「ただ……これは脅かすつもりは無く、本当に正直な気持ちで話すだけなのですが……」
 愛原「はい?」
 善場「所長の体は最初からTウィルスの抗体ができていました。その為、霧生市ではゾンビの攻撃を受けても、感染することは無かったのでしょう。そこは高橋容疑者とは対照的です」
 愛原「確かに……」

 その為、大山寺で感染した高橋の為に、抗ウィルス剤を探しに行ったりした記憶がある。

 愛原「高野君は……最初からワクチンを打っていたんでしたっけ」
 善場「そうです。でも、所長はどちらでもありませんでした。滅多に無いことです。恐らくは、白井に捕まって実験をさせられた時に、そういう抗体が作られたのでしょう」
 愛原「すると、私も色々と薬を投与されたと?」
 善場「可能性はあります。ただ、検査では何も見つかりませんが……」

 抗体検査ではTウィルスやTアビス、Cウィルスなど、様々な生物兵器ウィルスの抗体が見つかっている。
 白井の研究の対象外であった特異菌だけは別だが。

 善場「ですので、どうかお気になさらず。それでも万が一仮に体調に異常を感じましたら、すぐに御連絡ください」
 愛原「分かりました」
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“私立探偵 愛原学” 「沖野献と面会」

2025-02-19 21:49:48 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月7日08時39分 天候:曇 千葉県千葉市中央区新千葉 JR総武線762B電車・1号車内]

〔まもなく終点、千葉、千葉。お出口は、左側です。今日も、JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 本八幡駅からJR総武線に乗り換える。
 本八幡駅は各駅停車しか停車しない為、それに乗り込んで千葉駅を目指す。
 東京方面からは逆方向のせいか、電車は空いていて、京王電車よりも硬い座席に座ることができた。
 そして、電車は総武線各駅停車専用ホームに到着した。
 他のホームは最大15両編成までの有効長を持っているが、総武線各駅停車用の1番線と2番線は10両編成までだという。

 

〔ちば~、千葉~。本日も、JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いよう、ご注意ください〕

 私は電車から降りた。
 ホームには、折り返しの乗車を待つ乗客達が列を成して待っていた。
 すぐに乗り込んで来ないのは、整列乗車が行われているからだろう。
 即ち、『一旦ドア閉め方式』だな。
 私は多くの利用者がごった返す3階コンコースに上がり、中央改札口へと向かった。
 善場係長には既にメールを送っており、この改札口付近で待ち合わせをするとのことだった。
 緊張するので、ちょうど階段・エスカレーターの横にトイレがあり、そこで先にトイレを済ませておくことにする。
 それから、改札口に向かう。

 善場「おはようございます。愛原所長」
 愛原「おはようございます。善場係長」

 約束通り、改札口の前で善場係長と合流する。

 善場「準備は宜しいでしょうか?」
 愛原「はい、大丈夫です」
 善場「それでは参りましょう。車を待たせてありますから」
 愛原「はい。ありがとうございます」

 私は善場係長について行った。
 駅の南口から出て、駅前のコインパーキングに向かう。
 そこには、見慣れた黒いセレナが止まっていた。
 運転席には、係長の部下の白峰氏が座っている。

 善場「では、どうぞ」
 愛原「失礼します」

 助手席後ろのスライドドアが開いて、私はそこに乗り込んだ。

 愛原「おはようございます」
 白峰「おはようございます」
 善場「今から行けば、9時からの面会時間に着けますね」
 愛原「案外近いんですね」
 善場「そうなんです。千葉刑務所は駅からは徒歩でのアクセスは難しいのですが、それでも最寄り駅は千葉駅の隣の東千葉駅と、千葉市の市街地からそんなに離れているわけではないのです。その為、住宅街の中にあって、弁護士なども比較的接見しやすい刑務所だと言われています」

 凶悪犯を収容する宮城刑務所も、実は住宅街の中にある。
 とはいえ、JRの駅からも地下鉄の駅からも遠く、路線バスはすぐ近くを通ってはいるものの、そんなに本数は多くないことから、恐らく接見する弁護士は車を使っているものと思われる。

 愛原「なるほど……」

 車が動き出す。
 駐車場の出口で、白峰氏が運転席の窓を開け、そこで駐車料金を精算した。
 領収証を受け取るのは忘れない。

[同日09時30分 天候:晴 同市若葉区貝塚町 千葉刑務所]

 千葉刑務所に到着する。
 ここで面会の申し込みをした。

 愛原「しかし、一体、どうやって『特別措置』を受けることができたのです?」
 善場「私は大学の法学部卒なんです」
 愛原「いや、しかし……」

 法学部を卒業するだけで弁護士の資格を得られるわけではない。
 現に善場係長が、弁護士バッジを着けているところを見たことがない。
 まあ、民間人の私が首を突っ込んで良いことではないのかも。
 そして、ランプが点灯する。
 面会できることは、東京拘置所の面会で知っていた。

 善場「行きましょう」
 愛原「え、ええ」

 今から緊張してきた。
 群馬の五十嵐元社長も、元社長秘書の沖野貢氏も元は日本アンブレラの関係者だったわけだが、2人は立場上の責任を取らされて逮捕されただけに過ぎない。
 しかし、これから面会する沖野献受刑者は違う。
 本当にガチで、日本アンブレラの非人道的な人体実験に加担した側の人間である。
 先に面会室に入り、折り畳み椅子に座って待つ。
 そして、しばらくして、強化ガラスの向こう側の扉が開けられ、刑務官と共に入って来たのは……。

 愛原「ん……?」

 沖野貢氏よりも、ヤケに老け込んだ老人であった。
 足取りこそ、杖を突くほどではないにせよ、見た目は双子の兄である貢氏よりも白髪が多く、顔にはシワが刻まれている。
 まるで、貢氏より10歳は年上の兄といった感じだ。

 善場「公安調査庁より参りました、善場優菜と申します。本日は貴重なお時間を取って頂き、ありがとうございます」
 愛原「……!」

 善場係長は先に椅子から立って、沖野献受刑者に言った。
 私が驚いたのは、係長がいきなり出向元の公安調査庁の職員を名乗ったことである。
 私も慌てて立ち上がった。

 愛原「えー、公安調査庁から探偵業務の委託を受けている私立探偵の愛原です。よろしく」
 沖野献「公安の方ね……。その節はどうも……」

 声こそ貢氏と同じだったが、そのしわがれ具合は見た目通りである。
 特別措置とはいえ、弁護士の接見ではない為、刑務官は立ち会っている。

 善場「まずは、あなたはこちらの方を覚えておいででしょうか?あなたがかつて働いていた長野県白馬村の洋館を訪れた探偵の1人です」

 沖野受刑者は、シワの刻まれた顔を私に向け、濁った瞳で私を見据えた。

 沖野献「あー……確か、15年くらい前でしたかねぇ……。いたち草の咲く夜、あの屋敷に来てくれましたね……」
 愛原「本当に覚えている!?……あの時、屋敷の中で私の身に何が起こったのかを教えて欲しくてここまできたんです!」
 沖野献「……MA-777」
 愛原「ん?」
 善場「それは……!」
 沖野「公安さんは御存知ですか。愛原さんは?」
 愛原「い、いえ。何の事ですか?」
 沖野「……本来なら、愛原さんが知っておかなくてはならない『品番』です」
 善場「その『品番』は、アンブレラが開発したBOWに付けられたものですね。もっとも、日本版リサ・トレヴァーには付けられなかったようですが」
 沖野「リサ・トレヴァーは上野さんの独自開発なので……」
 愛原「上野さんって、上野医師のこと?」
 沖野「ええ」

 どういうことだ?
 ますます意味が分からないぞ!?

 沖野「順を追って説明しましょう。あなたは15年前の夜、長野県白馬村にあったアンブレラの研究所を訪れました。アメリカのラクーン市にある屋敷を模したもので、山奥の洋館に化かして研究している施設です」
 愛原「私はそこの主人を名乗る人に、仕事の依頼を受けて向かったんです。そして、屋敷の中であなたと出会い、屋敷の中を案内された。しかし、そこから先の記憶が無い。あそこで何があったのか、教えて欲しい!」
 沖野「いいですよ。ただ、恐らく突拍子も無い話になるでしょうが、全て本当の話です。私の案内で、主人の部屋まで案内された所までは覚えておいでですか?」
 愛原「はい。そして、そこから先の記憶が無い」
 沖野「私が後ろから殴り付けたからですよ」
 善場「暴行罪の告白ですね。本当なら刑事告訴したいところですが、暴行罪で告訴するには、既に公訴時効が過ぎてしまっています」
 沖野「そのようで……。主人の部屋の中にいたのは、白井本部長です。私は本部長に新たな実験素材となるあなたを提供しました」
 愛原「わ、私は人体実験されたのか?」
 沖野「はい。そしてその結果は、あの本部長が目を見張るほどの大成果だったようです。あなたの成果を見て、本部長は『転生の儀』の成功を確信したようです」
 愛原「『転生の儀』?」
 善場「日本語にすると、そう呼びますね。元々は宗教法人天長会の言葉ですが。その実験を公式に行ったのが、アレクシア・ウェスカーです。2011年、ロシア領の孤島で行われました。結果的それは失敗だったということになっていますが、本当にそうだったのかは不明です。あのテラセイブとBSAAが共同で、アレクシアを掃討しました」
 愛原「……私に行った実験って……!?」
 沖野「……その体、上野さんの物ですよ。実験の時に、少し若返りましたがね。あなたの本当の体は死んでいます。もちろん、他人の顔のままではアレなので、元の体の顔に整形していますが」

 私の体の震えは止まらなかった。
 この体が、上野医師の物だって!?

 善場「では、上野医師が殺されたという話はウソだつたのですね?」
 沖野「リサ・トレヴァー達の素体を手に入れる時に、上野さんも殺したという話はウソですよ。あの時、上野さんも付いていったんです。もっとも、本部長は騙して上野さんも実験に使うつもりだったので、結局は殺されたようなものですが」
 善場「なるほど……」

 沖野受刑者の独白は続く。
 確かに、本来の面会時間だけでは足りないほどに。
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“私立探偵 愛原学” 「千葉に向かう日」

2025-02-19 16:45:57 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月7日06時30分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 

 結局、高橋の行方は依然として分からないままだった。
 今日は千葉刑務所に収監されている、沖野献受刑者の所へ面会に行く予定だ。
 沖野受刑者は、兄の沖野貢氏の後押しもあり、私に真実を話してくれるという。
 献受刑者は日本アンブレラの非人道的な実験に協力する為に、諸々犯した罪を問われ、最終的には懲役10年の実刑判決を受けている。
 千葉刑務所は、そんな初犯でありながら、いきなり長期の懲役刑を食らった受刑者が収監される場所である。
 常習性があり、更に長い懲役や無期懲役を食らった場合は宮城刑務所に収監される。
 意外だったのは、そこに善場係長が立ち会ってくれるということ。
 高橋を追う為に、どういうわけだか千葉県内の捜査に当たっており、ついでに立ち会うとのことだ。
 なので、千葉駅で善場係長と待ち合わせをしている。

 愛原「千葉ってどういうことなのかな?成田空港から高飛びしようとしているのか、マサは?」
 パール「あのコネクションが、そんな稚拙なルートを確保しているとは思いませんが……」
 愛原「だよなぁ……」
 リサ「それより先生、出掛ける前に書いといて」
 愛原「なにが?」
 リサ「七夕のお願い」
 愛原「……ああ!今日は七夕か!」

 仙台出身の私としては、七夕祭りは8月上旬というイメージなのだが、東京では7月なんだったな。
 その為、仙台出身者で首都圏在住者は、七夕を2回やるイメージなのである。
 小さな七夕飾りの所に、短冊だけは立派な物を飾っている。

 愛原「リサは何て書いたんだ?」
 リサ「『愛原先生と結婚できますように』って
 愛原「そうか。それじゃ、俺は『デイライトさんより、もっと大きな仕事が入りますように』って……」
 リサ「あ?」

 その時、リサは人間形態から鬼形態へと変化した。
 2本角が生え、瞳が赤くなる。

 愛原「何その目!?」
 リサ「『リサと結婚できますように』じゃないの?
 愛原「え、えっと……そうでした。俺ったら、おっちょこちょいさーんw💦」
 リサ「だよねー!ちゃんと書いといてね?ここだけゲリラ豪雨が発生したら困るでしょう?」
 愛原「は、はい……仰る通りで……」

 リサを暴走させたら、デイライトさんからもBSAAからも殺される……。
 因みにそれでもリサからは100%信じてもらえず、朝食の後で、リサの見ている前で短冊を書かされるハメになった。

[同日07時32分 同地区内 都営地下鉄菊川駅→都営新宿線688K電車・1号車]

 朝ラッシュで賑わう菊川駅に向かう。
 リサと私は、1号車に向かった。
 都営新宿線では平日朝ラッシュ時、どちらの方向共に、先頭車が女性専用車となるからである。
 1号車というのは、新宿方面だと女性専用車になり、本八幡方面だと普通車である。

〔まもなく、2番線に、各駅停車、本八幡行きが、10両編成で、到着します。ドアから離れて、お待ちください〕

 リサを先に見送った後で、私は下り電車を待った。
 やってきたのは、京王電鉄の車両。
 “京王ライナー”にも使われる5000系ではなく、それ以前から運用に就いている9050系という車両だ。
 リサを見送った時もそうだったが、やはり女性専用車両は空いている。
 もっとも、こっちも下り電車なので、メチャ混みの上り電車よりは空いているが。
 そこだけは助かる。

〔2番線の電車は、各駅停車、本八幡行きです。きくかわ~、菊川~〕

 ホームドアと電車のドアが開く。
 意外とここでも下車客は多い。
 菊川地区は小さいながらも事務所や工場、店舗が立ち並んでいて、そういう所への通勤需要があるのだろう。
 私は電車に乗り込み、歯抜け状態で空いているローズピンクの座席に腰かけた。
 すぐに発車メロディが鳴る。

〔2番線、ドアが閉まります〕

 ドアチャイムと共に、電車のドアが閉まる。
 京王電車のドアチャイムは、JR東海の普通列車のそれと同じ音色だ。
 ホームドアもチャイムを鳴らしながら閉まり切る。
 ホームにいる駅員が、持っている合図灯(カンテラ)を高く掲げると、乗務員室から発車合図のブザーが聞こえてくる。
 それから、エアーの抜ける音がして、電車が走り出した。
 尚、菊川駅は常時ホームに駅員がいるわけではなく、ラッシュの時間帯のみである。

〔次は住吉、住吉。お出口は、左側です〕

 朝ラッシュの為か、乗換案内が省略されている。
 予定としてはこのまま終点の本八幡駅まで乗り、そこからJR総武線に乗り換えて千葉駅を目指すというものだ。
 私はスマホを取り出すと、都営新宿線に乗り込んだことをメールで報告した。
 正式には千葉駅の近くまで来たらメールするだけで良いのだが、取りあえず、こういう小まめな報告はした方が良いだろうと思ってのことだ。
 すると、すぐに善場係長から返信が来た。
 通常なら、『承知致しました。お気を付けください』的な内容なのだが、今回は少し違った。

 善場「承知致しました。お気をつけください。リサから鬼族の情報は入りましたか?」

 というもの。
 鬼族とは、太平山美樹のことだろう。
 人間名は『美樹』だが、鬼としての名前は『美鬼』である(読みは同じ)。

 愛原「今度の3連休、一旦上京するとのことです。8月に行われる夏期講習合宿の申し込みの為、運営する予備校に申込書を提出しないといけないからです」

 と、返信した。
 いくら鬼の里が秋田県の山奥にあるとはいえ、町に出れば学習塾や予備校くらいあるのに、わざわざ東京に本部のある、それもわざわざ申込書を出しに行かなければならないような所に申し込みをし、しかも本人が出しにわざわざ上京する、という点を係長は不審に思っているようだ。
 デイライトの調査では、太平山の氏族は、日本アンブレラが接触を試みている。
 彼らに流れている鬼の血を、ウィルス兵器の材料にする為に。
 太平山の氏族はそれを断ったと美樹は言っていたが、デイライトはまだ信用していないらしい。
 それをこの機会に、元アンブレラ関係者に聞きたいのだろう。
 本来、刑務所の受刑者の面会は15分ないし30分くらいであるが、どこをどう取り計らったのか、今回は弁護士の面会と同様、無制限で良いとのことだ。

 善場「今度の3連休ですね。かしこまりました。その件について、面会後、御相談させてください」

 という返信があって、ここでのやり取りは終わった。
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“私立探偵 愛原学” 「一夜明けて」

2025-02-19 15:20:33 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月6日08時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 パールは朝になっても起きて来なかった。
 幸い朝食は、高野君が作り置きしてくれていた物を食べた。
 朝は玉子焼きとか焼き魚とかだった。
 リサが学校に行き、私が後片付けをしていると、近くの高橋夫妻の部屋から物音がした。
 そして、そこからバタバタとパールが飛び出して来た。

 パール「せ、先生!」
 愛原「おー、パール、起きたか。よく眠れたか?」

 ある意味、それは嫌味だったかもしれない。
 パールが眠っていたのは、高野君による麻酔注入のせいである。

 パール「も、申訳ございませんでした!」
 愛原「高野君から色々聞いたよ。お前にも結構秘密があったらしいな?」
 パール「“青いアンブレラ”が情報を流出させてしまったのですね。何て奴ら……!」
 愛原「高野君、『さっさと正体バラして、素直に協力を求めればいいのに』とか言ってたぞ」
 パール「そんなこと申されましても……」

 1エージェントに過ぎないパールに、確かにそんなこと言われても困るか。

 愛原「まあ、とにかく、オマエも飯を食えよ」
 パール「い、いえ。食事など、頂く気には……」
 愛原「まあまあ、そう言わずに。まだ、パンとかあるだろ?」
 パール「テラセイブの事は黙っててもらえますか?」
 愛原「誰に?高野君にはとっくにバレてるで?」
 パール「で、デイライトです」
 愛原「デイライトぉ?何で?テラセイブは、特に非合法組織ってわけじゃないんだろ?」
 パール「今のテラセイブは、BSAAと対立しているからです。その……BSAAの欧州本部がヤバいことになっているのを嗅ぎ付けまして……」

 確かにデイライトは、日本におけるBSAAの窓口業務の役割も持っている。
 テラセイブの掴んでいる情報がBSAA側に流れるのを恐れているようだ。

 愛原「せっかくバイオテロに立ち向かう組織だってのに、皆してケンカされちゃ困るんだよ?」
 パール「申し訳ございません……」

 BSAA→とにかく国家転覆・世界に脅威をもたらすウィルス兵器やそれを扱うテロ組織を叩き潰すのが目的。
 青いアンブレラ→赤いアンブレラのせいで世界中に拡散してしまったウィルス及び生物兵器の回収、それを悪用しようとする組織の撲滅が目的。
 テラセイブ→バイオハザードの被害者の救済及び、それを引き起こした元凶や起こそうとする元凶の告発。

 愛原「それぞれの正義がそれぞれの正義を邪魔しているような気がするなぁ……」
 パール「申し訳ございません」
 愛原「それなら、うちの事務所にいて大丈夫なの?この事務所、正にデイライトさんを大口顧客としている所だよ?」

 むしろ、それだけで事務所の運営が成り立っているといっても過言ではない。
 昔は斉藤元社長率いる大日本製薬側からも、大口の仕事が与えられていたものだが……。

 パール「私の正体がバレなければ大丈夫です」
 愛原「で、昨夜、事務所の金庫を開けようとしていたらしいけど、何が目的だった?カネに困っての犯行だったら、いくらかくらいは貸し付けてやるよ?」
 パール「いえ、お金に困ってるわけではありません」

 だろうな。
 パールはうちの事務所からの給料の他、むしろテラセイブからもらっている給料の方が高額のはずだ。

 パール「金庫の中に、御主人様の情報が隠されておりますよね?」
 愛原「それが目的だったか。それをテラセイブに流すつもりだったんだな?」
 パール「申し訳ございません……」
 愛原「高野君の話では、キミが事務所を飛び出したのは、作戦失敗の報告をいち早くする為だったそうだが?」
 パール「はい。本来はマサを脱走させるつもりはありませんでした。警察の留置場や拘置所に留めておけば、こちらとしても居場所はすぐに把握できるからです。あとは関係者を装って面会に行くなり、手紙をやり取りすれば良かったのです。ですが、マサが脱走したことにより、困難となってしまいました」
 愛原「俺が余計な事をしたからだな。で、俺が余計な事をしなければ、高橋は脱走しなかったということだが、それはどういうことなんだ?」
 パール「実はマサはコネクションのメンバーでありながら、別にコネクションに忠誠を誓っているわけでもありません。前々からテラセイブ側に引き抜こうという計画があったのです」
 愛原「そうだったの!?」
 パール「“青いアンブレラ”は“青いアンブレラ”で、マサの引き抜きを狙っていたそうですが」
 愛原「高橋、人気者だねぇ……」
 パール「愛原先生の人気に比べれば、大したことございませんよ」
 愛原「えっ?」
 パール「いえ、何でもございません。要は私達、コネクションがマサの奪還をしに行くという情報を掴んだのです。そして、コネクション側も関係者を装って、マサに手紙を出していました。銃撃でもってマサを奪還しに行くわけですから、本人に伝えておかないと、流れ弾に当たる恐れがあるからです」
 愛原「そりゃそうだな」
 パール「私達の作戦では、コネクションより後にマサに手紙が届くようにすることでした。まず、コネクションがマサに奪還作戦の決行を伝えます。その後で私達の手紙が届き、『ここで踏み止まれば、テラセイブが必ずあなたを助けてみせる。テラセイブに移籍したら、正義感を遺憾無く発揮できる上、報酬もコネクションより高額であることを約束する』という内容でした」
 愛原「それが先に届くことで、何がマズいんだ?」
 パール「話の辻褄が合わなくなるんです。マサはコネクションを出るかどうかで迷っていましたから、それまで手紙のやり取りで懐柔する作戦をしていました。それがいきなり、コネクションに惑わされるなみたいな手紙が届いたら、それは困惑するに決まってます。コネクション側も、マサの心が揺れ動いていることを察知していましたから、手紙で惑わされるなという内容の事を言っていたようです」
 愛原「マジで余計な事しちゃったな。申し訳ない」
 パール「いえ……。そこは、高野の言う通りだったかもしれません。やはり、先に正体を明かして、素直に先生に協力を求めるべきだったのかもしれません」
 愛原「俺はテラセイブのことはよく知らんから、善場係長に報告はせんよ。警備の仕事でも探偵の仕事でも、不確かな情報は報告しないのが鉄則だからな」
 パール「ありがとうございます」
 愛原「因みに今回の件も、善場係長には報告しないことにしたよ。逆にこんなの報告したら、俺の身まで危なくなる」
 パール「ありがとうございます」
 愛原「残念ながら、金庫の中身は諦めてくれ。……というか、斉藤さんの何が気になるんだ?」
 パール「先生が群馬に行かれた時のやり取りです」
 愛原「どうしても聞きたかったら、聞かせてやるよ。取りあえず、朝飯食ったら事務所に来てくれ」
 パール「ありがとうございます」

 実は、こちらもそろそろ忙しくなる。
 高橋が敵側に回るというのなら、こちらもそれなりの対応をしなければならなくなった。
 ……ま、私が余計な事をしてしまったせいでもあるが。
 コネクションより、テラセイブに移籍してくれた方が、まだ私と協力できたかもなぁ……。
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“愛原リサの日常” 「女の戦い」

2025-02-17 20:17:34 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月6日01時57分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所2階]

 1階の玄関扉が外から解錠される。
 この建物の1階玄関は、防弾ガラス扉になっている。
 それに、外から見られないように、スモークフィルムが貼られたものとなっている。
 この建物は元々、暴力団の組事務所だったという噂もあり、それが肯定される理由の1つになっている。
 解錠も普通の鍵ではなく、セキュリティーカードによる電子ロックとなっている。
 それが解施錠される時、ウィィンとモーターの音がする。
 高野芽衣子は、その音を聞き逃さなかった。
 彼女は今、事務所横の倉庫で寝ている。
 倉庫だから色々と物は置かれているが、特徴的なのは、前の事務所で使用されていた折り畳みベッドが使用されていること。
 高橋が、ここを仮眠室として利用できると提言したのが始まりだ。
 愛原としては他にも寝る場所はあるし、わざわざ仮眠室にする必要は無いと消極的だった。
 しかし、今は高野が同じ主張をして、ここで寝ている。
 倉庫といっても、そんなに物が置かれているわけではない。
 1階のガレージにも倉庫はあるし、3階や4階にも収納スペースはある上、屋上にはプレハブの物置まであるからである。

 高野「フム……」

 高野は起き上がった。
 こんなこともあろうかと、服は上着を脱いだだけで、あとはそのままで眠っていた。
 文字通りの仮眠である。
 そして、コンバットナイフと銃を身に付けた。
 玄関から入って来た人物はガレージを通ってエレベーターには乗らず、ヒタヒタと階段を昇って来る。
 そのまま3階から上に行くだろうかと思っていたが、件の人物は2階のドアを開けた。
 階段側からアクセスしようとすると、ドアを開けると廊下がある。
 入ると、右手沿いに扉が2つ並んでいる。
 左手側にはエレベーターの扉がある。
 手前の扉が事務所入口、奥が倉庫入口になっている。
 その人物はそっと階段室の扉を閉めると、事務所のドアを開けようとした。
 営業時間以外は、事務所の扉には鍵が掛かっている。
 こちらはカードキーではなく、普通の鍵だ。
 そっと鍵を差して回したつもりだろうが、シリンダー錠の哀しさで、解施錠の際には、『カチッ!』と、それなりの音がする。
 そして、その人物が事務所に侵入する。
 一旦扉が閉まってから、高野はそっと扉を開けた。
 玄関の扉はオートロックだが、事務所のそれは違う。
 普通は扉を閉めた後、敵に侵入されないよう、内鍵を閉めるものだが、その人物はそれをしなかった。
 よほど自信があるのか、それとも、それを忘れるほど焦っているのか。
 それとも、ただのうっかりか。
 その人物は、愛原の机の引き出しを開けた。
 そこから何かの鍵を取り出した。
 それは金庫の鍵。
 それを持って、愛原の机の斜め後ろにある金庫の扉を鍵を差し込んだ。

 高野「そこまでだ。動くな」
 ???「!!!」

 高野は金庫破りをしようとしていた人物の頭に、拳銃を突き付けた。
 そして、空いている左手で頭に付けたヘッドランプを点灯させる。
 そこに映ったのは……。

 パール「チッ!」
 高野「まあ、だろうね。多分、読者もそうだと思っていたでしょうよ」
 パール「……何で私だと分かった?」
 高野「コネクションと違って、正義側のテラセイブが愛原先生を裏切るはずがないもの。いずれは戻って来るものだと思っていた。まあ、さすがにこんな夜中は非常識だと思うけど」
 パール「……見逃してくれない?」
 高野「条件が複数ある。1つは、『どうしていきなり愛原先生の前から逃げたか?』『どうしてこの時間に、それも、この金庫を勝手に開けようとしているのか?』この質問に答えてくれたらね?もちろん、正直に」
 パール「最初の質問の回答。テラセイブに、作戦失敗の報告をいち早くしないといけなかった為。2つ目の質問は、作戦失敗の尻拭いを命じられた為」
 高野「曖昧過ぎるね。不合格」

 高野は拳銃の引き金を引いた。
 建物中に、大きな発砲音が響いた。

[同日02時17分 天候:曇 同地区内 愛原家4階・リサの部屋→2階事務所]

 リサ「わあっ!?」

 変な夢を見ていた為に、鬼形態に戻っていたリサ。
 長く尖った耳は、人間形態よりも聴力が鋭くなっている。
 だから、発砲音が聞こえた時にはいち早く目が覚めた。

 リサ「な、なに!?」

 リサはベッドから飛び起きた。
 丸首や半袖に紺色の縁取りがされた体操服に、紺色のブルマを穿いている。
 BSAAに追い詰められてロケットランチャーの直撃を受けるという夢を見ていたので、少し汗をかいていた。
 部屋の外に飛び出すが、そこは何も無い。

 愛原「何だ、今の音は!?」
 リサ「先生も聞こえた!?」
 愛原「銃の発砲音がしたぞ!?どうなってる!?」
 リサ「どこから聞こえた?」
 愛原「分からん。だが、高野君が下の階で寝てるはずだ。行ってみよう」
 リサ「うん!」

 リサは愛原について、4階からエレベーターに乗り込んだ。
 そして、高野が寝ている2階に向かう。
 エレベーターを降りると、事務所の照明が点いていた。

 愛原「高野君!?」
 高野「あ、先生。お騒がせして申し訳ありません」
 愛原「さっき、銃の音がしたが……」

 愛原は、倒れているパールの姿を見つけた。

 愛原「パール!?何でここに!?」
 高野「ご安心ください」
 愛原「まさか、死んで……」
 高野「違いますよ。ちょっと脅かして、眠らせているだけです」

 高野の話では、銃声の正体は空砲。
 それでパールが怯んだ隙に、麻酔注射を打ち込んで眠らせたとのこと。

 高野「そこの金庫を勝手に開けようとしたのです。何か心当たりはありませんか?」
 愛原「金庫だって?札束と金塊くらいしか入れてないが……。あ、いや、待てよ……」

 愛原は金庫を開けると、札束や金塊を入れている棚ではなく、1番下の引き出しを開けた。
 その中には、ボイスレコーダーが入っている。
 これは群馬に行った際、斉藤秀樹とのやり取りを録音したものだ。
 原本はデイライトに渡したが、コピーを保存して金庫に保管していた。

 愛原「これを狙っていたのかな?」
 高野「そうかもしれませんね」

 だが、高野は別の物を注目していた。
 それが札束だったのか、金塊だったのかは不明である。

 高野「私は一旦、ここで消えます。今のテラセイブは敵対したところで大したことはありませんが、そのメンバーが不審な動きをしていると、“青いアンブレラ”に報告しないといけませんので」
 愛原「そうか。キミのことは、デイライトさんには内緒にしておくよ」
 高野「ありがとうございます。それでは、屋上から失礼致します」
 愛原「ああ」

 屋上からエイダ・ウォンよろしく、フックショットを使って近隣のマンションを伝って移動するのだろう。
 フックショットを使う描写があるのかは不明だが、まるでキャッツアイだ。

 リサ「パールさん、どうするの?」
 愛原「取りあえず、部屋に連れて行って寝かせとけ」
 リサ「う、うん」

 

 リサは前屈みになって、パールを抱え起こした。
 さすがは鬼形態。
 女性とはいえ、大の大人を軽々と抱えた。

 愛原「俺は屋上のドアを確認してくる。高野君が去ったら、あとは内側から鍵を掛けるだけだからな」
 リサ「分かった」

 リサ達はエレベーターに乗り込み、リサはパールの寝室がある3階へ。
 愛原は屋上への階段がある4階へ向かった。
コメント (1)
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