[6月23日10:32.天候:曇 宮城県栗原市郊外 某廃坑]
エミリーら4機のロイドが廃坑の入口に辿り着く。
エミリー:「エレベーターがある」
恐らくそれは採掘現場へ作業員達を運ぶエレベーターだろう。
しかし今は廃坑。
当然ながら動いているわけがない。
シンディ:「調査チームの人達はどこに行ったの!?」
ここまで来る間に、1人の人間とも会わなかった。
エミリー:「エレベーターを調べてみよう」
エミリーはエレベーターの周りを調べてみた。
坑道へ向かうエレベーターであり、オフィスビルやホテルのそれのような装飾などがされているわけがない。
鏡音リン:「ねぇ、これ見て!」
リンが何かを見つけたようだ。
エミリー達が駆け寄ると、それは分電盤だった。
ケーブルが途中から千切れている。
そのケーブルを辿って行くと、それはエレベーターに通じているようだった。
シンディ:「姉さん、このケーブル、まだ新しいわ。廃坑なのにおかしいよね?」
エミリー:「確かに……」
鏡音レン:「もしかして、バッテリーか何かと接続されていたんじゃない?」
シンディ:「バッテリーかぁ……」
エミリー:「そのようなもの、どこにも……」
エミリーが怪訝な顔をしかかった時だった。
黒いロボット:「Ho!Ho!Hooooooo!!」
壁をブチ破って、1機の黒いロボットが飛び込んで来た。
レン:「うわっ、出た!!」
シンディ:「あんた達は下がってな!」
エミリー:「でやぁーっ!」
銃器の装備が許されていないマルチタイプ達。
こういう時、近接戦が得意なのはエミリーである。
エミリーは黒いロボットにエルボーをお見舞いし、そしてそのボディを石の床に叩き付けてやった。
黒いロボットは抵抗する間も無く、体をバラバラにされた。
シンディ:「さすが姉さん!」
エミリー:「こんなの楽勝だ」
その時、エミリーはあることに気づいた。
黒いロボットは背中にバッテリーを搭載している。
エミリーの攻撃では、黒いロボットは前から地面に叩き付けられて壊れた。
つまり、背中のバッテリーは無事だ。
エミリー:「これを取り外せ!」
シンディ:「姉さん?」
エミリー:「これをエレベーターのバッテリー代わりに使う!」
レン:「なるほど、そうか!」
ロイド達は黒いロボットからバッテリーを取り外すと、それをケーブルに接続した。
等身大のロボット1機を稼働させるほどのバッテリーである。
エレベーター1機も稼働させることができた。
エミリー:「よし、これで行こう」
エミリー達はエレベーターに乗り込んだ。
その様子はエミリー達の『目』を通して、地上の敷島達の端末にも映し出されていた。
敷島:「あの黒いロボットだ!」
アリス:「でもこの前、富士山の地下で見た奴らとは少し違うわ」
敷島:「どういうことだ?」
アリス:「『ざびざび』と喋ってたのに、今は『Ho!』よ」
敷島:「それ、大きな違いか?」
平賀:「大きな違いかもしれませんね」
敷島:「平賀先生」
平賀:「これは富士の地下で撮影された黒いロボットの画像ですが、これと細部が違います。もしかしたら、マイナーチェンジかもしれません」
敷島:「マイナーでもメジャーでも、今のエミリーの攻撃を見る限り、取るに足らない相手であることは分かりましたよ。とにかく、彼女らを信じるしか無いですね。……お、地下に着いたぞ」
ガラガラと扉が開く。
もちろん手動式で、開けたのはシンディだが。
敷島:「あっ!」
平賀:「ああっ!?」
アリス:「What!?」
村上:「何と!?」
そこで人間達はある光景に驚く。
敷島:「誰かいる!」
平賀:「誰か倒れてる!」
アリス:「そういえば、戻りのエレベーターのバッテリーどうすんのよ!?」
村上:「廃坑なのに照明が点いとるぞ!?」
敷島と平賀はともかく、残る2人の反応が……。
もちろん、ロイド達は倒れている人間に駆け寄った。
エミリー:「大丈夫ですか!?」
うつ伏せに倒れている人間をエミリーは揺り起こした。
シンディは生命反応を確認する。
シンディ:「マスター!生命反応無し!死亡しています!」
村上:「何じゃと!?それは誰じゃ!?至急、身元を確認せい!」
シンディ:「了解!」
エミリーは死亡者の遺体を仰向けにした。
まるで鉱山の作業員みたいな感じに見えるのは、服装が作業服にヘルメットを被っているからか。
村上:「あ、あれは……山田君!くくく……!何と痛ましい……!」
ロイ:「博士……」
敷島:「エミリー、シンディ。一旦、戻ってきてくれ。その遺体を取りあえず回収しよう」
エミリー:「了解しました」
シンディ:「かしこまりました」
エミリーが山田という男の遺体を抱え起こした時だった。
ピピピという電子アラーム音が聞こえた。
エミリー:「!?」
シンディ:「なに?」
それは山田のヘルメットから聞こえて来るようだった。
ヘルメットに何か仕掛けがある?
と、その時だった。
山田:「ウガァーッ!!」
突然、山田の目が開くとそれがエミリーに掴みかかった。
敷島:「なっ!?し、死体が起きた!?」
平賀:「どうなってる!?」
アリス:「ホラーだわ!」
村上:「山田君!やめるんじゃ!」
ピピピピピピというアラーム音が響く。
これはまるでJRの防護無線のあの音だ。
シンディ:「姉さん、爆発する!」
エミリー:「うっ!くっ!」
エミリーは山田を引き剥がし、蹴りを入れた。
山田はよろよろと壁にぶつかった。
と、同時にヘルメットが爆発した。
アリス:「うっ……!」
アリスは目を背けて吐き気を堪える。
村上:「い、一体どうなっとるんじゃ!?」
爆発の威力は意外に大きく、もしもエミリーがあのまま組みつかれたままだったとしたら、大損傷していたことだろう。
ロイ:「博士!あのヘルメットは調査チームの所有しているものではありません!」
博士:「なにぃ!?」
敷島:「エミリー達、一旦戻れ!作戦の練り直しだ!」
エミリー:「了解!」
エミリー達はエレベーターに急いだ。
こういう時、よく映画ではエレベーターが動かず、仕方なく奥へ進むことになる展開だったり、エレベーターが来る前に敵が集団で襲ってきて、それを殲滅しなくではならない展開になると思う。
だが、ここではちゃんとエレベーターは来たし、敵が襲来してくることも無かった。
エミリー:「早く乗れ!」
エミリーは辺りを警戒しながら、先に3人を乗せ、自分は後から乗った。
そして蛇腹式の鉄扉を閉めると、シンディが上に行く為のボタンを押した。
ガコンという音がして、エレベーターが再び地上へと戻って行く。
といっても坑道用のエレベーターだ。
オフィスビルやホテルのそれと違い、速度は遅いものである。
エミリー:「!?」
ゆっくりと上昇するエレベーター。
地下の坑道の奥に、エミリーは何かを見たような気がした。
しかしそれは照明が背後から照らされ、しかも戦闘で巻き起こった砂埃により、シルエットでしか見えなかったのである。
エミリーら4機のロイドが廃坑の入口に辿り着く。
エミリー:「エレベーターがある」
恐らくそれは採掘現場へ作業員達を運ぶエレベーターだろう。
しかし今は廃坑。
当然ながら動いているわけがない。
シンディ:「調査チームの人達はどこに行ったの!?」
ここまで来る間に、1人の人間とも会わなかった。
エミリー:「エレベーターを調べてみよう」
エミリーはエレベーターの周りを調べてみた。
坑道へ向かうエレベーターであり、オフィスビルやホテルのそれのような装飾などがされているわけがない。
鏡音リン:「ねぇ、これ見て!」
リンが何かを見つけたようだ。
エミリー達が駆け寄ると、それは分電盤だった。
ケーブルが途中から千切れている。
そのケーブルを辿って行くと、それはエレベーターに通じているようだった。
シンディ:「姉さん、このケーブル、まだ新しいわ。廃坑なのにおかしいよね?」
エミリー:「確かに……」
鏡音レン:「もしかして、バッテリーか何かと接続されていたんじゃない?」
シンディ:「バッテリーかぁ……」
エミリー:「そのようなもの、どこにも……」
エミリーが怪訝な顔をしかかった時だった。
黒いロボット:「Ho!Ho!Hooooooo!!」
壁をブチ破って、1機の黒いロボットが飛び込んで来た。
レン:「うわっ、出た!!」
シンディ:「あんた達は下がってな!」
エミリー:「でやぁーっ!」
銃器の装備が許されていないマルチタイプ達。
こういう時、近接戦が得意なのはエミリーである。
エミリーは黒いロボットにエルボーをお見舞いし、そしてそのボディを石の床に叩き付けてやった。
黒いロボットは抵抗する間も無く、体をバラバラにされた。
シンディ:「さすが姉さん!」
エミリー:「こんなの楽勝だ」
その時、エミリーはあることに気づいた。
黒いロボットは背中にバッテリーを搭載している。
エミリーの攻撃では、黒いロボットは前から地面に叩き付けられて壊れた。
つまり、背中のバッテリーは無事だ。
エミリー:「これを取り外せ!」
シンディ:「姉さん?」
エミリー:「これをエレベーターのバッテリー代わりに使う!」
レン:「なるほど、そうか!」
ロイド達は黒いロボットからバッテリーを取り外すと、それをケーブルに接続した。
等身大のロボット1機を稼働させるほどのバッテリーである。
エレベーター1機も稼働させることができた。
エミリー:「よし、これで行こう」
エミリー達はエレベーターに乗り込んだ。
その様子はエミリー達の『目』を通して、地上の敷島達の端末にも映し出されていた。
敷島:「あの黒いロボットだ!」
アリス:「でもこの前、富士山の地下で見た奴らとは少し違うわ」
敷島:「どういうことだ?」
アリス:「『ざびざび』と喋ってたのに、今は『Ho!』よ」
敷島:「それ、大きな違いか?」
平賀:「大きな違いかもしれませんね」
敷島:「平賀先生」
平賀:「これは富士の地下で撮影された黒いロボットの画像ですが、これと細部が違います。もしかしたら、マイナーチェンジかもしれません」
敷島:「マイナーでもメジャーでも、今のエミリーの攻撃を見る限り、取るに足らない相手であることは分かりましたよ。とにかく、彼女らを信じるしか無いですね。……お、地下に着いたぞ」
ガラガラと扉が開く。
もちろん手動式で、開けたのはシンディだが。
敷島:「あっ!」
平賀:「ああっ!?」
アリス:「What!?」
村上:「何と!?」
そこで人間達はある光景に驚く。
敷島:「誰かいる!」
平賀:「誰か倒れてる!」
アリス:「そういえば、戻りのエレベーターのバッテリーどうすんのよ!?」
村上:「廃坑なのに照明が点いとるぞ!?」
敷島と平賀はともかく、残る2人の反応が……。
もちろん、ロイド達は倒れている人間に駆け寄った。
エミリー:「大丈夫ですか!?」
うつ伏せに倒れている人間をエミリーは揺り起こした。
シンディは生命反応を確認する。
シンディ:「マスター!生命反応無し!死亡しています!」
村上:「何じゃと!?それは誰じゃ!?至急、身元を確認せい!」
シンディ:「了解!」
エミリーは死亡者の遺体を仰向けにした。
まるで鉱山の作業員みたいな感じに見えるのは、服装が作業服にヘルメットを被っているからか。
村上:「あ、あれは……山田君!くくく……!何と痛ましい……!」
ロイ:「博士……」
敷島:「エミリー、シンディ。一旦、戻ってきてくれ。その遺体を取りあえず回収しよう」
エミリー:「了解しました」
シンディ:「かしこまりました」
エミリーが山田という男の遺体を抱え起こした時だった。
ピピピという電子アラーム音が聞こえた。
エミリー:「!?」
シンディ:「なに?」
それは山田のヘルメットから聞こえて来るようだった。
ヘルメットに何か仕掛けがある?
と、その時だった。
山田:「ウガァーッ!!」
突然、山田の目が開くとそれがエミリーに掴みかかった。
敷島:「なっ!?し、死体が起きた!?」
平賀:「どうなってる!?」
アリス:「ホラーだわ!」
村上:「山田君!やめるんじゃ!」
ピピピピピピというアラーム音が響く。
これはまるでJRの防護無線のあの音だ。
シンディ:「姉さん、爆発する!」
エミリー:「うっ!くっ!」
エミリーは山田を引き剥がし、蹴りを入れた。
山田はよろよろと壁にぶつかった。
と、同時にヘルメットが爆発した。
アリス:「うっ……!」
アリスは目を背けて吐き気を堪える。
村上:「い、一体どうなっとるんじゃ!?」
爆発の威力は意外に大きく、もしもエミリーがあのまま組みつかれたままだったとしたら、大損傷していたことだろう。
ロイ:「博士!あのヘルメットは調査チームの所有しているものではありません!」
博士:「なにぃ!?」
敷島:「エミリー達、一旦戻れ!作戦の練り直しだ!」
エミリー:「了解!」
エミリー達はエレベーターに急いだ。
こういう時、よく映画ではエレベーターが動かず、仕方なく奥へ進むことになる展開だったり、エレベーターが来る前に敵が集団で襲ってきて、それを殲滅しなくではならない展開になると思う。
だが、ここではちゃんとエレベーターは来たし、敵が襲来してくることも無かった。
エミリー:「早く乗れ!」
エミリーは辺りを警戒しながら、先に3人を乗せ、自分は後から乗った。
そして蛇腹式の鉄扉を閉めると、シンディが上に行く為のボタンを押した。
ガコンという音がして、エレベーターが再び地上へと戻って行く。
といっても坑道用のエレベーターだ。
オフィスビルやホテルのそれと違い、速度は遅いものである。
エミリー:「!?」
ゆっくりと上昇するエレベーター。
地下の坑道の奥に、エミリーは何かを見たような気がした。
しかしそれは照明が背後から照らされ、しかも戦闘で巻き起こった砂埃により、シルエットでしか見えなかったのである。