[3月4日12:00.天候:晴 東京都八王子市 中央自動車道・石川パーキングエリア]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今日はこれから神奈川県山間の町まで向かう所だ。
電車よりも車の方が便利である為、レンタカーを借りて向かっている。

(写真はウィキペディアより拝借)
ラジオニュースからは相変わらず新型コロナウィルスの話しか出てこない。
それほどまでに深刻な事態なのだろう。
中央高速だって混む道路なのに、今はガラガラだ。
走っているのはトラックや高速バスくらいだ。
それも、高速バスを見るとガラガラであった。
そして何より、遊びに行く普通乗用車や観光バスの姿を見ない。
リサ:「先生、お腹空いた」
リサがペロッと舌を出して言った。
上目遣いなんかして、まるで私を性的に誘っているかのようだ。
そういう年頃なのだろう。
愛原:「ああ、分かった。お昼にしよう。高橋、次のパーキングに寄ってくれ」
高橋:「了解っス」
高橋は左ウィンカーを上げると、石川パーンキングエリアに入った。
ここは東京都下の高速自動車国道では唯一の休憩施設である(首都高速は高速自動車国道ではない)。
で、しかもパーンキングエリアでありながら、そこそこの大きさを誇る。
サービスエリアではないので、ガソリンスタンドは無い。
この法則は東名高速や東北自動車道にも言える。
都内を出発して、最初のパーキングエリアは広い法則だ。
東名高速の港北パーキングエリアしかり、東北自動車道の羽生パーンキングエリアしかりだ。
愛原:「どうせチェックインの時間まで、かなり余裕があるんだ。この際、ここでゆっくりして行こう」
高野:「もうボスへのお土産買っちゃいます?」
愛原:「まだ都内だろ?」
高野:「八王子ですね」
愛原:「都内を出てからでいいだろう」
高野:「ぶっちゃけボスも都内在住という噂ですから、案外この近くに住んでるかもですね」
愛原:「可能性はあるな」
高橋が駐車場に車を止めた。
高橋:「到着っス」
愛原:「ありがとう。それじゃ2人とも、ここで昼食タイムだよ」
リサ:「はーい」
絵恋:「はーい」
私達は車を降りた。
絵恋:「先にお手洗いに行っていいですか?」
リサ:「私も行くー」
愛原:「もちろんだとも。俺も行こう」
高橋:「お供します!」
愛原:「そんな、便所くらいで大声出すなって。それにしても、八王子市も結構広いだろ?八王子のどの辺なんだろうな?」
高野:「最寄り駅はJR八高線の小宮駅みたいですね」
愛原:「ふーん……」
高野:「もっとも、歩いて行ける距離かどうかは【お察しください】」
愛原:「なるほどなw」
さもありなん。
都内のJR線でもローカル線に当たる八高線が最寄りという時点で、確かに【お察しください】。
高橋:「どうせ女は時間が掛かるでしょうから、俺は一服させてもらいます」
愛原:「ああ、行ってこい」
確かに先にトイレから出て来たのは私達だった。
高橋が喫煙所に向かい、私は中を見てみる。
フードコートがあるから、そこで昼食が取れるな。
高野:「お待たせしました」
愛原:「おう」
皆が戻って来るのを待ってからフードコードに入った。
高橋:「先生は何にします?」
愛原:「八王子ラーメンか。そういえば八王子なんて滅多に来ないから、八王子ラーメン食べる機会が無いな」
もっとも私の中で八王子ラーメンというと、具材が長ネギではなく玉ねぎのみじん切りくらいしか思いつかないのだが。
愛原:「チャーシュー麺にするか」
高橋:「俺も同じので!」
愛原:「あいよ」
高野:「先生、リサちゃんは別の物を食べたいようです」
愛原:「そうなのか。いいよ。好きなの食べて」
リサ:「じゃあ、これ」
リサはハンバーグカレーを指さした。
愛原:「ははは、リサはハンバーグが好きだなぁ」
リサ:「うん、大好き」
絵恋:「リサさん、今度うちに遊びに来た時、メイドに作らせるからね」
その時、私の頭にとあるデータがよぎった。
これは信憑性のある話ではないのだが、アメリカのオリジナル版リサ・トレヴァーは、女性の顔の生皮を剥がした後、残った頭部はミンチにして食べていたという。
ハンバーグも肉をミンチにしたもの。
まさか、な……。
因みに少女陣はカレー、絵恋さんは普通のカレーを頼んだ。
高野君は味噌ラーメンである。
愛原:「高橋は八王子ラーメンは食べたことあるのか?」
高橋:「中央高速も結構走り込みましたんで、ここにもよく寄ったものです。でも、あんまり食わなかったっスね。下の国道沿いにあるラーメン屋には、仲間と何回か入りましたけど」
街道レーサーだった高橋も、高速はただ飛ばすだけの道路であり、本当にドライブを楽しむなら下道ということか。
愛原:「なるほどな」
しばらくして注文したものができた旨のアナウンスが流れ、高橋が取りに行った。
高橋:「先生、どうぞ」
愛原:「ありがとう」
チャーシュー麺だから、なかなかのボリュームだ。
高野:「先生、向こうでは食事は出るんですよね?」
愛原:「一応な。3食出ることになってる」
表向きは政府機関の研修所ということになっている。
合宿所のような所だと思って行けばいいのだろう。
愛原:「味については期待しない方がいいかもな。今のうちに、この美味いラーメンでも食べておこう」
高橋:「確かに。合宿所の麺類は不味いですよ。まだ少年院で出たヤツの方が美味かったです」
愛原:「少年院の飯は意外と美味いらしいな」
高橋:「そうなんですよ。何しろ、量も1食分を3食に分けてもいいくらいで……」
愛原:「そんなに出るのか!」
高橋:「さすがの俺も太りましたよ」
愛原:「だろうなぁ……」
被害者の浮かばれないこと浮かばれないこと。
もっとも、高橋の場合はケンカで相手をボッコボコにして、それで逮捕されて収監されたんだっけか?
あとは道路交通法違反しまりくとか。
ケンカ相手も似たようなヤンキーばっかりだったらしいから、高橋の場合はお互い様だろう。
愛原:「高橋と一緒に収監されてた中に、一般人相手に犯罪してた奴とかいなかったか?」
高橋:「いや、いましたよ、ガッツリ」
愛原:「そいつらもたらふく飯を食えたんだろうなぁ」
高橋:「まあ、そうっスね。俺もそいつらは相手にしませんでしたよ」
愛原:「そこは偉いな」
高橋:「何か、自販機荒らしとか車上荒らしで捕まったヤツにその方法とかは教わりましたけど」
愛原:「オマエのピッキング技術も少年院で習ったんかーい」
それがバイオハザード事件の最中で役に立っちゃうんだから、世も末だ。
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今日はこれから神奈川県山間の町まで向かう所だ。
電車よりも車の方が便利である為、レンタカーを借りて向かっている。

(写真はウィキペディアより拝借)
ラジオニュースからは相変わらず新型コロナウィルスの話しか出てこない。
それほどまでに深刻な事態なのだろう。
中央高速だって混む道路なのに、今はガラガラだ。
走っているのはトラックや高速バスくらいだ。
それも、高速バスを見るとガラガラであった。
そして何より、遊びに行く普通乗用車や観光バスの姿を見ない。
リサ:「先生、お腹空いた」
リサがペロッと舌を出して言った。
上目遣いなんかして、まるで私を性的に誘っているかのようだ。
そういう年頃なのだろう。
愛原:「ああ、分かった。お昼にしよう。高橋、次のパーキングに寄ってくれ」
高橋:「了解っス」
高橋は左ウィンカーを上げると、石川パーンキングエリアに入った。
ここは東京都下の高速自動車国道では唯一の休憩施設である(首都高速は高速自動車国道ではない)。
で、しかもパーンキングエリアでありながら、そこそこの大きさを誇る。
サービスエリアではないので、ガソリンスタンドは無い。
この法則は東名高速や東北自動車道にも言える。
都内を出発して、最初のパーキングエリアは広い法則だ。
東名高速の港北パーキングエリアしかり、東北自動車道の羽生パーンキングエリアしかりだ。
愛原:「どうせチェックインの時間まで、かなり余裕があるんだ。この際、ここでゆっくりして行こう」
高野:「もうボスへのお土産買っちゃいます?」
愛原:「まだ都内だろ?」
高野:「八王子ですね」
愛原:「都内を出てからでいいだろう」
高野:「ぶっちゃけボスも都内在住という噂ですから、案外この近くに住んでるかもですね」
愛原:「可能性はあるな」
高橋が駐車場に車を止めた。
高橋:「到着っス」
愛原:「ありがとう。それじゃ2人とも、ここで昼食タイムだよ」
リサ:「はーい」
絵恋:「はーい」
私達は車を降りた。
絵恋:「先にお手洗いに行っていいですか?」
リサ:「私も行くー」
愛原:「もちろんだとも。俺も行こう」
高橋:「お供します!」
愛原:「そんな、便所くらいで大声出すなって。それにしても、八王子市も結構広いだろ?八王子のどの辺なんだろうな?」
高野:「最寄り駅はJR八高線の小宮駅みたいですね」
愛原:「ふーん……」
高野:「もっとも、歩いて行ける距離かどうかは【お察しください】」
愛原:「なるほどなw」
さもありなん。
都内のJR線でもローカル線に当たる八高線が最寄りという時点で、確かに【お察しください】。
高橋:「どうせ女は時間が掛かるでしょうから、俺は一服させてもらいます」
愛原:「ああ、行ってこい」
確かに先にトイレから出て来たのは私達だった。
高橋が喫煙所に向かい、私は中を見てみる。
フードコートがあるから、そこで昼食が取れるな。
高野:「お待たせしました」
愛原:「おう」
皆が戻って来るのを待ってからフードコードに入った。
高橋:「先生は何にします?」
愛原:「八王子ラーメンか。そういえば八王子なんて滅多に来ないから、八王子ラーメン食べる機会が無いな」
もっとも私の中で八王子ラーメンというと、具材が長ネギではなく玉ねぎのみじん切りくらいしか思いつかないのだが。
愛原:「チャーシュー麺にするか」
高橋:「俺も同じので!」
愛原:「あいよ」
高野:「先生、リサちゃんは別の物を食べたいようです」
愛原:「そうなのか。いいよ。好きなの食べて」
リサ:「じゃあ、これ」
リサはハンバーグカレーを指さした。
愛原:「ははは、リサはハンバーグが好きだなぁ」
リサ:「うん、大好き」
絵恋:「リサさん、今度うちに遊びに来た時、メイドに作らせるからね」
その時、私の頭にとあるデータがよぎった。
これは信憑性のある話ではないのだが、アメリカのオリジナル版リサ・トレヴァーは、女性の顔の生皮を剥がした後、残った頭部はミンチにして食べていたという。
ハンバーグも肉をミンチにしたもの。
まさか、な……。
因みに少女陣はカレー、絵恋さんは普通のカレーを頼んだ。
高野君は味噌ラーメンである。
愛原:「高橋は八王子ラーメンは食べたことあるのか?」
高橋:「中央高速も結構走り込みましたんで、ここにもよく寄ったものです。でも、あんまり食わなかったっスね。下の国道沿いにあるラーメン屋には、仲間と何回か入りましたけど」
街道レーサーだった高橋も、高速はただ飛ばすだけの道路であり、本当にドライブを楽しむなら下道ということか。
愛原:「なるほどな」
しばらくして注文したものができた旨のアナウンスが流れ、高橋が取りに行った。
高橋:「先生、どうぞ」
愛原:「ありがとう」
チャーシュー麺だから、なかなかのボリュームだ。
高野:「先生、向こうでは食事は出るんですよね?」
愛原:「一応な。3食出ることになってる」
表向きは政府機関の研修所ということになっている。
合宿所のような所だと思って行けばいいのだろう。
愛原:「味については期待しない方がいいかもな。今のうちに、この美味いラーメンでも食べておこう」
高橋:「確かに。合宿所の麺類は不味いですよ。まだ少年院で出たヤツの方が美味かったです」
愛原:「少年院の飯は意外と美味いらしいな」
高橋:「そうなんですよ。何しろ、量も1食分を3食に分けてもいいくらいで……」
愛原:「そんなに出るのか!」
高橋:「さすがの俺も太りましたよ」
愛原:「だろうなぁ……」
被害者の浮かばれないこと浮かばれないこと。
もっとも、高橋の場合はケンカで相手をボッコボコにして、それで逮捕されて収監されたんだっけか?
あとは道路交通法違反しまりくとか。
ケンカ相手も似たようなヤンキーばっかりだったらしいから、高橋の場合はお互い様だろう。
愛原:「高橋と一緒に収監されてた中に、一般人相手に犯罪してた奴とかいなかったか?」
高橋:「いや、いましたよ、ガッツリ」
愛原:「そいつらもたらふく飯を食えたんだろうなぁ」
高橋:「まあ、そうっスね。俺もそいつらは相手にしませんでしたよ」
愛原:「そこは偉いな」
高橋:「何か、自販機荒らしとか車上荒らしで捕まったヤツにその方法とかは教わりましたけど」
愛原:「オマエのピッキング技術も少年院で習ったんかーい」
それがバイオハザード事件の最中で役に立っちゃうんだから、世も末だ。