報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「ここでプレイヤーキャラ交替」

2020-03-14 23:32:38 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月4日15:30.天候:曇 神奈川県相模原市緑区 (独)国家公務員特別研修センター本館2Fロビー]

 リサは車から荷物を降ろすと、愛原達について建物の中に入った。

 絵恋:「リサさん、待ってよ~」
 リサ:「サイトー、しっかり」

 建物の中は薄暗く、本当に誰かいるのかと思うほどだ。
 エントランスから中に入ると、ちょっとしたビジネスホテルのロビーみたいな空間が広がっていたが。

 愛原:「すいませーん!」

 愛原が誰もいないフロントの奥に向かって声を掛けた。
 奥の事務所には電気が点いていて、明らかに人の気配があったからである。

 管理人:「はーい」

 すると、奥から作業ジャンパーを着た中年の男性が出て来た。
 明らかに愛原より年上だ。

 愛原:「東京から来た愛原です。お聞き及びと思いますが、今日からこちらにお世話になります」
 管理人:「ああ、これはようこそ。お待ちしておりました。……あ、いま電気点けます」

 管理人がフロント内のスイッチを弄ると、LEDの蛍光灯が点灯して明るくなった。
 こういう所でも、照明はLEDに換えられているのか。
 男性はワイシャツにネクタイをしていたが、その上に作業ジャンパーを着込んでいるおかげで、フロントマンというより、マンションの管理人というイメージがピッタリだった。

 管理人:「守衛所から受付票はもらいましたか?」
 愛原:「あ、はい。これです」

 愛原が受付をしている間、リサは物珍しそうにロビーの脇に置かれている大きな振り子時計を見ている。
 コーン、コーンと規則正しく振り子が左右に揺れている。
 と、ボーン!と1回鐘が鳴った。
 3時半を指していることから、30分になったら1回鳴る仕掛けなのだろう。
 恐らくどこかからの寄贈品と思われるが、リサにはその文字が読めなかった。

 管理人:「……ありがとうございます。それでは、館内の御説明をしたいと思います。まず、ここは研修センターの本館となります。で、ここは2階なんですね」
 愛原:「2階!?」
 管理人:「はい。このセンターは高台にあるので、ちょっと階層の数え方が独特なんですよ。ここがフロントとロビーですね。で、そっちの部屋が食堂になります。で、その反対側の廊下に行きますと、最初に階段があります。その隣に自動販売機コーナーがあります。更にその隣にはトイレ。その隣には喫煙所があります。階段を登りまして、3階が宿泊室フロアになっております。そこにはトイレや洗面室、喫煙所もあります。洗面室の中にコインランドリーもあるので、よろしかったらご利用ください。階段を下りて1階には大浴場と小浴場があります。まあ、今回こちらにお泊りになるのは皆さんだけですので、小浴場だけ稼働させたいと思います。男女別でお入りください。夜は16時から22時まで。朝は5時から8時まで入れます」
 愛原:「因みに温泉ですか?」
 管理人:「あいにくと違います。もっとも、循環風呂にはなっていますけど」
 愛原:「そうですか」
 管理人:「お部屋は4人部屋となっておりますが、男女別で2部屋御用意しておきました」

 管理人は『VISITOR』と書かれたカードを5枚用意した。

 管理人:「お部屋のカードキーにもなっております。館内と……地下へ行かれる際はこれを付けておいてください」
 愛原:「地下にはどうやって?」
 管理人:「1階にエレベーターがありますが、詳しいことは後程、別の者がお教えします。地下へは明日行かれるそうですね」
 愛原:「ええ。善場主任の案内で行くことになっています。エレベーターの場所だけでも確認していいですか?」
 管理人:「いいですよ。というか、すぐに分かると思いますけど」

 廊下の奥にエレベーターがあるらしい。
 で、それは地下研究所に行くだけのエレベーターではなく、1階から3階へも行き来できるものらしい。
 要は障がい者雇用で採用された身体障がい者も、こういう施設を利用することを想定して設置したエレベーターという名目とのこと。
 しかし地下施設に行く際には専用のカードキーが必要であり、それはリサ達がもらったカードキーではエレベーターを地下に下ろせないそうだ。
 あくまでも、この地上の研修センターのみのカードキーらしい。

 愛原:「本当に警戒が厳重だ」
 高橋:「そうですね」
 愛原:「因みに夕食はここで?」
 管理人:「そうですね。と言いますか、食事が出るのは明日の朝からですよ?」
 愛原:「は?」

[同日15:45.天候:曇 同センター本館3F 宿泊室]

 

 高野:「あら?意外と中はきれいじゃない」
 リサ:「2段ベッド」

 見ると全てのベッドには既に布団が敷かれていた。
 こういう合宿所的な場所だと、ベッドメイキングは自分でやらなければならないイメージだが、ここではその必要は無いのだろうか。

 絵恋:「窓からも眺めもいいね」

 

 高野:「中央高速や住宅街が見えるくらいだから、けして寂しい場所ではないのよね」

 テレビと置時計があって、冷暖房も完備である。
 部屋のドアの横には洗面台もあった。
 但し、トイレやバスルームは無いので、それは共用のものを使わなければならない。

 高野:「どこで寝る?」
 リサ:「私、上がいい」
 絵恋:「私はリサさんの隣がいい」
 リサ:「……? 隣?」

 リサは反対側のベッドの上段を指さした。

 絵恋:「違うわ。リサさんと一緒に寝たいの」
 高野:「斉藤さん、悪いけど、ベッドの幅が普通のシングルサイズしか無いのよ?いくらあなた達がまだ子供だからって、さすがに2人一緒は狭くない?」
 絵恋:「私は平気です」
 リサ:「サイトー。サイトーは下で寝て。それとも、サイトーも上で寝たい?」
 絵恋:「私はリサさんと密着して寝たいです」
 高野:「だからダメだって。ちゃんとベッドは1つずつ使いなさい」
 絵恋:「えーっ!」
 リサ:「サイトー、それは高野さんの言う通りだと思う」

 リサは高野に同調しながら言った。

 リサ:「高野さん、愛原先生も高橋兄ちゃんに迫られてるかもしれない」
 高野:「もしそうなら、後で相模湖に沈めておくからね。あとの問題は、夕食か。いやー、まさか前泊だと夕食が出ないって意外だったねー」
 リサ:「自販機コーナーでラーメンとか売ってるみたい」
 高野:「カップラーメンの自販機かぁ。懐かしいなぁ。まあ、いいや。他に何があるのか見て来よう。こういう所だと缶ビールの自販機もあるだろうから、ついでにおつまみも売ってるかもしれない」

 因みに隣の愛原の部屋では、リサの懸念した通りだったらしく、高橋は相模湖に沈められはしなかったものの、【お察しください】。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする