[10月1日07:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]
愛原:「いよいよ、今日はリサが16歳になる日だな」
リサ:「うん。勇者として旅立つ日!」
愛原:「いつのRPGかな?」
高橋:「勇者っつーか、魔王だろー。オメーはよ」
愛原:「まあ、場合によっては主人公達にラスボスとして立ちはだかる側だよな」
リサ:「ぶー……」
愛原:「まあ、とにかく、オマエの誕生会やるから、今日は早めに帰って来いや」
リサ:「分かってるよ。誕生日プレゼント、期待してる」
愛原:「へいへい」
高橋:「先生の快気祝いも兼ねてるんだからな?」
リサ:「分かってるよ」
リサは朝食を掻っ込んだ。
リサ:「それじゃ、行ってきます」
愛原:「行ってらっしゃい」
学校へ向かうリサの後ろ姿を見た時、確かに成長はしているなと思った。
体つきはまだ小柄なものの、段々と大人びてきているような気はした。
[同日10:00.天候:晴 同地区内 愛原学探偵事務所]
配達員:「簡易書留でーす!」
高橋:「うっス」
事務所に簡易書留が届く。
高橋が受け取って、代わりにハンコを押した。
配達員:「ありがとうございましたー!」
高橋:「うっス」
もちろん、簡易書留以外に普通郵便も混じっている。
高橋:「先生、簡易書留、善場の姉ちゃんからですよ」
愛原:「ほお。中身は何だろう?」
私宛なので、私が開ける。
すると、中に入っていたのは図書カードNEXTだった。
添え状が入っていて、どうやらリサへの誕生日プレゼントだそうだ。
これで、本でも買ってくれということだろう。
善場主任は、とにかくリサへのプレゼント関係は図書カードやクオカードなどのプリペイドカードであることが多い。
現金だとマズいことがあるのだろうか。
愛原:「図書カードNEXTだな」
高橋:「これで本でも買って、勉強しろってことっスかね。さすがは、頭の固ェ姉ちゃんなだけありますよ」
愛原:「高橋」
確かにこれで辞書を買ったりすることもあったが、リサの場合、マンガを買うことが多かった。
何しろ、アニメイトでも使えたりするんだからな。
とはいえ、用途については善場主任は何も言ってこなかった。
なので、マンガを買っても特に問題は無いのだろう。
考えようによっては、マンガであっても、化け物と化したBOWはそんなものに興味は無いだろう。
それを興味を持って読んでいるということは、それほど人間に近づいているということの現れなわけだ。
もしかしたら、主任はそれを狙って、リサに本を買わせて読ませようとしているのかもしれない。
愛原:「俺達も誕生日プレゼント、考えなきゃな」
高橋:「俺は、新しいゲームでも買ってやろうかと思ってますが」
愛原:「なるほど。それも人間らしいアレだな。俺はどうしようかな……」
中学校の卒業祝いや高校の入学祝で、だいぶプレゼントしちゃったからな……。
愛原:「俺はクオカードでもプレゼントするか」
善場主任の図書カードNEXTが最高額の1万円券だったから、私も同額の券を送ってやるか。
愛原:「ちょっとクオカード、買いに行ってくる。高橋は?」
高橋:「俺はもうAmazonで注文しました。あいつに、欲しいゲーム何なのか既に聞いてたんで。Amazonギフトで」
愛原:「その手があったか。俺は入院中だったからな……」
高橋:「まあ、しょうがないっスよ。車、出しますか?」
愛原:「いいよ。俺1人で行って来る。オマエは留守番しててくれ」
高橋:「分かりました」
新宿に行けば買えるようだ。
私はスーツの上着を羽織って、事務所の外に出た。
幸い、新宿なら都営地下鉄一本で行ける。
[同日10:07.天候:晴 同地区内 都営地下鉄菊川駅→都営新宿線915T電車先頭車内]
〔まもなく1番線に、各駅停車、新宿行きが10両編成で到着します。ドアから離れて、お待ちください〕
私がホームに下りると、ちょうど接近放送が鳴るタイミングであった。
今からおよそ2時間半前、リサはここから電車に乗ったというわけだ。
眩いヘッドライトを灯して、やってきたのは東京都交通局の電車。
乗り入れて来る京王電車と違い、こちらは緑色がモチーフである。
〔1番線の電車は、各駅停車、新宿行きです。きくかわ~、菊川~〕
私は電車に乗り込むと、空いている硬い座席に腰かけた。
すぐに短い発車メロディが鳴り響く。
〔1番線、ドアが閉まります〕
特に駆け込み乗車も無かったか、電車とホームのホームのドアはスムーズに閉扉した。
運転室の中から、車掌の発車合図のブザーが聞こえてくる。
ガチャッというハンドルを操作する音も聞こえてくる。
そして、ブレーキのエアーが抜ける音がして、電車が加速を始めた。
〔次は森下、森下。お出口は、右側です。都営大江戸線お乗り換えの方は、ホーム後方の連絡階段をご利用ください〕
〔The next station is Morishita.S11.The doors are right side will open.Please change here for the Toei Oedo line.〕
これが都営大江戸線だったら、広告放送も流れるのだが、都営新宿線では流れない。
ツーマン運転で、車掌が肉声放送しているというのなら分かるが、このように自動放送だというのに、広告は流れないのである。
これが都営大江戸線だと、確か森下駅近辺の桜鍋の店の広告が流れるんじゃなかったかな。
桜鍋か……。
“ウマ娘”が流行っている間は、風評被害食らってる?肉好きのリサを、そういう所に連れて行ってあげるのもいいかもしれないな。
とにかく、食人衝動を抑えさせる為には、別の肉を食わせるしかない。
今日は高橋が腕によりをかけて、御馳走を造るはずだ。
リサには特にデカいステーキを焼いて食わせるように言ってある。
今日のところは、それで凌げるだろう。
リサが成人するまで、暴走させないようにするのが、NPO法人デイライトさんとの長期契約だ。
なるべくリサは人間扱いし、BOWであることを忘れさせるくらいがいい。
もっとも、気を抜くとあいつ、第一形態に戻るからそこが難点なんだけどな。
愛原:「いよいよ、今日はリサが16歳になる日だな」
リサ:「うん。勇者として旅立つ日!」
愛原:「いつのRPGかな?」
高橋:「勇者っつーか、魔王だろー。オメーはよ」
愛原:「まあ、場合によっては主人公達にラスボスとして立ちはだかる側だよな」
リサ:「ぶー……」
愛原:「まあ、とにかく、オマエの誕生会やるから、今日は早めに帰って来いや」
リサ:「分かってるよ。誕生日プレゼント、期待してる」
愛原:「へいへい」
高橋:「先生の快気祝いも兼ねてるんだからな?」
リサ:「分かってるよ」
リサは朝食を掻っ込んだ。
リサ:「それじゃ、行ってきます」
愛原:「行ってらっしゃい」
学校へ向かうリサの後ろ姿を見た時、確かに成長はしているなと思った。
体つきはまだ小柄なものの、段々と大人びてきているような気はした。
[同日10:00.天候:晴 同地区内 愛原学探偵事務所]
配達員:「簡易書留でーす!」
高橋:「うっス」
事務所に簡易書留が届く。
高橋が受け取って、代わりにハンコを押した。
配達員:「ありがとうございましたー!」
高橋:「うっス」
もちろん、簡易書留以外に普通郵便も混じっている。
高橋:「先生、簡易書留、善場の姉ちゃんからですよ」
愛原:「ほお。中身は何だろう?」
私宛なので、私が開ける。
すると、中に入っていたのは図書カードNEXTだった。
添え状が入っていて、どうやらリサへの誕生日プレゼントだそうだ。
これで、本でも買ってくれということだろう。
善場主任は、とにかくリサへのプレゼント関係は図書カードやクオカードなどのプリペイドカードであることが多い。
現金だとマズいことがあるのだろうか。
愛原:「図書カードNEXTだな」
高橋:「これで本でも買って、勉強しろってことっスかね。さすがは、頭の固ェ姉ちゃんなだけありますよ」
愛原:「高橋」
確かにこれで辞書を買ったりすることもあったが、リサの場合、マンガを買うことが多かった。
何しろ、アニメイトでも使えたりするんだからな。
とはいえ、用途については善場主任は何も言ってこなかった。
なので、マンガを買っても特に問題は無いのだろう。
考えようによっては、マンガであっても、化け物と化したBOWはそんなものに興味は無いだろう。
それを興味を持って読んでいるということは、それほど人間に近づいているということの現れなわけだ。
もしかしたら、主任はそれを狙って、リサに本を買わせて読ませようとしているのかもしれない。
愛原:「俺達も誕生日プレゼント、考えなきゃな」
高橋:「俺は、新しいゲームでも買ってやろうかと思ってますが」
愛原:「なるほど。それも人間らしいアレだな。俺はどうしようかな……」
中学校の卒業祝いや高校の入学祝で、だいぶプレゼントしちゃったからな……。
愛原:「俺はクオカードでもプレゼントするか」
善場主任の図書カードNEXTが最高額の1万円券だったから、私も同額の券を送ってやるか。
愛原:「ちょっとクオカード、買いに行ってくる。高橋は?」
高橋:「俺はもうAmazonで注文しました。あいつに、欲しいゲーム何なのか既に聞いてたんで。Amazonギフトで」
愛原:「その手があったか。俺は入院中だったからな……」
高橋:「まあ、しょうがないっスよ。車、出しますか?」
愛原:「いいよ。俺1人で行って来る。オマエは留守番しててくれ」
高橋:「分かりました」
新宿に行けば買えるようだ。
私はスーツの上着を羽織って、事務所の外に出た。
幸い、新宿なら都営地下鉄一本で行ける。
[同日10:07.天候:晴 同地区内 都営地下鉄菊川駅→都営新宿線915T電車先頭車内]
〔まもなく1番線に、各駅停車、新宿行きが10両編成で到着します。ドアから離れて、お待ちください〕
私がホームに下りると、ちょうど接近放送が鳴るタイミングであった。
今からおよそ2時間半前、リサはここから電車に乗ったというわけだ。
眩いヘッドライトを灯して、やってきたのは東京都交通局の電車。
乗り入れて来る京王電車と違い、こちらは緑色がモチーフである。
〔1番線の電車は、各駅停車、新宿行きです。きくかわ~、菊川~〕
私は電車に乗り込むと、空いている硬い座席に腰かけた。
すぐに短い発車メロディが鳴り響く。
〔1番線、ドアが閉まります〕
特に駆け込み乗車も無かったか、電車とホームのホームのドアはスムーズに閉扉した。
運転室の中から、車掌の発車合図のブザーが聞こえてくる。
ガチャッというハンドルを操作する音も聞こえてくる。
そして、ブレーキのエアーが抜ける音がして、電車が加速を始めた。
〔次は森下、森下。お出口は、右側です。都営大江戸線お乗り換えの方は、ホーム後方の連絡階段をご利用ください〕
〔The next station is Morishita.S11.The doors are right side will open.Please change here for the Toei Oedo line.〕
これが都営大江戸線だったら、広告放送も流れるのだが、都営新宿線では流れない。
ツーマン運転で、車掌が肉声放送しているというのなら分かるが、このように自動放送だというのに、広告は流れないのである。
これが都営大江戸線だと、確か森下駅近辺の桜鍋の店の広告が流れるんじゃなかったかな。
桜鍋か……。
とにかく、食人衝動を抑えさせる為には、別の肉を食わせるしかない。
今日は高橋が腕によりをかけて、御馳走を造るはずだ。
リサには特にデカいステーキを焼いて食わせるように言ってある。
今日のところは、それで凌げるだろう。
リサが成人するまで、暴走させないようにするのが、NPO法人デイライトさんとの長期契約だ。
なるべくリサは人間扱いし、BOWであることを忘れさせるくらいがいい。
もっとも、気を抜くとあいつ、第一形態に戻るからそこが難点なんだけどな。