[10月2日08:24.天候:晴 宮城県仙台市青葉区中央 仙台市地下鉄仙台駅・南北線ホーム→南北線(泉中央行き)電車先頭車内]
〔2番線に、泉中央行き電車が到着します〕
〔The train is approaching at truck number 2.〕
ホームに下りたリサ達は、そこで電車を待った。
リサにとっては地下空間は、閉鎖されたアンブレラの研究所を彷彿とさせるので、あまり心地良い空間ではない。
いくら明るく照らされた地下鉄のホームといったところで、それはほんの気休めに過ぎないのだ。
リサはグレーのパーカーのフードを被り、そのポケットに両手を突っ込んでいた。
そして、強風を巻き起こしながら、警笛を鳴らして電車が入線してきた。
〔仙台、仙台。東西線、JR線、仙台空港アクセス線はお乗り換えです〕
ホームドアと共に、電車のドアが開く。
仙台市地下鉄の中でも、最も乗降客数の多い駅ということもあり、この駅で降りて来る乗客は多かった。
3人は先頭車に乗り込み、京王電車のよりも明るいピンク色の座席に腰かけた。
これはツツジをイメージしているのだという。
斉藤絵恋:「リサさん達、確かにこの電車に乗ったわね」
隣の車両に乗り込み、連結器横の座席に腰かけ、そこから覗くようにして、先頭車のリサ達を監視する絵恋とパール。
パール:「私の見込み通りでした。マサは私から逃げられません」
絵恋:「何だか、あなたの方が怖いわね」
パール:「恐れ入ります」
絵恋:「いや、褒めてないし」
〔2番線から、泉中央行き電車が発車します。ドアが閉まります。ご注意ください〕
ホームに発車サイン音が鳴り響く。
〔ドアが閉まります。ご注意ください〕
ドアチャイムが鳴って、ドアが閉まった。
更新前は気の抜けるようなドアブザー(ホェ~♪)だったが、今は東西線と同じく、ドアチャイム(ピンポン♪×4)に更新されている。
電車はワンマン運転だが、仙台駅のようなターミナル駅では、運転士も座ったままではなく、立って直接乗務員室の窓から顔を出してホーム監視を行っている。
ドアが閉まり切ると、運転席に座って発車のボタンを押すので、多少のブランクがある。
インバータの音を響かせて、電車は暗闇のトンネルの中を走る。
〔次は広瀬通、広瀬通です。一番町、中央通りはこちらです〕
〔The next stop is Hirose-dori station.〕
〔日蓮正宗日浄寺へは、北仙台で。日蓮正宗妙遍寺へは、八乙女でお降りください〕
リサ:「ふむ」
リサは仙台駅の売店で買ったポッキーを口に運んだ。
愛原:「早速おやつか?」
リサ:「お腹空いたし、地下は嫌だし」
愛原:「ま、それで気が紛れるならいいもんだ」
高橋:「先生。レンタカー屋は、駅の近くに?」
愛原:「ああ。歩いて行ける距離だ。まあ、またコンパクトカーになるけど、よろしく頼むな?」
高橋:「先生の御命令でしたら、何でもOKっスよ」
愛原達がそんな会話をしている間、絵恋とパールは……。
絵恋:「ねえ、パール。リサさん達は車に乗るみたいよ?私達はどうするの?」
パール:「御心配には及びません、御嬢様。幸い仙台には、かつての私のチームメイトがおりまして、その者から乗り物を借りる手筈になってございます」
絵恋:「さすがは私のメイド」
パール:「恐れ入ります」
この時、絵恋はすっかり忘れていた。
パールがかつて、高橋と同じ穴のムジナの人生を歩んでいたことを……。
[同日08:40.天候:晴 仙台市泉区泉中央 仙台市地下鉄泉中央駅]
北に向かう電車から、地上が見えるようになるのは、台原駅を過ぎてから。
正確にはまだ地下区間であるのだが、台地の地下を走るということもあり、半地下構造となる。
具体的にはトンネルに窓が設けられており、そこから外部が見えるようになっているということである。
そこから見える景色は、台原森林公園。
旭ヶ丘駅もまた地下にありながら、ホームから外が見えるという不思議な光景が体験できる。
駅名からして分かる通り、いずれも台地や丘地にも関わらず、地下トンネルで建設された為に、このようなことが起きているのだ。
旭ヶ丘駅を出ると、ようやく地上に出たかのように見受けられる。
このような言い回しなのは、黒松駅は半地下構造だからだ。
さすがにホームには窓は無いものの、駅の前後は吹き抜け構造となっており、天気が良いと、そこから日光が差し込むという光景が体験できる。
黒松駅を出ると、本格的に地上区間である。
湿地帯の上を電車が走る場所があり、そこを真美沢堤という(仮に名古屋鉄道が開業させていたなら、駅名は黒松ではなく、真美沢堤となっていただろう)。
その湿地帯を通過すると、再びトンネルに入る。
しかしこれは地下トンネルではなく、山岳トンネルである。
そこを通過すると、八乙女駅に到着する。
かつては、ここが終点駅だった。
そこから電車は、延伸部分を走行する。
地上部分を走行するようになり、電車内に日差しが入るようになって、リサも安心した様子だった。
但し、電車の窓にはブラインドは無い。
日に当たる方が嬉しいリサは、ただの鬼ではないことが分かる。
〔泉中央、泉中央。お忘れ物、落とし物の無いようご注意ください〕
電車は再び地下に入る。
地下と言っても、やはり高台の町にある駅なだけに、本当に地下と言って良いのか分からない。
とにかく、駅の出入口から見れば地下にある。
電車はそのホームに入線した。
〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく泉中央、泉中央、終点です。2番線到着、お出口は右側です」〕
運転士の肉声放送が流れて来る。
電車は無事、泉中央駅に到着した。
〔泉中央、泉中央、終点です〕
愛原:「よし。じゃあ、レンタカー屋に行くか」
高橋:「はい」
リサはポッキーが入っていた空箱を持って電車を降りた。
リサ:「オジさん、このゴミいい?」
清掃員:「ああ、いいよ。ここに入れて」
たまたま駅のゴミ箱のゴミ回収を行っていた清掃員に、空箱を渡すリサ。
愛原:「もう食べ切ったのか?」
リサ:「うん。腹5分目」
愛原:「あれで!?」
リサ:「あと3分目食べたい」
愛原:「いやいやいや……」
高橋:「どんだけ燃費悪いよ……」
しかし、後を追う絵恋は……。
絵恋:「ちょっとそこのあなた!リサさんから物をもらうなんて、いい度胸してるじゃない!」
清掃員:「は???」
パール:「御嬢様、リサ様はお菓子の空き箱を処分しただけですわ」
絵恋:「リサさんの食べ残し、私がもらいたいなぁ……」
清掃員:「さっきのお嬢ちゃんのゴミかい?きれいに中身は空だったよ?」
パール:「でしょうね。御嬢様、リサ様が食べ残しをされるはずがございませんわ」
絵恋:「うぅ……」
パール:「それより早く参りましょう。リサ様達を見失ってしまいますわ」
絵恋:「わ、分かったわよ……」
2人の追跡者も移動を開始した。
〔2番線に、泉中央行き電車が到着します〕
〔The train is approaching at truck number 2.〕
ホームに下りたリサ達は、そこで電車を待った。
リサにとっては地下空間は、閉鎖されたアンブレラの研究所を彷彿とさせるので、あまり心地良い空間ではない。
いくら明るく照らされた地下鉄のホームといったところで、それはほんの気休めに過ぎないのだ。
リサはグレーのパーカーのフードを被り、そのポケットに両手を突っ込んでいた。
そして、強風を巻き起こしながら、警笛を鳴らして電車が入線してきた。
〔仙台、仙台。東西線、JR線、仙台空港アクセス線はお乗り換えです〕
ホームドアと共に、電車のドアが開く。
仙台市地下鉄の中でも、最も乗降客数の多い駅ということもあり、この駅で降りて来る乗客は多かった。
3人は先頭車に乗り込み、京王電車のよりも明るいピンク色の座席に腰かけた。
これはツツジをイメージしているのだという。
斉藤絵恋:「リサさん達、確かにこの電車に乗ったわね」
隣の車両に乗り込み、連結器横の座席に腰かけ、そこから覗くようにして、先頭車のリサ達を監視する絵恋とパール。
パール:「私の見込み通りでした。マサは私から逃げられません」
絵恋:「何だか、あなたの方が怖いわね」
パール:「恐れ入ります」
絵恋:「いや、褒めてないし」
〔2番線から、泉中央行き電車が発車します。ドアが閉まります。ご注意ください〕
ホームに発車サイン音が鳴り響く。
〔ドアが閉まります。ご注意ください〕
ドアチャイムが鳴って、ドアが閉まった。
更新前は気の抜けるようなドアブザー(ホェ~♪)だったが、今は東西線と同じく、ドアチャイム(ピンポン♪×4)に更新されている。
電車はワンマン運転だが、仙台駅のようなターミナル駅では、運転士も座ったままではなく、立って直接乗務員室の窓から顔を出してホーム監視を行っている。
ドアが閉まり切ると、運転席に座って発車のボタンを押すので、多少のブランクがある。
インバータの音を響かせて、電車は暗闇のトンネルの中を走る。
〔次は広瀬通、広瀬通です。一番町、中央通りはこちらです〕
〔The next stop is Hirose-dori station.〕
〔日蓮正宗日浄寺へは、北仙台で。日蓮正宗妙遍寺へは、八乙女でお降りください〕
リサ:「ふむ」
リサは仙台駅の売店で買ったポッキーを口に運んだ。
愛原:「早速おやつか?」
リサ:「お腹空いたし、地下は嫌だし」
愛原:「ま、それで気が紛れるならいいもんだ」
高橋:「先生。レンタカー屋は、駅の近くに?」
愛原:「ああ。歩いて行ける距離だ。まあ、またコンパクトカーになるけど、よろしく頼むな?」
高橋:「先生の御命令でしたら、何でもOKっスよ」
愛原達がそんな会話をしている間、絵恋とパールは……。
絵恋:「ねえ、パール。リサさん達は車に乗るみたいよ?私達はどうするの?」
パール:「御心配には及びません、御嬢様。幸い仙台には、かつての私のチームメイトがおりまして、その者から乗り物を借りる手筈になってございます」
絵恋:「さすがは私のメイド」
パール:「恐れ入ります」
この時、絵恋はすっかり忘れていた。
パールがかつて、高橋と同じ穴のムジナの人生を歩んでいたことを……。
[同日08:40.天候:晴 仙台市泉区泉中央 仙台市地下鉄泉中央駅]
北に向かう電車から、地上が見えるようになるのは、台原駅を過ぎてから。
正確にはまだ地下区間であるのだが、台地の地下を走るということもあり、半地下構造となる。
具体的にはトンネルに窓が設けられており、そこから外部が見えるようになっているということである。
そこから見える景色は、台原森林公園。
旭ヶ丘駅もまた地下にありながら、ホームから外が見えるという不思議な光景が体験できる。
駅名からして分かる通り、いずれも台地や丘地にも関わらず、地下トンネルで建設された為に、このようなことが起きているのだ。
旭ヶ丘駅を出ると、ようやく地上に出たかのように見受けられる。
このような言い回しなのは、黒松駅は半地下構造だからだ。
さすがにホームには窓は無いものの、駅の前後は吹き抜け構造となっており、天気が良いと、そこから日光が差し込むという光景が体験できる。
黒松駅を出ると、本格的に地上区間である。
湿地帯の上を電車が走る場所があり、そこを真美沢堤という(仮に名古屋鉄道が開業させていたなら、駅名は黒松ではなく、真美沢堤となっていただろう)。
その湿地帯を通過すると、再びトンネルに入る。
しかしこれは地下トンネルではなく、山岳トンネルである。
そこを通過すると、八乙女駅に到着する。
かつては、ここが終点駅だった。
そこから電車は、延伸部分を走行する。
地上部分を走行するようになり、電車内に日差しが入るようになって、リサも安心した様子だった。
但し、電車の窓にはブラインドは無い。
日に当たる方が嬉しいリサは、ただの鬼ではないことが分かる。
〔泉中央、泉中央。お忘れ物、落とし物の無いようご注意ください〕
電車は再び地下に入る。
地下と言っても、やはり高台の町にある駅なだけに、本当に地下と言って良いのか分からない。
とにかく、駅の出入口から見れば地下にある。
電車はそのホームに入線した。
〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく泉中央、泉中央、終点です。2番線到着、お出口は右側です」〕
運転士の肉声放送が流れて来る。
電車は無事、泉中央駅に到着した。
〔泉中央、泉中央、終点です〕
愛原:「よし。じゃあ、レンタカー屋に行くか」
高橋:「はい」
リサはポッキーが入っていた空箱を持って電車を降りた。
リサ:「オジさん、このゴミいい?」
清掃員:「ああ、いいよ。ここに入れて」
たまたま駅のゴミ箱のゴミ回収を行っていた清掃員に、空箱を渡すリサ。
愛原:「もう食べ切ったのか?」
リサ:「うん。腹5分目」
愛原:「あれで!?」
リサ:「あと3分目食べたい」
愛原:「いやいやいや……」
高橋:「どんだけ燃費悪いよ……」
しかし、後を追う絵恋は……。
絵恋:「ちょっとそこのあなた!リサさんから物をもらうなんて、いい度胸してるじゃない!」
清掃員:「は???」
パール:「御嬢様、リサ様はお菓子の空き箱を処分しただけですわ」
絵恋:「リサさんの食べ残し、私がもらいたいなぁ……」
清掃員:「さっきのお嬢ちゃんのゴミかい?きれいに中身は空だったよ?」
パール:「でしょうね。御嬢様、リサ様が食べ残しをされるはずがございませんわ」
絵恋:「うぅ……」
パール:「それより早く参りましょう。リサ様達を見失ってしまいますわ」
絵恋:「わ、分かったわよ……」
2人の追跡者も移動を開始した。