報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“アンドロイドマスター” 「アリス・フォレスト研究所、始動!」

2014-04-05 10:49:42 | 日記
[4月6日 13:00.仙台市青葉区、敷島のマンション 敷島孝夫]

「あれから5日経った。エミリーもアリスに引っ張られて行ったし、俺もそろそろ潮時かな……」
 敷島は自室のPCで、開所式のもようを編集していた。
 テープカットは欧米にもあるが、くす玉割りは無いらしく、アリスは驚喜していた。
 手の空いているボーカロイドによる歌の披露なんかもあったので、これは別の方向から商売になりそうである。
 旧・南里研究所を改築して、建物的には再始動ということになるだろう。
 費用も安上がりだったが、アリス的には残された養祖父の遺産をほぼ全額つぎ込んだ形となった。
 敷島が呟いたのは、このマンションの部屋。
 元々は財団事務所にエミリーを保管する場所が無いという理由で、ユーザーである敷島が財団から2DKの部屋を借りた経緯がある。
 しかし今、エミリーが実質アリス研究所の専属のようなものになったことで(特定の方向から異論あり)、敷島が1人で家賃のかさむ2DKに住み続ける理由は無くなった。
(また、適当なワンルームでも探すか。地下鉄沿線は家賃高いからなぁ……。あえて沿岸部でも狙ってみるか?津波被害の影響で、逆に家賃安いかも……)
 その時、部屋のインターホンが鳴った。
 ここいらに宗教の勧誘が来ることは珍しくない。
 そんな時は知り合いの日蓮正宗法華講員からもらったリーフレットを手渡して、追い返すことにしているのだ。
 もっとも、創価学会員が来た時にはほとんど効果が無かったが(作者の体験談)。
「はいはいっと」
 敷島はドアを開けた。そこにいたのは……。
「コンニチハ、敷島参事」
 赤と青の塗装で樽型の体型をしたマリオが挨拶してきた。
「おう、マリオとルイージじゃないか。どうした?」
「勧誘ニ参リマシタ」
 緑と青の塗装で長身痩躯の体型をしたルイージが答える。
「ロボットが宗教やってどうすんだよ?」
「宗教デハアリマセン」
 と、マリオ。ルイージが続ける。
「実ハ、アリス研究所ノ事務員ニナッテ頂キタイノデス」
「何言ってんだ。俺は財団勤務だぞ?特定の研究所で働くことは、規則で禁止されてるんだ。俺がボカロ・プロデューサー引退したのも、その為だぞ」
「ドクター・アリスノゴ命令デス。一緒ニ来テクダサイ」
「ああっ!?」
 マリオはギラッと両目を光らせた。
 同じくルイージが取り出したのはズダ袋。そして……。

[同日13:30.仙台市青葉区 昭和町交差点 マリオ&ルイージ]

「ワッショイワッショイ!ワッショイワッショイ!」
「ワッショイワッショイ!ワッショイワッショイ!」
 マリオとルイージは前後に分かれて、人1人入れる大きなズダ袋を両手に抱え、県道22号線(仙台泉線、旧国道4号線)を北上していた。
「パパー、あれなにー?」
 1台のファミリー・カーの中から、小さい子供が顔を覗かせた。
「うーん……。あっ、そうだ。きっと、パチンコ屋の宣伝だ。ほら、あそこでもやってる」
 運転席の若い父親が、対向車線を指さした。
 荷台に派手なオブジェを乗せたトラックが、
〔「今日から新台入れ替え!CRケンショーレンジャー、CRガンバレ特盛くん!パチンコあっつぁ!本日オープン!」〕
 と、スピーカーからがなり立てている。
〔「HNピーマンさんが、無事に御受誡を果たしました!」「ワッショイワッショイ!ワッショイワッショイ!」〕
「ふーん……」

[同日14:00.仙台市泉区 市名坂交差点 マリオ&ルイージ]

「ワッショイワッショイ!ワッショイワッショイ!」
「ワッショイワッショイ!ワッショイワッショイ!」

Hogehoge
拡散なうRT@example拡散wRT@@Raymond Queneau 市名坂交差点で、某スーパーマリオに出てくるメインキャラ2人そっくりなロボットが袋抱えてるw
5秒前 webから
example
拡散wRT@Raymond Queneau スーパーマリオそっくりなロボットを発見!緑色のは何だっけ?
10分前 webから
Raymond Queneau
スーパーマリオそっくりなロボットを発見!緑色のは何だっけ?
30分前 虚構新聞から

 ※運転中のツイートは大変危険ですので、良いドライバーさんは絶対にマネしないでください。

[同日14:30.仙台市泉区のぞみヶ丘 アリス研究所]

 ※尚、のぞみヶ丘という地名はありません。ここだけは、あくまで架空のニュータウンです。

「到着!」
「ミッション終了!」
 研究所の正面玄関に着いたマリオとルイージは、ズダ袋を置いた。
 中からアリスとエミリーが出てくる。
「ぷはぁ……」
 中からは、すっかり蒸し上がった様子の敷島が出て来た。
「お前達……」
 エミリーはマリオとルイージを呼び止めた。
「ハッ、何デアリマショウ?」
「丁重に・お連れしろと・言わなかったか?」
「ハッ……」
「これは・丁重に・とは・言えない」

「エミリー、相変わらず派手ね」
「恐れ入ります」
 地面に仲良く頭から突き刺さっているマリオとルイージを横目に、アリスは部屋で紅茶を飲んでいた。
「ったく!強引だな!」
 敷島は憤然と抗議した。
「こうでもしないと、アンタ来ないでしょ?」
「当たり前だろが!俺だって財団の仕事があるって分かってんだろ!」
「簡単な話よ」
「何が?」
「アンタが財団やめて、うちの研究所に来ればいいのよ」
「アホか!」

[同日15:00.同場所 敷島&アリス]

「まあまあ、おやつにしましょう。シキシマはコーヒー派だったわね」
「ああ。……一服盛ってんじゃないだろうな?」
「冗談言わないで」
 するとエントランスの方から、ピアノの音色が聞こえて来た。
 それだけならエミリーが弾いているのだとすぐ分かる。
 ところがそれにプラス、トランペットとギターの音が聴こえて来たのだ。
「誰が弾いて(吹いて)るんだ?」
「この研究所、アタシとアンタと他に誰がいる?」
「エミリーと……マリオとルイージ?」
「はい、正解。自分の目と耳で確認して」
 敷島は応接室を飛び出した。
 そしてエントランスに行くと、
「ああっ!?」
 エミリーのピアノに合わせて、マリオがトランペット、ルイージがギターを弾いていた。
「マジかよ!?」
「トランペットは吹奏楽器。つまり、奏者の息遣いも必要になる。そして、ギターは指先の動きが重要でしょう?」
「ほほ〜……」
「アタシは、エミリーに続く新たなマルチタイプの開発を計画してるのよ」
「なるほど。それは立派なことだが……」
「でしょ?そう言えば、プロフェッサー十条の所のキールもヴァイオリンを弾かせるって話だったわね」
「なにっ!?」
「だからシキシマ、アンタもアタシの研究を……」
「お前達、ちょっと話がある。今からバンドを組んで成功させれば……」
「……手伝ってって、全然聞いちゃいねぇ……」
「ちょっとだけプロデューサーに戻りたくなったよ」
「違う、シキシマ。プロデューサーはプロデューサーでも、アタシの研究のプロデューサーに……」
「こうしちゃいられん!明日の会議は、こいつらを取り上げてみよう!」
 これは研究者にとってもありがたいことなのだが、アリスに取っては、
「シキシマが研究のパートナーに……」
 の方が重要のようだった。
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1 コメント

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つぶやき (作者)
2014-04-05 15:55:36
小保方さんの誤魔化し、改竄、捏造について、アリスの意見を聞いてみたい。
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