報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

小説の途中?ですが、ここで冨士参詣深夜便をお送りします。

2014-04-29 02:24:16 | 日記
家計も仕事も絶体絶命 実は不幸な“年収1000万円”(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース

 ふーむ……。そういうことか。
 いや、実は私の勤務配属先は、とある巨大企業のビルであり、そこで働く正社員の皆様方は冒頭の記事のような感じだと思うと合点が行く。
 誰もが羨む巨大企業の正社員だなんて、順風満帆な人生だと思うじゃない。
 私も館内を巡回しながら、はたまた受付業務をしながら社員の方を見てそう思っていた。
 しかし何故だろう?仏法的にあまり幸せそうに見えないのは……。
 うちの法華講支部でも、あまり有名企業勤務という人を意外と見ない。
 これもまた私の中で、仏法の不思議だった。
 多分、冒頭の記事……だけではないと思うが、ああいった悩みも尽きないからなのだと思う。
 また、私のように、
「年収1000万っすか!?いいっすね!」
 という者もいるということで、それなりの振舞いをしなければならないと。

 そういった意味では、年収がおよそ3分の1程度で社会の底辺業たる私はまだ気が楽だ。
「どうせ、そうだから」
 と開き直ることができるし、周囲の人達も、
「あ、何だ。その程度」
 というような感じなので、あまり多くを求められることもない。
 収入が低い故に、実は結構、行政による救済制度が受けられることもある。
 但し、ナマポ……もとい、生活保護もそうだが、行政の方から教えてくれることはないので、自分から勉強しないとダメだ。ぶっちゃけ、御書の勉強よりよっぽどタメになる。
 一例を挙げれば、私は安倍総理と同じ持病を抱えて通院しているが、ある制度により、薬代は完全無料である。また、診療代も上限が決まっていて、それを超えれば、あとは無料になる。上限は収入によりけるので、それすら完全無料の人もいるし、年収が高い故にそもそも申請自体が却下される人もいるという。
 まあ、つまりそれって、私は自治体が認めた低収入者かつ病弱者ということでもあるのだが。
 でもまあ、おかげさまで他にも色々と恩恵を受けられているし、偏に高収入の方々の税収入によることが大きいと考えれば、頭が下がる思いである。
 勝ち組の部類の人達は、多くの負け組の踏み台の上に成り立っていることを忘れないで頂きたい。
 それに対する還元の1つが、重税なのだろう。
 宗内でも色々な格差が出ていたりする。
 私は身の丈に合った生活ができているので、人から多くを求められない分、私も多くを求めるつもりはない。
 勤行の時でも、御経本に書いてある内容しか祈念しない(個人的な祈念はしない)。

 向上心が無いと言えばそれまでだが、こういう適当に肩肘張らない生き方もいいもんだよ。

 オススメはしないけどねw
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“ユタと愉快な仲間たち” 「人の形弄びし美女」 

2014-04-27 20:48:18 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[4月26日 16:25.JR大宮駅埼京線E233系10号車内 稲生ユウタ、栗原江蓮、蓬莱山鬼之助]

〔この電車は埼京線、各駅停車、新宿行きです〕
〔This is the Saikyo line train for Shinjyuku.〕

「はー……もう少しでマリアさんに会えるのに……」
 ユタは寝落ちして寝過ごしたことを悔やんでいた。
「あれ?稲生さん?」
「おう、ユタじゃねぇか。何してんだ?」
 そこへ栗原江蓮とキノがやってきた。
「あっ、2人とも……。家に帰る途中……」
「大宮に1人で?」
「う、うん……」
「珍しいこともあるもんだ。おかげで今、外は今にも雨が降りそうだぜ」
「マジ?」
「さっき、何かorzみたいになってたけど、どうしたの?」
 江蓮がニッと笑って聞いて来た。
「い、言えない……。寝落ちして寝過ごしたなんて……」
「いつもイブキに起こしてもらってるからだろうが」
「そ、そうだね……。もうすぐマリアさんに会えるのに、しっかりしなくちゃ!」
「マリア?ああ、あのおもしろ魔道師コンビの弟子の方か」
 キノは笑いを堪えた。
「威吹達が応対してるはずなんだけど、失礼なことが無いかどうか心配だ……」
「ヘタすりゃ中央区が焼け野原になる勢いだもんな」
「しかし、オメーも趣味悪いな」
「え?」
 ユタはキノの言葉にムッとなった。
「ま、人の趣味に口出すなって姉貴に言われてるから、それ以上言わねぇが……」
(何をどう言ったら、そんなことを注意されるのだろう???)
 2人の人間は心の中でそう思った。
「ユタのような草食系には合わないと思うぜ。幸せになるんだろ?日蓮正宗の御信徒さんよ?」
「キノ。それ以上は言わない方がいいよ」
 江蓮が言った。
「おう、そうだな」
 驚くほど素直に頷いたキノだった。

 発車時間になり、電車が走り出す。
 副線に停車していた為、本線に出るポイントの移動で電車が大きく揺れた。
 地下線の闇、窓ガラスに映る鬼族の瞳は赤色で……赤色?
「キノ、キミの瞳は赤色だったっけ?」
「ああ、これか」
 キノは参ったと言った顔をした。
「満月が近くなるとよ、妖怪ってな、皆こうなるんだよ」
「どういうこと???」
「昔は妖力が暴走して、我を忘れるほど狂暴化してな、気がつきゃ人間共の死体の山よ」
「ええっ!?」
「今はいい薬も妖術もある。せいぜい、こうして目の色が変わるくらいだ。安心しな」
「いざとなりゃ、私がA級の霊力を駆使して押さえ込むから」
「大丈夫かい?」
「最悪、盟約書は焼却処分にする」
「……も、もう少し抑制剤飲んどくかな……」
 江蓮がキッパリ言い放つと、キノはポケットから錠剤を更に2〜3錠飲み込んだ。

[同日16:30.JR北与野駅バスプール側出口 稲生ユウタ]

 何でも栗原江蓮とキノは思うところがあり、今から正証寺に行くらしい。
 何だか深そうだったので、ユタは敢えて聞かないでおいた。

(※別作者の作品、江蓮側の視点で動く物語ではユタと別れた後、強い雨が降る中、寺院には行っていない。妖力の暴走を完全に抑え切れなかったキノは、最低限の理性を保ちつつも、ほとんど半強制的に江蓮をラブホテルに連れ込み、レイプまがいの方法で処女強奪をしている。当作品も本来ならその流れを踏襲する必要があるが……)

「雨か。傘持って来るんだったなぁ……」
 ユタは雨空を恨めしそうな顔で見上げた。
 こういう時、威吹が気を使って傘を持って迎えに来てくれるのがセオリーだが、そんな気配は無い。
 その代わり、
「遅かった……ね。迎えに来た……よ」
「あ、えーと……」
 普通の20代前半の女性の恰好をしていたから、ユタは一瞬、『誰?このお姉さんは?』と思ったが、
「マリアさんでしたか。わざわざ来てくれたんですか?」
「ええ……」
「ありがとうございます!」
 ユタはマリアからビニール傘を受け取った。
「マリアさん、お1人ですか?」
 ユタは傘を差して歩き出した。
「威吹が迎えに行くつもりだったが、私が行くことにした」
「よく威吹が納得しましたね?」
 ユタは意外そうな顔をした。
「そこは……まあ、その……平和的な話し合いで決めたと言うか……」
「はあ?」
 マリアはコホンと咳払いをした。
「ジャンケンで決めました?」
「いや、違う。……平和的な話し合いだ」
(何か、妙な胸騒ぎがするなぁ……)
 ユタは首を傾げた。
「そういえば、さっき鬼族のキノと会ったんです。満月が近くなると、妖力が暴走しそうで大変だと言ってました」
「ああ、なるほど。妖狐もまた人を食いたくなるわけか」
「その度に、僕の血をちょっとだけあげてるんですけど……」
「いい判断だ……ね」
 マリアは頷いた。
「魔道師なら、そんな面倒なことは無い……よ?」
「いいですねぇ……。あっ、そうだ。珍しいですね。ていうか、初めて見た気がします。マリアさんの普通の私服」
「! そ、そう……?師匠の見立てな……んだけど……」
「いいですよ!」
「……ありがとう」
「でもこの雨で、せっかく傘を差してても濡れてしまいますね?」
「本当は雨を避ける魔術があって、当然傘も要らないのだが、街中では目立ってしまうからな」
「へえ……。便利ですね」
 因みにマリアは眼鏡を掛けている。
 目が悪いわけでないようなので、度の無いダテ眼鏡であるようだ。
 魔道書を見るために掛けることが多いが、ファッションでも掛けるようだ。

[同日16:50.さいたま市中央区 ユタの家 ユタ、マリア、威吹、カンジ]

「ただいまぁ……」
「お帰り。魔道師に何もされなかったか?」
「いや、別に」
「何もしていない」
「ごめんよ。本当はボクが迎えに行きたかったんだけど……」
「どういう平和的な話し合いをしたのかは、あえて聞かないでおくよ」
 ユタは肩を竦めた。恐らく、ユタにとってはロクでも無い内容だろう。
 台所で夕食を作っているカンジは、
(さすがは稲生さんだ。このままどこか遊びに行くという手もあっただろうに、真っ直ぐ帰って来るとは……)
 と思った。
(草食系の成せる事か。まあ、そこが稲生さんのいい所だ。恐らく威吹先生は、稲生さんのその真面目な所も見込んで……)
「ユタ、魔道師とこのまま遊びに行くのかと思ったよ」
「やだなぁ、さすがにそこまではしないよ〜」
「雨だからしょうがないな。ユウタ君、ちょっと着替えてくる」
「ああ、どうぞどうぞ」
 マリアは濡れた服を着替えに、家の奥へ向かった。
「別に遊びに行っても良かったのに」
(んんっ!?)
 威吹の意外な言葉にカンジ、思わず包丁で指を切るところだった。
「またまたぁ……。本当に僕がそんなことしたら、僕の意思であるにも関わらず、マリアさんが僕を拉致したことにして、全面対決するつもりだったんでしょう?」
「はははっ、ユタにはかなわないなぁ……」
「キミと何年付き合ってると思ってるんだ。その手には乗らないよ」
「ごめんごめん」
「とにかく、僕はマリアさんとは好きで付き合いたいと思ってるんだ。揉め事無しで応援してくれよ」
「分かった分かった。だけど、もしやっぱりあの魔道師が危険と判断した時には、それなりの警戒行動を取らせてもらうよ?」
「大丈夫だと思うけどなぁ……」
(恋は盲目って本当だな。やっぱりユタは分かっていない。……いや、それは昔のオレも同じか)
 威吹は封印前、かつてベタ惚れしていた巫女の顔を思い出した。

 外の雨足は強くなっていた。

 今夜一晩中は降り続けるという。

 ダイニングルームに、香ばしい匂いが立ち込め始めた。

 今日の夕食はカレーであるようだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 そういやここ最近、カレー食ってないなぁ……。
 芙蓉茶寮で食って来るかぁ……( `ー´)ノ
 何か大石寺の“なかみせ”、平日は豚汁定食くらいしか出てないし……。美味いんだけど……orz
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“ユタと愉快な仲間たち” 「大崎から大宮へ」

2014-04-26 20:30:14 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[4月26日15:00. 東京都23区内某所 ユタの通う大学 稲生ユウタ]

「……おーい、イノっち。大丈夫?講義終わったぞ?」
 教室の長机に突っ伏すユタ。
 隣に座る友人の男(もちろん人間)が、ユタの肩を揺さぶった。
「……マリアさんに会いたい……」
「ああ、この前、大学に連れてきてた外国人の……。確かにお人形さんみたいにカワイかったけど……そんなに?年上なんでしょ?小柄なせいか見た目、年下に見えるけど」
「カワイイっていうか……目が離れない……」
「? 離せない、じゃなくって?」
「うん……」
「まー、今年はレポートに集中しろよ?昨年度はそれで進級ヤバかったんだからさ。じゃあ俺、学生会の打ち合わせあるから」
「ああ……」
 ユタは徐にポケットからスマホを出した。
(カンジ君からメール……)
 ユタはメールを開いてみた。
「!!!」
 ガバッと飛び起きるユタ。
「! びっくりした!どうした?」
「マリアさんが家に来てる……!」
「へー、そう?じゃあ、早いとこ帰ってやんないと……」
「もち!」
 ユタは急いで帰る準備をすると、一目散に教室を飛び出した。
「大丈夫かな、あいつ……」

[同日15:21.JR大崎駅8番線ホーム 稲生ユウタ]

〔おおさき〜、大崎〜。ご乗車、ありがとうございます。次は、恵比寿に止まります〕

 ユタはちょうど来た埼京線電車に飛び乗った。

〔「15時23分発、埼京線各駅停車、大宮行きです。途中の武蔵浦和で、後から参ります快速、川越行きの待ち合わせがございます。発車までご乗車になり、お待ちください」〕

 ユタは電車に乗り込むと、すぐに返信した。

『急いで帰ります。マリアさんには、もう少し待ってて頂いてください』
 と。

[同日同時刻 さいたま市中央区 ユタの家 マリア、稲生、カンジ]

「稲生さんが今、帰りの電車に乗られたそうです」
「では、あと1時間少しか」
 マリアはズズズと出された緑茶を啜った。
「どうした、魔道師?オレの最後の質問には答えられぬのか?」
 威吹はマリアを睨むような顔で見た。
「もう既に回答済みだが?」
 マリアは全く動じなかった。
「ふざけるな。回答になってない」
「そうか?じゃあこの質問、ユウタ君の前でもう1度してみるのだな」
「こ、このっ……!」
「妖狐、威吹。私に危害を加えたと分かったら、ユウタ君がどういう反応をするか、分かってるよな?」
「その目……絶対に『人を殺したことのある目』だ!」
「もう1度答えよう。私は魔道師だ。私の屋敷に迷い込んできた人間の一部を、魔術の実験台にしたことはある。『入館した時の状態で屋敷から出られなかった』わけだから、あなたの質問にノーと答えると嘘になる。これが回答だ」
「オレが聞きたいのはそういうことではない!お前、魔道師になる前、人を殺したことがあるかと聞いているのだ!」
「魔道師になるに辺り、過去の全ては捨て去り、そして未来の全てを手に入れる。これが回答だ」
「だから回答になっていないと何度も……!」
「先生。稲生さんからメールです。『マリアさんには、くれぐれも失礼なことの無いように。もし失礼な態度があると分かったら、盟約を切る』と……」
「くっ……!」
 マリアは何食わぬ顔で緑茶を啜った。
「……私は別にユウタ君に告げ口する気は無い。この回答で満足してくれるのならな」
「この女狐め……!」
「先生。お茶のお代わりを入れてきます」
 カンジは空になった威吹の茶碗をお盆に載せた。
「ユタの添書登山の土産も持ってきてくれ!」
「……ヨーカンか」
「何で知ってるんだ!」
「別に。ユウタ君が前に教えてくれただけだ」
 苛立ちを隠せない威吹に対し、マリアは落ち着きを払っているように見える。
 が、
(さすがは諜報能力に長けていると言われる妖狐族だ。鬼族は誤魔化せても、私の目を疑ってくるとは……)
 内心、冷や汗をかいていた。
「……とにかく、何の目的があるかは知らんが、ユタを魔術の実験とか、そういうことで誑かしたと分かったら、オレも容赦しない」
「それは最初の辺りの質問にも無かったか?最初に私に声を掛けて来たのは、ユウタ君の方だ。無論、私は魔術も小細工も何も一切していない。たまたまユウタ君の女性の好みのタイプが、私と似ていただけのこと。悪意を持って、私の方から近づいたわけではない。そして、目的意識なども無い」
「何か知らんが、お前と一緒にいるとユタが不幸になりそうな気がするんだ」
「それは妖狐族として、穿った目で見るからだろう?同じ人間から見れば、ユウタ君もお前達と関わるから不幸になりそうな気がすると思われてもしょうがない」
「な、何だと……!?」
「特に日蓮正宗という宗派から見れば、お前達は稲荷大明神の手先で謗法だ。そういった所からすれば、まだ地獄界の使者である鬼族の方がマシな気もするけどな」
「オレ達は別に、稲荷大明神の手先ってわけではないぞ?人間が勝手にそう思ってるだけで……」
「しかし一部のタチの悪い妖狐は、その威光を悪用して非道な振る舞いをしていたと聞いたが?」
 正にそれは江戸時代、封印前の威吹も当てはまった。
「それとこれとは話が違う!」
「そうか?まだ少なくともキリスト教とも相容れない、無宗教の私の方が仏法的には不幸にはなりにくいと思うがな」
 女魔道師と魔女は違うとマリアや師匠のイリーナは主張しているのだが、クリスチャンから見れば同じなようで、未だに魔女裁判を実践する一部のキリスト教系カルト教団から追い回されたことがあるという。
 カンジは新しいお茶とヨーカンを持ってきて言った。
「あんたは何もしないだろうが、あんたの師匠が気まぐれで稲生さんをどうこうしないか心配だ」
「それなら心配無い。師匠は私のプライベートにまでは介入してこない。あくまでユウタ君とは魔道師としてではない、プライベートの付き合いとしている。もし違うなら、とっくに師匠が何かしてきているはずだ」
「……だ、そうですが?先生」
「……ユタの意思を尊重するしかないのだろうが……。改めて、ユタと話をしてみることにしよう」
 威吹は新たに入れてもらった茶を啜った。
「そうだ。ついでにもう1つ質問させてもらいたい」
「何だ?」
「ユタはお前に惚れている。それは間違いない。お前はどうなんだ?ユタの気持ちを受け止めるのか?」
「ああ、なるほど。私のこの行動で、判断してくれるものと思ったが……」
「そうですよ、先生。もし嫌いだったら……」
「黙ってろ、カンジ」
「す、すいません!」
「私は……」

[同日16:21.JR大宮駅埼京線ホーム 稲生ユウタ]

〔おおみや、大宮。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いよう、ご注意ください〕
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。22番線に停車中の電車は、16時27分発、各駅停車、新宿行きです。発車まで、しばらくお待ちください〕

「クカー……。えへへ……マリアさん……ムニャムニャ……」
 ↑安心してすっかり寝落ちしているユタ。
「おう、兄ちゃん。終点だぜ。……ヒック」
 ワンカップ片手に酒臭く汚いオッサンがユタに声を掛けた。
「……はうっ!?ここは誰っ!?私はどこっ!?」
「『鉄道の町』大宮だよ。まあ、俺にとっては『競輪の町』か……ヘヘ……」
「えーりん!?八意永琳!?幻想郷!?」
「は?おい、兄ちゃん、アタマ大丈夫か?」

 この後、正気に戻ったユタは、このまま折り返し各駅停車に乗って北与野駅まで戻ったという……。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“ユタと愉快な仲間たち” 「街頭折伏?」

2014-04-26 19:31:32 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
59年ぶり!JRA単勝最高配当を更新(サンケイスポーツ) - goo ニュース

[4月26日 東京都中央区銀座2丁目 JRA銀座ウインズ 藤谷春人&佐藤公一]

「車が通ります!ご注意ください!」
 藤谷は警備員達の車の誘導を横目に、館内に入った。
 片手には日蓮正宗の機関紙、“大白法”……は表向きのカバーで、中は競馬新聞だ!
「今度の福島、8レースは……と。ん?」
「おっ?」
 また鉢合わせになる。
「謗法の法華講、略してホーホーケキョーの藤谷!」
「全然略称じゃねぇだろ!ケンショーブルーのサトー!」
 2人で睨み合うが、
「ああっ?今度の支部登山いつだよ、ああっ?!」
「教えられっか、ボケ!そっちこそ、今度の男子部大会はいつだ?」
「ああっ!?日顕宗なんかに教えられねーよ!」
「……お前、日顕宗って学会用語だぞ?」
「ああっ?いちいちそんなの知らねーよ!」
「9月7日辺りだっけ?」
「何で知ってんだっ、ああっ!?」
「お前んとこのグリーンにJKのスク水やらブルマーやらあげたら、浅井センセーの入退場ルートまで教えてくれたぜ?」
「あのヘンタイ野郎……!」
「で、今度の8レース何買うよ?また穴狙うのか?」
「今度はカタく行くぜ!浅井先生の大信力を信じるぜ!ああっ!?7番のトーイツキョーカイの単勝で3万だぜ、ああっ!?」
「お前、バカだろ。確かにカタいけど。じゃあ、お前がド本命行くってんなら、俺は逆に穴狙ってみるかな」
 そこで藤谷、何かを思いつく。
「よし。じゃあ、こうしよう。俺も今度は1点単勝買いにしてやる。俺が当たったら、お前、ケンショー辞めて御受誡しろよ?その代わり、お前が勝ったら顕正会に入会してやるよ」
「ああっ!?上等だぜっ!これで誓願あと10名だぜ、ああっ!?」
「……俺が入信しても、まだ10名も残ってんのかよ。てか、だったらこんなところでケイバやってる場合じゃねぇだろ……」
 ブルー、何やらケータイを出す。
「……ああっ!?折伏流れただとっ!?テメーはよ、センセーのお心が分かってのんか、ああっ!?テメー、ぜってー今日中に5名決めろよ、ああっ!?じゃ、しっかり頼んます!」
「1人で今日中に5名もやらす莫迦がどこにいるんだよ……」
 ブルー、さすがに幹部らしく、電話連絡だけは忙しい。
「ああっ!?今度は法華講の女子高生にコテンパンにされただぁ!?バカ野郎が!テメーはチ○コ付いてんのかっ、ああっ!?だったらよー、無理やり張っ倒してよー、マ○コでもア○ルでもブチ込んでやってよ〜……」
「言ってることがもはや折伏じゃねぇし……。ま、とにかく大穴は……11番のパーフェクトリバティーか。じゃあ、これに1万でもブッ込んでみるか」
 藤谷はブルーの言動に呆れつつも、単勝で馬券を購入した。

 そして……。

〔「さあ、各馬一斉にスタートしました!【中略】おおっと!本命のトーイツキョーカイ、失速したぞ!何があった!?」〕

「げっ!?」
 サトーの眼鏡がズレる。

〔「……後方から物凄い勢いで追い上げてくるは人気が1番低かったパーフェクトリバティー!11番パーフェクトリバティーが一気に追い上げてきた!これは速い!パーフェクトリバティー、一気に他の馬をごぼう抜き!今1着でゴールイン!!」〕

「マジで!?大聖人様、ありがとうございます!」
 大穴が出たということで、場内は歓声と怒声が入り混じっていた。
「へへっ!どうだ、顕正会!?これでどっちが守られてるか分かっただろ!分かったら、約束通り男らしく……おい、またかよ……」
「…………」
 ↑またまた全額スッて泡吹いてるサトー。
「後でお前の塔婆くらい、立ててやんよ」
 藤谷は入信願書を取り出すと、気絶しているサトーの服のポケットに入れた。
「お前さんの名前と住所、それまで所属していた顕正会の組織名と役職名も書いておいた。あとは、お前さんが自分でハンコを押すだけだ。決定(けつじょう)したら、いつでもうちに来な。タクシー代と御供養くらい出してやるよ」
 藤谷は言うと、男らしく颯爽と払戻コーナーへ向かった。

[同日17:00.東京都23区内某所 日蓮正宗 正証寺 藤谷春人]

「夕勤行には間に合ったな」
 藤谷は時計を見て、笑みがこぼれた。
「こんにちは。夕勤行に参加させて頂きます」
「ご苦労様です」
 藤谷は受付に座ってる所化僧に言った。続けて言う。
「先ほど街頭折伏で顕正会の幹部を折伏しましてね、法論で勝利したおかげか、大功徳があったんですよ」
「それは良かったですね」
「というわけで、御供養です」
 藤谷、大穴で大儲けした金の一部を御供養袋パンパンにして提出した。
「す、凄いですね……」
「よろしくお願いします」
 藤谷、恭しく礼をすると意気揚々と本堂の中に入っていた。

[同日同時刻 銀座ウインズ 佐藤公一]

「ちょっと、お客さん。またですか。いい加減にしてくださいよ」
 倒れているサトーに迷惑そうな顔をして揺さぶる緑服の整理員。
「……………」
 まだ泡吹いたまま意識不明のサトーだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 あくまで当作品はフィクションです。
 賭け事で入信を決めるなんて、そんなバカなことはありません。
 あくまでも、ただの小説のネタであります。
 どうか、本気にして作者の所属寺院に怒鳴り込みに来ないように……。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“ユタと愉快な仲間たち” 「若き魔道師の謎」

2014-04-26 00:07:26 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[4月26日13:00.さいたま市大宮区 江蓮の家 栗原江蓮&蓬莱山鬼之助]

「何であんたここ最近、家に来るたんびに生傷作ってるワケ?」
 江蓮は救急箱を持って来て、キノの背中に絆創膏を貼ってやっていた。
「はー……。この果てしないアルマゲドンは、一体いつまで続くんだろう……?]
 上半身裸のキノは、江蓮に傷の手当てをしてもらいながらため息を吐いた。
「てかよ、姉貴に苦情申し立て書送りやがって……!」
 チラッと後ろを見て、恨み節を投げる。
「あんたが悪いんでしょ!てか、あんたが心から反省しない限り、ずっと終わらないから。お姉さんのアルマゲドン」
 江蓮は全く動じず、逆にキノを見据えた。
「うるせーよ。ところで、今日学校休みなんだろ?宿題終わったんだろ?気晴らしに、どっか遊びに行こうぜ?」
「分かったから、早く服着なって」

[同日14:00. さいたま市中央区 ユタの家 マリア、威吹、カンジ]

「何しに来た?」
「何もそんなに驚くこともあるまい。ユウタ君に会いに来ただけだ。週末は大学の講義に出席しないと聞いたものでな」
 マリアは魔道師のローブを羽織り、魔道師の杖を右手に持っていた。
 これでどうやら、長野から瞬間移動の魔法を使って来たらしい。
 応対したカンジは険しい顔をしていた。いかにも、立ち去れと言わんばかりの顔だ。
「あいにくと稲生さんはお留守だ。しばらく帰って来られない」
「正証寺に参詣か?それとも大石寺?」
「さァ……?稲生さんはオレ達の理解の範疇を超え、どこか遠くに行かれておられる。それは最早、オレ達でもトレースできぬ……」
「オレの“獲物”を勝手に行方不明にするなよ」
 奥から威吹が呆れた顔をしてやってきた。
「あっ、先生!申し訳ありません!この魔道師があまりにも食い下がってくるものですから……」
「何がだ。私はユウタさんの行き先を聞いただけだが?」
 マリアは侮蔑の籠った視線をカンジに向けた。
「まあまあ。ユタは大学に行ってるよ」
 威吹は正直に答えた。
「大学?今年度から、週末に講義は入れないと言っていたが……?」
「何か急遽、単位落とせない講義が入ってたのに午前中気づいて、慌てて出て行ったよ」
「そう、か……」
 無表情のマリアだったが、威吹から正直な話を聞いて、少し残念そうな顔をした。
「会えなくて残念だ……」
「分かったら、出直せ」
 カンジが突っぱねるように言った。
 が、
「カンジ。ユタが今日、臨時に出る講義ってのは1時間だけか?」
 威吹が直弟子に問うた。
「確か、1コマだけだと仰ってました。あいにくと稲生さんの大学の講義は、1コマ何分だったかは失念してしまいましたが……。たった1コマの為だけに行くのはバカらしい。だけど、出ないと留年の恐れがあると……」
「分かった。もういい。ということは、そんなに遅くなることはないということだな?」
「まあ、そういうことになりますね」
「よし。カンジ、ユタのケータイに“めーる”を送れ。魔道師マリアが待ちかねている、と……」
「先生?」
「そういうことだから、中で待つか?茶ぐらい出すぞ?」
 威吹の意外な言葉に、マリアとカンジは目を丸くした。
「いいのか?」
「お前にはいくつか聞きたいことがある。ユタが帰ってくる前に、全部答えてくれ」
「答えられないものもあるが、なるべく答えよう」
 マリアは頷いて、家の中に入った。
「カンジ、ユタに連絡を取ったら、茶を入れてくれ」
「……分かりました」
 
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする