[1月4日13:23.天候:晴 東京都江東区豊洲 東京メトロ豊洲駅]
敷島は警視庁で行われるロボットテロ対策会議に出席する為、シンディと会社を出た。
シンディ:「タクシーかハイヤーで向かうという手がありますよ?」
敷島:「いいよいいよ。地下鉄ならお前みたいなヤツが狙撃してくることも無いだろうし、日本の地下鉄なら安全だ」
シンディ:「確かに、私みたいなヤツは地下で狙撃はしませんけどねぇ……」
但し、前期型の時は走行中の東西線電車に体当たりした経験を持つ。
南里志郎存命中の時だ。
地下鉄のトンネル内にある倉庫に南里を捕まえて監禁したものの、逃げられた。
任務に失敗した怒りでほぼ八つ当たり的に、たまたまやってきた東西線電車に体当たりを食らわせて大破させたのだった。
シンディ:「体当たりはしますよ」
敷島:「滅多に無いって」
〔まもなく4番線に、和光市行きが10両編成で到着します。乗車位置で、お待ちください。ホームドアから手や顔を出したり、もたれ掛かったりするのは危険ですからおやめください〕
ホームに接近放送が鳴り響く。
風を巻き起こしながら、東京メトロの自社車両10000系が入線してきた。
開業当時から運転されている旧型ではなく、新型の方である。
HIDの白いライトが眩しい。
〔豊洲、豊洲です。4番線の電車は各駅停車、和光市行きです〕
電車に乗り込む敷島とシンディ。
敷島は空いているオレンジ色の座席に腰掛けた。
シンディはその前に立つ。
ホームから、発車メロディ(サイン音)が流れる。
各曲ごとに曲名が付けられていて、豊洲駅4番線は“きらめくホーム”という。
〔ドアが閉まります。駆け込み乗車はおやめください〕
敷島:「そういえばミク、電車移動の時は発車メロディに歌詞付けて歌ってたっけなぁ……」
もちろん、適当にではない。
曲名を知った後、そこからどうも『予想』して歌うようである。
最初から原曲があって、歌詞もある場合は別だが。
電車が東京都心に向かって走り出す。
行き先の和光市駅とは、埼玉県和光市のことである。
つまり東京都心を突き抜けて、反対側の埼玉県に抜けるということだ。
〔次は月島、月島です。乗り換えのご案内です。都営大江戸線は、お乗り換えください〕
〔The next station is Tukishima.Y-21.Please change here for the Toei-Oedo line.〕
この10000系にはドアの上にモニタがある。
最近の流行りであろうか。
向かって左側はCMや天気予報やニュースを流し、右側は停車駅案内や運行情報などを流している。
そのモニターでは、ニュースを流していた。
『晴海ふ頭で海上コンテナ“内側から”破壊される』『コンテナの中は空洞。荷物が“脱走”か?』
敷島:「高田馬場駅で“鉄腕アトム”歌い出した時には、もうびっくりしたなぁ……」
シンディ:「姉さんが人身事故を防ぐ為に、電車に体当たりしたんですよね」
敷島:「体当たりじゃない。体を張って止めたんだ」
モニタの方は全然見ていなかったので、ニュースには気がつかなかった。
[同日13:32.天候:晴 東京都千代田区 東京メトロ桜田門駅]
豊洲駅から10分ほどで電車は警視庁の最寄り駅に到着する。
〔まもなく桜田門、桜田門です。出口は、右側です。足元とホームドアにご注意ください〕
無事に電車から降りる敷島達。
〔桜田門、桜田門です。2番線の電車は各駅停車、和光市行きです〕
敷島:「ほら、何にも無かっただろ?」
シンディ:「まあ、そうですねぇ……」
警視庁への最寄りは4番出口である。
そこへの階段を登ると……。
敷島:「んっ!?」
シンディ:「社長、危ない!」
何故か車が宙を飛んでいて、それが4番出口に向かって来た。
シンディが前に立ちはだかって、車を受け止める。
その車は黒塗りの役員車のようだった。
敷島:「何なんだ、一体!?」
車に乗っていたのは……。
敷島:「あれ!?確かあなた、公安委員会の……」
これから敷島と一緒に会議の出席する公安委員が乗っていた。
公安委員:「テロだ!テロロボットが現れた!!」
敷島:「な、何ですって!?」
シンディ:「社長、あれを!」
シンディが指さしたのは、通りを我が物顔で歩く黒いロボットの集団だった。
敷島:「あれは“黒いロボット”!?北海道で見たヤツだ!」
公安委員:「あれが急に車を襲って来たんだ!会議の他の参加者もやられた!」
敷島:「何ですって!シンディ、一網打尽にしろ!」
シンディ:「かしこまりました!」
黒いロボットA:「ザビィ?」
黒いロボットB:「ザビィ」
黒いロボットC:「ザビィ!ザビィ!」
敷島:「何か会話してるぞ?!」
シンディ:「解読不能です!」
敷島:「なにぃっ!?それはどういうことだ!?」
シンディ:「原始人が『ウホウホ』しか言わないのに、ちゃんと仲間同士で会話が成立しているようなものです」
敷島:「じゃ、あれは『ウホウホ』と会話してるんかい!」
その黒いロボット。
北海道で現れた個体にあっては、バージョンシリーズのように銃火器を使用してくることはなく、持ち味たる怪力と耐久力を駆使して特にエミリーを苦しめた。
シンディ:「だぁりゃーっ!」
黒いロボットA:「ザビィ!?」
シンディは黒いロボットAを掴み上げると、それをBにぶつけた。
黒いロボットB:「ザビィーっ!」
チュドーン!(AとB、大破して爆発する)
黒いロボットC:「ザビィ!」
Cは背中からドローンのようなプロペラを出して飛び上がった。
敷島:「と、飛んだ!?」
シンディ:「逃がすか!」
シンディも足下からジェットエンジンを吹かしてCに……。
シンディ:「速っ!?何アイツ!?」
しかしC、今度はプロペラではなくジェットエンジンの気筒を出して一気に加速した。
シンディ:「ちくしょう!ゴキブリみたいな奴らめ!!」
[同日14:00.天候:晴 警視庁庁舎内会議室]
鷲田:「せっかくご足労頂いた所で申し訳無いが、会議は中止だ」
敷島:「さっきの委員さん以外、全員病院送りですって!?」
村中:「そうなんだ。例の黒いロボット達に襲われてね。幸い死者がいなかったからいいようなものの、これでは警察や公安の面目丸つぶれだ」
鷲田:「奴ら、地面や物陰からいきなり現れて襲って来たらしい」
敷島:「地面から!?」
村中:「マンホールの中にじっと潜んでいたらしいよ。ますますゴキブリみたいな奴らだね」
鷲田:「おい、シンディよ。オマエのセンサーか何かに引っ掛からなかったのか?」
シンディ:「それが全然」
敷島:「北海道の時もそうだったっけ、それ?」
シンディ:「どうでしたかねぇ……。とにかく、今回にあっては全く反応しませんでした。恐らく、ステルス機能が搭載されているものと思われます」
村中:「なるほど、そうか」
敷島:「あの黒いロボット達は、いつどうやって東京に?」
鷲田:「ニュースを見たか?晴海埠頭の海上コンテナが襲われたというものだ」
敷島:「えーっと……」
村中:「もしかしたら、あれに荷物として積まれていたのかもしれないね。何しろ、内側からこじ開けられてたんだから」
敷島:「外国から来たんですか。北海道の時は、危うく北方領土を通してロシア領内に入り込む所でしたからね。もしかしたら、今度のテロ組織はロシアンマフィア辺りかな?」
鷲田:「まだ捜査中だから、何とも言えんよ。とにかく、だ。そもそも、何機脱走したのか皆目分からん。もし途中で見つけたら生け捕りにしてくれ」
敷島:「生け捕り!バラバラにしてやるより難しいですなぁ……。せめて、首と胴体を切り離した状態じゃダメですか?」
村中:「なるべく、の話だよ。もちろん、自分の安全を優先にして協力してくれればいい。ですよね、部長?」
鷲田:「私としては、相討ちを望んでいるがな」
鷲田は侮蔑の目をシンディに向けた。
敷島は警視庁で行われるロボットテロ対策会議に出席する為、シンディと会社を出た。
シンディ:「タクシーかハイヤーで向かうという手がありますよ?」
敷島:「いいよいいよ。地下鉄ならお前みたいなヤツが狙撃してくることも無いだろうし、日本の地下鉄なら安全だ」
シンディ:「確かに、私みたいなヤツは地下で狙撃はしませんけどねぇ……」
但し、前期型の時は走行中の東西線電車に体当たりした経験を持つ。
南里志郎存命中の時だ。
地下鉄のトンネル内にある倉庫に南里を捕まえて監禁したものの、逃げられた。
任務に失敗した怒りでほぼ八つ当たり的に、たまたまやってきた東西線電車に体当たりを食らわせて大破させたのだった。
シンディ:「体当たりはしますよ」
敷島:「滅多に無いって」
〔まもなく4番線に、和光市行きが10両編成で到着します。乗車位置で、お待ちください。ホームドアから手や顔を出したり、もたれ掛かったりするのは危険ですからおやめください〕
ホームに接近放送が鳴り響く。
風を巻き起こしながら、東京メトロの自社車両10000系が入線してきた。
開業当時から運転されている旧型ではなく、新型の方である。
HIDの白いライトが眩しい。
〔豊洲、豊洲です。4番線の電車は各駅停車、和光市行きです〕
電車に乗り込む敷島とシンディ。
敷島は空いているオレンジ色の座席に腰掛けた。
シンディはその前に立つ。
ホームから、発車メロディ(サイン音)が流れる。
各曲ごとに曲名が付けられていて、豊洲駅4番線は“きらめくホーム”という。
〔ドアが閉まります。駆け込み乗車はおやめください〕
敷島:「そういえばミク、電車移動の時は発車メロディに歌詞付けて歌ってたっけなぁ……」
もちろん、適当にではない。
曲名を知った後、そこからどうも『予想』して歌うようである。
最初から原曲があって、歌詞もある場合は別だが。
電車が東京都心に向かって走り出す。
行き先の和光市駅とは、埼玉県和光市のことである。
つまり東京都心を突き抜けて、反対側の埼玉県に抜けるということだ。
〔次は月島、月島です。乗り換えのご案内です。都営大江戸線は、お乗り換えください〕
〔The next station is Tukishima.Y-21.Please change here for the Toei-Oedo line.〕
この10000系にはドアの上にモニタがある。
最近の流行りであろうか。
向かって左側はCMや天気予報やニュースを流し、右側は停車駅案内や運行情報などを流している。
そのモニターでは、ニュースを流していた。
『晴海ふ頭で海上コンテナ“内側から”破壊される』『コンテナの中は空洞。荷物が“脱走”か?』
敷島:「高田馬場駅で“鉄腕アトム”歌い出した時には、もうびっくりしたなぁ……」
シンディ:「姉さんが人身事故を防ぐ為に、電車に体当たりしたんですよね」
敷島:「体当たりじゃない。体を張って止めたんだ」
モニタの方は全然見ていなかったので、ニュースには気がつかなかった。
[同日13:32.天候:晴 東京都千代田区 東京メトロ桜田門駅]
豊洲駅から10分ほどで電車は警視庁の最寄り駅に到着する。
〔まもなく桜田門、桜田門です。出口は、右側です。足元とホームドアにご注意ください〕
無事に電車から降りる敷島達。
〔桜田門、桜田門です。2番線の電車は各駅停車、和光市行きです〕
敷島:「ほら、何にも無かっただろ?」
シンディ:「まあ、そうですねぇ……」
警視庁への最寄りは4番出口である。
そこへの階段を登ると……。
敷島:「んっ!?」
シンディ:「社長、危ない!」
何故か車が宙を飛んでいて、それが4番出口に向かって来た。
シンディが前に立ちはだかって、車を受け止める。
その車は黒塗りの役員車のようだった。
敷島:「何なんだ、一体!?」
車に乗っていたのは……。
敷島:「あれ!?確かあなた、公安委員会の……」
これから敷島と一緒に会議の出席する公安委員が乗っていた。
公安委員:「テロだ!テロロボットが現れた!!」
敷島:「な、何ですって!?」
シンディ:「社長、あれを!」
シンディが指さしたのは、通りを我が物顔で歩く黒いロボットの集団だった。
敷島:「あれは“黒いロボット”!?北海道で見たヤツだ!」
公安委員:「あれが急に車を襲って来たんだ!会議の他の参加者もやられた!」
敷島:「何ですって!シンディ、一網打尽にしろ!」
シンディ:「かしこまりました!」
黒いロボットA:「ザビィ?」
黒いロボットB:「ザビィ」
黒いロボットC:「ザビィ!ザビィ!」
敷島:「何か会話してるぞ?!」
シンディ:「解読不能です!」
敷島:「なにぃっ!?それはどういうことだ!?」
シンディ:「原始人が『ウホウホ』しか言わないのに、ちゃんと仲間同士で会話が成立しているようなものです」
敷島:「じゃ、あれは『ウホウホ』と会話してるんかい!」
その黒いロボット。
北海道で現れた個体にあっては、バージョンシリーズのように銃火器を使用してくることはなく、持ち味たる怪力と耐久力を駆使して特にエミリーを苦しめた。
シンディ:「だぁりゃーっ!」
黒いロボットA:「ザビィ!?」
シンディは黒いロボットAを掴み上げると、それをBにぶつけた。
黒いロボットB:「ザビィーっ!」
チュドーン!(AとB、大破して爆発する)
黒いロボットC:「ザビィ!」
Cは背中からドローンのようなプロペラを出して飛び上がった。
敷島:「と、飛んだ!?」
シンディ:「逃がすか!」
シンディも足下からジェットエンジンを吹かしてCに……。
シンディ:「速っ!?何アイツ!?」
しかしC、今度はプロペラではなくジェットエンジンの気筒を出して一気に加速した。
シンディ:「ちくしょう!ゴキブリみたいな奴らめ!!」
[同日14:00.天候:晴 警視庁庁舎内会議室]
鷲田:「せっかくご足労頂いた所で申し訳無いが、会議は中止だ」
敷島:「さっきの委員さん以外、全員病院送りですって!?」
村中:「そうなんだ。例の黒いロボット達に襲われてね。幸い死者がいなかったからいいようなものの、これでは警察や公安の面目丸つぶれだ」
鷲田:「奴ら、地面や物陰からいきなり現れて襲って来たらしい」
敷島:「地面から!?」
村中:「マンホールの中にじっと潜んでいたらしいよ。ますますゴキブリみたいな奴らだね」
鷲田:「おい、シンディよ。オマエのセンサーか何かに引っ掛からなかったのか?」
シンディ:「それが全然」
敷島:「北海道の時もそうだったっけ、それ?」
シンディ:「どうでしたかねぇ……。とにかく、今回にあっては全く反応しませんでした。恐らく、ステルス機能が搭載されているものと思われます」
村中:「なるほど、そうか」
敷島:「あの黒いロボット達は、いつどうやって東京に?」
鷲田:「ニュースを見たか?晴海埠頭の海上コンテナが襲われたというものだ」
敷島:「えーっと……」
村中:「もしかしたら、あれに荷物として積まれていたのかもしれないね。何しろ、内側からこじ開けられてたんだから」
敷島:「外国から来たんですか。北海道の時は、危うく北方領土を通してロシア領内に入り込む所でしたからね。もしかしたら、今度のテロ組織はロシアンマフィア辺りかな?」
鷲田:「まだ捜査中だから、何とも言えんよ。とにかく、だ。そもそも、何機脱走したのか皆目分からん。もし途中で見つけたら生け捕りにしてくれ」
敷島:「生け捕り!バラバラにしてやるより難しいですなぁ……。せめて、首と胴体を切り離した状態じゃダメですか?」
村中:「なるべく、の話だよ。もちろん、自分の安全を優先にして協力してくれればいい。ですよね、部長?」
鷲田:「私としては、相討ちを望んでいるがな」
鷲田は侮蔑の目をシンディに向けた。