伊藤とし子のひとりごと

佐倉市議会議員4期目
議会、市民ネットワーク千葉県、さくら・市民ネットワークの活動あれこれ、お知らせします

「ドイツ・デンマーク視察報告 No.1」再生可能エネルギーについて 

2012-07-14 02:03:32 | 環境
6月29日~7月6日までドイツ ハンブルグ市とデンマーク ロラン島に再生可能エネルギーと環境問題について視察に行ってきた。
市民ネットワーク北海道の企画に神奈川ネット2人、そして大野ひろみと私がジョイントさせてもらい総勢14人とコーディネーターの壱岐さん。
北海道ネットの佐藤典子団長を始め北海道ネットの面々、石川佐和子札幌市議、井関史子石狩市議、そして石川寿美鎌倉市議。
他の市民ネットワークや生活クラブ北海道のメンバーと情報交換と交流が出来て、本当に有意義な視察となった。
改めて北海道ネットのみなさまにお礼を申し上げます。

また、壱岐さんのリボーン社は環境問題などを手掛ける旅行代理店。
5月の震災ガレキの視察時にも様々なアドバイスをいただいた。

6月29日昼に成田を発ち西回り、時差5時間でハンブルグ着。

6月30日 午前中から昼食をはさんで、ハンブルグ市で行われている国際建設博覧会IBA会場へ。

ハンブルグでガイドをしていただいたのは、スザンネ・エルファディングさん
日本には12年間、早稲田大学などに留学していたと話されていた。
なんと!!!日本語のHPがあった。
都市工学が専門ということで、私たちの知りたい事を的確に通訳、説明してくれた。
ハンブルグの視察が有意義だったのも、エルファディングさんにガイドしていただいたからと感謝している。

欧州は気候変動に対応し、CO2削減に向けた政策を打ち出している。
それというのも気候変動により水位の上昇にさらされているため、差し迫った課題となっているからだろう。

ドイツのエネルギー政策は福島第一原発事故後、脱原発を2022年までに完了させ、化石燃料も止める。
また、2050年までに再生可能エネルギー利用を80%までに引き上げる計画である。
そのため、再生可能エネルギーの促進やエネルギー効率の向上を目指し、熱電供給システム(CHP)を進め、天然ガスや石油などの化石燃料の輸入を止め、スマートグリッドや電気自動車を促進する政策を進めている。
ハンブルグ市はまた、人々が自転車道を充実し、自動販売機もなく、ライフスタイルとして脱石油へと生活自体がシフトしていたことを180万人都市であっても実感された。

国際建設博覧会IBAは、都市問題の解決のための実験プロジェクトで、都市が自分たちでテーマを決め予算を準備して取り組むという説明だった。
市は計画作りへ補助金を出し、住民、企業、団体、個人の誰でもプロジェクトを提案でき、採用されたプロジェクトにたいして投資家が事業を行うシステム。
IBAハンブルグでは市はコーディネートに1億ユーロ補助金を出した。

たとえIBAが終わっても、住民参加などのプロセスが市民に残るという事だった。

「IBAハンブルグ」は2006年から2013年の期間で、来年が最終年。
テーマは「エルベ川を飛び越えて」。
かつては洪水に襲われたエルベ川の広大な中州地区(ヴィルヘルムスブルク地区)は、中心市街地から川で分断され、工業地帯、大型船の入れなくなった港湾施設、農村などが無秩序に入り乱れ、道路、高速道路、鉄道などにより分断されている。
住環境が良くないため、地価と家賃が安く、失業者、低所得者、外国人が多く住み言語、多文化といろいろな問題を抱えている。
しかし、中心市街地から近く、都市問題さえ解決できればすみやすい街になる潜在能力がある地区ということで、都市再生を3つのテーマに絞った。
1)多国籍の都市住民の潜在能力を引き出す。
2)土地の有効利用を邪魔している道路、鉄道の付け替えにより住環境の改良。
3)再生可能エネルギーと資源の再利用をめざす「気候変動における都市」
既存建物の改修によるエネルギー効率の向上とエネルギーの自給など、実証実験の場ともなっている。
中洲地区で作るエネルギー自給率を上げて、2025年には暖房用100%とする。

まずはエルベ川に造られたIBAドック入口↓



ヴィルヘルムスブルク地区はエルベ川の広大な中州という事が分かる。↓
この中州全体がIBAハンブルグの会場



川の水温との温度差をエネルギー利用する。建物の冷暖房用の配管(天井部分)。↓
天井ボードの穴から空気が出てくる。



エネルギートーチカの計画模型。↓

屋上と南側はソーラーパネルを設置し、発電と発熱を行う。
地下は木材チップを使うブロックがた発熱装置を設置。
周辺の800世帯の住宅に熱エネルギーを供給する。
暖房が不要の夏期はトーチカ内に設置する膨大な温水タンクを暖めて熱エネルギーを保管する計画。



歴史的建物としての展示場や屋上には展望台やカフェも計画されている。
このプロジェクトはハンブルグ市営のエネルギー提供会社「ハンブルグエネルギー」により実施されているが、そこにハンブルグ州の都市建設環境省、区の史跡保存行政、一般市民のNPO法人や民間デベロッパーなども関わっている。

第二次世界大戦の負の遺産トーチカは、英軍に爆破されたが、8万m3の鉄筋コンクリートから造られた頑丈な建物だったため、破壊が不可能でほったらかされていた。
それが、再生エネルギーの製造工場となり、エネルギータンクに利用される。

「いつできる予定?」と聞いたら「2013年」との答え。ホント???
現状は↓



古い建物は現在熱効率を良くするための改造に合わせ、住人の希望を入れた間取りに改造中↓
あまり経費をかけない建材を使って、工夫したとのこと。
トルコ人の多い地区だったので、女性が集まれる集会所、トルコ風の風呂が1階にある建物も作られ、民族のコミュニティを大事にするプロジェクトがとりいれられていた。
エネルギートーチカからの熱が供給される予定地区。



壁面をソーラーパネルで覆った都市集会所↓



鉄道、高速道路で分断された土地の有効利用のため、敷地をまとめる。
騒音を防ぐため高い建物をそばに立てて遮音効果を図る。↓
これも2013年終了予定。



新しい取り組みもいろいろあるそうだが、カーテン素材にソーラー発電機能を取り付けてそれにUSBを取り付けて電気を使う(?)と説明を受けた時は、ビックリ。
実用化に向けた実証実験の場となっている。
失敗したら、また考えるそうだが、実証実験のスケールの違いに驚いた。
私の日本語の理解がちゃんとできていたらの話です。
エルファディングさんは日本語で通訳してくれましたので。

最後にドイツのベジタリアンディッシュ↓



つけ合わせはコメ。パプリカの中につまっているのもハーブ入りのコメ。