伊藤とし子のひとりごと

佐倉市議会議員4期目
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「ガレキの広域化広がる疑惑」青木泰さん(環境ジャーナリスト)No.3

2012-07-12 14:01:41 | ガレキ広域処理問題
環境ジャーナリスト 青木泰さんより
「ガレキの広域化広がる疑惑」

宮城県では、石巻ブロック(石巻市、女川町、東松島市)の震災がれきについては、鹿島JVに委託し、民間ベースで中間処理、最終処分を進めようとしていました。
北九州と同様東京都には、もって来るがれきはなくなっていたのに、なぜ東京に運んできたのか?
宮城県、東京都の怪しい連携の背景

宮城県の奇妙な資料―石巻市、女川町は、2重にブロック区分****************

3)東京都は宮城県の裏事情をしっていたか?

 これらの経過を事実に基づき、もう一度まとめてみる。
宮城県のがれきは、2011年9月16日、石巻ブロック<石巻市、女川町、東松島市>から受託していた全量を鹿島JVに委託していた。
民間ベースでの処理を決定していた。
その時点で、国の予算上の裏づけのない東京都や他の自治体への広域処理分を別枠で積み残し保管することは考えられない。
宮城県が鹿島JVに委託した段階で、宮城県の石巻市や女川町から広域化政策の下にがれきを他の自治体で処理する必要は無くなったはずである。
その後東京都が女川町のがれきの受入れに手を上げ、2011年11月24日に宮城県、東京都、東京都環境整備公社が、「災害廃棄物の処理費本協定」を結んでいる。
そして東京都環境整備公社と東京都清掃一部事務組合が、試験焼却について委託契約を同年12月1日に結び、2012年2月23日本格焼却契約を締結する。
東京都が宮城県の女川町のがれきを受入れ、試験焼却から本格焼却へと進む経過は、以上の通りであり、東京都が受入れのための基本協定や試験焼却の準備を進めていたときには、民間ベースでの処理契約も終わっており、受入れの必要性がなくなっていたことは明らかである。
東京都とのやり取りの中で、宮城県の石巻ブロックには、鹿島JVに依頼した以外に石巻市には6万トン、女川町には10万トン別枠でがれきが保管されていたという形をとっているが、宮城県は、次の疑問に答える必要がある。

① 鹿島JVに685万トンものがれきの処理を委託しているのに、その2%でしかない16万トンを、広域化のために別枠でなぜ保管する必要があったのか?

② 広域化による処理委託費が高額に上ることを考えた時、この別枠処理は、国の交付金を使った処理として適切だったのか?
  それは宮城県が主導した処理策だったのか?
  環境省の指導の下で行ってきたのか?

③ そしてそれらのがれきは、本当に別枠として保管していたのか?
  鹿島JVとの委託契約の時には、まだ行く先も見えなかった東京のために、先行して別枠で確保できたのはなぜか?

④ 北九州に試験焼却で送った石巻の分は、鹿島JVが確保していた分から送ったということだが、なぜ東京の分は、別枠にしたのか?

⑤ もし鹿島JVが確保していた分から東京に送っていたということになれば、同じがれきの処理を鹿島JVと東京に委託するという2重契約になり、詐欺行為になる。
  鹿島JVもこのことは了解済みだったのか?

⑥ 東京都は、それらの事情を知っていたのか?
  知っていたとすれば、宮城県の詐欺行為の共同正犯となるが?
  東京都は宮城県の詐取行為に加担していたのか?

4)求められているのは、「がれきから人へ」

① がれきの総量の見直しと石巻ブロックの見直し
 今年の最初、政府の総がかりの「絆キャンペーン」の下に、がれきの広域化が進められてきた。
インターネット、週刊誌メディア、新聞、TVとがれきの広域化が、列島を汚染する政策でしかないことが、徐々に広まった。
また全国での住民の戦いや広域化のおかしさに抵抗し、公然と批判を投げかける自治体が増加した。
そうした全国の声を受け、環境省との326交渉が行われ、そのころから環境省の広域化は、破たん局面に入った。
環境省が環境監視省でなく、環境汚染省として振る舞ってゆくというおかしさが、チェックされた。
その象徴的な出来事が、宮城県が当初環境省がカウントしていたがれきの総量の見直しを行い、宮城県の市町村の発生量として全体で約420万トン、約1/4のがれきが下方修正されたということである。
またそれに伴い、宮城県の受託分だけで言うと石巻ブロックは、685万トンから、312万トンに減ったことが報告された。
         
発生量OR受託量  見直し前   見直し後     差し引き<万トン>
宮城県全体   1572,9  1153,7   419,2
石巻ブロック  685     312      373

 東京都の問題に却って、石巻ブロックのがれきは、全量鹿島JVに委託されていたが、それに加え、現状はそのがれきの量が、半減している。
何処から考えても高い処理費をかける東京に宮城県から運ぶ必要はない。
鹿島JVの請負は、地元での雇用を数千人作り出すとされていた。
石巻のがれきのわずか1.5%のがれきを東京都に持ってくる理由は、もう無くなった。

東京都は、宮城県のがれき処理から手を引くべきである。

② がれきの総量の再見直しをー岩手県の増加に異議
 今回宮城県のがれきの総量が大幅に下方修正されたのは、環境省のがれきの推定が、住宅地図に基づき計算され、海に流される量を計算に入れていなかったという初歩的な失敗によるといわれている。
同様の計算方法でがれき量を推計した岩手県の場合も、もちろん下方修正が妥当である。
ところが岩手県は、全体で約1割、50万トン増えたといわれている。
岩手県も下方修正されていれば、がれきの広域化は、その時点で収束されていたと考える。

 ところが岩手県は、土砂が泥が付着して量が増えたという。
宮城県が大幅に下方修正された理由、海に流されたを考えても、なぜ岩手県は、海に流されなかったのか?疑問が残る。
海に流される分を考えれば、岩手県も下方修正されてよいはずが、逆に増えている。
 
 しかもデータを詳細に見てゆくと、被災市町村で増減があるが、陸前高田市は、これまでの約100万トンから約150万トンに50万トン、5割も増加している。
その他の市町村の増減でプラマイゼロであり、陸前高田市の分が、岩手県の増加分なっている。しかし土砂が付着して5割も増えることは在り得ない。
要するに岩手県が増えたという話は、もう一度検証する必要がある。


 今回の東京都のがれき受入れ問題、どこまで石原都知事が知っていたのか?気になるところだ。
東京都が受け入れの発表をしたとき、石原知事の声は心なしかかすれていた。
その上で出てきたのは、「黙れといえばよい」という悪代官並みの発言だったのだ。民間ベースで進んでいたことを知っての発言だったとしたら責任を問われる事態になる。

 大阪の橋下市長や今も全国で受入れを検討している首長は、がれき受け入れで利権に係わるのか?と言った疑念を持たれることは止めた方がいい。
がれきの広域化の破綻は、隠しようがない。
がれきの広域化は、先が見えてきたが、がれきなどの放射能汚染廃棄物の問題は、被災地を始め汚染地域で続く。
そして非汚染地域では、がれきの受入れではなく、避難者の受入れが今後本格的な課題になる。
「がれきより人を」である。
まだまだ福島原発の爆発の後処理すらできていない。
後世代に汚染とDNA異変を引き継いでゆくことはできない。


引用おわり************************************

5月、衆議院会館であった集会で、岩手県のガレキ量見直しは津波堆積物と海中から引き揚げたガレキで増加したものと説明していた。
説明した環境省職員へ、広域化処理は可燃ガレキについてという当初の要請とは違うのではと問題点を指摘したが、見なおしたばかりなのでこれ以上の見直しはない、と説明にならない事を言っていた。
つじつま合わせもしない国の姿勢に、広域化ありきで突き進む意図を感じた。



いまさら??「NHKスペシャル 震災ガレキ広域処理キャンペーン」 7/12追加しました

2012-07-12 11:40:53 | ガレキ広域処理問題
7月7日のNHKスペシャル「震災ガレキ2千万トン進まぬ処理が復興阻む」をご覧になっただろうか?

石巻市の仮置場「高さ20m、これがあるから復興が進まない」と使い古しのお決まりのフレーズがまたまた流されていた。

ここは私たちも5月に訪れた石巻市のガレキ仮置場。
石巻市の被害は大きく、ガレキ量も他市と比較しても飛びぬけて多い。
地盤沈下問題、まちづくり復興計画上、津波の危険性のある低地にガレキを仮置場している現状を見てきた。

国は5月にガレキ量の見直して、下方修正をした。
それに、5月から宮城県石巻ブロックでは、やっと県の仮設焼却炉の本格稼働が始まっている。
日量1500トンの焼却処理が始まり、これ以上広域化を広げなくても、26年度末には予定通り処理が終わるはず。

それより既に昨年11月、国が広域化の方針を出す以前に、宮城県、岩手県では民間委託で割り振って処理の見通しを立てていた事が分かっている。

細野環境大臣は、震災ガレキ問題、特に放射性物質問題について
「事実は一つ。
しっかりと正確なデータを出し続ける事。
国への信頼を取り戻すのには時間がかかる。」と言っていた。

しかし、県議の山本友子さんによると*******************************

6月29日細野環境大臣名で、各県に「災害廃棄物の広域処理の調整状況について」という文書が出されたと報告があった。
(受領印は、7月3日、千葉県資源循環推進課)

これまで岩手県120万トン、宮城県127万トンの広域処理が必要との要請を受け、国が廃棄物ごとにきめ細かな調整を行ってきた。
その結果、6月29日の災害廃棄物の処理推進に関する関係閣僚会議で状況の報告を行った。

岩手県の可燃物、木くずの広域処理は、すでに実施中の自治体及び、最優先で広域処理の実現を図るとして調整中の自治体における広域処理の受け入れ予定量により、広域処理必要量に達する見通しが得られつつある。
当面は、これら調整中の自治体における広域処理を確実なものにすることが重要。
それ以外の自治体との調整は当面見合わせることとする。

宮城県も同様。
こんごは仮設焼却炉の処理能力を考慮し、ある程度まとまった量の処理が可能な施設での受け入れを対象に調整を行うこととする。

不燃物は、可能な限り県内処理、復興資材化に努める。
それでもなお残る残さは県内処分とする。
または民間施設の活用を含めた追加的な広域処理についても調整を図っていくこととする。

漁具・魚網については、大部分処理先の見通しがたっていない。
引き続き調整していく。

(略)・・・これまで真摯に検討いただいた全ての自治体に心から感謝する。
現在受け入れてもらっている自治体には、引き続きお願いする。

漁具・魚網等処理が困難なものについては、
最優先で広域処理の実現を図る自治体を中心に、特段のご協力をお願いする。

****************************************

番組の中で、津波堆積物が大変な問題、処理ができないから復興が遅れているといっていたが、何のことはない県内処理と言っているではないか。

NHKスペシャルはガレキキャンペーン予算40億円の中に組み込まれたものですか?
あまりにも情報が古すぎる。
これで「信頼回復」なんておこがましい話です。


追加
池田こみちさんから
「NHKは大部分が視聴料でまかなっているから問題なのです」というコメントをいただいた。
大本営発表そのものの国営放送、御用新聞、マスゴミといわれる情報操作。
私たちは賢く情報をより分けなければ、「絆」キャンペーンに利用されっぱなしになりますね。



「ガレキの広域化広がる疑惑」青木泰さん(環境ジャーナリスト)No.2

2012-07-12 00:33:44 | ガレキ広域処理問題
環境ジャーナリスト 青木泰さんより
「ガレキの広域化広がる疑惑」

宮城県では、石巻ブロック(石巻市、女川町、東松島市)の震災がれきについては、鹿島JVに委託し、民間ベースで中間処理、最終処分を進めようとしていました。
北九州と同様東京都には、もって来るがれきはなくなっていたのに、なぜ東京に運んできたのか?
宮城県、東京都の怪しい連携の背景

民間ベースの処理に、東京は何故チョッカイが可能だったのか?からの続き**************

2) 宮城県の奇妙な資料―石巻市、女川町は、2重にブロック区分

① 東京のために別枠保管(!?)
宮城県が2012年5月21日に記者会見資料として作成した「災害廃棄物処理対象量の見直しについて<県受託処理分>」(注5)によると、宮城県は、県内を4ブロック(気仙沼、石巻、宮城東部、亘理名取)に分けてがれきの処理を進めてきたことが分かる。
たとえば石巻ブロックは、以下のように表記されている。
ブロック名:石巻ブロック
処理区:石巻
市町名:石巻市、女川町、東松島市
県受託量:685万トン(見直し前)312万トン(見直し後)

東京都が委託を受けた女川町や北九州市が委託を受けようとしている石巻市は、この石巻ブロック<石巻市、女川町、東松島市>に入るが、この資料(P5)では、「災害廃棄物処理対象量<県受託処理分>の見直し結果概要」が表になって示され、表によれば、宮城県は、県内を4ブロックに分けただけでなく、それ以外「県自己処理分」というブロックを設け、以下のように記載されていた。

ブロック名:県内自己処理分
処理区:石巻
市町村名:石巻市、女川町
県受託量:16万トン(見直し前)12万トン(見直し後)

石巻市と女川町は、すでに石巻ブロックに入っているが、改めてこの「県内自己処理分」に区分けされている。
石巻市と女川町は、この時点で2重にカウントされていた。


 県の担当者の話しによれば、「県内自己処理分」の
見直し前の16万トンの内訳は、6万トンが石巻市の分、10万トンが女川町の分ということであった。
16万トン・・・・6万トン(石巻市)
     ・・・・10万トン(女川町)→東京都用
見直し後の12万トンの内訳は、石巻市6万トン、女川町6万トンであり、
12万トン・・・・6万トン(石巻市)→市内処理完了
     ・・・・6万トン(女川町)→東京都用

石巻市の6万トンは、すでに石巻市から市内の業者に渡され処理が確定している。
女川町の6万トンは、東京都に運ばれ広域処理されるようになっている。
「県内自己処理分」は、行方が決まっているということだった。
何のことはない、「県内自己処理分」といいながら東京都に女川町から持ってくる予定の10万トンは、この「県内自己処理分」から用意していたことになる。
見直し後東京都に女川町から持ってくるのは、6.1万トンと東京都から発表されているが、数字上も符合する。

② 理由が成り立たない特別扱い
 では宮城県はなぜ、女川町のがれきの処理を、一方で石巻ブロックで取り扱い、他方で「県内自己処理」という2本立ての処理にしたのか?
宮城県の担当者によると東京都がそのように望んだからと言う。
宮城県から女川町の分として東京に持ち込む分は、10万トン。
宮古での処理費をベースに計算するとトン当たり6万円で、60億円に上る巨額費用となる。
しかし宮城県が女川町を含む石巻ブロックとして処理する全量からすれば、わずか1.5%にしか過ぎない。
宮城県が処理を急ぐのなら、685万トンにこの分を含めてなぜ民間委託しなかったのか?大いに疑問が残る。
しかも別枠でがれきを保管・確保する合理的な理由は見つからない。
鹿島JVのがれきの引き受け料金は、がれきだけで考えるとトン当たり約3万円、津波堆積物を計算に入れると約2万円である。
東京に持って来れば2~3倍に跳ね上がる。
しかも民間ベースでの契約は、昨9月16日に終わり、今年の3月までに約70万トン処理するペースで処理が始まっていた。
東京はその時点でもまだ始まっていない。
広域化に向けて、東北以外の自治体として初めて受け入れ表明した東京都の顔を立てて、別枠で「がれき」(=利権)を確保したというのであろうか?
しかしそれは、国の交付金を無駄に使い、詐取する犯罪行為である。
宮城県は、4ブロックに分け、それらすべてに鹿島JVや大成JVなどのゼネコンに民間ベースでがれき処理を委託していた。(注6)
その上で、広域化はもう必要なかった。
がれきの処理の行く先は、もう決まっていた。
環境省主導の広域化は、したがってがれきを2重にカウントする形で、始めるしかなく、その利権に東京都が目ざとく反応し、見破られた宮城県が東京都のために別枠でがれきを確保した。
一種の口止め料か?
そのような経過が想像されるのである。
東京都は、すでにがれきの処理は、民間ベースで進んでいたという事実をどこまで知っていたのか?
今回のがれきの処理にあたって、宮城県の責任者が刑事捜査の対象になるのは、不可避の過程である。
その際東京都や北九州市がどこまでその事実を知っていたか?

注5:災害廃棄物処理対象の見直しについて

注6;がれき広域処理の正体・ もともと不要! 5千億円がゼネコンJVへ! 
 
 ①奈須えり  :がれき広域処理根拠なし(1)必要性無編 You Tube

 ②池田こみち:がれき広域処理根拠なし(2)巨額使途編 You Tube
  
 ③青山貞一:テレビ西日本「がれき広域処理」生番組(CUBE)出演記 
  
 ④がれき広域処理は合理的根拠なし② 合同調査チーム速報

つづく******************************************

 私たち市民ネットワークの女川町視察でも報告したが、女川町の東京都処理分に関しては、都民を安心させるため、鉛箱を用意して一時間毎のサンプルでの放射線測定、外部での測定、さらに特製JR用コンテナを作ってその中に破砕した木質チップと焼却ガレキを8:2にブレンド、ブレンドがきちんとされているかを監視する監視員2人等々、大がかりな仕掛けを造っていた。

女川町仮処分場で環境省職員、宮城県職員、都職員から説明を受けたところによると、
JR運搬費用 2万円
焼却費は23区内での処理費用は1トン当たり14,500円で計3万5千円。
多摩地区の処理費用1トン当たり25,000円で計4万5千円。

しかし、その他の費用はこの中には含まれていない。