Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

初体験 リッジモント・ハイ(37)

2013-03-26 00:15:00 | コラム
自分でいうのもなんだが、ひとあたりがいい。

少なくとも、出会って数週間くらいは。

第一印象がいい、、、と、ことばを変えたほうが適切か。

ボーズのクセに!
ザーメン臭が周囲に漂っているクセに!
ヒゲヅラのクセに!
ナマアシ見る度、半勃起しているクセに!

・・・という罵声がどこからか聞こえてきたが、そのすべてを肯定したうえで、でもそう評価されるんだからしょうがないじゃんっ! と開き直ってみる。


「ひとあたりがいい」というキャラクター性が、最もプラスに働くシチュエーションってなんだろう。

合コン?

マイナスには働かないことは確かだが、
しかしそれ以上に効果的なのは、アルバイトなどの面接時である。

自慢じゃないが、アルバイトの面接で落とされたことがない。
短期も含めれば40ちかくのアルバイトをやってきたが、100%の採用率というのは自慢してもいいのではないか。

満面の笑みと、適度なハッタリ。
俺を落とす理由なんて、ないっしょ? みたいな。

きっちりとした? 就職時における面接だと時間も長いのでボロが出るかもしれない、
けれども長くて20分程度であろうアルバイトの面接であれば、ドブよりも濁った本心は見破られまい。

そんなわけで今回のテーマは「面接」だが、少しひねりを加えて、受けに回った面接ではなく、自分が選考する側となった「初めての試験官」でいってみようと思う。

試験官っていうのはちがうな、初めての採用担当・・・で、いいのかな。


映画のなかで印象に残る面接シーンを、3つほど挙げてみよう。

まずはやっぱり、『タクシードライバー』(76)。

われらがトラビスの最初の登場が、面接シーンなのだもの。

「志望理由は?」
「眠れなくてね、タクシーで稼ごうかと」
「ふだんはなにをやってる?」
「夜通し電車に乗ったり、」
「ポルノでも観るんだな?」
「たまに行くよ」

無愛想だが、「休みも要らない」「どこにでも行く」と答えるトラビスに、担当は悪いイメージを抱かず採用が決まる。
担当者と同じ「海軍出身」というのも効いたのかな。

新聞広告でバンドのメンバーを募集した『ザ・コミットメンツ』(91…トップ画像)も印象的。

「クスリの密売」だと思って面接の行列に並ぶアンちゃんも面白いが、
ボーカル志望の男の子に「外で歌え」と指示し、彼が渋ると「じゃあ、君は要らない」と答える主人公の考えかたがしっかりしていて、「コイツについていこうかな」と思わせてくれる。

それから面接とは無関係だが、
「コミットメンツ」というバンド名が決定するシーンで、主人公が「ザ・コミットメンツだ」と「ザ」を強調すると、ギター担当が「スペルは?」と聞き、

「THE」と答えるシーンが絶妙で笑える。


最後に面接とはちょっとちがうかもしれないが、『七人の侍』(54)を。

「米だけ」が報酬、しかも死ぬかもしれないという大仕事に立ち向かうために、勘兵衛が選りすぐり? の同志を集めていく過程では、ひとあたりがいい「だけ」という自分のようなキャラは選に漏れてしまうのだろうな・・・なんて思う。


さて。
自分の「初めてのアルバイト採用担当」は、28歳のころだった。
「某」牛丼店(バレバレ)で、なんとなく採用担当に選ばれちゃったのである―。

つづく。


※かっけー! コミットメンツ。




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明日のコラムは・・・

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初めて『それから』を、電子書籍で読んでみた

2013-03-25 00:15:00 | コラム
近場―自分にとっては都内全域、相模原、横浜、さいたま―の取材は基本がチャリ、それ以外は電車、、、となると、その8割がチャリ使用となり、電車にはほとんど乗らない。

プライベートもチャリのため、電車に乗ることが新鮮というか、このヘラヘラ顔ゆえ痴漢冤罪の可能性もあり緊張するというか。

カード的なものも持っていないので、切符を購入するという旧スタイルの乗りかた・・・のクセして、ポケットにはスマホ、そして最近、ボスが金を出してくれたのでバッグにはタブレットを入れたりなんかしちゃっている。

収入の何割かは雑誌のコラム記事なので、ほんとうは車内でも「それ系」の雑誌を読んでいたい。
しかし「それ系」とはつまり「18禁」であり、もっといえば「ディープ過ぎて町の書店には置けない」タイプ、ほしけりゃ「専門店まで行ってくれ」という雑誌のため、表紙が既に違法っぽいから、公共の場で晒すわけにはいかない。

というわけで、タブレットの電源を入れる。

スマホより扱い易く、確かに便利なんだが、旧ザク系? の自分が持つ必要あるのかって思う。
ただボスから「原稿書くには便利だから」と勧められれば反対する理由も見つからないし、
恩を売られた感がありありなんだが、「金はこっちが出すから」といわれれば、断る阿呆なんて居ないだろう。

その日は「柏」まで向かう、なかなかに長い乗車時間だった。
そのくらいの時間があれば文庫1冊分くらい読めるかもしれないと、試しに電子書籍のアプリを開き、終生の愛読書である漱石の『それから』をダウンロードしてみた。

電子書籍の初心者だから、あれだけの文字が瞬時にダウンロードされただけで、たまげてしまう。

旧仮名遣いにルビまでふってあって、至れり尽くせり。
「しおり」も挟めるし、文句のつけようがない。

じゃあ本気になって読んでみようとこの名作と対峙してみたら、柏に到着する30分くらい前に読み終えてしまった。

ちょっと待てよと。

十数回読んでいるが、これほどのスピードで読んだことはない。
だいたい半日を要して読み終えていたはずだし、何度読んでも最後の数ページで「こころ」と「からだ」をやられ、畜生! 漱石!! と平常心ではいられなくなっていたのだが、それがなかったのである。

ただ文字を追っていた、、、という感じ?

ボスがいう「慣れだよ、慣れ」かもしれないが・・・
モニター上の文章は、紙に記された文章に比べて、きっちり読み込まれることがない―なんていう調査結果も出ていて、
確実に時間潰しにはなったが、「傑作を読んだ!」という感慨には浸れなかった。

「消費する」にはちょうどいいけれど、「味わう」には適さない、、、ということだろうか。

否定的に聞こえるかもしれない―って、実際そういう面もあるのだが、コラムのような短めの文章を沢山読むには「紙」よりも「モニター」なのかもしれない、、、とは思った。

―というような内容のメールを腐れ縁の旧友に送ったらば、

「現代文明の進化よりも、IT音痴であったはずのオメーが現代にきっちり乗っかっているほうがオドロキ」という返信がきて、

まぁ確かにそうだわな・・・と苦笑したのであった。





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映画小僧のバラッド・・・は、なにかね

2013-03-24 00:39:26 | コラム
友人が共同経営をしている店で呑んだ。

スナックというには敷居が高い感じがするし、バーというには安い印象も受ける。
その中間、、、のような店。

友人といっても映画畑ではなく、音楽に一生を捧げたような男で、
店のあちこちにソニック・ユースのCDジャケットを引き伸ばした写真が掲げられていたり、大画面テレビではトム・ウェイツの酔いどれパフォーマンスが延々と流れたりしている。

当然、お客さんも音楽好きが多く。

ひとりで呑みに行ったので、そんな友人を介して同世代の常連客数人を紹介してもらう。

自然と「好きな曲は? アーティストは?」となるのは、初対面の映画好きと呑んだ展開と同じ。文学好きであれば「好きな小説は? 作家は?」となるだろうし、仲良くなるには、まずは自分の嗜好を理解してもらうのがいちばん、、、ということだろう。

それぞれ好きな曲をひとつ挙げていく―を延々と繰り返し、誰かが「もう、浮かばない」と敗北宣言? するまでつづく。

とりあえず、自分が挙げた曲を覚えているだけ挙げておくと・・・

レディオヘッドの『Creep』、
ストーンズの『Jumpin’ Jack Flash』、
ドアーズの『The End』、
ナイン・インチ・ネイルズの『Burn』、
トーキング・ヘッズの『Wild Wild Life』、
デヴィッド・ボウイの『Rock’N’Roll Suicide』、
イエローモンキーの『楽園』、
電気グルーヴの『少年ヤング』
椎名林檎の『モルヒネ』―と、ここまでは場の空気を読んで、好きは好きでも「ちょっと頑張った」選曲であったのだが、

酒が進んで本性が出てきてしまい、

Perfumeや斉藤由貴、ももクロなど新旧アイドルの名を挙げてみたら、皆はけっこう喰いついてくれた。

ホッとする自分、、、みたいな。


その店はカラオケが歌えて、それぞれ1曲ずつ披露もした。
いつもの自分ならウルフルズの『借金大王』だが、なんか空気がちがう感じがする、だから「最近好きになったから」というイイワケを用意してクリープハイプの『左耳』を歌ったのだった。


さて本題はここから。

それぞれの好きな曲を挙げていくゲームの際、「自分も好き!」と思ったら挙手をするというルールを採用していた。
5人で30周はしたから150曲くらいが挙がったが、そのなかで自分を含む全員が挙手した曲は「たったの1曲」だった。

それが斉藤和義の、『歌うたいのバラッド』。

自分はともかく、音楽好きがこの曲を選ぶの、すっごく分かるなぁと。


だって、♪ ほんとうのことは、歌のなかにある ♪ だよ。





酔ったひとりが、映画好きにとっての『歌うたいのバラッド』みたいな作品はあるの? と聞いてきた。

♪ ほんとうのことは、映画のなかにある ♪ みたいな映画―ということ。

これは、映画小僧にとっての難問である。
映画について語った映画であること、そして、誰かに対する想いに溢れていること―という、なかなかに厳しい選出基準をクリアしなければならないのだから。

「この会がお開きになるまでには、答えるから」といって、時間的猶予をもらう。

30分が経過し、自分は大きな声で、しかし、あまり自信のない感じで「それにちかい・・・という意味で、ウディ・アレンの『カイロの紫のバラ』かな」と答えた。(トップ画像)

聞いた本人は観たことがないらしく、「分かった、こんど観てみる」。
ただひとり観ているひとが居て、「なるほどねー、いいチョイスかも」といってくれたのが救いか。


あー、ドキドキした。
こんな緊張、久し振りのことかもしれない。

なんというのだろう、映画小僧の映画愛を試された感じがしたのだ。たぶん聞いたほうに、そんな意図はなかったのだろうけれど。

この感覚は、映画好きの集いでは味わうことが出来ない。

結論。
たまには、ちがう畑のひととも交流してみるべきだね。

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にっぽん男優列伝(186)佐藤慶

2013-03-23 06:53:30 | コラム
28年12月21日生まれ・2010年5月2日死去、享年81歳。
福島出身。

黒澤には三船が居て、小津には笠智衆が居て、ジョン・フォードにはジョン・ウェインが居て、スコセッシにはデ・ニーロが居て、
そしてオオシマには、佐藤慶(さとう・けい)さんが居る。

常に主役を演じていたわけではないですが、『青春残酷物語』(60)から『愛の亡霊』(78)まで、ほとんどのオオシマ作品に顔を出し、「暗くてイビツな」彩りを与えて映画を特別なものにしています。

そう、このひとに明るいキャラクターは似合わず、ジメッとしていて、ひたすら暗く、屈折していると。
笑っているシーンがあったとして、なぜ笑っているのかというと、ひとが死んだから笑う、、、というような。

「じつは、いいひと」という意外性のあるキャラクターではなく、とことんイヤなひとであると。

いいですねぇ。
こういうひとが、映画を面白くするのです。豊かにするのです。
本人もオオシマに巡り合えて幸福だったと思っているのではないでしょうか、いまごろ、あの世で酒を酌み交わしているのかな。


※煽り気味の予告編っていうのも、時代だなぁと




<経歴>

工業学校の染織科を卒業後、会津若松市役所に就職。
同志とともに劇団を立ち上げ舞台公演を繰り返すうち、趣味では留まることが出来なくなって上京、20代なかばのころに俳優座養成所に入団する。
仲代達矢などが同期生だったそうです。

映画俳優デビュー作は、59年の『人間の條件 第3部』。

60年―オオシマに「発見」され、松竹ヌーヴェルヴァーグの誕生を高らかに謳いあげた『青春残酷物語』に出演。
メインキャストではなかったものの、以降、オオシマのゲバラたち(=オオシマ自身の発言)として活躍する。

『太陽の墓場』(60)、延々と政治論争が展開される刺激的な快作『日本の夜と霧』(60)。
個人的に最高の時代劇だと思っている『切腹』(62)、『武士道残酷物語』(63)、現代のJホラーより怖い『鬼婆』(64)、『怪談』(65)・・・って、やっぱりなんとなく、怖そうな映画への出演が目立ちますよね、顔と雰囲気がああですから。

『悦楽』(65)を経た66年、『白昼の通り魔』でオオシマ映画における主演級俳優に昇格? まぁ真の主人公はタイトルロールではなく川口小枝(=シノ)だったわけですが、佐藤さんがどのキャラクターよりも強烈だったことは確かです。

『地獄の掟に明日はない』(66)、『無理心中日本の夏』(67)、オオシマ映画の(個人的)最高峰『絞死刑』(68)、『帰って来たヨッパライ』(68)、『新宿泥棒日記』(69)、『日本の悪霊』(70)、『裸の十九歳』(70)。

ほかの監督の映画にも出演していましたが、やはりオオシマと新藤兼人が起用した佐藤さんが印象に残ります。
それからもうひとつ、このころ隆盛を極めたというのもありますが、ほとんどの出演作がATG発信であったということ。
その中心に居た俳優のひとり、だったのでしょう。

71年―オオシマがまるごと日本を捉えようとした意欲作『儀式』で、眉毛なしの怪演。
ちなみに小山明子の美しさは、このころが「究極系」だったような気がします。

『いのちぼうにふろう』(71)、『夏の妹』(72)、『やくざの墓場 くちなしの花』(76)、『愛の亡霊』(78)、
『殺人遊戯』(78)、『蘇える金狼』(79)、『太陽を盗んだ男』(79)。

81年―『白日夢』のドクトル役で愛染恭子を相手に本番行為をやってのけ、話題をさらう。
映画としての完成度はともかく、徹底してセックスとオーガズムにこだわった演出は悪くないと思います。

藤竜也もそうでしたが、本番撮影ってなぜか、女性ではなく男性のほうが話題になるのですよね。
『愛のコリーダ』(76)は相手が新人女優、『白日夢』はポルノのひとだったから、、、という背景もあるとは思いますが、なんだか面白いです。

80年代以降は基本的に画面を引き締める「大御所」として大作に出演、
『連合艦隊』(81)、『駅 STATION』(81)、『友よ、静かに瞑れ』(85)、『極道の妻たち』(86)、『浪人街』(90)、
『きけ、わだつみの声』(95)、『金融腐蝕列島 呪縛』(99)、『あずみ』(2003)・・・などなど、出演作は多数ですが、ちょっと物足りないです。
むしろ、その「低音ボイス」を活かしたナレーションのほうが印象に残るようになっていて、そうそう、傑作ドキュメンタリー『東京裁判』(83)も担当していましたね。

2010年5月2日、肺炎により死去。
享年81歳、遺作は『カイジ 人生逆転ゲーム』(2009)でした。


オオシマが鬼籍に入ってまもないですから、回顧上映などが続きます。
それによって、佐藤さんの演技も久し振りにスクリーンで拝むことが出来る。


映画小僧として幸福ですけれど、しかし、なんということか、きょうの文章の主人公は佐藤さんのはずなのに、佐藤さんの名前はわずかで、佐藤さんの4倍くらいオオシマの名前が出てくるっていうのは、我ながら、、、苦笑


次回のにっぽん男優列伝は、佐藤浩市さんから。

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にっぽん男優列伝(185)佐田啓二

2013-03-22 00:15:00 | コラム
26年12月9日生まれ・64年8月17日死去、享年37歳。
京都出身。

現代のチューネン映画小僧が佐田啓二(さだ・けいじ)さんの名前を聞いて、なにを想起するかっていうと・・・

一、ひたすら圧倒的だった『喜びも悲しみも幾歳月』(57)。
これが映画だ、しかも米産にはない、この湿った感じこそ日本映画だ! と感動しました。

二、実子である俳優の中井貴一と中井貴惠。
でもそういう認識で見ないと、血の繋がりはあまり感じられないですかね。
知らなかったとしたら、ピンとくることはないと思います。(あ、でも、ちょっと似てるかも)

三、交通事故による死去。
しかしジェームズ・ディーンやグレース・ケリー、赤木圭一郎に比べると、あまり知られていないのかな・・・。


ちょっと哀しいのは、三船も宮口精二も知っている後輩が、佐田さんのことを「ピンとこない」といったことです。
彼は木下恵介の映画を観たことがないのでした。

秘蔵っ子といっていいですからね、
黒澤や小津、溝口に比べて木下恵介の映画は現代ではあまり観られていないとされています、
だから彼には「とにかく『喜びも悲しみも幾歳月』だけでも!」と強く薦めておきました。





<経歴>

早稲田大学で経済を学ぶ。
下宿先が俳優の佐野周二の家であったことから俳優業に興味を抱き、卒業後、松竹大船に入社。

映画俳優デビューは、47年。
木下恵介による『不死鳥』で田中絹代と共演、きっちりラブシーンもこなしました。

『鐘の鳴る丘 第一篇 隆太の巻』(48)、第二篇の『修吉の巻』(49)。

タイトルから「爽やかに淫靡」な感じを勝手に想像、ドキドキして観たら拍子抜けした『乙女の性典』(50)と『新妻の性典』(50)、
いま観ても新鮮な『カルメン故郷に帰る』(51)、
『自由学校』(51)、『本日休診』(52)など、松竹の看板俳優としてヒット作を連発しスターに。

そして53年、『君の名は』で春樹役を熱演、岸惠子(真知子)とのジェットコースターのような恋愛劇は多くの観客から支持を受け、スターから大スターに。

人気だけでなく実力も確かとなったのは、50年代後半から。

56年、プロ野球のスカウトという現在でも興味を引く題材を扱った『あなた買います』で、イメージにはないダークな演技を披露する。

57年、まさにタイトルがすべてを表す『喜びも悲しみも幾歳月』に主演。
この映画の佐田さんにスターのような輝きはなく、市井の民にしか見えませんでした。凄いことだと思います。

『彼岸花』(58)、『人間の条件 第一・二部』『第三・四部』(59)、『お早よう』(59)、『秋日和』(60)、『血は渇いてる』(60)。
小津の遺作『秋刀魚の味』(62)、『愛染かつら』(62)、
『モンローのような女』(64)、『暗殺』(64)、『悪の紋章』(64)。


64年、8月17日―。
蓼科の別荘から仕事のため東京に戻る予定の佐田さんの車がクラッシュし、頭の骨と右腕を骨折。
意識不明の佐田さんはすぐに病院に運ばれましたが、命は助かりませんでした。

享年37歳。
あぁ、自分より短い人生だったんだ・・・。

遺作は豊田四郎による『甘い汗』(64)。
なんとも甘美な? タイトルですが、ホンは水木洋子によるもので主演は京マチ子。
見応え充分ですし、佐田さんの悪役演技、なかなかですよ。

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明日のコラムは・・・

男優列伝、三連続です。
『にっぽん男優列伝(186)佐藤慶』

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