fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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「童子」2016・7月号

2016年07月27日 | 俳句
 句集『馬つ子市』を読むという特集に、私も寄稿させていただきました。
 短いものなので、転載いたします。

 蝦夷とは良人の謂ひと燗熱う (「津軽人」) 
 (蝦夷、良人 どちらにも、「えみし」のルビを振っています)
 津軽は、奈良平安時代、本州で唯一大和朝廷の支配の及ばなかった地だ。『日本書紀』に記録されている「蝦夷」の起源は諸説あるが、「夷」は、野蛮人という意味。征服者側にとっては圧するのに都合のよい蔑称だ。「えみし」という音にあてる文字は「良人」なのだと、服わぬ者等の復権を語る津軽人が熱い。(服わぬ……まつろわぬ) (北柳あぶみ)
          

 戦のない世の中というのが、地上に訪れる日が来るのでしょうか。なんて、悠長な言い方はよくないですね。でも、蝦夷は、戦を続けているうちに、自分達の土地が焼き払われ、死者が増え続けるのに耐えかねて、和睦を求めた。が、朝廷側は、アテルイが話し合いのために出向いた都で彼の首をはねた。つまり蝦夷は、制圧されたわけ。和睦が成立していれば、アテルイという男がこのあと東北でどういう位置づけになったのか。この後の時代は鎌倉、戦国と全国的に戦へと突入し、蝦夷達の国、陸奥、出羽なども武士の統じる国となるのです。

 なんか、俳句の鑑賞のはずなのに、ごちゃごちゃ言っていますね。

 俳句としては、「燗熱う」という季語がいい。語ってる! っていうのが、伝わってくる。
 津軽は、大和朝廷の支配が及ばなかったこと、そしてロシアが近いこともあり、他の東北とはちょっと違う人の姿が見られます。はっきり言って、みなさん、大柄で足が長く、かっこいい! 人種が違う感じがします。でも、日本人。
 そんな津軽に移りすんだばかりの頃の辻桃子さんの句です。

 なお、私のミスなのですが、上の文章に『日本書記』とあるのは、『続日本紀』の間違いです。ここで、ミスをお詫びさせていただきます。

  秋田市太平

 秋田も蝦夷の地でしたが、アテルイ達とは時期をずらした反乱があります。元慶(がんぎょう)の乱。菅野雪虫さんが書かれた『羽州物語』(角川書店)は、それを題材にしたものです。これ、もう一度読もう。