句集『七宝』(瓜生律子)文學の森 2018年01月08日 | 本の紹介 「童子」蓮衆の瓜生律子さんの句集です。 表紙は、律子さんが作られた七宝焼きの絵。カバーの具合もまるで七宝焼きのように、美しい。 辻桃子の序文に、七宝焼きとは、金・銀・瑠璃(るり)・瑪瑙(めのう)・珊瑚・真珠・玫瑰(まいかい) とある。 と書かれています。 玫瑰とは、ハマナスのこと。美しい赤い色をさすようです。 読んでいて、(ああ、ご家族を大事になさっているのだなあ)と、暖かい心持ちとなりました。 以下、好きな句を。 大連やアカシアの花もう終はり 母詩吟父はダンスぞクリスマス 父五男母は六女や笹起きる 春泥の深きところにはまりけり 十三夜足らざる墨をつぎ足して 銭湯に忘れ来たりし浮人形 夏帽や「赤毛のアン」を読み返し 寒煙が寒煙を突き昇らせぬ 万緑や母が日記を付けはじむ 星月夜七宝焼きのまだぬくく 家族詠は、甘くなりがちなのに、そうなっていないのは、季語の斡旋の妙だと思います。勉強させていただきました。 律子さん、おめでとうございます。