小学校3年生は、まさに本ばなれをしてしまう過度期です。幼稚園までは絵本がまわりにたくさんあって、お母さんやいろんな人が読んでくれます。小学校に入って低学年もまだその時期が残っている。でも、だんだんとゲームが楽しくなり、自分で本を読もうにも、どれがいいのかよくわからない。
こんな本は、きっとそんな時期の子たちが、大喜びで読むでしょう。
なにしろ、大好きなお笑い芸人の話。
良平は小学3年。
冒頭、給食前の手洗いのシーンで、ひたすらまじめに手を洗っていると、後ろからバーンと背中を叩かれ、手あらい場に顔をつっこみそうになります。そしてお笑い芸人を両親に持つ拓斗と、まさにボケツッコミのやりとりが始まります。
シリーズ「おしごとのおはなし」の一冊なので、お笑い芸人になるためには、というのが巻末に載ってもいます。ほかには、看護師、サッカー選手、花屋さん、パティシエなどなど既刊、そしてこれからも発売になるようです。
中学年向けなのでしょうが、あっという間に読める分量というのもいいです。
安田さんは、落語をきっちり学んでいらっしゃる方。『あしたも、さんかく 毎日が落語日和』という本も書いていらっしゃいます。そして大阪在住。まさにどんぴしゃです。大阪弁も、自在。
私は、拓斗の両親が二人に語る言葉に、胸を打たれました。
芸人は、一生努力や。
「せやな。毎日考えて、毎日工夫して、もっともっと成長していこな!」
「マジメで、がまん強くないと、この仕事はできへんで。」
これは、芸人に限ったことではありません。でも、傍目では楽しそうにやっている芸人もまた、そうだということ。
きっと安田さんも。
私もまた。
ということで、実は3年生主人公の物語に難渋していた私は、きのうからこの一冊をすべて書き写しました。拓斗のお父さんも言っています。
芸はうまい人を、マネすることから始まるんや。マネをすんのも、勉強のうちや。
そして、ふうん。なるほど、これは原稿用紙換算すると、○○枚なんだな。と。(教えない)
これから、起承転結など、ちょっと分析したり、勉強させていただきます!
なんでやねーん!
ところで私がお仕事シリーズを書くとしたら、何を選ぶかなあ。俳人じゃあ、仕事にできてる人はほんの一握りだしなあ。保育士? 本屋? 動物園の人? 声優? なんて思い浮かびますが、どれを書くにしても、取材しないと無理ですね。きっと安田さんも、他の作家さんもそうやって書かれたのでしょう。