ビブリオバトルの物語を書くため、大変お世話になった、ビブリオバトル普及委員会の粕谷亮美さんが、編集された本です。
作者の益井さんは、大学を留年し、図書館にこもる日々を過ごしていましたが、そこでビブリオバトルのポスターを見ます。最初はバトラーとしてではなく観戦。次はバトラー(発表者)として参戦。そして発表した本が、見事にチャンプ本になりました。そこから、ビブリオバトルにのめりこみ、ご自身がどんどん主催して会を開いていきます。
そして、とうとう青年海外協力隊として、ソロモン諸島へ。目的は児童生徒の読書習慣の定着。つまり、「本って、おもしろいよ」ということを伝えることです。
え~、いきなり海外? ソロモン諸島? と思ってしまいます。その発想がすごい。そして、楽しい。
ソロモン諸島は、オーストラリアに近い太平洋に浮かぶ島々ですが、益井さんの派遣先は、サンタイザベル島。そこを拠点に、活動をします。
そこからの活動は、ぜひ、本を読んでいただきたいです。
私は本を読みながら、ソロモン諸島の子どもたちが、目を輝かせている様子が想像できました。もちろん、たくさんある写真のおかげでもありますが。
学校に図書室はあっても、本棚はない。床に本が積んである。そんな環境の中、いきなり「本を紹介」しよう。これが、できるんだから、すごい。中にかかれていますが、ビブリオバトルの魅力は、「ゲーム」だからなのだと思います。(結局内容にふれてますね)
中に挟みこまれているソロモン諸島の歴史も、わかりやすくて、とてもよかった。第二次世界大戦時、ソロモン諸島は日米の対戦の場となったのですよね。ガダルカナル島というのは、日本の戦争史で必ず出てくる地名。でも島の人たちにとっては、そこは生活の場だった。そこで、日本とアメリカが戦った。いい迷惑という以外にありません。迷惑っていうか、やっていいことじゃない。
このような青年が、東北でもビブリオバトルを広めてくれないかなあ。なんてことも思いました。教育の現場で先生がやるのもいいけれど、とにかく本が好きな人が、そしてビブリオバトルが好きな人がひとりいて、「やろうよ」「楽しいよ」というのが大事なんだと、私は思うわけです。
この本の中でも、最初物怖じをしていたアリスという少女が、一度発表したあと、別人のようにどんどん発表する姿が描かれています。物語ではなく、実際のこと。ビブリオバトルのおもしろさです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます