fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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『セカイを科学せよ!』安田夏菜(講談社)

2021年10月31日 | 本の紹介
 安田さんは、日本児童文学者協会賞受賞者。こういう賞を受賞され、さらに進化を続けてらっしゃる! 読み始めて、そう思いました。

       高学年~中学生向け
 
 主人公は藤堂ミハイル。父は日本人、母はロシア人です。見た目に母の血が濃いため、幼いころから「ガイジン」と言われてましたが、中身はばりばり日本人。そういう子が今日本の中にはたくさんいるはずです。目立つことを避けているので、部活は科学部電脳班。パソコン操作の練習をする程度のゆるい部です。
 ある日、クラスに山口アビゲイル葉奈という女の子が転校してきます。ミハイル同様のミックスですが、違うのは、目立つことをいとわず、「虫好き」(正確には、虫が三つの「虫」)。科学部ですでに消滅していた生物部を復活させ、学校にいろいろな虫を持ち込みます。

 いやー、おもしろかった! 
 安田さん、虫好きなのかしら? 身近にミックス(といったらいいのか、ハーフといったらいいのか、そのあたりも出てきます)の子がいらっしゃるのかしら? 
 ときおり挟まれるロシアのことわざが、またいい味を出しているんです。

 テーマよし! キャラよし! 細部よし! 新しさ、あり! 普遍性、あり! 
 脱帽!! 

 私、実は高校のとき、生物部だったんです。ミジンコを顕微鏡で見るのがすきだった。ワムシとかも。
 でもこの中学生が最後に行き着いた研究テーマ、すごいです。

 そして、ラストで、感動。すべてがここに収束された感じもあり。あるいは、安田さん、ここにもってくるため、いろいろ設定したのでは? とも思ってしまいます。いつかお話を伺いたい。


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