うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

産まれ持った、運気

2021年05月27日 | カズコさんの事

認めたくはないのだが、

でも実際に、『生まれつき、ついている』人はいる気がする。

 

おはようございます。

母かずこは、結局手術をキャンセルすることとなった。

「引きずってでも、手術をさせる!」と息巻いていた父さんでさえ、

いつからか、

「もう、やらんでいい気がする」と言うようになっていた。

火曜日、母の通院日、私は主治医に

「手術の予定を取りやめにして頂けないでしょうか?」

と願い出た。

 

白髪のベテラン医師は、

「そうなんですか。カズコさん、今、痛くないの?」

と問いながら、おもむろに、かずこの右腕を取り左右へ動かした。

「へえ、全然、痛くありません。」

かずこは、きっぱり答えた。

 

医師は、そんなはずはないと言わんばかりに、

「こうしたら、どう?」

と立ち上がり、肩を片手でぐっと押さえ、

掴んでいた右腕を、これでもかといった具合に激しく揺さぶった。

その時、かずこの体が強張って見えたが、かずこは、

「へえ、痛くないですね。」

と答えた。

健常者でも、痛いのではないかと思われる激しい揺さぶりに、

私は疑念を抱いた。

かずこの顔を覗き込んでみれば、

かずこは痛みに耐えるため、歯を食いしばっているような表情をしている。

 

医師も勘付いたのか、かずこの腕を離し、

自身の長年積み重ねてきた功績を崩さぬ覚悟で、こう言い放った。

「腕、どれくらい挙がる?」

 

私が、家で検査してみた時は、

カズコの腕は90度程度しか挙上できなかった。

とはいえ、着替えも手仕事も出来ていたことから、

あえて手術をする必要を感じなかったのだ。

 

しかし、ベテラン医師なら検査せずとも

挙上に困難が生じるだろうことは分かっていたに違いない。

白旗も、ろくに上げられない、かずこの肩にメスを攻め入りたいのだ。

そのためのカードを切った。

挙げられるもんなら、挙げてみろ!と。

 

その時だ。

かずこの腕はゆっくりと90度を超えた。

そろそろ、止まる。

そう思った矢先、かずこの腕は天をつんざく勢いで、

天を掴むかのように、まっすぐ伸ばされた。

 

医師は思わず

「あららら、挙がっちゃうねぇ。」

と溢した。

医師が驚くのも無理はない。

肩鎖関節の完全脱臼で、180度の挙上は、

解剖学的に、稀だ。

しかし、かずこの腕は、挙がっちゃっていた。

 

「じゃ、今度は回してみて。」

無慈悲なまでの医師の追求に、この時、

私はいささか引いたが、かずこは一歩も引かなかった。

「ほい、すっごく普通に回せるんですよね。」

かずこは、いぜん歯を食いしばっているせいで、表情が強張っているが、

腕の旋回は、前田健太のマエケン体操を超えた滑らかさだった。

 

あかん、もうあかん。

笑ってまう・・・・

 

私は、ついに口を開いた。

「こんな感じですので、

大変勝手を申してすみませんが、手術の方は・・・」

「うん、今回はやめとこう。

痛みが出たら、また、その時になんか考えよう。

かずこさん、それでいいでしょうかね?」

医師は、快く負けを受け入れた。

かずこは、勝ち誇った表情を見せるかと思いきや、

数分間の集中力が切れたように、放心状態だった。

 

そんなわけで、

私はジジィとババァの意地の張り合いを目の当たりにして、

どうにか、笑いを堪えるのに必死だった。

 

※医師の行為は、手術の有無を確認するための行為であり、

意地でやったことではありません。

記事の中の医師の思惑部分は、私の脚色です。

かずこの思惑は、書いた通りかと思われます!

 

しかし、かずこは、昔から何かとついてるんだ。

まあ、本人の努力も、凄まじいものがあるけども。

そういえば、この子もそうかも・・・

え、なにが?

 

いじめないし。

のん太って、いつも、ついてるな~っと思ってさ。

 

そうなのね?

いるんだとね、なぜか、ついてる人って・・・