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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

レオナルド・ダ・ヴィンチ「受胎告知」

2007-05-29 00:03:12 | ART
昨日、上野の国立博物館で、レオナルド・ダ・ヴィンチ展を見て参りました。
3月20日公開以来、連日の盛況を聞かされて、二の足を踏んでいたのですが、そろそろ人波も引いたころかと足を向けました。



目玉は門外不出のイタリアの国宝級の逸品、レオナルド21歳の作品、「受胎告知」

展覧会は2会場に分かれ、まずは「受胎告知」のみの第一会場、そして、レオナルドのジャンルを超えて活躍する天賦の才とそのアイデアを具現化して見せた第二会場で構成されています。

第一会場は日曜日の遅めの時間だけあって、5分待ちで会場内に入ることが出来ました。
用意されていたテントの長さから見ると、ピーク時にはかなりの待ち時間を予想できますが、とりあえずラッキー。たくさんの係員による誘導、広い会場を絵の前をジグザグに設置された通路により、待ちながらも絵を鑑賞でき、絵の直前で立ち止まっての鑑賞不可という厳しい条件を緩和するのに役立っていたかと思います。


端正な構図、心の動きを伝える表情、仕草、遠近法を試みた背景、植物図鑑のような精緻に自然を写し取る筆致、ドレープなどのリアルな光と影の表現など、若き日の作品にして、後の天才の萌芽がすでに見受けられます。



きれいに修復されており、幼い頃から繰り返し見ていた画集のこの絵とはかなり異なる鮮やかな色彩、経年を感じさせない建物や書見台の大理石の質感などに、却ってバーチャルな画像を見ているような気持ちになったり・・・(?)

第2会場は平成館。
こちらでは、レオナルドの残したスケッチやメモを読み解いて、物理学・解剖学・心理学など彼の縦横に広がる好奇心のありか、実現間近で戦争の為に頓挫したプロジェクトの全貌とそのために作り上げた細部に至るまで精緻に積み上げられた計画など、天才の業績を追い、アイデアを図示し模型化することであますところなく見せていこうとする意欲的な展示。

こちらはむしろ、アートとしてのレオナルドの作品、というよりは、ルネサンス人として万物に興味を持ち、それを学術的に分析しようとする科学的なアプローチをする天才の軌跡、といった展示なので、この展覧会が、国立博物館という場でなされている意義を思い起こさせるような心持がしました。



オリジナルはフィレンツェのウフィツィ美術館で展示されたもの、それに、日本サイドで”レオナルドの生涯”などの補足説明的展示を加えて構成されています。
6月17日まで。