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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

第12回世界バレエフェスティバルAプロ ①

2009-08-02 11:55:50 | BALLET
バレフェスのAプロ、昨日から始まっているのですよね。
わたくしは今日、これから上野に向かいます
4時間半の長丁場、集中してきます!!

第12回世界バレエフェスティバル [プログラムA] 
2009年8月2日(日)15:00開演  会場:東京文化会館


■第1部■ 15:00~16:10

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
マリア・コチェトコワ ダニール・シムキン

「くるみ割り人形」より "ピクニック・パ・ド・ドゥ"  
振付:グレアム・マーフィー/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ルシンダ・ダン ロバート・カラン

「海賊」
振付:マリウス・プティパ/音楽:リッカルド・ドリゴ
マリアネラ・ヌニェス ティアゴ・ソアレス

「エラ・エス・アグア ‐ She is Water」
振付:ゴヨ・モンテロ/音楽:コミタス、クロノス・カルテット
タマラ・ロホ

「くるみ割り人形」
振付:レフ・イワーノフ/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ヤーナ・サレンコ ズデネク・コンヴァリーナ

「コッペリア」
振付:アルテュール・サン=レオン/音楽:レオ・ドリーブ
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー


<休憩20分>

■第2部■ 16:30~17:45

「ジゼル」より第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー/音楽:アドルフ・アダン
上野水香 マチュー・ガニオ

「クリティカル・マス」
振付:ラッセル・マリファント/音楽:リチャード・イングリッシュ、アンディ・カウトン
シルヴィ・ギエム ニコラ・ル・リッシュ

「ライモンダ」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ/音楽:アレクサンドル・グラズノフ
マリア・アイシュヴァルト フィリップ・バランキエヴィッチ

「スカルラッティ・パ・ド・ドゥ」(「天井桟敷の人々」より)
振付:ジョゼ・マルティネス/音楽:ドメニコ・スカルラッティ
アニエス・ルテステュ ジョゼ・マルティネス

「ディアナとアクティオン」
振付:アグリッピーナ・ワガノワ/音楽:チェーザレ・プーニ
シオマラ・レイエス ホセ・カレーニョ

「オテロ」 
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:アルヴォ・ペルト
エレーヌ・ブシェ ティアゴ・ボァディン


<休憩15分>


■第3部■ 18:00~19:15

「椿姫」より第1幕のパ・ド・ドゥ   
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:フレデリック・ショパン
オレリー・デュポン マニュエル・ルグリ

「フォーヴ」  
振付:ジャン=クリストフ・マイヨー/音楽:クロード・ドビュッシー
ベルニス・コピエテルス ジル・ロマン

「白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ"
振付:マリウス・プティパ/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・ウヴァーロフ

「カジミールの色」
振付:マウロ・ビゴンゼッティ/音楽:ドミトリー・ショスタコーヴィチ
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ

「マノン」より"寝室のパ・ド・ドゥ"
振付:ケネス・マクミラン/音楽:ジュール・マスネ
ポリーナ・セミオノワ フリーデマン・フォーゲル

「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス
ナターリヤ・オシポワ レオニード・サラファーノフ


指揮:ワレリー・オブジャニコフ  
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団  
ピアノ:高岸浩子


世界バレエフェスティバル全幕特別プロ「ドン・キホーテ」 ②

2009-08-02 09:26:00 | BALLET
あらゆるスターダンサーの妙技を見慣れたつもりの「ドン・キホーテ」ですが、
この日のパフォーマンスは・・・
とてもとても新鮮でした!!

さすが、天才少年と名高いダニール・シムキン。
期待度はもちろん観る前から高かったのですが、いや、こういうアプローチもあるのか・・と
改めて、古典作品の許容範囲の広さを思いました。



両親ともに欧州で活躍するロシア人バレエダンサー、ジャクソン、ヴァルナなどの国際バレエコンクールでグランプリ、金賞・・と総なめにして、ウィーン国立バレエ団からスター軍団ABTにソリストとして移籍したばかりの22歳。
わたくしは電車の遅れで18:30の開演に間に合わず、序章のどたばたコメディシーンは見逃したのですが・・・

1幕、町の喧騒の中に登場するキトリとバジルのその出のシーンでの跳躍の高さ、軽さにまず息を呑み・・・。
空中でキメのポーズを画像として切り取れるように時を止めてみせる、いとも軽い跳躍。
高速なだけでなく常に余裕をもってエレガントに減速してピタリと決まるピルエット(カレーニョ以来の感動!)。
上半身のしなやかさが際立つランベルッセ。
サポートも片手リフトもしっかりと危なげなくこなし、ソロだけでなくPDDもOK。
これは小柄な女性ダンサーがパートナーであるという条件つきではありますが、王子系の主役も期待できそう・・・。
超絶技巧をこれでもかと繰り出しながら、技の凄さではなくそのフワリと鳥のような空気感、柔らかさ、少年の面影を色濃く残すチャーミングな表情と、小柄ながらもバランスのとれたすらりとした肢体の全てで、シムキンのバジル、を完成させていました。
衣装も舞台全体の色彩に溶け込む、白ブラウスにラズベリー色のベスト、赤紫のタイツでちょっとフェミニンでしたが、女の子みたいにかわいい彼にはお似合い。

バジルってスペインの色男なのだから、黒髪だったりラテン風味だったりするのがデフォルトなのですが、
金髪・小柄と条件的には真逆なのに、まぁこういうバジルもあっていいか、と納得させるところがスゴイ。



対するコチェトコワもサンフランシスコ・バレエのロシア人若手、としてしか情報がなかったのですが、
そんな天才少年を前にして一歩もひかない存在感とテク。
小柄で金髪、愛らしい容姿ながら、キトリとしてのキリッと決めてみせる部分は決めて、演技も達者。
フェッテもダブルで見せ場もしっかりと決めてくれて、2人でバレフェスの幕開けを華やかに彩ってくれました。

華やかといえば、客席!!
遅れてきたせいで、舞台に近い席にはつけず、1階席の前後半を分ける中央通路に通じる上手側の階段に腰掛けて1幕を鑑賞することになってしまったのですが、休憩時間になり立ち上がると、前方の最終列につけたされた仮設席から立ち上がる面々は・・・バランキエヴィッチ、マリア・アイシュバルト、フォーゲル、ロバート・カラン。おぉ~と彼らが目の前を通り過ぎてロビーに向かうのを見届けて、下手側の通路からロビー方向に向かうとそこにはマチューが・・・
あぁ、バレフェスだわ・・・と感涙。

脇を固める東バのソリストも上出来。
平野さんのガマーシュはいつにも増して演技が濃くてチャーミング。
高橋さんのサンチョ・パンサはあのほっそりとした少年体型の高橋さんがふとっちょ?というおかしさも
ありますがきっとドンキ上演史上一番踊りまくったサンチョかも。
キトリの友人で2幕のソロも踊る二人はわたくしのお気に入り、乾さんと佐伯さん。
特に佐伯さんはブルーの衣装での最後のソロが伸びやかで、ステキでした。
エスパーダの後藤さんは日本人離れした厚みのある体型がこの役どころには似合っていて
大人っぽい重量感(?)がシムキンくんのバジルとは対照的で良いアクセントになっていたかも(笑)
キューピッドに高村さんとくれば、磐石でしょう。
キュートな高村さんはもう、キューピッド職人、と言いたいほどこの役にピッタリ。
ただ、コチェトコワが本当に小柄で小顔なので、並ぶと初めて高村さんが大きく見えてビックリ、でした
惜しむらくは西村さんが群舞に入ってしまってソリスト役がつかなかったこと。
ドリアードの女王は、このところミルタやこの役など、バレエ・ブランシーンの長を振られがちな田中さんが
端正に演じていましたが、西村さんならもっとしなやかに表現してくれたのでは・・とちょっと思ってしまいました。
野営のシーンで印象に残るのは若いジプシーの娘役の吉岡さん。
この役は井脇幸江さんの緊張感あるドラマチックな演技が記憶に残っているのですが、
甘く儚いヒロインがお似合いな吉岡さんが演ずるとほっそりとした美人なだけに
激しさがファナティックな怖さになって、思いがけないインパクト。

あと、指揮がデヴィッド・ガーフォースさんなのが嬉しい。
バレエに付随する音楽、ではあるのですが緩急つけて音楽として楽しく聴ける指揮ぶりはお見事。
バレフェス、今回はガ-フォースさんがご担当なのか・・・とちょっとそこでもワクワクします。

ここまで全体的に満足度の高い全幕も久し振り。
一気にバレフェスムードが高まって参りました