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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

第12回世界バレエフェスティバル ガラ ②

2009-08-15 02:59:37 | BALLET
ガラ、素晴らしかったです。
17時始まりで、22時までに4部構成の本演目が終了、
その後佐々木さんのスピーチをはさんで恒例のファニー・ガラ。
全終了は23時頃?
たっぷりとした、充実の内容に心がいっぱい(笑)です。

色々とゆっくり思い起こしたいところですが、16日、17日のベジャール・ガラには
また参りますので、取り急ぎで感想を・・・

■第1部■

◆「白鳥の湖」第1幕よりパ・ド・トロワ

Bプロでの3角関係の発端?
結婚式当日の王子カラン、新婦ローリンズ、愛人ダン。
ライトミディアムグレーの礼服の王子、白に近いパールグレーのミディ丈のシンプルで
フォーマルなレースワンピの新婦、3連パールチョーカーを効かせて、でも
新婦同様シンプルなライトグレーのレースワンピの男爵夫人。
静かなトーンのレトロで大人な衣装の3人がゆったりと踊るのですが、
新婦は新郎とのパ・ド・ドゥを踊っているつもりが、その実、男爵夫人が絡んでいる。。。
王子の視線は新婦には定まらず、愛人を眼を合わせ続けている・・・という
後の波乱を予想させる展開。
これは来年のオーストラリア・バレエ団の公演で全幕を観るのが楽しみ~モードに
させられますね。

◆「カルメン」

タマラのカルメンはサイドパーツのショートヘア、黒いベアトップのコルセットキャミに
編み上げリボンが鮮やかなブルー。
白いタイツが小柄なロホをちょっと少女っぽく見せますが、踊り始めると
ソロでは毅然とした強い女、ホセとの絡みになると途端に妖艶な空気を醸し出し、
その展開にロホのカルメン像がくっきりと浮かび上がります。

受けるボネッリのホセは、白のブラウス、白のサッシュベルトに黒タイツで、
スペインものに定番の赤を2人とも使っていないところがちょっと新鮮。
きれいな足先、とても丁寧な踊りに生真面目なホセのキャラクターがかぶり、
彼はこの役にとても似合っていいます。
ノーブルさも充分で、ロイヤルは良い王子を持っているなぁと改めて見直しました

◆「ダンス組曲」

二コラのソロ。
チェロは若手ソリストの遠藤真理さん。
有名なバッハの無伴奏チェロ組曲の中から、第1番プレリュードとジーグ、
第5番サラバンド、第6番プレリュードで構成。
朱赤のベロアのトレーナー?に同色のコットンパンツ。
背景の色が照明でブルーからブルーグレー、マスタードイエローに、と
曲想の変化で変わっていきます。
軽やかな何気ない感じで始まるダンスは、ときに自分自身の襟首をつかんで持ち上げたり
でんぐり返し?をしたり、のユーモラスな動きを交えて展開し、最後はジャンプやジュテを
含むエネルギッシュな波動が音楽に溶けていきます。
どこか心の晴明さが肉体表現の大らかさにつながる二コラのソロは魅力的。
丁寧でにごりのない音色の遠藤さんの演奏も良かったです。

二コラはこういう感じのソロを、今までのフェスでも選んで踊ってきましたが
過去にはあまり感動したことがなく・・・。
永遠の青年、というキャラに加えそれなりの年輪を重ねたことによって
今回は、組曲の4部構成が人生の移り変わりにも感じられ、今こそ二コラは
こういうソロが似合うダンサーになったなぁとの感慨を持ちました。
この日最初の3回のカーテン・コールを受けていました。
小柄な遠藤さんを包み込む様に肩を抱いて横に並ぶ、満面の笑顔の二コラが微笑ましかったですv

◆「いにしえの祭り」



左右に入ったスリットがブシェの美脚を際立たせる赤いミディ丈のドレス。
ボアディンは白ブラウスに黒のベストとパンツで。
ノイマイヤーの2008年ハンブルグバレエで発表の新作。
第二次世界大戦のさなか、出征前夜という設定だそう。
ブシェは大人の女性の存在感があり、コンテンポラリーにストーリー性をほのめかすことの
できるダンサーですね。
ノイマイヤーの作品に、本当に良く似合います。

◆「ジゼル」より第2幕のパ・ド・ドゥ

素晴らしかった!
オペラ座ダンサーによる、完璧なジゼル。
つい、Aプロの上野さんと比較しながら見始めていましたが、もうこれは別次元・・・

冒頭、ジョゼのアルブレヒトが深夜のお墓参りに・・・
黒のマント、白い百合。細身の長身ではありますが、アルブレヒトとしての押し出しの強さを
前面には出さず、顔に浮ぶのは哀しみと後悔。ジゼルを思って百合の花をなでる手もやさしさに
溢れています。

すっと現れる精霊ジゼル。
あの世の人となったアニエスのジゼルは美しい無表情。
村娘の面影は皆無なれど、透明感のある存在感と柔らかなアームス、
音楽にぴたりと合わせた細やかなパがウィリとしての説得力満点。
アニエスの高貴な神秘性が際立ちます。

アルブレヒトのソロの後、一度膝をついて胸を抱え、そして崩折れる、というのがジョゼの演技。
本当に息も絶え絶え。
細やかなパを本当にキレイに踊るジョゼは繊細な貴公子。
ウィリに呪い殺される、という予想だにしてなかった運命に巻き込まれたやさしいアルブレヒトを前に
アニエスのジゼルはこの人を守ろう、と静かに決意を。
始めの無表情が、アルブレヒトの踊りを見るうちに、次第に懐かしさと慈しみを滲ませていく辺り、
その変化が繊細で静かなだけに胸に迫ります。

こういうジゼルが見たかったのよ~と感涙。
満場の拍手はこの日2度目の、そしてとても熱い3回のカーテンコールへ・・・。
来年3月のオペラ座公演って「ジゼル」と「シンデレラ」だったはず。
もう、これでアニエスの日は人気集中必須ですね!
もちろんわたくしも、全幕観なくては、と心に決めました