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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

第12回世界バレエフェスティバル Bプロ ③

2009-08-11 02:49:06 | BALLET
バレフェスBプロ 2日目のレポ、続きます
今回はなんとかGALAまでにはBプロのレポを終える意気込み。

■第2部■

◆「ナイト・アンド・エコー」

エレーヌ・ブシェは前後大きくスクエアに刳れた黒の5部袖のTOPに
脚が長くてハイウエストに見える(?)白のフレアーロング。
ティアゴ・ボアディンは黒のパンツで。
ノイマイヤーの抽象的な作品で背景などはプログラムにも詳しくは紹介されていませんが、
空間に対してブシェの長く伸びやかな四肢が雄弁に使われていて、とても美しい一幕でした。

◆「スリンガーランド・パ・ド・ドゥ」

アニエスはアイボリーの、ジョゼは肌色のそれぞれ身体をピッタリと覆う
ストレッチレースの全身タイツにアニエスはフォーサイス作品に特有の
小さな円盤型のチュチュをつけて。肌を見せない肌色衣装。
スタイル・テクニックともに抜群の2人が踊るコンテ。
「イン・ザ・ミドル・・・」的なフォーサイス言語を余裕を持って端正に表現する
(できてしまう)二人。
ガルニエでフォーサイス・プロの一環として上演されているのを観るような心持ち。
堪能しましたが、派手な古典のPDDなどと並べてバレフェスに持ってくるには
ちょっとインパクトには欠けるきらいも。
そういう意味ではせっかくの華のある2人には勿体無かった?かもしれません。

◆「白鳥の湖」第3幕より

・・・そういう意味では、古典に対抗する、新解釈の個性的な演出でドラマチックに見せる、
オーストラリア・バレエ団の戦略は成功していたと言えるかも・・・。



英国王室のスキャンダルを素材にしたと言われるマーフィー版の白鳥の湖。
この場面は愛人である男爵夫人との密会の場に現れた王妃の間で揺れ動く王子、のシーン。
ロバート・カランが翻弄される王子。レイチェル・ローリンズがショックを受けながらも
王子を愛する清らかな后。
三角関係を暗示するトロワ、PDD,のあとはルースカヤの音楽で男爵夫人のソロ、
とたっぷり時間をとっての演目。優遇されています(笑)
来年のオーストラリア・バレエ団来日公演プロモの意、でしょうか。

男爵夫人のルシンダ・ダンが見事。
2人の間に割って入る、存在を誇示する・・・。
濃い悪女っぷりで一幕のドラマを完全に仕切っていました。

◆「マノン」より第一幕のパ・ド・ドゥ

同じマノンで”沼地のパ・ド・ドゥ”の予定が変更。
この第一幕のPDDは、マノンとデ・グリューの出会いのシーン。
お互いに一目惚れの若い2人。
コジョカルは、自分ではそれとは知らずに男をトリコにしてしまうファム・ファタール、というよりも
いたいけな美少女の風情ゆえ、素直に、ふるえる心、ときめき、を踊りで表現していて
良かったです。
コボーの頼りがいのあるお兄さん的なデ・グリューも新鮮。
技巧よりも演技、の小品。

◆「アパルトマン」

過去のバレフェスでの感動を再び。
リクエストが多かったのでお応えしま~す、というわけでもないでしょうが、
ギエムとル・リッシュが今また、マッツ・エックの世界の等身大の男女の機微を
ユーモアを湛えた作品で見せてくれます。
カーキグレーのコンビネゾンに透ける素材の青紫のスカートを重ね、黒いソックスに
三つ編みヘアのギエムに、同じカーキグレーのパンツにゆったりとしたメッシュの
ローズピンクのランニングの二コラ。
普通のようでいてちょっとパリオペ的にお洒落な衣装。
シンクロしているようでちょっとズレているふたり、の踊り。
普通の男女の不器用な愛情が温かくちょっぴり切ない感じで暗示されているよう。
二コラがギエムの背中をガシガシ噛んだり(もちろんジェスチャー)顔を足でなぞったり、
独創的なディテールはマッツ・エックならでは・・・
ではあるのですが、この2人なら違う、観たことのない別の作品を紹介してもらいたかったなぁ・・・
とはわれながらなんとも贅沢な感想。

◆「べラ・フィギュラ」

上半身にピッタリとフィットしたシースルーの半袖にショートパンツの黒い衣装のルグリ、
ワイン色のベアトップレオタードに黒のシースルーの10分丈レギンスのオレリー。
キリアン作品らしい衣装に身を包んだ2人。
コンテンポラリーなのですが、技巧を超えて余裕のある、
どこかに優雅さを秘めたふたりの醸し出す空間はなんともゴージャス。
最後、舞台後方を下手から上手にふたりが交互に犬の散歩のように(?)
四肢をゆっくりと地面につけて横切る様も優美な猟犬のようで美しかったです。

こうして振り返ると第2部はコジョカル組をお口直し、リフレッシュのためのアミューズとして(?)
挿入してはいるものの、ノイマイヤー、フォーサイス、エック、キリアンと
コンテンポラリーの巨匠のフルコース。
こういう演目をこのメンバーで見せるのですから・・・バレフェスってありがたいなぁと
改めて幸せを噛みしめました(^^)