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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

ロイヤル・バレエ「ロミオとジュリエット」6/27 ③

2010-07-11 23:19:31 | インポート
<第二幕>

第1場 市場

舞踏会の晩から、ジュリエットのことを思い続けているロミオ。
ベンヴォーリオとマキューシオが顔馴染みの娼婦たちといつものようにふざけていても彼一人は幸せそうに考え事をしています。 
細かく縮らせた赤毛を振り振り踊る娼婦役のラウラ・モレ―ラ、蓮っ葉なだけでなく、ちょっと気のいい情の深い感じが彼女ならではの味付けで絶品ですね。
いつもなら率先してふざけるロミオが大人しいので心配しますが、彼は彼女を引き寄せて、でもちょっと背伸びしてさりげなくチュッとおでこにキスします。
彼女のことが嫌いになったわけじゃないけれど、今はジュリエットに夢中なので・・という彼のキュートな意思表示。
結婚式の行列を観てもあぁ、自分とジュリエットなら・・と思ってしまう彼。
ジュリエットの乳母が手紙を手に登場。
ロミオを捜して回りますが、3人が入れ替わり立ち替わり、そのロミオは自分です!と名乗り出て見たり彼女をからかいます。ダメですよ、これは大切な手紙。直接ロミオさまに手渡さなくてはね!
最終的にちょっかいを出す二人の手を避けつつ手紙を受け取り、その場で読んであまりの嬉しさに乳母をセンターとして同心円を描くようにシェネで高速回転一周するロミオ。スゴイ!
なんというか。。。乳母を中心に身体が少しずつ外側に傾いて慣性の法則に従って自然とくるりと一周しているかのように見えるんです!あまりにそれが凄くて思わず会場から笑いが。

第2場 教会

秘密の結婚式を挙げる2人。僧ロレンスは二人の結婚が両家の和解につながることを願って協力を申し出ているのでした。
可憐な都さんのジュリエットは乳母を伴って登場。邪魔が入らぬよう、ひそやかに手早く誓いの言葉とキスでの結婚。

第3場 市場

ロミオはすぐに教会から市場に戻りました。
何事もなかったかのように・・。
ティボルトが現れ、モンタギューの一団を挑発します。
あぁ、言えないけれどももう僕と彼とは親戚なのか、とにこやかなロミオとそんな態度をいぶかしがるティボルト。
マキューシオが受けて立ちます。
二人の闘い。剣さばきが見事です。白熱する二人。
なんとかマキューシオが優位を保ち、ティボルトを軽く愚弄してから背を向けると・・・ちょっとこれは卑怯では?と思ったのですが背後から待てい、と追いかけてきたティボルトの剣が刺さった、という感じに。
おかしいな、いや大丈夫だ。。。大。。。丈夫なはず・・・だ・・・、
皆が注視する中、よろめいて死に至るマキューシオ。なかなかの演技巧者。最期にロミオにあいつと一戦交えてくれ、いいな、と剣を差し出し こと切れます。
ショックにうつむくロミオの脇を、まあ、仕方ないってことよと鼻で笑うように通り過ぎるティボルトに、悲しみにくれつつも衝動的に勝負を挑むロミオ。
かたき討ちは成功し、ティボルトが倒れると、ロミオは慌て、こんなはずでは・・・と運命の暗転を嘆きます。
その様子を建物の上から見てとったキャピュレット夫人が駆け下りてきて、ティボルトの亡骸を抱きしめ、その場に座り込み、地面をたたいては激しく慟哭します。
あまりの迫力にだれも何も言えず。
キャピュレット夫人のこの場の嘆きは、愛する甥っ子の死、というだけでなく、密かに愛人としていた彼の死に衝撃を受けたから・・とか色々は解釈がありますが、今日のジェネシア・ロサートの突き動かされるような激しさには圧倒され、理由はどうであれ、とにかく彼女にはそこまでの嘆きを表現する必然がある、と思わされるものでした。






ロイヤルバレエ「ロミオとジュリエット」6/27 ②

2010-07-11 20:53:44 | BALLET
これぞ!と思う感動の大きな舞台の感想になるとなぜか緊張して(?)というか
力みすぎてなかなか取り組めずに時が過ぎてしまう傾向にあるわたくし・・・
よろしくありませんね!

さて、ワールドカップ3位決定戦の素晴らしい試合内容を思い出しつつ(ウルグアイのフォルラン選手、大会MVPおめでとう!その価値のあるプレイ内容でした!)今夜3:30からのFINAL,
オレンジ対赤、という熱い闘いもまた楽しみ・・・

という間隙をついて、少しずつ、あの宝物のような舞台を思い返してみたいと思います

都さんは子供?と一瞬違和感を感じるほど、無邪気そのものの登場時から、少女ではあるのですが、その中にも場面ごとにくるくると変わる豊かな表情、おおげさでないのに伝わる表現が見事でしたが、今回、スティ―ブンのロミオの素晴らしさにも、彼の成長が感じられて眼福でした。少年なのですが、実に品があって、やんちゃな振りをしても育ちの良さが滲むのですよね・・・。
決して背が高くはないスティーブンですが腕のラインも全身のバランスも美しく、華奢で可愛らしい都さんと二人のバランスもとてもよかったと思います。

<第一幕>

第1場 市場

モンタギュー家のロミオは 美しいロザラインに憧れて今日も彼女を待ち伏せするが軽くあしらわれてしまいます。
恋する少年ロミオは爽やか。
マキューシオとベンヴォーリオがいつもつるんでいる仲間。
ベンヴォーリオに先日プリンシパルに昇格したばかりの(プログラムではまだファーストソリストの表記)セルゲイ・ポルーニンがキャスティングされていますが、3人そろってのジャンプやフェッテの際にも恵まれた体格、伸びやかな動きで目を惹きます。
マキューシオのブライアン・マロニーもどこが悪いというわけではないのですが、この二人と並んで同じ振付・・はちょっと分ブが悪いかも。
反目し合っているキャピュレット家の甥、ティボルトが登場。
こわもてなトーマス・ホワイトヘッド。ラインがきれいで殺陣も迫力があります。
ちょっとした口論から小競り合いとなり、広場じゅうの人たちも2手に分かれて剣で対立。
いつの間にやら両家の当主たちも加わって怪我人も続出。と思ったら、なんと!スティーブンの額に血が・・・
大丈夫かしら?
ヴェローナ大公が登場し、その場を諌めます。
キャピュレット公のギャリーがカッコイイ・・・彼は目力が強いので、大公に促されて剣を置くときにもぎょろりとモンタギュー公をねめつける様がなんとも言えません。

第2場 キャピュレット家のジュリエットの控えの間

お人形を手に、乳母に甘えるジュリエット。
大きな目をくりっとさせて、天真爛漫な子どもっぽい彼女。
突然両親が、知らない若い男性を伴って現れます。
初対面の婚約者、パリス。このパリス役のヨハネス・ステパネクがとてもよかった。
エレガントで優しげな容姿だけでなく、子供のように、目は興味を示しているのに人見知りしてパドブレでスススと乳母の影に隠れてしまう純真な乙女に思わず口元がほころぶ様など、イイ人みたいで良かったじゃない?ジュリエット!と声をかけたくなるほど(笑)
「大変可愛らしいお嬢さんですね」「そうかね、よかった。。いや、まだ子供でね」という会話を交わす未来の婿と舅・・。
立ち去る3人。
びっくりしたわ~と人形をまた手にするジュリエットに、「ジュリエットさまももうお年頃なのですから・・・ほうら」と
乳母に促されて胸に手をやりびっくりしたように目を見張るジュリエット。
ここがあのバルコニーのシーンの伏線となっているですね・・・

第3場 キャピュレット家の外

ジュリエットのお披露目?お誕生日?婚約発表?の仮面舞踏会。
門の前で招待客を迎えるのはティボルトです。ロザラインに渡したバラを、彼女はちょっと思わせぶりに、いち早く彼女の登場を見てまとわりついてきたロミオに手渡します。俄然、舞踏会に忍び込むモチベーションUP(笑)入場時にそっと彼女にバラを返して、マンドリンを手にした悪童(の割には上品ですが)3人、仮面をつけて彼女を追います。

第4場 舞踏会場

荘厳な音楽に合わせて、貴族の踊り。センターのキャピュレット公ギャリーに目が行きますが、下手にパリス、上手にティボルト、もなんとも観ていて心地よいこと。 女性の袖口が大きく開いて振袖のように長く下がったドレスと大きく巻いて髪を覆ったボリューミーなターバンがエキゾチック。エトロのアイコン的なペーズリーのスカーフのような深いオレンジ、ゴールドブロンズ系の豪華な織の衣装。トランプの王様のようなシルエットのギャリーの衣装もバロックダンスの動き、そして音楽にあっていて、このシーン、しばし陶然とさせられます。
ジュリエットがパリスと二人で踊ります。はにかみながらも時折見せる笑顔がなんともチャーミング。
ここでパリスに対してなんの感情もない、寧ろ嫌い、という演技をするジュリエットもいますが、都さんのジュリエットはまだ恋を知らないので、男の人と二人で踊る、ということに少女らしい恥じらいを持ちながらも大人の社交界にデビューするというその場を楽しんでいる様子。
そんなジュリエットをとろけるような優しさでエスコートするパリス。
どこからみてもパーフェクトなカップル。

ジュリエットのお友達が踊りを披露します。
彼女たちのために、マンドリンを膝に置いてつまびくジュリエット。
少女たちに混ざって、遮って、舞い踊るロミオ。だれなのかしら。皆の視線が集まります。
そして彼のソロ。お見事!
ジュリエットも踊りを披露します。パリスは微笑んで眺めつつ、周囲の知人と挨拶をしたりしていますが、もうこのときジュリエットの視線はひと時もロミオから離れることはなく、一身に見つめ合っています・・・。
マキューシオがロミオから人々の注目をそらすために踊りますが、ティボルトがそれと気づいてしまいます。
舞踏会にふさわしからぬ対決の火種をおさえるべく、キャピュレット公がロミオを客として歓迎するという意思表示をして、熱くなりやすいティボルトを牽制。

愛5場 キャピュレット家の外

舞踏会から帰る客たちをお見送り。
外で待つ籠を担ぎ、門番2人を大きな鬘をかぶった子供が左右対称形に配されているのがピーター・グリーナウェイの映画のバロック趣味のような感じで、雰囲気があります。
歩いて帰るもの、喧嘩しながら帰るカップル。丁寧に挨拶していとまごいをする客・・など、このの描写も演技が細やか。
ロミオに絡もうとするティボルトをキャピュレット公が再び諌めます。

第6場 バルコニー

待ってました!
もっとも美しい初恋の高ぶる心をそのまま映したようなパ・ド・ドゥ。
夜空に星のきらめくバルコニー。見慣れた手すりに細いカーブした階段・・はなく、石造りの無骨な土台があるばかり、でちょっとイメージの違うセットではありましたが、都さんが天を仰いで、ロミオを思う・・その音楽と表情で、すぐにバレエの世界に惹きこまれました。
マントを翻して中庭に現れたのはロミオ!
階段を駆け下りるジュリエット。見つめ合う眼と眼。
もっと自分の気持ちをわかって欲しい!そう!とロミオの手を取り、衝動的に自分の胸に当てるジュリエット。
あの乳母に、もう子供じゃないのですから、と自覚を持たされた、その気持ちを伝えるときにロミオに同じように胸に触れてもらう・・という行為はとても象徴的で切迫感がありますね。
彼女の心がすっかりわかって有頂天になるロミオの舞。
重力がないように軽やかに身体を預け、回転し・・とはいえ、この日はタイミングの問題か、リフトが思ったほど高くは上がらなかった模様。そんな中でも都さんは高々と掲げられているのと同様に美しい身体のラインをキープしたポージングで、さりげなくフォロー。とても上手にフォローしていらしたので、気付かない方のほうが多かったかもしれませんね。
美しい音楽と初々しい二人の高まる心が伝わってきてうっとり・・・。
いつまでも観ていたいシーン、最期、バルコニーの上に上がったジュリエットのほうに再び駆け寄り、上と下で互いに手を伸ばし合う・・・
別れがたい心を見せる名場面です。