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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

ロイヤル・バレエ「ロミオとジュリエット」 6/27 ④

2010-07-13 04:48:37 | BALLET
ワールドカップも終了!
決勝戦のオランダvsスペイン
スコア的には接戦でしたが、ファウルも少なく、美しいパスサッカーで大会を通じて良いパフォーマンスをしていたスペインチームの優勝は誰もが納得?
個人的には、今回のW杯のBestFightは3位決定戦、ドイツvsウルグアイの一戦。
激しい攻防の末、このPKが決まれば延長!というところで無情にバーをたたくボール・・・
でも、このPKを蹴ったウルグアイのディエゴ・フォルランが放った2点目の鋭いボレー・シュートはミラクル!
そしてこの大会5点目で大会得点王の4傑の一人として名を残し、なおかつ大会MVPに輝いたのはファンとしても嬉しい限り・・・でした

さて、本題に(笑)

<第3幕>

第1場 ジュリエットの寝室

朝、ロミオが先に目覚め、ジュリエットを起こさないように、そっと頭をなで、キスして起き上がります。
そっと出ていくつもりがジュリエットが気配を察して起き上がり、別れのパ・ド・ドゥ。
彼は割とさっさと出て行かなくてはならない・・・という気持ちが先に立っているのか、あまり未練を残さずスマートに出ていきます。

一人残されたジュリエットに試練が。

昨夜の婚約式の翌日の結婚式に向けて、ティボルトの喪中ではあるものの、この話を進めるつもりの両親と婚約者が、早朝からジュリエットを訪ねます。キャピュレット夫人の黒い薄物のヴェールがティボルトを失った悲しみを残してはいますが。
ここでジュリエットは豹変・・・。
ロミオの妻となった彼女にとって、パリスに手を取られることはもう我慢のできない違和感を覚えることなのでしょう。
激しく身震いして嫌がり、身を翻して手をすり抜ける様は本当に皮膚感覚で拒絶している感じがまざまざと伝わり、彼女にとってロミオとの秘密裡の結婚によっていかに難しい局面にたたされているのか、同情を禁じえません。
同情と言えば、昨夜の舞踏会ではとても愛らしく一緒に踊ってくれたジュリエットの嫌悪さえ漂う拒絶ぶりに大いに心を傷つけられた様子のパリスもお気の毒。
何をわがままな気まぐれを言っているんだ!叱り飛ばす父、キャピュレット公。
乳母に抱きついても母にすがっても、父の心が変わらなければ何も変えられません。
全く何を考えているんだか・・・やれやれ、といった様子でいったん引き揚げる一行。

再び、一人残されてベッドに座るジュリエット。
ここでは、表情の変化だけで、全てを表します。
どうしてもパリスの妻にさせられてしまう・・・!という絶望的な気分から、次第にこうしてはいられない、ロミオとの愛の成就のために、できることは何?そうだわ、行動しなくては!との気持ちの変化が瞳だけで表現されています。
明け方の光とともに、ドラマティックにその心が表されていて、固唾をのんで見つめてしまいます。

第2場 教会

ロレンス神父のもとに走るジュリエット。
早朝のミサの準備でしょうか。ちょうど神父と会うことが出来、もう、どうしたらよいか・・・!!とすがるジュリエット。
そうだ、お待ちなさい。と再び姿を現した時には銀の薬入れを手にした神父。
一時的に死んだ状態になる薬草。再び目覚めたときにロミオがあなたを連れ去るように計らいましょう。と神父。

第3場 ジュリエットの寝室

戻るとまもなく再度様子を観に来た両親とパリス。
今度はジュリエット、YESと承諾の意を示します。あぁ良かった。
ひざまづいて微笑み、ジュリエットの手にキスをしようとするパリス。承諾の意は示したものの、ここでも都さんはハッと手をひっこめてしまいます。あぁ・・・。
でも、まぁ、承諾してくれたことだし。
この年頃はどうも気まぐれで・・・わが子ながら手を焼きますよ。にこやかに退出する一行。

意を決して薬を飲むジュリエット。程なくブライスメイドの衣装に身を包んだ6人のお友達がブーケを手に祝福に訪れます。
ジュリエット、お寝坊さん、起きてよ!
笑い声で幸せそうにさんざめいていた少女たちが異変に気付きます。
そこに現れた両親とパリス。
皆の様子がおかしい!
ジュリエットの脈をとり、死を知った父、キャピュレット公の落胆と嘆き・・・厳しくはありましたが、本当に娘を可愛がっていた父親としての情愛を感じさせるギャリーの演技。

「ロミオとジュリエット」におけるジュリエットの両親とパリスは、封建的な家庭の家父長が家の利益を第一に非人間的な冷酷さをもって押しつける結婚、そして気取った鼻もちならない婚約者、という造型で淡々と語られる場合を多く見受けますが、今回のロイヤルのロミジュリでは、良かれと思って事を取り運ぶ愛情豊かな父親と控え目な母、優しくジュリエットに愛情を抱く婚約者、という設定で、誰が悪いわけでもないのに・・・という前提の下の悲劇として描かれているがゆえに、一層運命の残酷さに焦点が合う、という印象を受けました。

第4場 キャピュレット家の墓室

ティボルトを殺めたことにより、ヴェローナを追放の処分になっていたロミオが戻った時には、すでにジュリエットの夭折が伝わっていました。僧ロレンスにことの次第を確認することなしに、ジュリエットの墓に忍び込んだロミオ。

墓室の中、墓石の上に横たわるジュリエットに近親者が最期の別れの儀式をしています。
最後、ひとり残って婚約者のために祈り、十字を切るパリス。
ジュリエットの墓に曲者が!と丁度その場を見たロミオが飛び出してきて、有無を言わせず彼を切り捨てます。
よろよろと上手側に倒れるパリス(あぁ・・・本当に気の毒!!)

ジュリエットの死体をなんどもなんども起こそうとし、彼女の腕を肩にかけ、また再び踊ろうとするロミオ。
リフトしてもだらりとその力ない手足を動かすことのないジュリエット。
なかなかその事実を受け入れることが出来ず、無駄な試みを繰り返す悲痛なロミオ。
ここで特筆すべきは、死体として、どんなに引きずられたり持ち上げられたりしても、全く自らが力を入れているようには見せない都さんのボディコントロール。かといってグダグダになるわけでもなく、都度力ないまでも美しさを損なわないポーズはキープしているあたりがなんとも素晴らしい。
スティーブンも、力任せに死体をふりまわしているようではなく、愛するジュリエットに対する丁寧な扱いゆえに、悲痛な中にも乱暴な感じをあまり与えません。最後 諦めて再び彼女を横たえるときのそっと墓石に載せるその優しさに、一層悲しみを深くさせられました。

なにかあった時のため?常備していた毒薬を飲み干し、後を追います。
そして息絶えるとほど同時に目覚めるジュリエット。
まずパリスが倒れているのが眼に入り、なぜ?!と驚き、次に、すぐさまロミオに気付きます。
喜んでそしてショック、というのではなく、一目で彼の状態を見てとり、小さく声もなく叫ぶ。
大げさな嘆きではない自然な演技。
彼の毒薬入れの銀の容器を見つけて残りを飲もうとするが中身は残っていません。
墓石を挟んで上手側で、パリスを殺めたロミオの短刀を手にし、決意してみぞおちにその刃を突きたてます。
いまわの際、ロミオの近くで・・・と一生懸命身体を台の上に運び、寝台の下手側下にいるロミオの身体に触れようと必死で腕を伸ばします。そう、ちょうどバルコニーのシーンでバルコニーの上と下で腕を差し伸べあい、お互いを求め合ったあの星降る夜のように・・・
そしてふっと微笑み、天に召されるジュリエット。

何度も何度も繰り返されるカーテンコール。
夢中になって拍手を続けているとボウッとしてきて微笑む二人をあと一度観られる、でもあと一度だけなのか・・と思いながら観ていました。

この日のデマチは蒸し暑い日であったにも関わらず、終演の9時半ごろから都さんのサイン会が始まる11時頃まで、大変にぎわいました。
ロイヤルバレエのダンサーは、ファンと交流するのを楽しむタイプの方が多く、
またファンも英語でコミュニケートできるからか、ゆっくり一人ひとりのダンサーに感想を述べたり、写真を撮ったり・・で和やかな雰囲気。
スティーブンはおでこに小さな絆創膏を貼っていましたよ。
もう大丈夫、と言っていました。額の真ん中なので跡にならなければ良いのですが・・・。
都さんはお疲れでしょうに、サイン会の形式で、並んで待つファンの最後の一人まで、微笑みながら応対してくださいました。

今回の舞台で嬉しかったことがもう一つ。
NBSの佐々木さんが”張り込んで”くださったのか、オケが東フィル!
で、プロコフィエフですから、かなり本気で取り組んでいることがわかる演奏!
(所謂バレエ音楽、ですと手を抜く傾向?あり)
特に弦は良かったです。
第3幕のプロローグでピアニッシモからフォルテに、不協和音を重ねていくところ、とてもキレイに揃っていてコントロールの効いたタメがドラマティックでした。(ここが予定して、ではない不協和音・涙になることや、音がバラバラになることが多いので・・・)
このプロコフィエフの「ロミオとジュリエット」のスコアはそれ自体大好きなので、耳も眼も、本当に満足の出来る、素晴らしい舞台でした