2013年7月7日(日)18:00~
英国ロイヤルバレエ団2013年来日公演のオープニング作品、
「不思議の国のアリス」
ゲネプロと初日を観劇してとても良かったので、追加公演にも行って参りました。
英国ロイヤル・バレエ団2013年日本公演
「不思議の国のアリス」
振付: クリストファー・ウィールドン
音楽: ジョビー・タルボット
編曲: クリストファー・オースティン、ジョビー・タルボット
-------------------------
アリス: 崔 由姫(チェ・ユフィ)
ジャック/ハートの騎士: ニーアマイア・キッシュ
ルイス・キャロル/白うさぎ: リカルド・セルヴェラ
アリスの母/ハートの女王: ラウラ・モレーラ
アリスの父/ハートの王: アラステア・マリオット
マジシャン/いかれ帽子屋: アレクサンダー・キャンベル
ラジャ/イモ虫: エリック・アンダーウッド
侯爵夫人: ギャリー・エイヴィス
牧師/三月うさぎ: ポール・ケイ
聖堂番/眠りネズミ: ロマニー・パイダック
料理女: クリステン・マクナリー
召使い/さかな: ルドヴィック・オンディヴィエラ
召使い/カエル: ダヴィッド・チェンツェミエック→蔵健太
アリスの姉妹たち: リャーン・コープ、エマ・マグワイア
執事/死刑執行人: マイケル・ストイコ
3人の庭師: アクリ瑠嘉、トリステン・ダイアー、ジェームズ・ヘイ
不思議の国の登場人物たち:英国ロイヤル・バレエ団
指揮者: デヴィッド・ブリスキン
オーケストラ: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
協力: 東京バレエ団、東京バレエ学校
◆上演時間
第一幕 18:00 - 18:50(休憩 20分)
第二幕 19:10 - 19:40(休憩 25分)
第三幕 20:05 - 20:50
ギャリーの侯爵夫人目当てに取ったチケットでしたが、いつかは主役を観たい!と思っていたチェ・ユフィさんが主役で思いがけないボ―ナスがついてきた気分。
2002年のローザンヌで第一位とコンテンポラリー賞を受賞したときのパフォーマンスがローザンヌコンクール生離れした成熟ぶりだったので、その後、彼女がロイヤルに入団し、順調に昇進している様子にいつかは彼女メインの舞台を観てみたいと思っていたのですが、それがまさかアリスとは^^;
ちょっと予定外ではありましたが、サラ・ラムとはまた違った個性でとても魅力のあるアリスでした。
存在そのものがフェアリーテイルの世界の住人・・なサラは見た目からしてすんなりアリスでしたが、ユフィさんは勿論東洋人ですし、背もすらりと高いので、最初はちょっと違和感を感じなくもなかったのですが・・・。
Cuteな表情や伸びやかな踊りの表現に次第に気にならなくなり、最後のジャックとアリスのグラン・パ・ド・ドゥでは、初日のカップルには感じなかったセンターを踊るダンサーの求心力とでも言うべきものを強く感じ、わざとらしいまでに盛り上げる要素をてんこ盛りにした振付と、その役割をになうことを任じて作曲されたのであろうドラマチックな曲想で、却ってパロディ感が出てしまって軽く感じるこのPDDが、本気で物語の大きな山場としての存在を勝手に誇示し始めたのを感じて、これが、ダンサーのオーラというものか・・・と改めて感動。
思えば、サラ・ラムについては、ソリスト時代になんてすてきなフェアリータイプのダンサーだろう、早くプリンシパルに昇格しての主役を観たいものだと思っていた希望が実現した「眠りの森の美女」で、(これは版がつまらなかったせいもあるのですが)そのライトな属性に、オーロラに必要な姫としての押し出しの強さがない・・・四季の妖精に溶け込んでしまっている・・・とがっかりしたのを思い出したのですが。
この賑々しい作品「アリス」においては、サラの持ち味は却って爽やかな一服の清涼剤となっていて素敵でした。
こういう使い方があるのだなぁと感心。
グラン・パ・ド・ドゥにおいてのユフィさんの存在感、パートナーとの自然な心の通わせ方、伸びやかな踊りそのものの魅力など、もっと彼女で色々な作品を観てみたいものだなぁと思ったことでした。
以下、ダンサー別に一言ずつ・・・。
■ジャック/ハートの騎士: ニーアマイア・キッシュ
この作品が初見のダンサーです。アメリカ人でデンマーク・ロイヤル・バレエを経て移籍してきたプリンシパル。
スラリとした貴重な長身ダンサーですので、きっとゼナイダやユフィさんら、長身の女性ダンサーの相手役として重用されているのでは?
特筆すべきは、この衣装レベルがおしなべて高いこの公演中唯一残念だったハートのジャックのお衣装を着こなしてカッコ良い王子様に見えたこと。ボネッリのときには正直彼が気の毒だったので・・・。
モデル体型は武器ですね。
■ルイス・キャロル/白うさぎ: リカルド・セルヴェラ
初日は3月ウサギでしたので、これでセルヴェラの白・茶両方のウサギを観られて満足です^^
彼のゴムまりのように弾む跳躍、活き活きとした踊りはウサギ役にピッタリですね。
ワトソンのスノッブなチョイ悪ウサギとはちょっと違う心温かいうさぎさんでした。
■アリスの母/ハートの女王: ラウラ・モレーラ
正直あの衣装というか装置というか・・・はゼナイダの肩幅あってのデザインなので、普通の女性体型(え、ではゼナイダって・・・^^;)のモレ―ラは埋もれ気味でした^^;
が、圧巻の専制君主っぷりで周囲を圧倒したヤノウスキーに対し、モレ―ラの女王はちょっとコケティッシュ。
わがままだけれど憎めない感じでまた違うキャラがたっていて魅力的でした。
踊りのクオリティはこちらもバッチリ!でした。
■アリスの父/ハートの王: アラステア・マリオット
完全に尻にしかれている夫の風情ながら、裁判の最期で、女王をたしなめるときに王の風格を垣間見せたのがさすがのキャリア。
■マジシャン/いかれ帽子屋: アレクサンダー・キャンベル
大健闘していましたが、改めて、ちょっと靴音が重い?と思ったスティーブンがいかに正確にきっちりとタップのリズムを刻んでいたのかがわかり、スティーブン・マックレーの偉大さを再確認。
■侯爵夫人: ギャリー・エイヴィス
どんなにワイルドな場面でも、ギャリーだとどこか良いヒトになりますし、長身のバランスのとれた体型でドレスさばきも上手いので、メークでUGRYに作り込んでもどこかしら品が良いのですよね・・・(贔屓目)
裁判の場面でアリスとジャックの感動のパドドゥにほだされる2人は、この日は侯爵夫人と眠りネズミで、しっかと手を握り合っていました^^
■聖堂番/眠りネズミ: ロマニー・パイダック
ソリストの下のファーストアーティストポジですが、ティーポットからアリスに助け出されたときにびしょぬれで可哀そうな感じとか、カーテンコール中も思わず眠ってしまいそうになってみせたり、上記のギャリーとの愛情溢れる絡みなど、演じることの好きな人なのかなと。可哀そうカワイイキャラでした。
■料理女: クリステン・マクナリー
ソリスト。ソーセージ工場?の場面での鬼気迫る包丁さばき?と、クロケット場面での、首切り役人に一目ぼれして、何気にアピールする様など、芝居心満点。将来、プリンシパル・キャラクター・アーティストの方向に行きそうな人材。
■ 3人の庭師: アクリ瑠嘉、トリステン・ダイアー、ジェームズ・ヘイ
アクリ瑠嘉さんは2010年のローザンヌのファイナリストですね。
日伊ハーフで印象に残っていますが、ロイヤル・バレエ学校にスカウトされたと聞いていたのでそのうち出てくるかな?と思っていたら、2013年2月にバレエ団に入団していて・・・早速役がついて良かったですね。
平野さん、蔵さんに続く日本人男性ダンサーで、これからも活躍していただきたいです^^
■クローバーの7: 高田茜
2008年観客賞とプロ研修賞を取ったローザンヌを経てロイヤルで活躍中・・・のダンサー。個人的にとても注目しているのが高田さん。
初日は余裕がなくて探せなかったのですが、この日はしっかりと^^
トランプの精?たち、赤と黒でお化粧も統一していて、黒の女性は暗い紫の口紅にダークグレーのアイシャドウで、ちょっとモード系のメ―クだったのですが、それもまたお似合いでした。
踊りは期待に違わず、指先まで丁寧でメリハリもあり、良かったです
女性もユフィさんを筆頭に(彼女は国籍KOREAですが、福岡出身で出身バレエ学校も日本なので^^)、小林さん、高田さん、金子さんとこれまた日本人女性ダンサーも充実していて、楽しみです。
高田さんは「白鳥の湖」ではコジョカルの日にトロワを踊られるとか・・・
わたくしは観られないのですが、行かれる方は要・注目!ですよ
英国ロイヤルバレエ団2013年来日公演のオープニング作品、
「不思議の国のアリス」
ゲネプロと初日を観劇してとても良かったので、追加公演にも行って参りました。
英国ロイヤル・バレエ団2013年日本公演
「不思議の国のアリス」
振付: クリストファー・ウィールドン
音楽: ジョビー・タルボット
編曲: クリストファー・オースティン、ジョビー・タルボット
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アリス: 崔 由姫(チェ・ユフィ)
ジャック/ハートの騎士: ニーアマイア・キッシュ
ルイス・キャロル/白うさぎ: リカルド・セルヴェラ
アリスの母/ハートの女王: ラウラ・モレーラ
アリスの父/ハートの王: アラステア・マリオット
マジシャン/いかれ帽子屋: アレクサンダー・キャンベル
ラジャ/イモ虫: エリック・アンダーウッド
侯爵夫人: ギャリー・エイヴィス
牧師/三月うさぎ: ポール・ケイ
聖堂番/眠りネズミ: ロマニー・パイダック
料理女: クリステン・マクナリー
召使い/さかな: ルドヴィック・オンディヴィエラ
召使い/カエル: ダヴィッド・チェンツェミエック→蔵健太
アリスの姉妹たち: リャーン・コープ、エマ・マグワイア
執事/死刑執行人: マイケル・ストイコ
3人の庭師: アクリ瑠嘉、トリステン・ダイアー、ジェームズ・ヘイ
不思議の国の登場人物たち:英国ロイヤル・バレエ団
指揮者: デヴィッド・ブリスキン
オーケストラ: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
協力: 東京バレエ団、東京バレエ学校
◆上演時間
第一幕 18:00 - 18:50(休憩 20分)
第二幕 19:10 - 19:40(休憩 25分)
第三幕 20:05 - 20:50
ギャリーの侯爵夫人目当てに取ったチケットでしたが、いつかは主役を観たい!と思っていたチェ・ユフィさんが主役で思いがけないボ―ナスがついてきた気分。
2002年のローザンヌで第一位とコンテンポラリー賞を受賞したときのパフォーマンスがローザンヌコンクール生離れした成熟ぶりだったので、その後、彼女がロイヤルに入団し、順調に昇進している様子にいつかは彼女メインの舞台を観てみたいと思っていたのですが、それがまさかアリスとは^^;
ちょっと予定外ではありましたが、サラ・ラムとはまた違った個性でとても魅力のあるアリスでした。
存在そのものがフェアリーテイルの世界の住人・・なサラは見た目からしてすんなりアリスでしたが、ユフィさんは勿論東洋人ですし、背もすらりと高いので、最初はちょっと違和感を感じなくもなかったのですが・・・。
Cuteな表情や伸びやかな踊りの表現に次第に気にならなくなり、最後のジャックとアリスのグラン・パ・ド・ドゥでは、初日のカップルには感じなかったセンターを踊るダンサーの求心力とでも言うべきものを強く感じ、わざとらしいまでに盛り上げる要素をてんこ盛りにした振付と、その役割をになうことを任じて作曲されたのであろうドラマチックな曲想で、却ってパロディ感が出てしまって軽く感じるこのPDDが、本気で物語の大きな山場としての存在を勝手に誇示し始めたのを感じて、これが、ダンサーのオーラというものか・・・と改めて感動。
思えば、サラ・ラムについては、ソリスト時代になんてすてきなフェアリータイプのダンサーだろう、早くプリンシパルに昇格しての主役を観たいものだと思っていた希望が実現した「眠りの森の美女」で、(これは版がつまらなかったせいもあるのですが)そのライトな属性に、オーロラに必要な姫としての押し出しの強さがない・・・四季の妖精に溶け込んでしまっている・・・とがっかりしたのを思い出したのですが。
この賑々しい作品「アリス」においては、サラの持ち味は却って爽やかな一服の清涼剤となっていて素敵でした。
こういう使い方があるのだなぁと感心。
グラン・パ・ド・ドゥにおいてのユフィさんの存在感、パートナーとの自然な心の通わせ方、伸びやかな踊りそのものの魅力など、もっと彼女で色々な作品を観てみたいものだなぁと思ったことでした。
以下、ダンサー別に一言ずつ・・・。
■ジャック/ハートの騎士: ニーアマイア・キッシュ
この作品が初見のダンサーです。アメリカ人でデンマーク・ロイヤル・バレエを経て移籍してきたプリンシパル。
スラリとした貴重な長身ダンサーですので、きっとゼナイダやユフィさんら、長身の女性ダンサーの相手役として重用されているのでは?
特筆すべきは、この衣装レベルがおしなべて高いこの公演中唯一残念だったハートのジャックのお衣装を着こなしてカッコ良い王子様に見えたこと。ボネッリのときには正直彼が気の毒だったので・・・。
モデル体型は武器ですね。
■ルイス・キャロル/白うさぎ: リカルド・セルヴェラ
初日は3月ウサギでしたので、これでセルヴェラの白・茶両方のウサギを観られて満足です^^
彼のゴムまりのように弾む跳躍、活き活きとした踊りはウサギ役にピッタリですね。
ワトソンのスノッブなチョイ悪ウサギとはちょっと違う心温かいうさぎさんでした。
■アリスの母/ハートの女王: ラウラ・モレーラ
正直あの衣装というか装置というか・・・はゼナイダの肩幅あってのデザインなので、普通の女性体型(え、ではゼナイダって・・・^^;)のモレ―ラは埋もれ気味でした^^;
が、圧巻の専制君主っぷりで周囲を圧倒したヤノウスキーに対し、モレ―ラの女王はちょっとコケティッシュ。
わがままだけれど憎めない感じでまた違うキャラがたっていて魅力的でした。
踊りのクオリティはこちらもバッチリ!でした。
■アリスの父/ハートの王: アラステア・マリオット
完全に尻にしかれている夫の風情ながら、裁判の最期で、女王をたしなめるときに王の風格を垣間見せたのがさすがのキャリア。
■マジシャン/いかれ帽子屋: アレクサンダー・キャンベル
大健闘していましたが、改めて、ちょっと靴音が重い?と思ったスティーブンがいかに正確にきっちりとタップのリズムを刻んでいたのかがわかり、スティーブン・マックレーの偉大さを再確認。
■侯爵夫人: ギャリー・エイヴィス
どんなにワイルドな場面でも、ギャリーだとどこか良いヒトになりますし、長身のバランスのとれた体型でドレスさばきも上手いので、メークでUGRYに作り込んでもどこかしら品が良いのですよね・・・(贔屓目)
裁判の場面でアリスとジャックの感動のパドドゥにほだされる2人は、この日は侯爵夫人と眠りネズミで、しっかと手を握り合っていました^^
■聖堂番/眠りネズミ: ロマニー・パイダック
ソリストの下のファーストアーティストポジですが、ティーポットからアリスに助け出されたときにびしょぬれで可哀そうな感じとか、カーテンコール中も思わず眠ってしまいそうになってみせたり、上記のギャリーとの愛情溢れる絡みなど、演じることの好きな人なのかなと。可哀そうカワイイキャラでした。
■料理女: クリステン・マクナリー
ソリスト。ソーセージ工場?の場面での鬼気迫る包丁さばき?と、クロケット場面での、首切り役人に一目ぼれして、何気にアピールする様など、芝居心満点。将来、プリンシパル・キャラクター・アーティストの方向に行きそうな人材。
■ 3人の庭師: アクリ瑠嘉、トリステン・ダイアー、ジェームズ・ヘイ
アクリ瑠嘉さんは2010年のローザンヌのファイナリストですね。
日伊ハーフで印象に残っていますが、ロイヤル・バレエ学校にスカウトされたと聞いていたのでそのうち出てくるかな?と思っていたら、2013年2月にバレエ団に入団していて・・・早速役がついて良かったですね。
平野さん、蔵さんに続く日本人男性ダンサーで、これからも活躍していただきたいです^^
■クローバーの7: 高田茜
2008年観客賞とプロ研修賞を取ったローザンヌを経てロイヤルで活躍中・・・のダンサー。個人的にとても注目しているのが高田さん。
初日は余裕がなくて探せなかったのですが、この日はしっかりと^^
トランプの精?たち、赤と黒でお化粧も統一していて、黒の女性は暗い紫の口紅にダークグレーのアイシャドウで、ちょっとモード系のメ―クだったのですが、それもまたお似合いでした。
踊りは期待に違わず、指先まで丁寧でメリハリもあり、良かったです
女性もユフィさんを筆頭に(彼女は国籍KOREAですが、福岡出身で出身バレエ学校も日本なので^^)、小林さん、高田さん、金子さんとこれまた日本人女性ダンサーも充実していて、楽しみです。
高田さんは「白鳥の湖」ではコジョカルの日にトロワを踊られるとか・・・
わたくしは観られないのですが、行かれる方は要・注目!ですよ