maria-pon

お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

「オマージュ・ア・ベジャール」 ①

2009-08-16 11:08:51 | BALLET
今日は2日連続のベジャール・プロの初日に行って参ります。
東バとベジャールバレエ団のジル・ロマンとエリザベット・ロス、
そしてパリ・オペラ座からのルグリとイレールで構成された2時間のプログラム。
それぞれに見所がありそうですが、男性陣の群舞「ルーミー」と木村さんの「鳥」は
初見なので楽しみにしています。
ベジャールバレエからは里帰りも兼ねて?那須野さんがジルたちと同じタイミングで
東京入りして、小林十市さんともども指導に当っているそうですので、「ルーミー」には
期待(笑)

そして「さすらう・・・」は
何度も観る機会に恵まれている名作なれど、今回の公演で幕を引かれるらしいことを
イレールご自身がNBSのプログラムに寄せておっしゃっているので、今回ラスト2回、ということで
しっかりと眼に焼き付けておきたいと思います


第12回世界バレエフェスティバル 特別プロ
<オマージュ・ア・ベジャール>
◆主な配役◆

<第一部>

「ルーミー」 音楽:クドシ・エルグネル
高橋竜太、平野玲、松下裕次、氷室友、長瀬直義、横内国弘、
小笠原亮、宮本祐宜、梅澤紘貴、中谷広貴、安田峻介、
柄本弾、佐々木源蔵、杉山優一、岡崎隼也、八木進

「ザ・カブキ」より由良之助のソロ 音楽:黛 敏郎
高岸直樹

「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」 音楽:クイーン
エリザベット・ロス

「鳥」 音楽:マノス・ハジダキス
木村和夫

「アダージェット」 音楽:グスタフ・マーラー
ジル・ロマン


<第二部>

「バクチIII」 音楽:インドの伝統音楽
シャクティ:上野水香
シヴァ:後藤晴雄

「さすらう若者の歌」 音楽:グスタフ・マーラー
ローラン・イレール、マニュエル・ルグリ

「ボレロ」 音楽:モーリス・ラヴェル
首藤康之
平野玲、松下裕次、長瀬直義、横内国弘


※音楽は特別録音によるテープを使用します。

◆タイムテーブル◆

第一部 15:00-15:55
休憩 20分
第二部 16:15-16:55




第12回世界バレエフェスティバル ガラ ⑥

2009-08-16 11:07:53 | BALLET
遅ればせながら(8/24)
ファニーガラの記録なぞ・・・。

本編(笑)が22時頃に終了、ファニーメイク中?の白塗り楽屋着?のマラーホフ隊長(笑)が登場、
バレフェス主催者であるNBS総裁の佐々木忠次氏の挨拶です。
舞台に立つときに支えの手が必要・・・というのは本当にご高齢になられたのだなぁと
感慨深く思うとともに、このような大きなイベントを成功させるに不可欠な氏の情熱と人脈の
深さに感謝し、心の中でご健康を祈るわたくし。

今回、オケは東フィルを”奮発”したこと(これ、ウケました)
フェッテでの手拍子批判(大阪のおばさん発祥=大屋政子氏のことか)

そして、いつものように、ファニーガラ参加者の早口でのご説明。

オーケストラピットの東フィルの方にお疲れ様。
ファニーガラをご覧になりたい方はお残りになっても・・・とおっしゃっていましたが
実際にオケピから鑑賞された方はいらしたのでしょうか?(笑)

さて、第2部です。
「第13回世界バレエフェスティバル 予告編」

コッペリアのような2つのちょっと怪しげな扉が上手と下手に置かれ、
登場したのは先程の白塗りが完成した、ジゼルなマラーホフ!
下手からはとても可愛いアルブレヒト・・・ヴィシニョーワ!?

ヴィシってチュチュだととても筋肉質に見えるのに男性の衣装だととても華奢で小柄。
対するマラーホフは王子スタイルだと中性的と言っても良いほどほっそりとしているのに
チュチュを着ると上半身の筋肉がしっかりとしていてとてもじゃないけど女性には見えない(笑)
上手側にベンチがあり、ピンクのチュチュに色とりどりの鬘と大きなリボンに濃いメークの
態度のデカイバレリーナ集団がたむろしています。
中央近くのマッカテリはわかりましたが、化けすぎてだれがだれだかわかりません・・・
え?まさかのバランキエヴィッチ!と意外ときれいなコンヴァリーナ(笑)フォーゲルくんも。

ジゼルはアラベスクの決めポーズで台車にのり(爆)パドブレしているかのように右に左に
自在に動きます。
台車から降りてポワントできれいに踊るマラーホフ・・・さすがにファニーガラの
リーダー。慣れていますね。パドブレもキレイにこなします。
ひざまづくアルブレヒトの前に立ちふさがり、よりかかってアルブレヒトをつぶしてしまいましたxx

「海賊」のオダリスクのパ・ド・トロワを踊るのはマッカテリ、コンヴァリーナ、バランキー。
バレフェス参加者はとりあえずポワントの練習必須という暗黙の了解があるのでしょうか(笑)
踊れてしまうのは凄いですよね!

「海賊」のギュリナーラ登場。ヴェールに包まれていますがなんとシムキンくん。
奴隷承認ランケデムに扮するのは小さなコチェトコワ。
ヴェールをギャラリーのバレリーナたちにひっぱられてくるくるまわるシムキンくん。

すると上手から背の高いフロリナ王女が・・・
え?サラファーノフ??
少年体型の彼はとても真っ当にフロリナ王女のソロを見事に踊りきります!
フロリナ王女と来れば、次は青い鳥!
扉のカーテンが開いて姿を現したのはなんとアイシュバルト。
ポーズを取ったその瞬間・・・
ズドン!
下手にひそんでいたのは指揮者のオブジャ二コフさん。
いつの間にか、ジゼルのヒラリオン姿になって猟銃を肩にウロウロしていたかと
思っていたら・・・。獲物を引きずって帰る猟師。爆笑。

シムキンくんで会場が沸いた「パリの炎」の男性ヴァリ。
これまた見事に踊りきったのは・・・なんとオシポワ!
男性並みの跳躍力があるのですね、彼女ってやっぱり凄い。
トゥールザンレールも決まっていました。

舞台の上の男性ダンサーたち(扮するコワイバレリーナたち)に
やるな~すごいじゃないか~ともみくちゃにされるオシポワ(笑)

コチェトコワのFaceBookにサラファーノフ、オシポワ、コチェトコワの3ショットがUPされていましたので
貼っておきますね。



場面が変わり、舞台に設置されたのは長いスロープ。
「バヤデール」影の王国のシーンです。
幻想的なアラベスクを繰り返す群舞で有名なシーンで出てくるのは・・・
ボーディン、頭にブラジル国旗を挿したソアレス、カレーニョさまも参加。
黒眼鏡の小さなバレリーナは・・・シオマラ・レイエス。
普通にキレイな(?)フォーゲル、カラン、ボネッリ。
頭ひとつ大きいのはパリオペ陣でただ一人参加のジョゼ。
至極真っ当な女性のバレリーナが2人、この異様な集団の中、その美しさで際立っていますが
それもそのはず、ポリーナちゃんと美脚のブシェ。
この2人が影の王国のコールドを踊るところを見られるなんてありえませんよね!
もう、ダレを観たら良いのやら・・・状態。

精霊のソロを踊るのは、
ボーディン、カレーニョ、ジョゼ。
ホセ様、胸の詰め物がずれて縦になっていますし。
ジョゼはポワントで(もともと190cm近い彼がポワントで立つと2mを優に超えますよね)
ピルエット。イタリアンフェッテまでご披露に及ぶ力演に拍手!

最後、本当のフィナーレ。
女性のアルファベット順に出てくるのですが、本演目の衣装の人、ファニーガラの衣装のままの人、
ファニーに出演したけれども急いで私服に着替えてきた人、と様々。

それがまた、感動の場面、楽しかったファニーガラ、終わってしまったのね、感をあおって
舞台狭しとテンコ盛り状態の世界のスターダンサーたちに惜しみなく拍手を送る観客・・・

まぁ、わたくしはベジャール・ガラ2daysを残していましたし、
コジョカルの眠りを観る方も、まだまだ・・と余裕だったかもしれませんが、
この日を最後に日本公演を終了されるダンサーも多く、
お名残惜しい気持ちで・・・!

また来てくださいね!




















第12回世界バレエフェスティバル ガラ ⑤

2009-08-16 11:06:49 | BALLET
第4部。
ここでついに殿が・・とソワソワ(笑)
期待値MAX.ドキドキしながら待っていましたのでその前の3演目とその後の記憶が
かなり飛んでいます(ってロミジュリ以外全てってこと?)がご容赦を

◆「パリの炎」

シムキン・コチェトコワペアがBプロでセンセーショナルな盛り上がりを見せたこの演目。
なぜによりによってバレフェス一の地味な(失礼!)ペアが同じ演目を?
あまりに盛り上がらなかったらお気の毒・・と気をまわしていましたが。

いえいえ、全く違ったアプローチながら、実力者の意地を見せて、良かったですよ~。

純白チュチュのサレンコと、白ブラウス、ライトグレータイツ、サッシュもグレーであえて3色旗カラーは
使わず、のコンヴァリーナ。
衣装同様、テクニックの方も、特別仕様にはしないでシンプルかつ確実に決めてきたコンヴァリーナ。
フェッテからピルエット2回のコンビネーションもきれいに決まり、ジャンプも高く気合は充分。
軽やかで重力お構いなしで飛びまくっていたシムキンくんとはまた違った
大人のダンサーとしてしっかりとしたテクニックを見せてくれて表情も微笑みベース。
ヘンな気負いがなくて感じ良かったです。

サレンコはちょっと特別に気合が入っていましたよ~!
この人の場合、ちょっと一人になると自信なさげなのとバランス重視にしたソロのせいで
流れが冗漫になってしまっていたのが過去の2演目での反省(?)事項かなぁと思うのですが、
今回はわたしだってっと見せ場に対する集中が良い形で締めにつながり、
ラストのフェッテはあの90度ずつ方向を変えつつそれぞれ3回転、という離れ業を
キチッと決めてくれました。
場内、驚愕のおぉ~という声にならない声(笑)。
産休明けで、楽屋口でもベビーカーに赤ちゃんをのせてご登場のサレンコ。
お疲れ様です!

◆「三人姉妹」

ロイヤルですから、Aプロプティパ、Bプロバランシンとくれば、やはりここではマクミランか
アシュトンの演劇バレエははずせないのでしょう。
マクミランの「三人姉妹」。
田舎教師の夫に飽き足らない次女マーシャと、恋人ヴェルシーニン中佐の別れの場です。
くすんだピーチに胸元レース飾りの地味な衣装でキラキラオーラ封印のヌ二ェス。
でもマリアネラはどうみてもロシアの田舎の人妻ではありませんね。
ソアレスのシャープな男らしさは軍人衣装に似合っていましたが、田舎に駐留しそうにないですし(笑)

過去のバレフェスでタマラ・ロホとイナキ・ウルレザーガの2人が妙に場面設定に嵌まっていて
感心した舞台がありましたが・・。
ロホはその持ち前の演劇的才能でもってマーシャになっていたのですが
それまでバレフェス参加ダンサーにあるまじき粗野さで眉をひそめさせていたイニャーキ(笑)が
妙にロシアの田舎の物語にマッチしていて実に感慨深かったのは今でも心に残っています。

なんて思い出に浸っていたら終わっていました。マリアネラ、ごめんなさい・・・

◆「ザ・ピクチャー・オブ・・・」

ルグリの新しいソロ作品。
初演は2008年の東京のホテルでのクリスマス・スペシャル・ディナー・ショー。
こういう劇場空間では初めてご披露されるのかも。
ベジャールバレエ団の花形ダンサーとして活躍されていたパトリック・ド・バナ氏
(ベジャールガラ最終日にお姿をお見かけしましたよ~素敵でした)による振付。

ルグリは自身のソロ作品として「エンジェル」を長年踊ってきましたが、
キャリアが長いのでそろそろ別の作品も・・と周囲も、多分御本人も願ってきたのですが
それに応える新作、ということで楽しみにしておりました。

黒っぽい、よくアルマーニが着ているような、ピッタリと身体に沿った半袖丸首の
TシャツっぽいTOPSに黒のややゆったりとしたパンツ。
無音で始まり、2度聞かれた南国の鳥の叫びかと思われた声は、実は鯨の声だとか。
それからグレゴリオ聖歌のような重厚なアリアが流れます。
パーセルのオペラ「ディドとエアネス」より終幕のアリア「わたしが地に横たわるとき」
にのせて精神性豊かな静謐な世界が展開。
今のルグリ先生に相応しい、重みと品格と内に向かう深さが沁みる作品でとても良かったと思います。

ルグリ先生は今年の5月にパリ・オペラ座のエトワールの定年制度により、引退公演をされました。
来年からはウィーン・オペラ座バレエ団の芸術監督に就任される予定ですが
バレフェス会場で先行発売されていた本「パリオペラ座のマニュエル・ルグリ」でも
ご本人の弁として掲載されているように、コンテンポラリー作品が中心となっていくでしょうが
ダンサーとしてのキャリアに幕を下ろしたわけではない、とのこと。
今後もこの作品に接する機会に恵まれるといいなと思います。

◆「ロミオとジュリエット」



あの「ル・パルク」の振付家、プレルジョカージュ版のロミジュリです。
近未来都市での階級闘争。上流のジュリエットと下層のロミオの許されざる愛、がテーマ。

仮死状態で地下の霊安室、舞台中央の台に脚を客席に向けた方向で横たわるジュリエット=オレリー。
真紅の布?ドレス?をまとって麗しい。
そこに上手から走りこむロミオはぼろぼろの淡いグレーカーキのゆったりとしたランニングシャツに
左右の丈がちょっと違う短めの同じくゆったりとしたワークパンツに黒いソックス。
ジュリエットを発見して揺さぶり、起こそうと試みますがぐったりとした力のない彼女。
身体から朱赤の布をパッと取り除くと、白の短いキュロットペチとホルターネックの背中部分が
3回ほどリボンで編み上げられている小さなTOPSの下着姿に。
どうやら、この赤い布が仮死状態を作るための魔法の布、らしいのですが、
すぐには目覚めることのない彼女にロミオは次第に絶望的な気持ちになります。
慟哭しながら、彼女の指を口でくわえて胸の上で交差させるロミオ。
激しいパッションと深い悲しみが伝わるプレルジョカージュの舞踊言語をここまでナチュラルに
こなすダンサーも珍しい。
彼女を必死に抱き上げ手前の椅子に座らせて、椅子ごと抱きかかえて大きく揺さぶり
また、だらりと手足を落とす彼女の上にのしかかりますが、目覚めることはありません。
どうして!どうして死んでしまったんだ!!
怒りにも近い強い哀しみで激しく彼女を抱き上げて床に落として転がす・・・
オレリーは終始ぐったりと力ない肉体でしかないのですが、
彼女に向けて全身で語りかけるしかないロミオです。
ふとワークパンツの脇のポケットに手に当るものが・・・ナイフだ。
刃を開いて一度は取り落とすものの、ある決意で、ジュリエットをもとの台の上に戻し、
ナイフを開いて下腹部に当てたロミオはそのまま彼女の腹部にゆっくりと倒れます。
ロミオが事切れてまもなく、ジュリエットは目覚めます。
重いわ・・と眼を落とすと十字に覆いかぶさる彼が。
起きてロミオ、と揺さぶるも、彼はすでに・・・。
ジュリエットの慟哭。
ロミオとまったく同じように床に落とし、椅子に乗せ、荒々しく身体をぶつけ、床に転がり・・・
必死のジュリエットの息遣いが感じられます。

ローランはエレガントな容姿と完璧に滑らかな動きの中にも
どこかに情熱の炎に突き動かされているような官能的な血を、常にかすかに感じさせるダンサーですが
オレリーも同様な資質を持っているようですね。
この2人の作り出す世界は完璧にヴィジョンがシンクロしていて、
たとえガラでの一幕でも驚くほど濃密なドラマを展開させる、ということは
過去のルグリガラでの「ル・パルク」の解放のPDDでも証明済。

久し振りに見て、2人の作り出す世界に引きずり込まれました。
通常の版でのロミジュリですと、2人の悲劇は物語に折込済みのものとして
比較的あっさりと悲劇の手順を踏んで終わるのですが、このプレルジョカージュ版では
哀しみそのものが若い2人の大いなる悲劇の一幕としてクローズアップされており、
ここだけでこれだけ濃密なら全幕ではいかなるものになってしまうのだろう・・・と
鳥肌が立ちました。

ジュリエットがロミオの残したナイフを見つけ、手首に当てて・・・
ロミオの上にくず折れます。

涙なしには観られませんが、涙してしまうと見られないので、もう必死でした(;;)

全てを出し尽くした晴れやかな表情のイレール、カーテンコールではオレリーにお辞儀、
膝を折って彼女に投げキス。
2回目のカーテンコールでは彼女の肩を抱いてともに客席にお辞儀。
当然3回のカーテンコールでしたが、なかなか現実の世界にわたくしは戻れず・・・
相当ボーっとしてしまいました。

◆「春の声」



打って変わってヨハン・シュトラウスのワルツの調べにのって、スッと立って脚をリフトされながら
アリーナ登場。手からハラハラとこぼれ落ちる花びらのようなパステル色の紙ふぶきが
花輪を頭に載せたコジョカルを春の女神にしています。
軽やかに舞い踊るアリーナとそれを嬉しげに見つめ、しっかりと頼れるサポートをするコボー。
今回、この2人は一貫してこの路線で見せてくれましたが、本当に愛と幸せの化身のようで
しっかりと幸福感を舞台から受け取らせていただきました!

・・・が、いかんせん、他の世界に行ったままで観ていましたので
この程度の感想でごめんなさい!

◆「ドン・キホーテ」

ある意味、一瞬にして現実世界に引き戻された演目、です(爆)

黒・金・白のゴージャスかつ重厚な衣装のマッカテリに、ローズ赤から白へのグラデで
染め上げた特注?の大きめチュチュに村娘使用の赤のコルセットベストに
小さなパフスリーブにもちょっと赤グラデが入った白いペザントブラウス。
ヘッドドレスと対角線上のチュチュのウエスト近くに配した薔薇のコサージュも含め
大変可愛らしい衣装ですが、2人のバランスは??

という衣装どおりのパフォーマンス。
マッカテリとのコンビネーションに問題があったのか、大幅に内容を変えてきました。

キトリの見せ場はバランスに特化。10秒のアティテュードを2度見せて拍手喝采。
これで、一応バレフェスのトリを務める証明は終了、というわけではないでしょうが、
その後はやたらと扇や足先の小技で引き伸ばして、それに合わせた音楽が
とても奇妙なものになってしまっていたのは残念。
普段、高岸さんとだと問題なくクリアしているフィッシュのポーズを始め、
2人のコンビネーションを必要とする部分がさっくりと省略されていましたが、
きっと間に合わなかったので危険を回避したのでしょう。
今までの不調を背負ってガラのトリという大任をよくぞ乗り切ってくれたと思います。
そこまで彼女に負わせなくても・・・と企画に疑問をぶつけたくはありますが。



第12回 世界バレエフェスティバル ガラ ④

2009-08-16 11:05:56 | BALLET
のろのろとしていたら、もう、今日は「ベジャール・ガラ」初日。
でも、記憶を掘り起こして、第3部、行きます(笑)

8月13日(木)世界バレエフェスティバル「ガラ・パフォーマンス」

■第3部■

◆「ラ・シルフィード」

オシポワとサラファーノフ。
オシポワは親しみ易い風貌で可愛らしいのですが、なんだかシルフかと言われれば、
シルフの仮装をしているエフィー(婚約者の村娘)みたい。
あまり妖精っぽくはないので・・・。
動きはとても軽やかで弾むよう。踊りそのものには文句はありませんが。
いたずらずきの妖精だからあまり神秘的でなくても庶民的でも構わないのかも。
わたくしの眼にはどうしてもいたずら好きのエフィー(しつこい)。

サラファーノフはちょっとセーラーカラーのようなタイ付の白いブラウスに
赤いキルトとハイソックス。
あまり凝ったハイセンスな衣装ではありませんが、素朴なジェームスでこれはこれであり。
ブルノンヴィル版の細かいパをとてもきれいに踊りこなしているだけでなく、
彼は一つ一つの動きがとても大きい。
ジャンプも高いし脚の可動域がとにかく広くて、細かな足技を見せるジェームスのソロが
別物に見えたくらい。
かといって何かを省略したり、流したりすることはなく、足先がきれいに伸びていて
降りるときもきちんと5番ポジションにきれいに収まり、音にはずれるわけでもなく・・・
サラファーノフ仕様の「ラ・シルフィード」はなかなか全幕でも見ごたえがありそう。
そういえば東バで・・・相手役は上野水香さん。
ちょっと考えます(^^;)

◆「アルミードの館」よりシャムの踊り

美脚のブシェのどちらかというと陰にまわっていた、ハンブルグの若手、
ティアゴ・ボアディンのソロ。
バレフェスでソロ、というとルグリとかジルとかギエムとか、そのカンパニーを代表するビッグネームか
インターナショナルに活躍するスター、というイメージがあるので、若いボアディンのソロにちょっと??
と思っていましたが、なかなか。
赤を貴重にした光沢のあるタイシルク風の生地の衣装に濃い目のメークで披露したのは
バレ・リュス100年を記念して、ノイマイヤーが振付けた、
1909年バレ・リュスパリ公演の最初の演目の翻案。
うーん、エキゾチックな妖しさとかすかな狂気を孕んだスピーディでキレのある動き、
眼に力があり、このヒト、こんなに化けるとは!
ニジンスキーが踊った、というパートをスピリットも含めしっかりと踊りこなしていました。
伊達にバレフェスのソロをまかされてはいませんね。

◆「マクベス」

ドライアイスを大量に使用したとみえる霧の向こうに見える人影・・・
(ちなみに今回のフェス、場面転換が鮮やかでしかも無音!道具方の優秀さは特筆すべきものアリ)
このヒト誰?
と思ったらウヴァーロフではありませんか!?
別人です・・・。
いつもスッキリ額を見せて豊かに流した前髪を厚くおろしたローマ風のヘアスタイルに変え。
金のエリ飾りで留めたオレンジのロングマント姿でちょっと「スパルタクス」のクラッススっぽい。
で、いきなりその前髪の下の目に宿る狂気が・・・
こんなウヴァさまは初めて観ました!
おっとり王子が基本、粋なバジルは思いのほか明朗で・・・でもこんな暗い瞳の光る表情を
作れる人だとは夢にも思わず。いや~懐の深いヒトです。

王を暗殺してきたところなのですね。
そのマクベスに絡むのは妖艶なザハロワ。
こちらも耳を隠して撫で付けたセンターパーツのまとめ髪に額に細いヘアバンドをしているのが
ロシアの歴史モノ演目っぽい。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「白テンを抱く貴婦人」さながらのクラシカルなヘアスタイルと
前がミニで後がロングの真紅のドレスの艶っぽさが時として優等生的にすぎる
ザハロワの女らしさを際立たせています。
ワシーリエフの振付ですが、グリゴローヴィチっぽいかも、と思わせる
ザハロワの美脚が際立つリフト多用の振付。
黒幕であるマクベス夫人ですが、おどろおどろしさは全くないのに
その美しさで道を踏み外させるのはたやすいことかも・・・と見惚れている間に終了。

◆「ロミオとジュリエット」より 寝室のパ・ド・ドゥ

ジュリエットの寝室に朝の光が。
先に目覚めるロミオ。行かなくては・・・。
マントをはおって出かけようとするロミオを目覚めたジュリエットが引き止めます。
分別のある大人なロミオ。
恋を知ったがゆえに、頑是無い子供のように別れを不安がるジュリエット。
これは女の第6感?
実際のところ、この別れが今生の別れとなるシーンゆえ、彼をひきとめ、
懇願する激しいジュリエットのアプローチはゆえなきことでもあらず・・・。
シオマラのフレッシュで情感溢れる演技と、カレーニョの大人の包容力が相まって、
とても雰囲気のある、でもやはりかなりの年の差カップル・・・という印象でした。
気持ちに突き動かされるように踊るシオマラのしなやかさが
多感な激しい心を持つ少女の恋を語って秀逸。
カレーニョは、Aプロではあんなに見せてくれたのに、Bプロ、GALAともにサポートに徹した
短いシーンなのがなんとも勿体無く思いました。


◆「じゃじゃ馬馴らし」



最高!もう観ていて笑みがこぼれて仕方がありません!

若草色のドレスに風とともに去りぬのスカーレットのようなヘアスタイルにしたアイシュバルトは
ガニマタ基本姿勢の鉄火肌。
婚約者ペトルーチオ=バランキエヴィッチが手渡す花輪、猫(!)を次々に放り投げ、
手を伸ばせば払いのけ、足を踏みつけ、取り付くしまなしとはまさしくこのこと。
触ると火傷するわよ、フンッといわんばかりの鼻息の荒さ。
豪快なバランキーは反抗的な態度を意に介さず、次々と親しげなアプローチを繰り返し、
自らの男性的な魅力を誇示します。
眼の覚めるような高いジャンプ、トゥール・ザンレールは3回転連続。
たたみかけるようなダイナミックなジャンプ、カッコいい・・・
髭面も最高!
なんだかアイシュバルトのヘアスタイルのせいか、スカーレットとレット・バトラーを
思い出してしまいました。
ケッという態度だったマリアも最後には優しい彼の手に手を重ね・・・と警戒を解き心を開くのですが、
舞台中央でヒシと抱き合った次の瞬間、微笑んだバランキーが人差し指でマリアの鼻をツン、
とするところ、「子猫ちゃん」とでも言っているようでグッと来ます(笑)

これって、確か2003年のバレフェスのGALAでバランキエヴィッチとフェリが踊っているのですよね。
あと2002年のシュツットガルトの来日公演にも持ってきていて、同じ2人で全幕観たような気が・・。
どちらかの公演の席が舞台からとても近くて、オペグラなしで細かなところまでフェリの豊かな表情を
堪能した覚えがありますが、作品そのものがとても面白く出来ていて。

今回のシュツットガルト組の演目選択、Aプロの壮麗豪華な「エスメラルダ」
Bプロでお得意の胸に迫る演劇路線「オネーギン」、そしてコミカルで踊りも豪快な「じゃじゃ馬馴らし」。
盛り上がる華やかさと演目ごとの個性がはっきりした、実にクレバーなチョイス。
頭脳派、でもありますね。
拍手喝采、3回のカーテンコールでした!








第12回世界バレエフェスティバル ガラ ③ 

2009-08-16 07:14:49 | BALLET
第2部、です。
というか今日はもう、ベジャール・ガラではないですか~。
もう間に合わないかも・・(汗)
しかも連日予定ですので・・・
ベジャール・ガラで記憶が上書きされてしまう前に、GALAの感想を少しでもUPしておきますね!

2009年8月13日(木) [ガラ・パフォーマンス]

■第2部■

◆「ジュエルズ」よりダイヤモンド

ヴィシニョーワとマラーホフ。
このふたりの「ダイヤモンド」は以前にもやはりバレフェスで見たことがあり・・・。
音楽(チャイコフスキー交響曲第3番「ポーランド」第2楽章「アッラテデスカ」
アッラテデスカってドイツ風ってことですが)のスラブ調のメランコリックな側面を引き出した
パフォーマンスで、そのとき同じ演目を踊ったジョゼとアニエスのパリオペ組が
純白にラインストーンが煌く衣装で透明孤高な純クラシックの粋を見せたのとは
全く違ったアプローチだったのが印象に残ってたのですが、
今回は・・・
・・・更にパワーアップしていました!

ヴィシニョーワはマリインスキーの肌色ボディスに大粒のスワロフスキーがアクセントになった
釣鐘型のチュチュに、耳上のスワール、額、シニヨン周りの4パーツからなるゴールド台の豪華な
ヘッドドレス。
とても丁寧に粘りのあるよくコントロールされた動きはヴィシならでは。
タメもたっぷりでチャイコフスキーの音楽にピッタリ。
典雅にしてスラブ風のロマンチシズムを感じさせるエキゾチックなジュエリーがヴィシニョーワ。

対するマラーホフは白の王子。東方のエキゾチックな貴重な宝物を慈しみ、
驚きと敬意をもってその踊りを愛でるノーブルにして内省的な王子・・・という印象。
ここでは羽のように軽い跳躍も見せてくれました。
ヴァイオレットがかったブルーグレーの空にホワッと薔薇色の雲が浮んだ背景も
2人のムードに合っていてちょっと夢見心地にさせられた一幕。

◆「カンティーク」

東欧系が続きます(笑)
初めて観るべジャール作品。
エリザベット・ロスは長い三つ編みのお下げをふたつ垂らした、ハイネックで長袖の
簡素な白いロングドレスに裸足。
ジル・ロマンは小さな赤いユダヤ帽にノーカラーブラウス、コード刺繍入りベスト、パンツは全て黒。
中央に白い箱がひとつ。
ユダヤ版の「結婚」でしょうか。
詠唱から始まり、ナレーション、そしてユダヤの伝承音楽、というスラブ風の舞曲。
合わせての踊りには所謂フォークロアな動きはなく、むしろ幾何学的なムーブメントで
構成されているのに却って強く民族色を感じさせる手法はベジャール作品らしいですね。
シャープで軽やかなジル、時として少女のようでいて深い母性をも感じさせるエリザベット。
とても引き込まれました。
カーテンコ-ルで肩を組んで並んで登場するのがこのカンパニーらしい。
最後ロスの手にさっとキスをするジルがカッコよかったです。
カーテンコール、3回でした。

◆「グラン・パ・クラシック」

サイドパーツのタイトな夜会巻にシンプルなブラックチュチュのポーリーナ。
いつのまにか、こんなにシャープでしなやかな強さを持ち味とする個性を確立していたのですね・・・。
マラーホフに見出された美少女時代、オーロラを東バで客演したころのほんわかとした感じも
プリンセスっぽくてかわいかったのですが、すっかり大人になった今、
自分だけの個性をしっかりと打ち立てているポーリーナにちょっと感動。
90度、そして120度?の高さに脚を前、横、後とポジションチェンジしながら2回フェッテ、
を繰り返す見せ場もちょっとフラッときそうなところを持ちこたえてきれいに決めてくれました。
こういうバランスって難しい、ということをバランス自慢のバレリーナを見慣れると
ふと忘れてしまう(!)ものですが。
ポーリーナもテクニックは標準以上ではあるのですが応援モードで(笑)

フォーゲルくんは只のカッコいい若者(笑)からすっかり、柔らかさのあるロマンチックな
クラシックダンサーになりましたね。
こういう方向に進化したか・・・とこちらはこちらで感慨深いものがあります。
以前は前途洋々、未知数の部分の多い若者どおし、という同じ目線のパートナーシップが
微笑ましかったのですが、今の2人はそれぞれの持ち味をより強化してみせる別のパートナーとの
踊りも観てみたい、という気がしてきました。

◆「TWO」

今のシルヴィー・ギエムにとってはこれが自分、という気分の作品なのでしょう。
前回のバレフェスでもツアーでも何度も観ている作品ですが、見せ方については
彼女なりの進化を遂げているようです。
ショートカットのウィッグに髪をまとめ、小さなホルターネックの大きく開いた背中の
ウエスト部分に2本のストラップが斜めに横切るTOPSに黒のフレアーパンツで裸足。
肩から背中にかけての筋肉が彫刻のように映えます。

小さな2m四方の光の箱が上空から降りており、その中心に1m四方のブラックボックスが。
そのセンターに位置したギエムの自在な動きが宙を切り、光と闇をを横断します。

マトリックス的なカッコよさと緊迫感、観終えた時の爽快感は彼女ならでは。
もう、クラシックチュチュのシルヴィーを見たいとわがままは言いますまい。

カーテンコールでは表情が一転。ぺこりと腰を折り、少女のような笑顔で拍手に応えるギエムには
抗えませんね。3度のカーテンコール、です。

◆「ソナチネ」



パウダーピーチの薄物衣装のオレリーに
淡いブルーグレーの広いVネックのノーカラーのゆったりとしたブラウスに同色のタイツのルグリ。
ラヴェルの音楽を視覚化したバランシン作品。
音楽性豊かなルグリ先生にはぴったりの演目。

チャイコフスキーPDD同様、若々しい雰囲気の小品ですが、ほんのわずか音をリードするような
リズムで踊りで音を奏でるルグリ先生。
晴れやかで色彩豊かなラヴェルの音楽を目と耳で楽しみ浸る・・・
という体験でしたがピアノのミスタッチによる音の濁りが著しく、大いに興をそがれてしまいました・・・;;
オレリーとの並びも麗しく、オペラ座を引退してしまわれたルグリ先生とのPDDを見られる機会は
もしかしてこの「ソナチネ」が最後だった、ということになるかも・・・。
それだけに貴重な機会にこのピアノが惜しい。
二コラのチェリスト同様に、気鋭の実力派を切にお願いしたいところです。

◆「海賊」

もうすっかりこのフェスの顔、フェスのアイドルシムキンくん。
彼が登場した瞬間、もう期待値MAXの拍手が起こるくらい・・・。
まぁ、出のルルベでの高い位置にキープしたアラベスクポーズ片手頭上片手腰、
の長いキープですでにその拍手に応えてしまっているのでもう何も申し上げることは
ございませんが・・・(^^)

衣装は白のパンツにアシンメトリーなGOLDメッシュのベストのキラキラで、天使には見えますが、
どうみても奴隷ではありません(爆)

マネージュのジャンプが高く、途中で脚を前後入れ替えながら・・というのもすでに見慣れた(笑)
シムキンスタンダード。
ピルエットも7回?もう数えるの放棄。
最後はお得意の540で締め。
この「540(FiveForty)」という技ですが、ABT来日時のJapanArtsさんのブログから牽かせて
いただくと
”正式な名前は「カジョール・リヴァルタット」というそうです。
後ろ向きの姿勢から入り、半回転(180度)さらに1回転(360度)しているので、ABTの中では「540」と呼ぶことが多いと、サヴェリエフ本人が教えてくれました。 ”とのこと。
これがシムキンくんが多発する脚を大きく円を描くように蹴り上げるジャンプで、この日は最後に
とびきり素早く大きな円を描いて大喝采を浴びていました。

コチェトコワはまったく動ぜず、ゆったりと優雅に登場。
白い姫、でした。
メドゥーラらしいおおらかな女らしさをアームスと柔らかな上半身で表現。
とはいえフェッテは全てダブルですし、シムキンくんと比べても見劣りしないテクはさすが。

熱狂的なというかもう凄いね~君たちは~という3回目の拍手の中、シムキンくんが
カレ-ニョかマラーホフばりにジャンプして登場したのにはウケました。
結構ノリも良いヒトと見ました。
この時点でファニーガラでの活躍を確信・・・