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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

英国ロイヤルバレエ団「不思議の国のアリス」初日②

2013-07-07 09:14:32 | BALLET
英国ロイヤルバレエ団が今回のJapanTourに選んだのは人気の新作&盤石の古典の2本立て。
ウィ―ルドンの「不思議の国のアリス」と「白鳥の湖」ダウエル版。

気鋭の新進振付家クリストファー・ウィ―ルドンというには、若く見える割に、2001年からのNYCBでのキャリアですでに中堅どころのイメージですが。
舞台挨拶や楽屋口でのお姿はスラリと長身で、今すぐダンサーとして舞台に立たれても全く違和感なし、な雰囲気。
ロイヤル出身なのですね。
ゆえに、今回の配役にもダンサーのキャラクターを熟知したうえでの選択がなされた模様で、そのあたりもプログラムに詳しく書かれていて面白かったです。
2007年に立ち上げた自身のカンパニー、モルフォセス(現在は資金難のため解散)を率いた経験もあり、このアリスについてのロイヤル側からのオファー、1年で作品を作ってほしい、に対して、普段超高速で仕事をしている彼にとっては驚きだったとか、豊富な資金が提供され、ロイヤルの優れたスタッフの仕事に感嘆した、という通り、普段資金難な中で溢れる才能を効率的に発揮している彼がたずなをとって、ある意味純粋に作品作りに取り組んでいる美術・衣装その他スタッフらと仕事をしたら、それは素晴らしいものが出来るだろうなと観劇前にざっとプログラムに目を通して予想した通り・・・いや、それを上回る、キャッチ―にして、ロイヤルバレエのお家芸、英国らしさも取り入れられた非常にバランスの良い楽しい舞台でした。

映像の使い方もムリがなく、比較的シンプルながら、非常に効果的で、某歌劇団の演出家の全員に観ていただきたい!と思わず熱望してしまったわたくし・・・^^;

ざっと舞台を順を追って振り返りつつ、コメントをつけていきたいと思います・・・が、
今夜の追加公演のチケットを取ってしまいましたので、続きは夜に・・・


*初日の舞台を振りかえります*

<第一幕>


エドワード・ワトソンのルイス・キャロルはちょっとインテリ風の飄々としたおじさん^^
友人の大学教授の家のTeaPartyに呼ばれて早めに到着。その家の3姉妹の写真を撮ったりしてのんびりすごしている模様。
時々違うデザインになっているけれども基本全身リラ色のチュチュに同色のカチューシャ、黒の横分ショ―トボブは3人のアリス共通でしたので、これは演出のこだわりなのでしょう。
ローレンの代わりに初日を努めることになったサラ・ラムは、夢見る青い目に金髪の妖精タイプのプリンシパルですが、黒髪もお似合い。ほっそりとした容姿で、表情も豊かで、ファンタジ―の世界の少女にぴったり。
姉妹役の1人にゲネでアリスを踊ったスティックス=ブルネルが入っているのが豪華。
最初海賊の恰好をしていて、母親に注意されて水色のおすましワンピに着かえたところがとても絵本のアリスのイメージ^^
もう一人の姉妹役、リャーン・コープは固定?ちょっとチャイニーズっぽい赤い衣装に長く垂らしたウェーブヘアでカワイイ姉妹。彼女は濃い薔薇色のワンピにお召し替え。

そこに通り掛かる庭師のジャック。
2人は密かに恋仲。
白い薔薇に一本混ざった赤い薔薇を神経質な奥様に怒られて手にした彼がアリスにこっそりプレゼント。
嬉しくなった彼女が、ティーパーティの準備をしている小間使いの銀の皿から小さなタルトを一つ拝借。
お返しよ
ラブラブモ―ドの2人のパ・ド・ドゥ。
そこ割り込む母親。なぜこのタルトをあなたが!と言いがかり。
ヒステリックに解雇を申し渡し、抗議するアリスは子供の言うこととあしらわれて憤然と立ち去ります。
次々と訪れる招待客たち。
ここで、後に主要な脇役を努めるメンバーが何気に揃っているのが注目どころ。
乳母車を押して来た濃い紫のフリルたっぷりのドレスの公爵夫人、マジシャン・・・。一瞬だれかわからないほどのメイクですが、マッドハッター役のスティーブン!さりげなく着席します。
着替えた姉妹とパーティに戻ったアリスの目に映るのはスーツケース片手に立ち去ろうとするジャック。

悲しむアリスの気を紛らわそうと、また写真を撮るよ、とキャロル。
黒い掛け布の下の三脚のカメラを覗いている彼に異変が?!
お尻を動かすとちょっとズボンの割れ目から。。白い尻尾?
出てきて、カメラバッグを広げるとちょっとした家庭用ビニールプールのような枠が出来て・・・。
ひょいと入って姿が見えない。
出てくるとなんと、真っ白なウサギの姿!
アリスも誘われて頭から飛び込みます。
ここ、ベアトリスもサラも見事な造型で、脚だけ垂直に出して、ちょっとパタパタさせるその動きがシンクロ顔負け。

で、背景のスクリーンがMAXとなり、ヒチコックのサイコ?めまい?の扉映像のような黒白の渦巻きがどこまでも続きます。
装飾的なゴシック文字のアルファベットがその渦に巻き込まれていくシンプルな映像なのですが、音楽と相まって奈落に落ちて行くアリスを効果的に表現。
底に届いて、気付いたアリス。
今度は背景に白黒の重厚な扉がずらり。
でも小さくて通れそうにありません。
その扉の一つが50cmくらいのミニサイズでリモコン操作されて?アリスの前まできてピタッと止まります。
小さいけれど・・・上半身を無理やり入れてみると・・・。


劇場の天井からちらちらと銀色のコンフェッティが・・・。
1階客席通路前方に左右4人ずつの花の精が現れて夢のようにまた去っていきます。
身体を引きぬくともとの扉。
何だったのかしら・・・。
天井からスルスルと降りてくるリボンの端にくくりつけられた小ビンと表示の札。
「Drink me!」音楽と映像で周りの扉が巨大化し、アリスはぴょんぴょん跳んでもドアノブに手が届きません。
「Eat me!」舞台上手からするすると今度は巨大なマジックハンド。
小さな青いケ―キ?
アリスが手にしてかじるのは、ゲネではその水色のもの、でしたけど、本番では普通の白いマシュマロのように見えました^^

今度は巨人アリスになるのですが、この演出が上手い。
舞台の中央スクリーンの一部をだまし絵にして奥行きもつけたBOXにし、そこにアリスがハマり込むと、奥に行くにつれてアリスがどんどん大きくなるように見えると言う・・・。

なんてこと!
ドアに腕を突っ込んで、天井に頭を押し付けて・・・。
舞台に降りると、そのBOXがスクリーンに変わり、アリスの目鼻が描かれたイラストに。
めそめそしているとその涙でスクリーンが薄いブルーに染まり・・・。
スクリーンが上がると後ろの舞台に、よく歌舞伎などであるような、波の絵が多重構造になって並べられ、その波間を縫って、動物のお顔に人間の(19世紀の紳士たちの服装・・・ロイヤル十八番のベアトリクス・ポッター物語仕様です^^)身体の生き物たちが波間に(隠れてリフトされている?)浮かんだり、泳いだり・・・・。


その動物たちが並んだところで旗を手にしたアリス。「ART」と読めますが・・・。
ちょっと旗を広げると「TART」え、あの問題の発端になったタルト?
更に広げると「START」運動会?
こういう言葉遊びがルイス・キャロル的で、上手いなと。
号令一下、動物たちは奇声を上げていなくなります。

またひとりぼっち?
背景が変わり、ほのぼのとしたクロスステッチのお家とHOME SWEET HOMEの文字が。


例の動物頭に紳士の服装の2人が登場。銀色のお魚と緑のカエルくん。
このカエルを蔵健太さんが演じて、その場で肩の高さまで助走なしに飛び上がる素晴らしい跳躍などをみせます。
お魚のオンディビエラともども素晴らしい跳躍力。なにやら招待状らしきものをアリスに渡してお家に引っ込みます。
アリスも続いて入ると・・・。
CAOS!!!
巨大なソーセージマシーンが盛大に稼働する地下室の台所。
恐ろしい中華肉切り包丁を手にした血まみれのエプロンの料理女と泣き叫ぶ赤ん坊を抱いた先のティーパーティーでは乳母車を引いていた紫ドレスの公爵夫人。公爵夫人はシンデレラの継母のように、男性ダンサーがこってりメークで恐面白く大げさに演じるキャラクテールポジ。
赤子の泣き声、激しい音楽、包丁を鳴らす音、機械の稼働する振動と蒸気!!
怖すぎですが、アリスは、赤ん坊を受け取ってあやしながらもその世界にスルリと同化?
なぜか公爵夫人と料理女が包丁でバトルを始め、ソーセージで首を絞められて死にそうになる料理女・・という更なるカオスに。
そんな中で、アリスが思いだして、先の招待状を公爵夫人に手渡すと、それはハートの女王からのクロケットゲームのお誘い。喜ぶ公爵夫人。
そこに突然現れるハートのジャック(=アリスの家の庭師)。
ここでも彼は女王のタルトを盗んだ罪で追われています。
ジャックを追って女王ご一行様のご登場。
大きな筒型の巨大な赤いスカートの上の赤いハートがデコルテになったドレスを着用した女王はアリスの母親。
ものすごい迫力ですが、ゼナイダ・ヤノウスキー・・・長身のクール・ビューティ―イメージが・・・こんな熱い演技が出来るキャラクターだったとは・・・@@
言葉もありません^^;
ようこそ!女王様!
公爵夫人はさかなクンとかえるくんに命じてご馳走を持ってこさせますが、銀の蓋を取るとお皿からはみ出て飛び出すソーセージ!!
何よ!これは!!女王のお怒りを買って慌てふためく人々。
追われるジャックが戻ってきて、場面のカオスは頂点に。

女王の家令である?白ウサギ、アリスに白い薄布で目隠しをします。
くるくる回るアリスの頬にチュッとキスして去るウサギ。
またアリスが1人で舞台に・・・。

休憩をお知らせするのは
舞台中央から降りてきた巨大な斧。
血のしずくのように赤いハートが垂れ下がり、斧の刃の白いところがスクリーンになっていて、お休憩を知らせます。
intermission






英国ロイヤル・バレエ「不思議の国のアリス」ゲネプロ

2013-07-06 05:09:19 | BALLET
実は、7月5日(金)の18:30からの初日に先だって、
同日、13時からのゲネプロも見学することが出来ました。

今回、主役アリス役のローレン・カスバートソンの脚の手術後の回復が遅れたとのことで、
公演1週間前に大幅な配役変更が発表され・・・

7月5日(金)18:30
アリス:ローレン・カスバートソン → サラ・ラム 
ハートのジャック/庭師ジャック:フェデリコ・ボネッリ
白うさぎ/ルイス・キャロル:エドワード・ワトソン
ハートの女王/アリスの母親:ゼナイダ・ヤノウスキー
マッドハッター/マジシャン:スティーヴン・マックレー

7月6日(土)13:00
アリス:ベアトリス・スティックス=ブルネル → 崔由姫 
ハートのジャック/庭師ジャック:ルパート・ペネファーザー → ニーアマイア・キッシュ 
白うさぎ/ルイス・キャロル:ブライアン・マロニー
ハートの女王/アリスの母親:イツァール・メンディザバル
マッドハッター/マジシャン: ドナルド・トム

7月6日(土)18:00
アリス:サラ・ラム
ハートのジャック/庭師ジャック:スティーヴン・マックレー
白うさぎ/ルイス・キャロル:リカルド・セルヴェラ
ハートの女王/アリスの母親:ラウラ・モレーラ
マッドハッター/マジシャン:アレクサンダー・キャンベル

7月7日(日)13:00
アリス:ローレン・カスバートソン → ベアトリス・スティックス=ブルネル 
ハートのジャック/庭師ジャック:フェデリコ・ボネッリ → ルパート・ペネファーザー 
白うさぎ/ルイス・キャロル:エドワード・ワトソン
ハートの女王/アリスの母親:ゼナイダ・ヤノウスキー
マッドハッター/マジシャン:スティーヴン・マックレー

7月7日(日)18:00 追加公演!
アリス: 崔由姫 (チェ・ユフィ)
ハートのジャック/庭師ジャック: ニーアマイア・キッシュ 
白うさぎ/ルイス・キャロル: リカルド・セルヴェラ
ハートの女王/アリスの母親: ラウラ・モレ―ラ
マッドハッター/マジシャン: アレクサンダー・キャンベル

パートナーも含めての変更になっていますのでお目当てのダンサーを観られなくなってしまった方はお気の毒です。
とはいえ、今回の変更でチェ・ユフィさんのアリスが観られることになったのは楽しみです。
一回限りのアリス役で配慮されたのか、若いからか、ベアトリス・スティックス=ブルネルがゲネでは通しで踊ったのですが、これがなかなかアリスにピッタリのダンサーで、魅力的でした。

以下、ゲネでの配役を・・・・

アリス: ベアトリス・スティックス=ブルネル
ジャック/ハートの騎士: ルパート・ぺネファーザー
ルイス・キャロル/白うさぎ: エドワード・ワトソン
アリスの母/ハートの女王: ゼナイダ・ヤノウスキー
アリスの父/ハートの王: アラステア・マリオット
マジシャン/いかれ帽子屋 1,2、幕:ドナルド・トム、3幕:スティーヴン・マックレー
ラジャ/イモ虫: エリック・アンダーウッド
侯爵夫人: フィリップ・モズリー
牧師/三月うさぎ: リカルド・セルヴェラ
聖堂番/眠りネズミ: ジェームズ・ウィルキー
料理女: クリステン・マクナリー
召使い/さかな: ルドヴィック・オンディヴィエラ
召使い/カエル: 蔵 健太
アリスの姉妹たち: ニマ・マグワイア、リャーン・コープ
執事/死刑執行人:マイケル・ストイコ
3人の庭師: ジェームズ・ヘイ、アクリ瑠嘉、サンダ―・ブローメルト
不思議の国の登場人物たち:英国ロイヤル・バレエ団

非常に面白かったです。
初日CASTとかぶるのがほとんどでしたが、一度だけの登場の若き逸材スティクス=ブルネルはパートナーともども通しで当たったのでしょうね。
面長の細面でしっかりとした目鼻立ちの活き活きとした個性、弱冠20歳のアリスは経歴をみるとその若さに関わらず、スクール・オブ・アメリカン・バレエ、パリ・オペラ座バレエ学校で学んだのち、ウィ―ルドンのカンパニーに15歳で入団、とすでにキャリアはしっかり積んでいる模様。
次々と起こる不思議なことを驚きつつもしっかりと受け止めて好奇心いっぱいに活き活きと冒険を楽しむ少女、という風情で魅力的なアリスでした。

ルパート・ぺネファーザーのジャックも、黒髪で粘りのある質感の踊りを見せるボネッリとは異なる個性で、金髪の骨格が際立つ筋肉質の長身で、ノーブルでモダンな踊りで、それぞれの良さを楽しめました。

ゲネとはいえ、ほとんど踊りはフルになぞっていましたが、衣装はフルで付けているヒト、お稽古着に足元だけ衣装のシューズだったり、衣装はつけていてもスッピンでヘッドドレスはつけていなかったり、それぞれで、本番で、こんなに濃いメイクだったのか!と驚いたり、素があんなに美人揃いだったのに、本番ではかぶり物でまったくわからなくなってしまったり・・・の衝撃も^^;

1幕のアリスの家のお茶会の準備をする小間使い役の1人が、とても可愛らしくてキレイなダンサーで、名前が知りたい・・・。白とベージュのお稽古着で、モカ茶とアイボリーで片脚ずつ色違いのレギンスを穿いていたのですが・・・。

スティーブンと役変わりで2幕のMadTeaPartyでタップダンスを披露するDonald Thomは、まだ、階級は一番下のArtistですが、タップの切れ味の良さと軽快さは本役?のスティーブン以上だったかも??

暴君ハートの女王のゼナイダの怪(快)演のインパクトはゲネからフルスロットル状態で素晴らしかったのですが、客席は邪魔してはならないと基本気配を消していたので、本番で客席から自由に笑いや拍手が出たのが嬉しそうでした^^

日本初演(というかプログラムを観るとアジア初演だそう)の新作を、初日に先駆けて観ることが出来る心地よい興奮と、また、その作品が実に密度の濃いエンタ―テインメントであるという喜びに満たされた貴重な時間・・・、NBSさんに感謝です

デマチでお気に入りのプリンシパル・キャラクター・ダンサーバレエ・マスターの重鎮、ギャリ―・エイヴィス氏に感想を述べたら、1度しか見ないの?公爵夫人を踊る日もあるんですよ、と。
日曜日の追加公演がそうなら、それこそチケット買い足そうかしら・・・
初日と全く異なるCASTなのも楽しみですし・・・^^
何よりローザンヌの逸材ユフィさんの主役を観たい!




英国ロイヤル・バレエ「不思議の国のアリス」初日①

2013-07-06 04:27:06 | BALLET
2013年7月5日(金)18:30~
東京文化会館にて

英国ROYAL BALLETの2013年JapanTourがスタートしました!

初日は、16年ぶりの新作全幕バレエ、という、
クリストファー・ウィ―ルドン振付の「不思議の国のアリス」。
初演メンバーで固められるはずの初日CAST,主役アリスの英国人バレリーナ、ローレン・カスバートソンの降板が直前の、公演1週間前に告知され、サラ・ラム主演にてのスタート。

初日の観客の反応は素晴らしく良かったです!
英国的な毒気も含みつつカラフルで息をもつかせぬスピーディな展開とダイナミックで凝縮されたダンスの洪水・・・
本国でもHITを飛ばしているという評判ですが、楽しめる公演で、カーテンコールでの出演者の皆様、ウィ―ルドン氏も満足されたのでは?

初演の作品でしたが、大入の札が東京文化会館大ホールの入口に出ていました^^
ここしばらくのバレエ公演では久しぶりかも。
ロイヤル人気ゆえ、でしょうね^^
TOTEバッグ、クリアファイルなどの物販コーナーが大変賑わっていました^^

DVDだけでなく、BDも出ているのにちょっと心惹かれました。
今回の「Alice's Adventures in Wonderland」
主演がローレン・カスバートソンなのは想定内でしたが、ハートのジャックがセルゲイ・ポルーニン。
将来を嘱望されつつも若気の至り?でお騒がせ退団してしまった彼の貴重な映像作品でもあるわけですね・・・。


英国ロイヤル・バレエ団2013年日本公演
「不思議の国のアリス」

振付: クリストファー・ウィールドン
音楽: ジョビー・タルボット
編曲: クリストファー・オースティン、ジョビー・タルボット

-------------------------

アリス: サラ・ラム
ジャック/ハートの騎士: フェデリコ・ボネッリ
ルイス・キャロル/白うさぎ: エドワード・ワトソン
アリスの母/ハートの女王: ゼナイダ・ヤノウスキー
アリスの父/ハートの王: ギャリー・エイヴィス
マジシャン/いかれ帽子屋: スティーヴン・マックレー
ラジャ/イモ虫: エリック・アンダーウッド
侯爵夫人: フィリップ・モズリー
牧師/三月うさぎ: リカルド・セルヴェラ
聖堂番/眠りネズミ: ジェームズ・ウィルキー
料理女: クリステン・マクナリー
召使い/さかな: ルドヴィック・オンディヴィエラ
召使い/カエル: 蔵 健太
アリスの姉妹たち: ベアトリス・スティックス=ブルネル、リャーン・コープ
執事/死刑執行人: マイケル・ストイコ
3人の庭師: ジェームズ・ヘイ、ダヴィッド・チェンツェミエック、ヴァレンティノ・ズケッティ
不思議の国の登場人物たち: 英国ロイヤル・バレエ団

指揮者: デヴィッド・ブリスキン
オーケストラ:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

協力:東京バレエ団、東京バレエ学校


◆上演時間

第一幕 18:30 - 19:20(休憩 20分)
第二幕 19:40 - 20:10(休憩 25分)
第三幕 20:35 - 21:20




雪組「ベルサイユのばら」~フェルゼン編~ 東京宝塚劇場

2013-07-04 05:37:16 | TAKARAZUKA
先日2度目の観劇をした雪組の東京での「ベルサイユのばら」フェルゼン編。
初回は、ムラでの特出バ―ジョン(凰稀オスカル柚希アンドレ)と、どうしても比べてしまい・・・。



凰稀オスカル>早霧オスカル
柚希 アンドレ>未涼アンドレ
早霧ベルナール>彩凪ベルナール

オスカル、アンドレは特出では毒入りワインのくだりも追加されたり、長身の並びでの華やかさや、やはりTOPオーラとでもいうべきものがあり、脇で上手いヒトとは存在感の質が違うということで仕方がないとはいえ、思いのほかベルナールが芯になる場面で、2番手早霧せいなさんと、若手路線の彩凪翔くんの求心力の差が大きかったのが全体の印象を左右したな・・・、と。

特出にはなく、純・雪組バージョンで印象深い国境警備隊vsフェルゼン&ジェローデルの立ち回りシーンも、予測して心の準備が出来ていたはずなのに。
スウェーデン警備兵たちが七五調のセリフで口ぐちにフェルゼンをいたぶり、剣を抜かぬと言い張ってジェローデルを心配させたフェルゼンがタメにためてアントワネットの悪口でようやく剣を抜く・・・という流れがあまりといえばあまりに歌舞伎で・・・

初回観劇は、それらを確認しつつ、残念に思う・・というところで終わってしまったので2回目はリベンジ。
個々の演技に注目して極力心穏やかに観ることにしてみました^^


■壮一帆: スウェーデン貴族フェルゼン伯爵
ようやくトップお披露目らしい1人センターで観ても、改めて安定した主役の壮さん。
初お披露目公演にありがちなハラハラ感は皆無。
歌も演技も所作も全て安定して、求心力も強さもある。
ずば抜けた背の高さではありませんが、スラリと頭身バランスが良いので貴族の衣装は全てよくお似合い。
植田センセイのフェルゼンは・・・秘めた恋が噂になっている状況に心を痛め、アントワネットのためにも身を引くあるいは自制を促す心ある人々(メルシ―伯、オスカル)に逆切れ、攻撃。忠告するオスカルに「オスカル、見損なったぞ」はないでしょうxxx「君はもっとヒトの気持ちの解る人だと思っていたのに」ってなんという自己中
国境警備隊に足止めをされても剣を抜かぬとジェローデルをハラハラさせながらも、挑発されると突然キレるとか・・・。
脚本のせいで、フェルゼンが相当アレなヒトになってしまっているのですが、それを堂々と自信に満ちた演技とオーラで、???と思いつつも舞台に集中できるのは壮さんのおかげです^^;

■早霧せいな:オスカル
端正なお顔立ち、男役としては比較的小柄な容姿。熱いパッションを感じさせるややボーイソプラノを思わせる声と演技・・・オスカル役ははまりそうだな、と思っていましたが、やはり似合いますね。
衛兵隊が、王宮からの命令に従って暴動鎮圧に動くのか、パリ市民の側につくか、の場面で、ブイエ将軍に剣を突き付けるオスカルは剣を持っていない手をフェンシングの構えで上にあげているのですが、キレイな型になっていた特出の凰稀さんとは異なり、ちぎちゃん(早霧)は握りこぶしをプルプルふるわせていらっしゃいました^^;
熱いわ
そういう勢いとパッション優先なので、女性らしさを特別に演出・・・という感じでもなく、女々しさのないオスカルで、彼女らしくて良かったです。
お歌は・・・・。まっつアンドレとのデュエットでは、まっつ、チギカルに引きずられないで!と心の中で応援していたのは秘密です^^;

■未涼亜希: アンドレ
特出の柚希アンドレの豪放磊落っぷりからすると控え目で地味ですが、そもそもアンドレって豪放磊落キャラじゃないから!
はい、原作のアンドレに近い、それをさらに大人っぽく落ち着かせたような、そんなアンドレでした。
「星がきれいだ…」で二人が並ぶと、小柄なちぎオスカルより更に小柄なんですね・・・で、初見のときにコートっぽい上着に、細い黒い足のシルエットでム―ミン谷に出てきそうな人だ、と思ってしまったのも秘密です^^;(こら)
ところが!
オスカルからの愛の告白を受けてのアンドレの表情が刻一刻と変わっていくのですが、その心の映し出される様が、意識的に大きく抑揚をつけて語られる大芝居な台詞に似合わず繊細で・・・。
膝まづいてすがりつくオスカルを上から抱きしめるそのパッションを最後の最後で色濃く見せるあたりも絶品の「今宵一夜」でした。
衛兵隊が市民を前に迷いを見せる場面で、すでにアンドレは橋の上にいるのですが、そこからオスカル隊長を待とう!と支持を出すあたり、やっぱりこの人、参謀キャラだわ・・と得心。
アンドレの最期は、被弾するリアクションが思いのほか大きく、ドラマチックでした。
歌は期待通り。さすがまっつ。

■専科の方たち

もう、専科の方たちのお力を大いにお借りして・・・
こんなに専科が投入されるバージョンも珍しいのでは??
メルシ―伯爵の汝鳥伶さん、ルイ16世の磯野千尋さん、ブイエ将軍の箙かおるさん、ジャルジェ夫人の梨花ますみさんもそうだと思っていたら、そういえば、飛鳥さんの後、雪組の組長を努めていらっしゃるのでしたね。
植田センセイ特有の長い長い説明セリフを担当されていて、皆さん口跡がハッキリしてきちんと物語を伝えてくださっているのは良いのですが、もとから役の少ないベルばらで、こんなに専科さんを投入しなくても・・・と思ってしまいました^^;
そんな中で、この人でなくては!と強くその存在感の貴重性を再確認したのはメルシ―伯の汝鳥さん。
重厚で威厳と温かみを兼ね備えた年配者はこの人の右に出るものはいないのでは・・・。
逆にちょっと残念だったのは磯野千尋さん。
30代の気弱な国王だなんて、お似合いになる役ではないのにこれが退団公演だなんて。
お衣装も膝下に薄絹のひらひらがついたパンタロン(膝丈)が、ちょっとバカ殿風味でxxx
磯野さんには、博多座の銀英伝での皇帝フリードリヒ4世のときのように、色気と威厳のある年配の高貴な役で最期を〆ていただきたかったなと。


■彩凪翔: ベルナール
新公主演を経て今雪組で一番力を入れてもらっている若手・・・ですが、さて??
その価値はあるのか、他組も縦断して考えて考え直しても良いのでは、と辛口なわたくしです。
ちぎベルナールと比べてしまって申し訳ないと思う反面、今の扱いのスターなら、2番手スターと同じ役をしたときにここまで差がついてしまってはいけない、役作り的にそれぞれ解釈は異なるがこれはこれでありだという域まで達してほしいというポジションにすでにいる人だと思うからこその歯がゆさです。
それにしても・・・あまりどこが魅力なのかがちょっとわかりませんxxx
(正面から観た静止画のお顔でしょうね^^;←答 出てました^^)

■彩風咲奈:アラン
彩凪さんに比べると、もしかすると学年がもう少しいくと、星の麻央侑希ちゃんみたいに急に痩せてキレイになるのかも・・・という期待があるだけ良いのかしら?
アランという役は、月組の星条海斗さんが思いっきり引きあげたハードルに挑戦しなくてはならないので、難役ではありますが・・・。ワイルドさはあるけれど、リーダーシップや強さはどうかな?
副官的存在の鳳翔大ちゃんが美しさと存在感でリードしているので、精進してください、という感じです。

■夢乃聖夏: ジェローデル
ジェローデルの役目が、既に原作を逸脱していることに加え、星組出身者らしい熱くるしいパッショネイトな存在感で、まるで別物にしてしまっている夢乃さん。
マンガのジェローデルに心の中で別れを告げて、別モノを受け入れる心の準備さえ出来たのならば、こんな美味しい役どころはちょっとないかも・・・?
オスカルを諌めるために出会いがしらでハリとばすかと思えば、アンドレの最期にあってはオスカルの身の安全を保持するためにひたすらストッパーとして力を(文字通りの意味で)発揮。
アントワネットの危機にあっては、はるばるスウェーデンまでフェルゼンを迎えに行き、国境では警備兵の2名から剣を奪い、(フェルゼンの分も調達)フェルゼンを守り、少なくとも12名以上はいる警備隊が機能不全に至るほどのダメージを与える無双っぷり。
雪組に移ってから、最初はきっぷの良い役どころで馴染ませてもらって、「ブラックジャック」などではそのコスチューム映えする星組育ちの容姿を活かして、だれともかぶらない新境地を開拓、美味しく使ってもらえている組替えの成功例ですね^^

■鳳翔大: アルマン、ランべスク公爵
ってだれ?なくらいの軽い役づき。
場面にでていてもほとんど台詞のない貴族。下級生軍団に交じっての衛兵隊モブ。
初見のときにはその衛兵隊で結構もらえている台詞のある場面でマイクに盛大に息の音をひろわせてしまって、「・・・上級生なのにxxx」
こういうテクニックをいつまでも身につけずどこかキョどってしまうところが、宙組ではカワイイカワイイと甘やかされていたけれども、組替え後は気をつけていただきたい・・と思っていたのでちょっとがっかり。
でも2度目の観劇では、アラン以上に声も通り、立ち姿も凛々しく、存在感と美貌で目を楽しませてくれる、やはり貴重なスターだなぁと改めて彼女の持つ華を確認。
次の彩凪翔くん主演のバウのポスターでは、オルタンスお姉さまでどの生え抜きの娘役よりも優雅に輪っかのドレスをさばいていらした大湖せしるちゃんとともに、W主演か!というくらいの扱いでその美貌を見せている鳳翔大ちゃん、がんばっていただきたいとおもいます