ヒトリシズカのつぶやき特論

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日本経済新聞紙に掲載された「格差拡大、成長に悪影響?」を拝読しましたた

2016年02月25日 | 日記
 2016年2月22日に発行された日本経済新聞紙の中面に掲載された、エコノミクス・トレンドの見出し「格差拡大、成長に悪影響?」を拝読しました。

 筆者の慶応義塾大学教授の小林慶一郎さんは「格差が供給低迷と需要減をもたらす可能性。格差是正策は成長に悪影響なしとの指摘も」などと解説されています。

 日本経済新聞紙のWeb版である日本経済新聞 電子版では見出し「エコノミクス・トレンド 格差拡大、成長に悪影響?」と、掲載されています。



 パリ経済学校教授のトマ・ピケティさんが著書「21世紀の資本」で論じているように、20世紀末から、所得格差は世界的に拡大していると伝えます。

 「格差の拡大が経済成長に影響するか」という研究テーマに対して、経済協力開発機構(OECD)教授のフェデリコ・シンガロさんの論文は過去30年間に大半のOECD諸国では、所得格差が拡大していると指摘し、「所得格差が経済成長率を抑制する」と主張していると伝えます。

 シンガロさんは「社会的に下層の人々は、所得が減ると、教育投資を減らす傾向を示す」といいます。この結果、格差拡大は「社会全体での教育投資の量を減らし、経済成長を遅らせる」と主張します。

 このため、政府が税制や社会保障政策によって、格差を是正するため、“適切な政策設計”を実施すると、成長を阻害ししないとつなげます。従来の見方と、逆の効果を指摘します。

 国際通貨基金(IMF)のジョナサン・オストリさんも「所得格差の拡大は中期的に経済成長を低下させる」と主張しています。

 こうした最近の研究成果は、格差是正と経済成長についての、従来の“常識”を覆しつつあると伝えます。

 富の格差が経済成長や金融政策に大きな影響を与えるという考え方は、これからの経済政策を構想する際に、重要な役割を果たすだろうと伝えます。

 この解説記事のすぐ後ろに、池上彰さんの解説「分裂する米国」が掲載されています。米国の大統領選挙の候補者選びが本格化する中で、共和党ではドナルド・トランプ氏が、民主党ではバーニー・サンダース氏が予想外の支持を集めていると伝えます。

 トランプ氏の人気の高さは「ワシントン政治への不信感の強さ」を反映したものだと指摘します。「政治は我々のために何もしてくれない。議会は政争に明け暮れている。もうワシントンには任せられない」という声が強まっているからだそうです。

 このトランプ氏や共和党系候補者のテッド・クルーズ氏を支持するのは、豊かではない白人たちだと指摘します。この豊かではない白人たちは、就職先は建築作業員などに限られ、低賃金で働く不法移民に職を奪われるなどの経験を持っているようです。

 米国の資産は、約1パーセントの富裕層がほとんどを所有し、この約1パーセントの富裕層が米国大統領候補者に多額の寄付をして、各大統領候補者の選挙運動を支えます。この結果、これまでの共和党と民主党所属の大統領や有力議員は、寄付をしてくれた富裕層向けの施策をとってきたという点が、現在の大統領候補者選びの事実上の争点になっていると解説します。

 池上彰さんは「政府に期待しない勢力と、政府を強化すべきと考える勢力がともに浮上し、米国の分裂志向が、次期大統領候補者選びに露呈している」と解説します。

 日本には、所得面での中間層が多数いて、日本の成長のエンジンを担っているといわれた仕組みは過去のものになりつつあるようです。格差が拡大する日本によって、米国での分裂志向から学ぶことが多くなると考えておいた方がいいようです。