ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

東京大学発ベンチャー企業のユーグレナ社長の出雲充さんの話を拝聴しました

2013年07月21日 | 汗をかく実務者
 先日、監査法人などが主催したセミナー「産学連携ベンチャーサミット」を拝聴しました。主なテーマは大学発ベンチャー企業による事業化あるいはイノベーションです。場所は東京都千代田区です。

 同セミナーのメーンの講演者は、東京大学発ベンチャー企業のユーグレナ(東京都文京区)の代表取締役の出雲充さんと、法政大学発ベンチャー企業のデジタルメディアプロフェッショナル(DMP、東京都中野区)の代表取締役の山本達夫さんです。

 弊ブログをお読みの方の中でお気づきの方もいるのではと思いますが、2013年3月10日編でご紹介した経済産業省などが主催した「イノベション実用化ベンチャー支援事業」告知セミナーのメーン講演者の組み合わせと同じお二人です。おそらく偶然です。多くの方が聴きたいと考える講演者が選ばれたと考えています。

 ユーグレナの出雲さんは、いつもの講演のように東京大学に入学した1年生の夏休みに、最貧国の一つであるバングラディシュに行って、栄養失調の子供たちに会った話から語り始めます。



 出雲さんの講演中の画像をよく見ると、マイクの頭をあごに当てて、話しています。講演に使うパワーポイントのページを1枚ずつ進めるために、片方の手で、その動作を担当する機器を操作しているからです。マイクを片手で持しかないために、あごに当ててマイクの位置を安定させているのです。話す内容はすべて記憶しているため、パワーポイントのページを的確なタイミングで進むように、機器を操作します。

 話す内容の進み方と、パワーポイントのページ進行があまりにもシンクロしているために、出雲さんはこの講演内容は何回も話していて、手慣れたものになっていると感じました。

 2005年8月の創業時は、COE(最高経営責任者)である出雲さんと、CTOである鈴木健吾さんと、中国などで機能性食品事業を手がけていた福本拓元さんの3人が参画しました。ユーグレナを用いる機能性食品を中核事業に育てる目標を掲げての船出だったそうです。2005年12月には、沖縄県の石垣島でユーグレナの大量育成に成功し、順風な船出となったと感じたようです。

 しかし、ユーグレナ(ミドリムシ)を用いる機能性食品の事業計画書を持って、日本のさまざま企業を訪問し、事業計画を説明すると、どの企業の担当者も採用実績がないことから、「採用実績ができたら、また来て下さい」との返事を繰り返し、相手にしてくれなかったそうです。



 この話はなかなか微妙です。2013年7月11日編でご紹介した米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)教授の中村修二さんが創業したベンチャー企業の事業計画を説明しようと、日本企業に連絡すると、「わずか3人の小企業とは会わない」と門前払いの連続だったそうです。

 これに対して、東京大学発ベンチャー企業の場合は、東京大学のOB(卒業生)の大手企業の相談役や監査役が紹介状を書いてくれるので、企業の担当者には会えたようです。この点が、“東京大学”発ベンチャー企業の強みの一つです。

 出雲さんは創業後の約3年間に約500社の企業を訪れて、ユーグレナを用いる機能性食品の事業計画書を説明したそうです。あまりにも断られ続けるので、もし企業を廃業する時は、支持者にかける迷惑を最小することも少しは考えたそうです。

 ユーグレナの救済者は総合商社の伊藤忠でした。2008年5月に、ユーグレナの事業計画書を受け入れ、提携する話になりました。この時に、「なぜ伊藤忠がユーグレナの事業計画書を受け入れたかの理由は分からない」と、出雲さんは語ります。約500社に説明するために、「商社向けや電力会社向け、電機企業向けなどとそれぞれ説明内容を改良し続け、相手が感心を持つようにした成果だったのかもしれない」と感想を漏らします。

 日本の大手企業と取り引きを始める、あるいは提携するなどの実績ができると、日本企業は手のひらを返すように、数社がユーグレナの事業計画書を受け入れ始め、同社は成長路線に乗ることができました。

 ユーグレナは現在(2012年12月時点で)、資本金は9億1421万円、売上高は15億8568万円です。事業資金を確保するために、それぞれの分野で大手企業と提携しています。ユーグレナの培養設備などは、日立製作所と清水建設と提携し、設備投資内容についての提携先は東京センチュリーリースです。将来のバイオ燃料開発の共同研究相手はJX日鉱日石エネルギーと日立製作所です(新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの事業支援策によって)。そして、機能性食品の国内・国外への販路開拓は伊藤忠所持です。できるだけ、事業投資を身軽にする提携関係を結んでいます。

 ユーグレナを利用した機能性食品や化粧品などの製品化・事業化は順調に進んでいる様子です。この結果、2012年12月20日に東京証券取引所マザーズに上場し、注目を集めます。

 今回のセミナー終了後に、約150人の聴講者の中で、50人~60人ぐらいが出雲さんとの名刺交換を目指して列をつくりました。セミナー終了直後の時点では、デジタルメディアプロフェッショナルの山本さんとの名刺交換を求める人よりもかなり多いようにみえました。出雲さんの人気の高さを知ることができました。

長野県東御市山麓の池の平湿原の奥で、ビンズイのさえずりを聴きました

2013年07月20日 | 旅行
 長野県東御市の湯の丸高原の地蔵坂の山麓上側にある池の平湿原に行った話の続きです。

 広大な池の平湿原の奥にある鏡池の北側の背後に岩場があり、この岩場の間を上る山道があります。この山道の両側に、ハクサンシャクナゲ(白山石楠花)が白い花を咲かせています。





 花がピンク色のアズマシャクナゲは花期を過ぎているようで、見かけませんでした。

 広大な池の平湿原の奥にある鏡池から北東側にある三方ケ峰(標高は2010メートル)に向かう途中に針葉樹の“おとぎの森”があります。そのおとぎの森の手前に野アヤメなどが咲く小さな湿地やササヤブの草原があります。

 ササヤブの中に、イワカガミが数輪、花を咲かせています。



 たまたま、ここは比較的涼しい場所で、本来は花期が終わっているはずのイワカガミの花が残っていたようです。

 この草原に生えている小さな針葉樹と、その背景にある針葉樹の森の間をビンズイが行き来しています。







 針葉樹の頂部に留まって、独特のさえずりをしています。



 ビンズイは比較的標高の高い森に住んでいる野鳥です。

 遠くでは、カッコウの鳴き声も時々、聞こえるのですが、見える場所には登場しません。

 以前に、三方ケ峰の山頂から池の平湿原の外輪山麓を南西方向に向かう見晴らし山道を通って、池の平湿原の入り口の兎平(うさぎだいら)に向かう途中で、森の中でホシガラスに出会ったことがありました。今回は残念ながら、ホシガラスには出会えませんでした。

長野県東御市郊外の池の平湿原近くの三方ケ峰ではコマクサが咲いています

2013年07月19日 | 旅行
 長野県東御市の湯の丸高原の地蔵坂から斜面を上るとたどり着く、標高約2000メートルの池の平湿原に行った話の続きです。

 小雨が時々降る薄雲りの天気の中を、トレッキングの方々が大勢訪れています。



 池の平湿原の鏡池近くでは、清楚な感じのゴゼンタチバナの花が咲いています。





 花を咲かせているハクサンチドリなどの近くに、わずかですがシュロソウの花がいくつか咲いています。



 池の平湿原の鏡池近くから北側に岩の間の山道を登り、さらに三方ケ峰(標高は2040メートル)の頂上に上がると、岩場の中にコマクサの花が咲いています。

 ガレ場の中に、コマクサが点々と多数育ち、それぞれが花を咲かせています。





 岩場近くの草原では、ウスユキソウ(通称 エーデルワイズ)の花が咲いています。



 質素で清楚な花です。

 池の平湿原とその周辺では、7月に咲く夏の早番の野草が花を咲かせています。7月中旬終盤ですが、7月の遅番のニッコウキスゲ(ゼンテイカ)やヤナギランはまだ育っている途中で、花はまだ咲いていませんでした。

長野県東御市の湯の丸高原近くの池の平湿原は野アヤメが良く咲いています

2013年07月18日 | 旅行
 長野県東御市の湯の丸高原の地蔵坂から東側にある湯の丸スキー場の斜面を上ると、標高約2000メートルの池の平湿原の入り口の兎平に到着します。

 浅間山山系の一番西側に位置する山系にある池の平湿原は、高山直物や動物などの宝庫です。数万年前に三方ヶ峰火山が噴火してできた火口原が時間をかけて高層湿原に変化したものです。

 三方ヶ峰の頂上付近から見下ろした池の平湿原です。広大な高層湿原が一望できます。池の平湿原に設けられた木道がよく見えます。



 この池の平湿原は、1日の昼夜の気温差、1年間の気温差がとても大きいために、多種多様な植物が育つのだそうです。この結果、標高3000メートルなどで育つ高山植物も、ここでは育つそうです。

 池の平湿原に設けられた木道を用いて半周すると、鏡池近くに出ます。

 池の平湿原の西橋にある鏡池です。水面に映る景色が印象に残ります。





 この鏡池の周りに野アヤメ(ヒオウギアヤメ)などが群生しています。

 ヒオウギアヤメは池の平湿原のあちこちに群生しています。ちょうど、ヒオウギアヤメの開花期でした。



 華やかな花を咲かせるハクサンチドリです。開花期を少し過ぎた感じです。





 このハクサンチドリの花を見に、池の平湿原を毎年訪れる方は少なくありません。

 ハクサンチドリの花の近くに、花期を終えて実をつけつつあるショウジョウバカマが多数ありました。4月か5月には、ショウジョウバカマの花が咲き乱れていた様子です。

 池の平湿原では7月上旬に咲くレンゲツツジが、所々でまだ花を咲かせています。



 8月になると、ヤナギランやマツムシソウ、リンドウなどがあちこちで花を咲かせます。

 池の平湿原は訪れる季節ごとに、さまざまな野草の花を楽しませてくれる野草の宝庫です。

 なお、今夏は毎年実施されてきた乗用車の乗り入れ制限を、実験的に中止しています。このため、これまでは池の平湿原に行くには、湯ノ丸高原か高峰高原からシャトルバスに乗り換える必要がありましたが、今年は山道が一般の車にも開放されています。

群馬県富岡市の郊外の稲が育つ田圃で、アオサギの群れに出会いました

2013年07月17日 | 季節の移ろい
 群馬県富岡市西側の山間部郊外を西から東に向かって流れる高田川沿いに広がる田圃地帯で、アオサギやコサギの群れに出会いました。

 高田川の源流が流れ出す妙義山系(表妙義側)の金洞山(標高1094メートル)近くの岩石群です。



 金洞山から中腹の山道を東側に向かうと、白雲山(標高1104メートル)の中腹にたどり着きます。白雲山は下側の山麓の森が盛夏で葉が茂っても、その上部は険しい山肌のままです。



 薄雲りのためでしょうか、コントラストがやや弱い風景画像になっています。

 白雲山中腹にある妙義神社付近から富岡市側に下ると、高田川沿いの両側に田圃が広がる田園地帯に入ります。ここの田圃の一部は、比較的最近田植えした背の低い稲の田圃です。田圃の稲の根元には水が張られています。

 稲が青々と育つ田圃地域の中を通る広域農道を、富岡市市街地のある東に向かっていると、この季節には珍しくコサギの群れが飛んでいました。5、6羽の群れです。





 コサギの群れが降りた場所を探すと、田園地帯の背後に並ぶ斜面林の上部にそれぞれ離れて留まっていました。アオサギも留まっています。アオサギのコロニーのようです。



 コサギが飛んでいた田圃に対して広域農道を挟んで逆側の田圃側をみると、アオサギが4羽、一定間隔で並んでいます。





 不思議なことに、4羽とも顔を同じ方向に向けています。あまり動きません。何を見ているのか分かりません。この4羽の中には、今年生まれた幼鳥もいる可能性があります。

 アオサギが留まっている場所まで50メートルぐらい離れているのではっきりとは分かりませんが、アオサギは夏羽根になっていて、羽根は少し灰色が強い感じです。

 実は、比較的背の低い稲の田圃なので、シギ類がいないかどうかも探したのですが、残念ながら発見できませんでした。盛夏に田圃の稲の中を見て回ることは、いくらか怪しい人物に思われがちです。少し緊張します。

 高田川は富岡市の市街地で、鏑川(かぶらがわ)に合流します。