先日、監査法人などが主催したセミナー「産学連携ベンチャーサミット」を拝聴しました。主なテーマは大学発ベンチャー企業による事業化あるいはイノベーションです。場所は東京都千代田区です。
同セミナーのメーンの講演者は、東京大学発ベンチャー企業のユーグレナ(東京都文京区)の代表取締役の出雲充さんと、法政大学発ベンチャー企業のデジタルメディアプロフェッショナル(DMP、東京都中野区)の代表取締役の山本達夫さんです。
弊ブログをお読みの方の中でお気づきの方もいるのではと思いますが、2013年3月10日編でご紹介した経済産業省などが主催した「イノベション実用化ベンチャー支援事業」告知セミナーのメーン講演者の組み合わせと同じお二人です。おそらく偶然です。多くの方が聴きたいと考える講演者が選ばれたと考えています。
ユーグレナの出雲さんは、いつもの講演のように東京大学に入学した1年生の夏休みに、最貧国の一つであるバングラディシュに行って、栄養失調の子供たちに会った話から語り始めます。
出雲さんの講演中の画像をよく見ると、マイクの頭をあごに当てて、話しています。講演に使うパワーポイントのページを1枚ずつ進めるために、片方の手で、その動作を担当する機器を操作しているからです。マイクを片手で持しかないために、あごに当ててマイクの位置を安定させているのです。話す内容はすべて記憶しているため、パワーポイントのページを的確なタイミングで進むように、機器を操作します。
話す内容の進み方と、パワーポイントのページ進行があまりにもシンクロしているために、出雲さんはこの講演内容は何回も話していて、手慣れたものになっていると感じました。
2005年8月の創業時は、COE(最高経営責任者)である出雲さんと、CTOである鈴木健吾さんと、中国などで機能性食品事業を手がけていた福本拓元さんの3人が参画しました。ユーグレナを用いる機能性食品を中核事業に育てる目標を掲げての船出だったそうです。2005年12月には、沖縄県の石垣島でユーグレナの大量育成に成功し、順風な船出となったと感じたようです。
しかし、ユーグレナ(ミドリムシ)を用いる機能性食品の事業計画書を持って、日本のさまざま企業を訪問し、事業計画を説明すると、どの企業の担当者も採用実績がないことから、「採用実績ができたら、また来て下さい」との返事を繰り返し、相手にしてくれなかったそうです。
この話はなかなか微妙です。2013年7月11日編でご紹介した米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)教授の中村修二さんが創業したベンチャー企業の事業計画を説明しようと、日本企業に連絡すると、「わずか3人の小企業とは会わない」と門前払いの連続だったそうです。
これに対して、東京大学発ベンチャー企業の場合は、東京大学のOB(卒業生)の大手企業の相談役や監査役が紹介状を書いてくれるので、企業の担当者には会えたようです。この点が、“東京大学”発ベンチャー企業の強みの一つです。
出雲さんは創業後の約3年間に約500社の企業を訪れて、ユーグレナを用いる機能性食品の事業計画書を説明したそうです。あまりにも断られ続けるので、もし企業を廃業する時は、支持者にかける迷惑を最小することも少しは考えたそうです。
ユーグレナの救済者は総合商社の伊藤忠でした。2008年5月に、ユーグレナの事業計画書を受け入れ、提携する話になりました。この時に、「なぜ伊藤忠がユーグレナの事業計画書を受け入れたかの理由は分からない」と、出雲さんは語ります。約500社に説明するために、「商社向けや電力会社向け、電機企業向けなどとそれぞれ説明内容を改良し続け、相手が感心を持つようにした成果だったのかもしれない」と感想を漏らします。
日本の大手企業と取り引きを始める、あるいは提携するなどの実績ができると、日本企業は手のひらを返すように、数社がユーグレナの事業計画書を受け入れ始め、同社は成長路線に乗ることができました。
ユーグレナは現在(2012年12月時点で)、資本金は9億1421万円、売上高は15億8568万円です。事業資金を確保するために、それぞれの分野で大手企業と提携しています。ユーグレナの培養設備などは、日立製作所と清水建設と提携し、設備投資内容についての提携先は東京センチュリーリースです。将来のバイオ燃料開発の共同研究相手はJX日鉱日石エネルギーと日立製作所です(新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの事業支援策によって)。そして、機能性食品の国内・国外への販路開拓は伊藤忠所持です。できるだけ、事業投資を身軽にする提携関係を結んでいます。
ユーグレナを利用した機能性食品や化粧品などの製品化・事業化は順調に進んでいる様子です。この結果、2012年12月20日に東京証券取引所マザーズに上場し、注目を集めます。
今回のセミナー終了後に、約150人の聴講者の中で、50人~60人ぐらいが出雲さんとの名刺交換を目指して列をつくりました。セミナー終了直後の時点では、デジタルメディアプロフェッショナルの山本さんとの名刺交換を求める人よりもかなり多いようにみえました。出雲さんの人気の高さを知ることができました。
同セミナーのメーンの講演者は、東京大学発ベンチャー企業のユーグレナ(東京都文京区)の代表取締役の出雲充さんと、法政大学発ベンチャー企業のデジタルメディアプロフェッショナル(DMP、東京都中野区)の代表取締役の山本達夫さんです。
弊ブログをお読みの方の中でお気づきの方もいるのではと思いますが、2013年3月10日編でご紹介した経済産業省などが主催した「イノベション実用化ベンチャー支援事業」告知セミナーのメーン講演者の組み合わせと同じお二人です。おそらく偶然です。多くの方が聴きたいと考える講演者が選ばれたと考えています。
ユーグレナの出雲さんは、いつもの講演のように東京大学に入学した1年生の夏休みに、最貧国の一つであるバングラディシュに行って、栄養失調の子供たちに会った話から語り始めます。
出雲さんの講演中の画像をよく見ると、マイクの頭をあごに当てて、話しています。講演に使うパワーポイントのページを1枚ずつ進めるために、片方の手で、その動作を担当する機器を操作しているからです。マイクを片手で持しかないために、あごに当ててマイクの位置を安定させているのです。話す内容はすべて記憶しているため、パワーポイントのページを的確なタイミングで進むように、機器を操作します。
話す内容の進み方と、パワーポイントのページ進行があまりにもシンクロしているために、出雲さんはこの講演内容は何回も話していて、手慣れたものになっていると感じました。
2005年8月の創業時は、COE(最高経営責任者)である出雲さんと、CTOである鈴木健吾さんと、中国などで機能性食品事業を手がけていた福本拓元さんの3人が参画しました。ユーグレナを用いる機能性食品を中核事業に育てる目標を掲げての船出だったそうです。2005年12月には、沖縄県の石垣島でユーグレナの大量育成に成功し、順風な船出となったと感じたようです。
しかし、ユーグレナ(ミドリムシ)を用いる機能性食品の事業計画書を持って、日本のさまざま企業を訪問し、事業計画を説明すると、どの企業の担当者も採用実績がないことから、「採用実績ができたら、また来て下さい」との返事を繰り返し、相手にしてくれなかったそうです。
この話はなかなか微妙です。2013年7月11日編でご紹介した米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)教授の中村修二さんが創業したベンチャー企業の事業計画を説明しようと、日本企業に連絡すると、「わずか3人の小企業とは会わない」と門前払いの連続だったそうです。
これに対して、東京大学発ベンチャー企業の場合は、東京大学のOB(卒業生)の大手企業の相談役や監査役が紹介状を書いてくれるので、企業の担当者には会えたようです。この点が、“東京大学”発ベンチャー企業の強みの一つです。
出雲さんは創業後の約3年間に約500社の企業を訪れて、ユーグレナを用いる機能性食品の事業計画書を説明したそうです。あまりにも断られ続けるので、もし企業を廃業する時は、支持者にかける迷惑を最小することも少しは考えたそうです。
ユーグレナの救済者は総合商社の伊藤忠でした。2008年5月に、ユーグレナの事業計画書を受け入れ、提携する話になりました。この時に、「なぜ伊藤忠がユーグレナの事業計画書を受け入れたかの理由は分からない」と、出雲さんは語ります。約500社に説明するために、「商社向けや電力会社向け、電機企業向けなどとそれぞれ説明内容を改良し続け、相手が感心を持つようにした成果だったのかもしれない」と感想を漏らします。
日本の大手企業と取り引きを始める、あるいは提携するなどの実績ができると、日本企業は手のひらを返すように、数社がユーグレナの事業計画書を受け入れ始め、同社は成長路線に乗ることができました。
ユーグレナは現在(2012年12月時点で)、資本金は9億1421万円、売上高は15億8568万円です。事業資金を確保するために、それぞれの分野で大手企業と提携しています。ユーグレナの培養設備などは、日立製作所と清水建設と提携し、設備投資内容についての提携先は東京センチュリーリースです。将来のバイオ燃料開発の共同研究相手はJX日鉱日石エネルギーと日立製作所です(新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの事業支援策によって)。そして、機能性食品の国内・国外への販路開拓は伊藤忠所持です。できるだけ、事業投資を身軽にする提携関係を結んでいます。
ユーグレナを利用した機能性食品や化粧品などの製品化・事業化は順調に進んでいる様子です。この結果、2012年12月20日に東京証券取引所マザーズに上場し、注目を集めます。
今回のセミナー終了後に、約150人の聴講者の中で、50人~60人ぐらいが出雲さんとの名刺交換を目指して列をつくりました。セミナー終了直後の時点では、デジタルメディアプロフェッショナルの山本さんとの名刺交換を求める人よりもかなり多いようにみえました。出雲さんの人気の高さを知ることができました。