新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

3月11日 その2 11年3月11日の思い出

2019-03-11 16:49:29 | コラム
遠い昔の事のような気もするが8年前の出来事だった:

の日のあの時は在職中の最大の取引先のグループ会社の社長さんだった方お二人と、ここ百人町の大久保通りの風月堂の2階で楽しく談笑していた。そこにグラグラと揺れ出したと思った途端に、未だ嘗て経験したこともない凄まじいばかりの激しくも恐ろしい揺れが来て、店内の装飾品だった大きな花瓶が加湿器と共に音を立てて倒れ「地震だ」と誰彼となく叫んでテーブルの下に隠れようとしたが、そんなことで許してはくれそうもない建物ごと壊れてしまうのではないかと怖れたほどの大揺れだった。

その激震が何秒続いたかも解らなかったが、静まったと同時に何人いたかも解らないお客たちは、何の問題もなく通行が可能だった階段を一斉に駆け下りて避難していった。我々3人は最年少だった元社長氏が「直ぐに外に出てはいけない。窓ガラスが壊れて降ってくるかも知れない危険がある」と残る2名を押し止めて、恐らく最後の脱出者となったと記憶する。その際に他のお客たちと違っていた点は、警告を発した方はチャンと伝票を掴んで階段を駆け下りていたことだった。

幸いにして風月堂の窓ガラスは割れておらず地上での安全は確保されたが、大久保通りは逃げ惑う人々で大混乱の様子だった。そこから見える山手線の高架には電車があらぬ所で停まっているようにも見えた。お互いの無事が確認できた時点で我々が先ずやったことは、風月堂の1階に戻って支払いを済ませることだった。店員に念の為に確認してみると支払いに戻ってきたのは我々のグループだけだったようだ。今にして思えば「あの恐ろしい状況では悪意がなくても、そのまま逃げるだろうな」となるほどの激震だった。

風月堂で聞かされたことは震度が7という誰もが経験したことにない揺れだった。その状態では、確かその時点で最早携帯電話は通じておらず、何処にも連絡できない状態だった。我が家はそこから徒歩6分の距離なので取り敢えずはそこまで戻って、室内にいたはずの家内にどのような報道があったか確認しようとなった。だが、鉄道がどうなっているかも不明な状態で、お客人たちは「大丈夫だろうから」とお引き留めした私を振り切って横浜と八王子に向かって帰って行かれた。

その帰宅のご苦労は大変なものだったと後で伺ったが、あれほども大揺れを経験してもまさか電車が動かなくなるまでの大地震だったとは考えにくかったようである。我が25階建てのアパートは築24年ほどにはなっていたが、我が家の13階には写真立てが倒れた程度で被害はなく、全体的に無事だったのは良かったと思っていた。それでも、3基あるエレベーターは当然のように停止していたので、老化してしまった現在にあの地震が起きていたら、階段を歩いて上がるのを諦めていただろうと思っている。

あの地震が東北地方にあれほどの被害をもたらしたと知ったのは、もう余震も来ないだろうと見極めがついた後で、何とか他の居住者たちと励まし合いながら非常階段を上って我が家に辿り着いてテレビを見られるようになってからのことだった。あの大地震と津波の被害者の方々のご冥福をお祈りして回顧談を終わりたい。


我が国の広告費は7年連続でプラス成長

2019-03-11 13:44:38 | コラム
18年度の広告費は+2.2%成長:

電通が発表した「日本の広告費」によれば2018年度は6兆5,300億円と対前年比で+2.2%と7年連続のプラス成長となっていた。18年の名目国内総生産(GDP)に占める総広告費の割合は1.19%であり前年度からは微増に止まっていた。電通の解説は告費の増加は以下のように解説していた。

*18年度は緩やかな景気拡大に伴って通年で2.2%の成長となったが、世界経済の不透明な先行きの見通しや度重なる自然災害、弱含みの個人消費や高まらない所得の実感と不安材料が多かったものの、好調な企業収益などが日本経済の成長を後押しし、また媒体別では引き続き好調なインターネット広告費が1兆7,689億円と対前年比+16.5%の成長で総広告費全体を牽引する結果となった。市場全体としては、まさに構造変化の真っ只中にあると言える。

*媒体別に対前年比を見ると、新聞広告費が△7.1%、雑誌広告費が△9.0%、ラジオ広告費が△0.9%、テレビメデイア広告費の△1.8%を合計したマスコミ四媒体の広告費は2兆7,026億円はその成長率は△3.3%と4年連続のマイナス成長となっていた。また、その総広告費に占める割合も41.4%と対前年比△2.3%と減少していた。プロモーション広告費は2兆685億円と対前年比△0.9%で、ここでも4年連続のマイナス成長となっていた。なお、インターネット広告費は26.9%だった。

*業種別(マスコミ4媒体、但し衛星メデイア関連は除く)では21業種中5業種で増加していた。主な増加業種は「精密器機・事務用品」の+23.2%・・・眼鏡型拡大鏡、「外食・各種サービス」の+4.0%・・・飲食業、人材派遣などとなっていた。主な減少業種は「出版」の△12.8%・・・出版案内・婦人・家庭誌となっていた。ここでは個人的に印象深かったのは眼鏡型拡大鏡が挙げられていたことで、過剰ではと思わせられるほど連日連夜の如くにテレビにCMが登場しているのには恐れ入っている。

先週から一斉に「景気の減速」が報道されるようになった2019年度には御代替わりがある事でもあり、我が国の広告費の出費が8年連続でプラス成長となるか否かには、個人的には興味というか関心があるのだ。

参考資料:紙業タイムス社刊 FUTURE誌 19年3月18日号