新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

3月1日 その2 トランプ大統領対金正恩委員長会談の雑感

2019-03-01 15:08:55 | コラム
トランプ大統領の黒いコート:

服装学:

先ずはトランプ大統領のファッションの観察から。私が非常に気になっていることは「あの黒いコート」と、前のボタンをかけずにおられること。私が信奉し且つ私の「ビジネスパーソンの服装学論」の見地からも「身分の低さを表す」とされている「黒いコート」(テレビの画面では黒としか見えないのだ)をお好みである点だ。私は少なくとも「アメリカ合衆国の大統領」がお召しになるべきコートではないと思う。それとも不動産業界ではあれで通用するのかな?

私はトランプ大統領のネクタイも常に関心を持って見てきた。殆どの場合赤か空色系統の無地で“extra length”のものを使い分けておられる。縞模様(ストライプ)か英語でいう“pattern tie”(柄物)は着用されない。縞模様をしておられても、何故か私が「アメリカ縞」と呼ぶ右肩から左下に向かって縞が流れているものは締めておられないのだ。しかし、ハノイの会談での初日には紺地に赤のストライプだったが、何とアメリカ縞ではなかった。ブランドが何処かと奇異の感があった。

そして、2日目には矢張り紺の地にブルーのアメリカ縞のネクタイで登場された。珍しいこともあるものだと思えば、walk awayとなってしまった。嘗ては、歴代のアメリカの大統領の御用達だったブランドの“Sulka”が倒産してしまった以上、残るブランドは安倍総理がご贔屓だと見ている“Brooks Brothers”か“Ralph Lauren”しか思い浮かばないが、何れもトランプタワーの近所に店舗がある。

通訳:
ファッションはこれくらいにして、気になったのが通訳だった。トランプ大統領も金正恩委員長も共に女性の通訳を伴って出てこられた。私は「果たしてあれでよかったのか」と敢えて問題にしたい。これも持論だが、私は親分であった副社長兼事業部長にとっては「通訳も出来る交渉の当事者」として10年以上も仕えてきた。そこまで付き合っていればこそ、お互いに気心が知れてその日の彼のご機嫌も読めるし、使う言葉で彼の意向というか心中をある程度以上は察することが出来る間柄になっていたのだった。

しかも、私の場合は交渉の当事者であるし、得意先の方々とも長い付き合いである事が多いし、日頃の接触で概ね如何なる性格であるかは承知しているので、初見の人ではないのだから、相当以上正確で的確な通訳が出来ていると確信していた。それだけではなく、副社長とは事前に如何なる事を言うかを念入りに打ち合わせしてあるのだ。ハッキリ言えば「初めてお目にかかる方の通訳は、出来ることなら辞退したいくらい」なのだ。そのくらい通訳という仕事は微妙なのだとご理解賜りたい。

しかしながら、トランプ大統領の通訳の女性は少なくとも私はテレビの画面で初めて彼に付き添って出てこられるのを見ただけだ。あの女性がトランプ大統領の特異な個性は把握できていたかも知れないが、年がら年中彼と行動を共にして彼の英語を韓国語にしていた経験があるとは思えないのだ。しかも、金委員長の通訳の女性も同様だったが、速記かどうか知らないがメモを取っていたのだった。私は絶対と言って良いほどしないことだった。

理由は簡単で「私の記憶力では10分や15分話し続けられても十分に記憶できるので、メモを取っている間は書くことに神経が行くので聞き漏らしと訳し漏れがでる」からである。但し、日本語と全く概念が異なる数字だけはメモに取っていた。即ち、「100の百万が億」などという面倒な数え方だし、billionは咄嗟に日本語になりにくかった。言いたいことは「あれほど重要な国際的会談に通訳として出ていく恐ろしさを考える時に、その場限りの女性で良いのか」なのである。

重要であり且つ難しい商談をする会合などで通訳もする緊張感は、大袈裟に言えば「胸も張り裂けるか」と恐ろしかったのだ。トランプ大統領がこれまでにどれほど通訳を使う会談を経験されたか知らないが、馴れておられない方は妙なところで切られたり、興に乗って延々度話し続けられたりするので、時には「そこまでに願えませんか」と僭越にも阻止したことすらあったのだ。あの女性通訳はそこまで練達熟練かという率直な疑問だ。

言い方は悪いかも知れないが「トランプ大統領の記者会見と李外相の主張があれほど異なっていたのは、もしかして通訳の不慣れのせいではないのか」とふと疑いたくなった。要するに、あれほどの世紀の会談では通訳をするのは、側近的な存在の方が最も適当だと思う。通訳を生業としている者は自分で勝手に解釈して訳したり、注釈をつけることは出来ないし、しないものだ。という次第で経験からも一寸気になったもので、敢えて採り上げた次第。


第2回のトランプ大統領対金正恩委員長会談に思う

2019-03-01 07:47:56 | コラム
予想し得る範囲内の結末だった:

既に「私は予想も予測もしないで結果が出るのを待つ」とは言って置いたが、結果的にはポンペオ国務長官も”walked away“か“walked out”と表現して終わった。これは私が指摘してきた「アメリカのビジネスでは落とし所を探るとか妥協するような交渉は絶対と言って良いほどしない」の通りだったと思う。即ち、声明文も何も署名しないとトランプ大統領が述べたのは、安倍総理が全面的に支持すると述べたような正しい決断だけではなく「これがアメリカ式交渉術であり、思考体系の表れだった」と思っている。

先ほどのニュースではDPRKの李外相が深夜の2時に記者会見を開いてトランプ大統領が述べておられた「金正恩委員長が寧辺の施設破壊だけで制裁の全面的解除を求めたので拒否した」ということを否定して見せた。これとても、かの民族独特の話題のすり替えであり、私には韓国がレーダー照射問題で次々と論点を変えてきたのと同じ手法であって「飽くまでも非は先方にある」と言いたいだけだと思って聞いた。驚きでも何でもないニュースだ。

私がこれまでの両首脳の会談の報道で少し腑に落ちない点があった。それは、昨28日の夜のPrime Newsで元はNHKの手島隆一氏が提起していたことで、トランプ大統領は安倍総理の意向を受けて第1回目でも今回でも金正恩委員長に拉致家族問題を解決しない限り日本との関係改善はないという趣旨で語りかけて下さったそうだ。だが、話はそこまでで金委員長からの反応にはトランプ氏も触れておられなかったし、それに関する報道も無かったのだ。

この件については、一部の専門家は「それは解決済み」とでも金委員長が述べたので、それ以上の言及がないのだという見方をしていた。彼らは「ここから先は何とかして機会を作ってでも安倍総理が直接に金正恩委員長と会談することではないか」と指摘していたが、今更ながらのことで、そういう方法で迫っていくことを当然考えて頂かねばなるまいと思うのだが。この件も含めて今後のアメリカ対DPRK間の交渉の展開を深い興味と関心を持って見守っていきたい。