新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

ロシアのウクライナ侵攻に思う事:

2022-03-15 09:29:07 | コラム
分かりやすいようでありながら理解し難い点が多いのだ:

プーテイン大統領は何を目指したのだろう:
この件については、多くの専門家の方が解説しておられるので、ここに私如きが何か云々する必要はないだろうと思う。ここから先が難しいところで、テレビで朝な夕なに取り上げているウクライナでの戦況は、殆どがウクライナ側に有利に進んでいるといった趣旨のものが圧倒的に多いのだ。妙な言い方だと承知で言えば「嘗ての大本営発表的」なのである。ロシア国内で戦況が如何に伝わっているかに関するニュースを聞いた記憶がない。この状態はどうかと思うが、私はこの件のニュースは俗な表現にすれば「うざったい」ので敬遠して余り見ていないが。

国内のマスコミ報道では「SWIFTから閉め出されたロシアからの輸入は遅かれ早かれ減少していくだろうから、魚介類や蕎麦等の価格が上昇するだろう」という程度に止まっている感が濃厚だ。だが、ロシアはSWIFT意外にも数多くの経済的制裁を科されて、早晩国際的な貿易市場から閉め出されるのは間違いあるまい。私は「そこまでの危険を冒してもウクライナを制圧しようとした利益と不利益(「メリット」と「デメリット」というのが誤ったカタカナ語だが)が何処にあったのか、プーテイン大統領はそこまで読んでいたのか」との疑問に撞着するのだ。

日本向けの輸出の担当者だった私は不勉強にして、我が国がロシアに何を輸出していたのか知らないし、我が国がロシアにとってどれほどの位置を占める貿易相手だったかなどは見当も付かない。だが、陸続きのEUというのかNATO(この発音は「ネイトウ」で「ナトー」ではないのだが)なのか知らないが、それらの諸国と貿易が出来ない(決済が出来ない)状態になっても困らないのだろうか。困るだろうと思うし、高橋洋一氏などはYouTubeで「物々交換でもするか」と語っておられた。プーテイン大統領は「孤立」をも厭わぬ決意を固めていたのだろうか。

世界の景気に与えるだろう影響:
世界とは言ったが中国は除外しても良いだろうし、インドが立ち位置を鮮明にしたとは未だ聞いていない。報道によれば、少なくともエネルギー価格は全世界的に上昇していくだろうし、その影響と結果で諸物価が高騰することになるとある。これは勿論好ましいことではないが、プーテイン大統領は「そこまでやって世界を苦しめて見せよう」と考えたのだろうか。当然「返り血を浴びる」ことは計算されなかったのだろうか。

今朝の報道では、成年男子を除くウクライナからの避難民が260万人に達したとのことだった。ウクライナの人口は(外務省の資料によれば)4,159万人であるから、6%強の人々が国外に脱出したことになる。そこに生じるだろう問題は「移民」で、ポーランドその他の隣国やドイツやフランス等がどのように対処するかだろう。テレビのニュースには「1,000台だったかの自動の会話翻訳機の寄付があった」というのがあった。だが、問題はそういう所にあるのではあるまい。衣食住の他に「職」を考えれば、非常に深刻な問題になっていくだろう。

プーテイン大統領に「諦め」という選択があるのだろうか:
何方が指摘されたことかは、何時ものことで記憶が定かではないが「ロシアが侵攻前に配備したと報じられていた10万人の兵力では、あの広いウクライナを制圧できるものではない。40万人であるべきだったのではないか」というのがあった。ウクライナ側の発表では、その中から既に12,000名の死者が出ているとある。それでは不利だというので、既にちらつかせて見せた核兵器まで動員する気なのだろうか。そこまでしてでも、ウクライナを焦土と化しても、大ソヴィエト連邦を再建する意図なのだろうか。

そこまでしてでも、世界から孤立しても侵攻し続ける価値があるのだろうか。報道によれば「侵攻すれば2~3日で制圧できる」と進言した幹部の一人は自宅軟禁になったそうだし、側近は大統領には良い話だけしか上げられないのだそうだ。これでは大統領が「勝っている戦」を止めようと決意することはない事になってしまう。矢張り西側からの報道によれば、ウクライナ軍は既に西側から提供された兵器で戦車を迎撃したりしているとか。矢張り、ロシア側の大本営発表ではない本当の声が聞こえてこない限り、収束の時期など見通しようがないと思うのだ。