1010 Radio

ラジオから色んな情報が発信されるように、車いすの視点から情報や思いを発信。

過激主義勢力の手に核兵器が渡りかねないパキスタンの国内危機

2007-11-11 | ラジオ
イスラム過激主義勢力が背後にあることは明白な、パキスタン情勢の不安定化
は、パキスタン国内に核兵器が存在していることにより、緊迫化が様相を呈して
いる。
これに関連してロシアの声の評論委員は、次のようにコメントしている。
パキスタンのムシャラフ大統領が政権を去り、イスラム過激主義勢力が政権を
掌握した場合、現実的に過激主義者の手にパキスタンの核兵器が渡る可能性
が出てくる。
この問題に付いてはアメリカ統合参謀本部のカーター・ハム陸軍中将も、11月7
日のグリーフィング会見の中で触れており、不安定化しているパキスタン情勢は
パキスタンが保有している、核兵器の保管の安全性に影響を及ぼしかねないと
の懸念を表わした。

この問題に関しては様々な国の主要な政治家が、不安が高まっていることを指
摘している。フランスのサルコジ大統領もその一人で、アメリカのブッシュ大統領
との電話会談の中で、パキスタンが核保有国であることに、ブッシュ大統領の注
意を促し、過激主義者達がパキスタン政権を掌握しないようにすることが極めて
重要だと指摘した。
現在のパキスタン情勢にあっては、このことが最も重要なことだといえるだろう。
ブッシュ大統領はムシャラフ大統領との電話会談の中で、「貴方は速やかに選
挙を実施して軍服を脱ぐ必要がある。大統領と軍の指導者を同時に務めることは
出来ない」と述べている。
しかしイスラム過激主義勢力がムシャラフ大統領と、パキスタン政府に攻撃を仕
掛ける中、ムシャラフ大統領は軍人として弱まることを余儀なくされている。
ただムシャラフ大統領は参謀長を辞任する用意があることをすでに表明しており、
自らの後継者を指名してさへいる。

専門家筋は1998年に核実験を実施したパキスタンは、現在90個の核弾頭を製造
する程度の、核分裂性物質を保有していると見ている。
イスラム過激主義勢力が政権に就き、彼らの手に核兵器が渡ったとすれば、それ
は不測の事態に繋がりかねない。
パキスタンのブット元首相は、ドイツの新聞「ビルド」のインタビューの中で、パキ

タンの核兵器が過激主義勢力の手に渡れば、どんな事が起こるのか想像出来な
いと話している。

しかし野党がパキスタンの現指導者と、ムシャラフ大統領個人を集中攻撃してい
る現在の状況においては、そうした可能性は充分、現実に起こりうるものとなって
いる。
パキスタン国内での緊張がさらに高まれば、国内情勢はさらに不安定化し、総選
挙を待たず内閣が解散する事態にもなりかねない。
今パキスタン情勢の不安定化に関心を持っているのは、どんな代償を払っても政
権に食い込み、核兵器を手に入れる事を目指しているイスラム過激主義勢力だ
けだ。
パキスタンの政治家も国外の指導者も、このことを理解していない筈は無い。

ロシア外務省は今回の危機が調整された後、パキスタンにおける民主化プロセス
が継続することを期待しつつ、パキスタン国内情勢の推移を注意深く見守っている。

インド対パキスタン―核戦略で読む国際関係

西脇 文昭
講談社


このアイテムの詳細を見る

11月9日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル