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中国とアメリカ ミャンマーで衝突

2012-08-01 | ラジオ
ミャンマーは中国とアメリカとの新しい対立の場所となる。ロシアの専門家らは、アメリカがミャンマーとの関係を改善したことで、そのような見方を示している。
最近、オバマ大統領はミャンマーに対する制裁の一部解除を発表し、アメリカとのビジネスへの扉を開いた。
アメリカ企業にはミャンマーの石油ガス分野など、重要な分野への投資が解禁されたほか、金融サービスを提供することができるようになる。現在それらの分野では中国資本が圧倒的な地位を占めている。
アメリカはミャンマーに対して1988年の軍事クーデター以降、厳しい制裁を科してきたが、その間に中国がすっかり立場を強化したのだ。オバマ大統領は制裁措置の緩和について、ミャンマーでのリベラル改革が始まり、民主主義への前進が見られているためだと説明している。

ただロシア科学アカデミーアメリカ・カナダ研究所のゾロタリョフ副所長は、制裁緩和の真の理由は別のところにあると指摘している。
「先ずは地域におけるアメリカの地政学的利害がある。それは中国との対立であり、軍事力を含めた中国の成長する力を封じ込めることだ。全体としてこの地域でアメリカは、中国以外の国々との間で、いざという時に支持を得られるとか、少なくとも忠実な立場を期待できるような関係を築こうとしている。
ベトナムおよびインドとの関係も、そのような考えによるものだ。ミャンマーとの関係も、その民主化云々の話ではなく、地政学的な立場によるものなのだ」
副所長は、このようにコメントしている。

どちらにせよアメリカに続いて西欧諸国、日本などがミャンマーとの関係改善に動いた。日本は西欧諸国よりも一歩早い動きを見せ、4月末には28年ぶりにミャンマーの大統領が東京を訪問した。テイン・セイン大統領には約40億ドルにのぼる負債の帳消しが約束されたほか、インフラ建設のための優遇条件での円借款が約束された。
ロシア科学アカデミー東洋学研究所のユルロフ分析員は、日本が東南アジアにおける影響力のある大国として自らを位置づけており、ミャンマーにおいて中国に挑戦しようとしていると指摘している。
「ミャンマーにおける中国の影響力はとても強力で、今でもそれは続いています。しかし最近、ミャンマーは国際的な孤立から抜け出し、様々なところから風が吹いている。中国だけでなく日本からも欧米からも風が吹いている。
ミャンマーは今のところ非常に貧しい国だ。ミャンマーは当然、東だけでなく、西にも目を向けている。要は選択しなくてはならないのですが、それは非常に困難な選択なのだ」
分析員は、このようにコメントしている。

中国の切り札は、ミャンマーを通ってベンガル湾に抜ける石油ガスパイプライン。また最近、中国国務院のメン・チャンチュン氏がミャンマーを訪問したことも重要だ。メン・チャンチュン氏は政府で治安関係を担当しているが、ミャンマーとの間で全面的な関係発展を確認し、今後とも中国を頼りにできることをアピールした。
ロシアの諺で「空を飛んでいるツルよりも、手の中にあるシジュウカラを与えよ」というロシアの諺があるが、ミャンマーにとっても、すでにある中国との関係が、将来的な欧米との協力から得られる利益よりも重要なのかもしれない。

未知なるミャンマー
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毎日新聞社

7月14日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル