「ワイン村.jp」 (社団法人日本ソムリエ協会 オープンサイト)(2004年5月~2008年12月終了)に連載していた「キャッチ The 生産者」(生産者インタビュー記事)を、こちらにアップし直しています。
よって、現在はインタビュー当時と異なる内容があることをご了承ください。
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(更新日:2007年3月11日)
第32回 Julien Martin <Champagne de VENOGE>
シャンパーニュ訪問の第3回目となる今回は、
エペルネにある “シャンパーニュ・ドゥ・ヴノージュ”社の輸出マネージャー、
ジュリアン・マーティンさんが登場します。
<Julien Martin>(ジュリアン・マーティン)
シャンパーニュ・ドゥ・ヴノージュの輸出マネージャー。
ランスでワインビジネスに携わった後、4年前にドゥ・ヴノージュ社に入社。
親しみやすい笑顔の、癒し系ジェントルマン 。
名門揃いのシャンパーニュ通りへ
ジュリアン・マーティンさんとの最初の出会いは2006年3 月。彼が来日し、滞在期間はわずか3日間でしたが、興味深いテイスティング会を開いてくれました(注*)。
そんなわけで、シャンパーニュに行くからにはドゥ・ヴノージュ社を訪問し、今度こそ彼の話をじっくりと聞かねば!です。
そして2006年の初冬、エペルネのシャンパーニュ通りにある“ドゥ・ヴノージュ”社のオフィスでジュリアンさんが出迎えてくれました。
エペルネのシャンパーニュ通りは、その名が表すように、名だたるシャンパンメーカーがずらりと軒を並べています。街としてはランスの方が格段に大きいのですが、シャンパーニュ委員会の本部もあるエペルネはシャンパーニュの心臓部といっていいでしょう。
1837年創立のドゥ・ヴノージュ社は、元々はこの通りでも2番目に大きな敷地(最大はモエ・エ・シャンドン社)にあったそうですが、1998年にボワゼル・シャノワーヌ・シャンパーニュ(BCC)グループ(ボワゼル、シャノワーヌ、アレクサンドル・ボネ、フィリポナ、ランソンなどを抱える)の傘下に入ったため、現在の場所に移ってきました。
通りに面した門を入ると、右手に同グループのボワゼル、左にドゥ・ヴノージュのオフィスがあり、正面には醸造所があります。
“コルドン・ブルー”の由来
ドゥ・ヴノージュの代表銘柄は “コルドン・ブルー”(Cordon Bleu)。
フランス語で“青いリボン”という意味で、これは、ドゥ・ヴノージュ家がスイス出身であることから、スイスのレマン湖に注ぐヴノージュ川の水の青さを青いリボンになぞらえて、名づけています。
この青いリボンは、1578年にフランスで結成された“精霊騎士団”にも関係しています。彼らは青いリボンで十字架を下げていましたが、彼らの晩餐の食卓が豪華で素晴らしかったことから、青いリボンは素晴らしい料理人を意味するようになり、1895年にはパリにその名を付けた名門料理学校“ル・コルドン・ブルー”が誕生しています。
“青いリボン”は、昔も今もまさにガストロノミーの象徴というわけです。
(注*)
このときのテイスティング会の模様は、ソムリエ協会機関誌(『sommelier』90号)をご覧ください。
ドゥ・ヴノージュ社のオフィスには古い書物のようなものがたくさんありました。
「これらは何?」と尋ねると、
「これこそがドゥ・ヴノージュの歴史が詰まった宝物さ」と、自慢げなジュリアンさん。
ボロボロの表紙のそれらを開くと、素晴らしいエチケットのコレクションが目に飛び込んできました。100年以上も前に使われていたものもあります。
ドゥ・ヴノージュ社の代名詞“コルドン・ブルー”も、ずいぶんとデザインが変わっています。
Q.“コルドン・ブルー”はいつ頃誕生したのですか?
A.名前が誕生したのは1851年で、シャンパーニュとしてリリースしたのは1864年です。
ほら、今はマム社のブランド名にもなっている“コルドン・ルージュ”(赤いリボン)は、ドゥ・ヴノージュでもつくっていたんですよ。
ほかに“コルドン・ブラン”(白いリボン)もあるし、面白いところでは、
“ドン・ペリニヨン”もあるんです。驚きでしょう?
モエ・エ・シャンドン社の“ドン・ペリニヨン”がリリースされたのは1937年ですが、当社ではそれより以前の1892年に出していたわけです。
Q.ドゥ・ヴノージュ社のワインメーキングについて教えて下さい。
A.まず、果汁は最初にプレスしたキュヴェしか使いません。第一次発酵は100%ステンレスタンクで行います。
その際、ひとつの村のひとつのセパージュごとに仕込みますので(例:アンボネ村のピノ・ノワールはひとつのタンク)、21のタンクができます。
ブレンドは1月から2月にかけて行い、大きなタンクに移して酵母を添加し、ボトルに移して二次発酵を行います。
Q.このフラスコ型のボトルは“グラン・ヴァン・デ・プランス”に使われているはずだと思うのですが、透明なバージョンもあるのですか?(“グラン・ヴァン~”のボトルは緑褐色)
A.これは新しいキュヴェで、“Louis XV”(ルイ・キャーンズ)(かつてのフランス王“ルイ15世”の意味)です。
グラン・ヴァン・デ・プランスはシャルドネ100%のブラン・ド・ブランでしたが、ルイ15世はシャルドネとピノ・ノワール各50%のシャンパーニュです。10年間瓶で熟成を行い、1995年ヴィンテージを初めてリリースします。
日本には、2007年3月のFOODEX JAPAN (幕張)で披露する予定です。
Q.なぜ「ルイ15世」という名前が付いているのですか?
A.1728年5月25日、ルイ15世はシャンパーニュのワインだけにボトルの使用を許可しました。その頃は、ワインを運ぶのはもちろん、売るときにもボトルは使われていませんでしたが(樽が使われていた)、唯一シャンパーニュだけが認められたのです。このことは、シャンパーニュのワインだけが瓶内で発酵する間に泡を閉じ込めることができるようになったことにつながります。そうした意味から、ルイ15世の名を冠しました。
Q.Louis XVは10年という長期の熟成をしているということですが、通常、瓶熟成期間はどのくらいですか??
A.当社では、ノン・ヴィンテージものは最低3年、ミレジメものは最低5年瓶熟成を行っています。
ドサージュの量がごくわずかの極辛口“Cuvee 20ANS Extra-Brut 1983”の瓶熟成期間は20年です。これは非常に長熟タイプのシャンパーニュです(ピノ・ノワール60%、シャルドネとピノ・ムニエ各20%)
Q.赤ワインもつくっているのですか?
A.“コトー・シャンプノワ ラ・フォレ”(Coteaux Champenois “La Foret”)で、ピノ・ノワール100%のスティルワインです。
元々シャンパーニュの地でつくられていたのは赤ワインで、ルイ15世の時代にはこの赤ワインが好まれていたことを忘れないようにつくっています。ピノ・ノワールはリセ村のものを使っています。
Q.聞くところによると、シャンパーニュをデカンタージュして飲むことがあるそうですが?
A.はい、古いヴィンテージのシャンパーニュを飲むときに、アロマを開かせるためにデカンタージュすることがあります。
地下のセラーの壁は厚さ50cmのチョーク層で、長さは1.2km。
温度は1年中12~13℃に保たれています
<テイスティングしたシャンパーニュ>
Cordon Bleu Brut Select
ピノ・ノワール50%、シャルドネとピノ・ムニエが各25%。
フレッシュで、ヘビーになりすぎないシャンパーニュです。
「ピノ・ノワールを使うことによって、ワインにボディを与えています。アペリティフに向きますが、軽い魚料理、日本の寿司などにも合うと思いますし、ランチタイムに飲むのにぴったりです」(ジュリアンさん)
Rose Brut
ピノ・ノワール60%、シャルドネとピノ・ムニエ各20%。
きれいなばら色で、酸とボディがしっかりとし、果実の豊かさがあり、スティルワインぽいシャンパーニュです。
「赤い果実のニュアンスのあるエレガントなロゼで、アペリティフにおすすめです。エチケットの女性はイボンヌです(1869年生まれのドゥ・ヴノージュ家の娘。マン伯爵と結婚し、パリの社交界にシャンパーニュ・ドゥ・ヴノージュの名前を広めた)」(ジュリアンさん)
左から Cordon Bleu Blanc de Blancs Millesime 1996、
Cordon Bleu Brut Select、Blanc de Noirs Brut、Rose Brut
Blanc de Noirs Brut
ピノ・ノワール80%、ピノ・ムニエ20% 。
とても複雑なアロマで、ナッツ、ノワゼット、バターといったものを感じ、味わいもしっかり。エチケットの男性は、イボンヌの夫であるマン伯爵。
「非常に貧しい土地のぶどうを使っていますが、力強いシャンパーニュです。ゲーム(狩猟した鳥獣類)、鹿肉のトリュフソース、フォアグラのソテーに小さいたまねぎを添えたものなどに合わせたいですね」(ジュリアンさん)
Cordon Bleu Blanc de Blancs Millesime 1996
シャルドネ100%。
非常にいい酸味を持っていて、ミネラル感がしっかりあり、しかも丸い感じがあります。
「フィネス、エレガンスを持つシャンパーニュで、非常に長熟なタイプです。セラーで20年から25年は持つと思います。魚料理、牛肉、山羊のチーズなどがおすすめマリアージュです。一般的に、白ワインはチーズとの相性がいいことを覚えておくといいですよ」(ジュリアンさん)
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■ インタビューを終えて
今回の訪問では、ドゥ・ヴノージュ社の社長 Gilles de la Bassetiere(ジル・ド・ラ・バスティエール)氏にも会うことができました。まだ30代と若いモデルのようなイケメン社長で(写真を撮り忘れたのが残念!)、日本の大学(慶応大学)に通っていたこともあり(住んでいたのは池袋だったとか)、日本語も少し話します。
そんなわけで、ジルさんは、日本はとても好きな国だと言い、日本の話に花が咲きました。私たち日本人にとっても、シャンパン会社のトップに日本通がいるということは親しみを感じます。ジルさんのように、国際感覚を持った若い世代の経営者は、これから先どんどん登場すると思われます。
ドゥ・ヴノージュの名は日本ではまだなじみが少ないかもしれませんが、ぜひ覚えておきたいシャンパンハウスです。
本文中で紹介した“Louis XV 1995”ですが、実はいち早く飲ませていただきました。
以前、シャルドネ100%のグラン・ヴァン・デ・プランス1992を飲んだときに、ずいぶんと若々しくてフレッシュだと感じたので、それよりも3年若いLouis XVはどうだろうかと、開ける前から胸が躍って仕方ありませんでした。
果たして、Louis XVはとてもまろやかでコクがあり、味わいに熟成感があります。泡は穏やかで全体的にしっとりと落ち着き、個人的にとても好きなタイプのシャンパーニュで、ノド越しを味わうより、じっくりとシャンパーニュの旨さを楽しみたい人向けです。
しかも、美しいデカンタに入り、ガラスの栓が別添えされているので、飲んだ後にデカンタとして使えるという嬉しいオマケもあります。
こんな素晴らしいシャンパーニュが、いよいよ日本に上陸します!
この3月に幕張で開かれる“FOODEX 2007”で紹介すると言っていましたが、ジュリアンさんは、私との約束通りに、Louis XVを携えて日本に来てくれるでしょうか 。
取材協力:富士貿易株式会社
よって、現在はインタビュー当時と異なる内容があることをご了承ください。
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(更新日:2007年3月11日)
第32回 Julien Martin <Champagne de VENOGE>
シャンパーニュ訪問の第3回目となる今回は、
エペルネにある “シャンパーニュ・ドゥ・ヴノージュ”社の輸出マネージャー、
ジュリアン・マーティンさんが登場します。
<Julien Martin>(ジュリアン・マーティン)
シャンパーニュ・ドゥ・ヴノージュの輸出マネージャー。
ランスでワインビジネスに携わった後、4年前にドゥ・ヴノージュ社に入社。
親しみやすい笑顔の、癒し系ジェントルマン 。
名門揃いのシャンパーニュ通りへ
ジュリアン・マーティンさんとの最初の出会いは2006年3 月。彼が来日し、滞在期間はわずか3日間でしたが、興味深いテイスティング会を開いてくれました(注*)。
そんなわけで、シャンパーニュに行くからにはドゥ・ヴノージュ社を訪問し、今度こそ彼の話をじっくりと聞かねば!です。
そして2006年の初冬、エペルネのシャンパーニュ通りにある“ドゥ・ヴノージュ”社のオフィスでジュリアンさんが出迎えてくれました。
エペルネのシャンパーニュ通りは、その名が表すように、名だたるシャンパンメーカーがずらりと軒を並べています。街としてはランスの方が格段に大きいのですが、シャンパーニュ委員会の本部もあるエペルネはシャンパーニュの心臓部といっていいでしょう。
1837年創立のドゥ・ヴノージュ社は、元々はこの通りでも2番目に大きな敷地(最大はモエ・エ・シャンドン社)にあったそうですが、1998年にボワゼル・シャノワーヌ・シャンパーニュ(BCC)グループ(ボワゼル、シャノワーヌ、アレクサンドル・ボネ、フィリポナ、ランソンなどを抱える)の傘下に入ったため、現在の場所に移ってきました。
通りに面した門を入ると、右手に同グループのボワゼル、左にドゥ・ヴノージュのオフィスがあり、正面には醸造所があります。
“コルドン・ブルー”の由来
ドゥ・ヴノージュの代表銘柄は “コルドン・ブルー”(Cordon Bleu)。
フランス語で“青いリボン”という意味で、これは、ドゥ・ヴノージュ家がスイス出身であることから、スイスのレマン湖に注ぐヴノージュ川の水の青さを青いリボンになぞらえて、名づけています。
この青いリボンは、1578年にフランスで結成された“精霊騎士団”にも関係しています。彼らは青いリボンで十字架を下げていましたが、彼らの晩餐の食卓が豪華で素晴らしかったことから、青いリボンは素晴らしい料理人を意味するようになり、1895年にはパリにその名を付けた名門料理学校“ル・コルドン・ブルー”が誕生しています。
“青いリボン”は、昔も今もまさにガストロノミーの象徴というわけです。
(注*)
このときのテイスティング会の模様は、ソムリエ協会機関誌(『sommelier』90号)をご覧ください。
ドゥ・ヴノージュ社のオフィスには古い書物のようなものがたくさんありました。
「これらは何?」と尋ねると、
「これこそがドゥ・ヴノージュの歴史が詰まった宝物さ」と、自慢げなジュリアンさん。
ボロボロの表紙のそれらを開くと、素晴らしいエチケットのコレクションが目に飛び込んできました。100年以上も前に使われていたものもあります。
ドゥ・ヴノージュ社の代名詞“コルドン・ブルー”も、ずいぶんとデザインが変わっています。
Q.“コルドン・ブルー”はいつ頃誕生したのですか?
A.名前が誕生したのは1851年で、シャンパーニュとしてリリースしたのは1864年です。
ほら、今はマム社のブランド名にもなっている“コルドン・ルージュ”(赤いリボン)は、ドゥ・ヴノージュでもつくっていたんですよ。
ほかに“コルドン・ブラン”(白いリボン)もあるし、面白いところでは、
“ドン・ペリニヨン”もあるんです。驚きでしょう?
モエ・エ・シャンドン社の“ドン・ペリニヨン”がリリースされたのは1937年ですが、当社ではそれより以前の1892年に出していたわけです。
Q.ドゥ・ヴノージュ社のワインメーキングについて教えて下さい。
A.まず、果汁は最初にプレスしたキュヴェしか使いません。第一次発酵は100%ステンレスタンクで行います。
その際、ひとつの村のひとつのセパージュごとに仕込みますので(例:アンボネ村のピノ・ノワールはひとつのタンク)、21のタンクができます。
ブレンドは1月から2月にかけて行い、大きなタンクに移して酵母を添加し、ボトルに移して二次発酵を行います。
Q.このフラスコ型のボトルは“グラン・ヴァン・デ・プランス”に使われているはずだと思うのですが、透明なバージョンもあるのですか?(“グラン・ヴァン~”のボトルは緑褐色)
A.これは新しいキュヴェで、“Louis XV”(ルイ・キャーンズ)(かつてのフランス王“ルイ15世”の意味)です。
グラン・ヴァン・デ・プランスはシャルドネ100%のブラン・ド・ブランでしたが、ルイ15世はシャルドネとピノ・ノワール各50%のシャンパーニュです。10年間瓶で熟成を行い、1995年ヴィンテージを初めてリリースします。
日本には、2007年3月のFOODEX JAPAN (幕張)で披露する予定です。
Q.なぜ「ルイ15世」という名前が付いているのですか?
A.1728年5月25日、ルイ15世はシャンパーニュのワインだけにボトルの使用を許可しました。その頃は、ワインを運ぶのはもちろん、売るときにもボトルは使われていませんでしたが(樽が使われていた)、唯一シャンパーニュだけが認められたのです。このことは、シャンパーニュのワインだけが瓶内で発酵する間に泡を閉じ込めることができるようになったことにつながります。そうした意味から、ルイ15世の名を冠しました。
Q.Louis XVは10年という長期の熟成をしているということですが、通常、瓶熟成期間はどのくらいですか??
A.当社では、ノン・ヴィンテージものは最低3年、ミレジメものは最低5年瓶熟成を行っています。
ドサージュの量がごくわずかの極辛口“Cuvee 20ANS Extra-Brut 1983”の瓶熟成期間は20年です。これは非常に長熟タイプのシャンパーニュです(ピノ・ノワール60%、シャルドネとピノ・ムニエ各20%)
Q.赤ワインもつくっているのですか?
A.“コトー・シャンプノワ ラ・フォレ”(Coteaux Champenois “La Foret”)で、ピノ・ノワール100%のスティルワインです。
元々シャンパーニュの地でつくられていたのは赤ワインで、ルイ15世の時代にはこの赤ワインが好まれていたことを忘れないようにつくっています。ピノ・ノワールはリセ村のものを使っています。
Q.聞くところによると、シャンパーニュをデカンタージュして飲むことがあるそうですが?
A.はい、古いヴィンテージのシャンパーニュを飲むときに、アロマを開かせるためにデカンタージュすることがあります。
地下のセラーの壁は厚さ50cmのチョーク層で、長さは1.2km。
温度は1年中12~13℃に保たれています
<テイスティングしたシャンパーニュ>
Cordon Bleu Brut Select
ピノ・ノワール50%、シャルドネとピノ・ムニエが各25%。
フレッシュで、ヘビーになりすぎないシャンパーニュです。
「ピノ・ノワールを使うことによって、ワインにボディを与えています。アペリティフに向きますが、軽い魚料理、日本の寿司などにも合うと思いますし、ランチタイムに飲むのにぴったりです」(ジュリアンさん)
Rose Brut
ピノ・ノワール60%、シャルドネとピノ・ムニエ各20%。
きれいなばら色で、酸とボディがしっかりとし、果実の豊かさがあり、スティルワインぽいシャンパーニュです。
「赤い果実のニュアンスのあるエレガントなロゼで、アペリティフにおすすめです。エチケットの女性はイボンヌです(1869年生まれのドゥ・ヴノージュ家の娘。マン伯爵と結婚し、パリの社交界にシャンパーニュ・ドゥ・ヴノージュの名前を広めた)」(ジュリアンさん)
左から Cordon Bleu Blanc de Blancs Millesime 1996、
Cordon Bleu Brut Select、Blanc de Noirs Brut、Rose Brut
Blanc de Noirs Brut
ピノ・ノワール80%、ピノ・ムニエ20% 。
とても複雑なアロマで、ナッツ、ノワゼット、バターといったものを感じ、味わいもしっかり。エチケットの男性は、イボンヌの夫であるマン伯爵。
「非常に貧しい土地のぶどうを使っていますが、力強いシャンパーニュです。ゲーム(狩猟した鳥獣類)、鹿肉のトリュフソース、フォアグラのソテーに小さいたまねぎを添えたものなどに合わせたいですね」(ジュリアンさん)
Cordon Bleu Blanc de Blancs Millesime 1996
シャルドネ100%。
非常にいい酸味を持っていて、ミネラル感がしっかりあり、しかも丸い感じがあります。
「フィネス、エレガンスを持つシャンパーニュで、非常に長熟なタイプです。セラーで20年から25年は持つと思います。魚料理、牛肉、山羊のチーズなどがおすすめマリアージュです。一般的に、白ワインはチーズとの相性がいいことを覚えておくといいですよ」(ジュリアンさん)
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■ インタビューを終えて
今回の訪問では、ドゥ・ヴノージュ社の社長 Gilles de la Bassetiere(ジル・ド・ラ・バスティエール)氏にも会うことができました。まだ30代と若いモデルのようなイケメン社長で(写真を撮り忘れたのが残念!)、日本の大学(慶応大学)に通っていたこともあり(住んでいたのは池袋だったとか)、日本語も少し話します。
そんなわけで、ジルさんは、日本はとても好きな国だと言い、日本の話に花が咲きました。私たち日本人にとっても、シャンパン会社のトップに日本通がいるということは親しみを感じます。ジルさんのように、国際感覚を持った若い世代の経営者は、これから先どんどん登場すると思われます。
ドゥ・ヴノージュの名は日本ではまだなじみが少ないかもしれませんが、ぜひ覚えておきたいシャンパンハウスです。
本文中で紹介した“Louis XV 1995”ですが、実はいち早く飲ませていただきました。
以前、シャルドネ100%のグラン・ヴァン・デ・プランス1992を飲んだときに、ずいぶんと若々しくてフレッシュだと感じたので、それよりも3年若いLouis XVはどうだろうかと、開ける前から胸が躍って仕方ありませんでした。
果たして、Louis XVはとてもまろやかでコクがあり、味わいに熟成感があります。泡は穏やかで全体的にしっとりと落ち着き、個人的にとても好きなタイプのシャンパーニュで、ノド越しを味わうより、じっくりとシャンパーニュの旨さを楽しみたい人向けです。
しかも、美しいデカンタに入り、ガラスの栓が別添えされているので、飲んだ後にデカンタとして使えるという嬉しいオマケもあります。
こんな素晴らしいシャンパーニュが、いよいよ日本に上陸します!
この3月に幕張で開かれる“FOODEX 2007”で紹介すると言っていましたが、ジュリアンさんは、私との約束通りに、Louis XVを携えて日本に来てくれるでしょうか 。
取材協力:富士貿易株式会社