1980年、フランスのブルゴーニュに登場したベルギー出身のジャン・マリー・ギュファンス氏が立ち上げたネゴシアン 「VERGET」 (ヴェルジェ) は、今や確固たるブランドを築き上げ、フランスワインファンなら誰もが知る存在となっています。
Jean-Marie Guffens
ジャン・マリー・ギュファンス氏が手がけるのは白ワインです。
現在、ジャン・マリー・ギュファンス氏は、仏ブルゴーニュ(シャブリ、コート・ドール、マコネ)で「Maison Verget」を運営する他、南仏コート・デュ・ローヌでネゴシアン「Verget du Sud」(ヴェルジェ・デュ・スッド)と自社畑のブドウから生産する「Chateau des Tourettes」(シャトー・デ・トゥレット)、さらにマコネで自身のドメーヌ「Domaine Guffens-Heyne」(ギュファン・エナン)と、3つの事業を展開しています。
Saint-Veran 2008 Domaine Guffens-Heyne
彼は非常に個性的な人物として知られ、ワインづくりに対して独自の考えを持ち、時として変人扱いされることもあります。
私も初めて会った時(十数年前)には、え?と驚いたこともありますが、彼のワインを口にすると、その素晴らしさの方に驚かされました。
その彼が昨年来日した際、改めて彼のワインづくりへの思いを聞き、その内容が非常に素晴らしいものでしたので、遅ればせながら、ここで紹介したいと思います。
今回は、彼が語った言葉を中心に書き、ポイントとなる部分は強調して記載します。
ブルゴーニュには、北から、シャブリ、コート・ドール、マコネ、という3つのテロワールがある。
ジャン・マリー・ギュファンス氏は、シャブリとマコネはワインにミネラリティがあるから好き、と言い、ミネラリティは白ワインにとって重要 と言う。
地理的に南に位置するマコネでは、気を抜くといとも簡単にブドウが過熟してしまう。
地球温暖化で、どこでもブドウがよく熟すようになってきたからである。
30年前は、よく熟す場所を探すことが重要だった。
しかし、昔よく熟した場所は、今は過熟が問題になっている、と彼は言う。
よって、彼は標高の高い畑を選択している。
昔は畑に石垣があり、雨で表土が流れるのを防いでいた。
しかし、機械化をするために邪魔な石垣を取り除いたことで、雨で表土が流れ、畑の組成が50年前と変わってきてしまったのである。
つまり、表土が薄くやせている畑は標高が高い場所しかないからである。
雨で流されて下に溜まった土、粘土は、高いアルコールと低い酸をもたらす。
ワインの酸化熟成が早くなってくる原因はポリフェノールの多さ、と彼は言う。
以前に良かったテロワールも、何世紀かのうちに動いてしまう。
だから、人が手がけるワインづくりも動いていかねばならない、と彼は考える。
ワインづくりのファクターには
1)テロワール、2)セパージュ、3)気候、4)ワインメイキング、 がある。
ブルゴーニュでは、1)テロワールと2)セパージュは決まっている。
よって、考えるべきは、3)気候に対応して、どのような4)ワインメイキングを行なうか?
ブドウが熟した中で酸がしっかりあることが重要
プレスするとPHが高く(酸度が低く)なってしまうので、フリーランジュースのみを使う。
酸を高く保つことはミネラリティと関係がある
シャンパーニュと同じような垂直型のプレスを使い、酸の低下を防いでいる。
銅を使うとワインの酸が下がる
土中に窒素が増えるとダメなので、牛糞を発酵させたコンポストのみを使う。
ジュースの質が良ければ白ワインの醸造過程でバトナージュが少なくてもOK
バトナージュの回数を少なくしている。
嫌いなバタースカッチの味はさせたくない
樽発酵はさせるが、樽熟成はさせず、酸素の入らないタンクで熟成させる。
伝統芸術と文明は違う
コック帽を被っているからといって、シェフではない。
かつての伝統は正しい選択ではない
自分自身で考えて、正しいと思う方向に進むことができた。
【後編】では、個々のテロワールにおける彼の考えおよびワインの紹介をしたいと思います。
Jean-Marie Guffens
ジャン・マリー・ギュファンス氏が手がけるのは白ワインです。
現在、ジャン・マリー・ギュファンス氏は、仏ブルゴーニュ(シャブリ、コート・ドール、マコネ)で「Maison Verget」を運営する他、南仏コート・デュ・ローヌでネゴシアン「Verget du Sud」(ヴェルジェ・デュ・スッド)と自社畑のブドウから生産する「Chateau des Tourettes」(シャトー・デ・トゥレット)、さらにマコネで自身のドメーヌ「Domaine Guffens-Heyne」(ギュファン・エナン)と、3つの事業を展開しています。
Saint-Veran 2008 Domaine Guffens-Heyne
彼は非常に個性的な人物として知られ、ワインづくりに対して独自の考えを持ち、時として変人扱いされることもあります。
私も初めて会った時(十数年前)には、え?と驚いたこともありますが、彼のワインを口にすると、その素晴らしさの方に驚かされました。
その彼が昨年来日した際、改めて彼のワインづくりへの思いを聞き、その内容が非常に素晴らしいものでしたので、遅ればせながら、ここで紹介したいと思います。
今回は、彼が語った言葉を中心に書き、ポイントとなる部分は強調して記載します。
ブルゴーニュには、北から、シャブリ、コート・ドール、マコネ、という3つのテロワールがある。
ジャン・マリー・ギュファンス氏は、シャブリとマコネはワインにミネラリティがあるから好き、と言い、ミネラリティは白ワインにとって重要 と言う。
地理的に南に位置するマコネでは、気を抜くといとも簡単にブドウが過熟してしまう。
地球温暖化で、どこでもブドウがよく熟すようになってきたからである。
30年前は、よく熟す場所を探すことが重要だった。
しかし、昔よく熟した場所は、今は過熟が問題になっている、と彼は言う。
よって、彼は標高の高い畑を選択している。
昔は畑に石垣があり、雨で表土が流れるのを防いでいた。
しかし、機械化をするために邪魔な石垣を取り除いたことで、雨で表土が流れ、畑の組成が50年前と変わってきてしまったのである。
つまり、表土が薄くやせている畑は標高が高い場所しかないからである。
雨で流されて下に溜まった土、粘土は、高いアルコールと低い酸をもたらす。
ワインの酸化熟成が早くなってくる原因はポリフェノールの多さ、と彼は言う。
以前に良かったテロワールも、何世紀かのうちに動いてしまう。
だから、人が手がけるワインづくりも動いていかねばならない、と彼は考える。
ワインづくりのファクターには
1)テロワール、2)セパージュ、3)気候、4)ワインメイキング、 がある。
ブルゴーニュでは、1)テロワールと2)セパージュは決まっている。
よって、考えるべきは、3)気候に対応して、どのような4)ワインメイキングを行なうか?
ブドウが熟した中で酸がしっかりあることが重要
プレスするとPHが高く(酸度が低く)なってしまうので、フリーランジュースのみを使う。
酸を高く保つことはミネラリティと関係がある
シャンパーニュと同じような垂直型のプレスを使い、酸の低下を防いでいる。
銅を使うとワインの酸が下がる
土中に窒素が増えるとダメなので、牛糞を発酵させたコンポストのみを使う。
ジュースの質が良ければ白ワインの醸造過程でバトナージュが少なくてもOK
バトナージュの回数を少なくしている。
嫌いなバタースカッチの味はさせたくない
樽発酵はさせるが、樽熟成はさせず、酸素の入らないタンクで熟成させる。
伝統芸術と文明は違う
コック帽を被っているからといって、シェフではない。
かつての伝統は正しい選択ではない
自分自身で考えて、正しいと思う方向に進むことができた。
【後編】では、個々のテロワールにおける彼の考えおよびワインの紹介をしたいと思います。