先日紹介した フランスで最も生産量の多いDOPチーズである コンテ 同様、
イタリアで最も生産量が多いDOPチーズが “グラナ・パダーノ” (GRANA PADANO)です。
*DOP:Denomination di Origin Protetta、原産地名称保護
Grana Padano
先週、グラナ・パダーノチーズ品質保護協会よりマーケティングディレクターのカルロ・カナーレ氏が来日し、グラナ・パダーノの魅力をたっぷりと紹介してくれました。
カルロ・カナーレ氏 /グラナ・パダーノチーズ品質保護協会
グラナ・パダーノは、西暦1000年頃にシトー派の修道僧によってミラノ郊外でつくられたチーズ が原形です。
修道士たちは、その日に残った牛乳を利用してチーズをつくりました。その頃は食べ物は貴重な存在でしたから、日持ちのしない牛乳を保存して食品として蓄えるためチーズが考案され、このチーズは修道士や教会のためだけでなく、一般の人々の保存食としても貢献しました。
グラナ・パダーノは、直径35~45cm、高さ18~25cm、重さ24~40㎏もある、大きな太鼓型の硬質チーズで、部分脱脂した無殺菌の牛乳でつくられます(加熱圧搾タイプ)。
30㎏のグラナ・パダーノを1個つくるのに、500~550リットルの牛乳が必要と言われていますので、大量のミルクをチーズの形に変えて保存するのは理にかなっていますよね。
ということは、30gひとかけらのグラナ・パダーノには牛乳500mlとほぼ同じ栄養価が含まれていることになります。
グラナ・パダーノを50g食べると、大人が1日に必要なカルシウムの60%、ビタミンB12の75%を摂取できるそうですから、忙しい現代人には手軽で嬉しい食材です。
グラナ・パダーノは、タンパク質33%、脂肪分28%、水分30%、残りがミネラルという構成になってますが、脂肪分の30%は不飽和(人体に有益な成分)であり、また吸収されにくいカルシウムも体内に吸収しやすい構造になっているのが特徴です。
食べ過ぎはカロリーオーバーになりますが、日頃の食生活にうまく取り入れたいですね。
注目したいのは、タンパク質と脂肪の比率。約1:1というこの比率が長熟に耐える大事な条件ということですが、この比率を中世の時代の修道士がすでに把握していたそうから驚きです。
現在、グラナ・パダーノはイタリア北部(ピエモンテ州、ロンバルディア州、トレンティーノ・アルト・アディジェ州、ヴェネト州、エミリア・ロマーニャ州)(ポー河流域、パダナ平原)で生産されています。
“DOP Grana Padano”と認定されるには、限定された地域であることのほか、牛の餌(干し草、決められた飼料)、原料乳、熟成期間(9か月~2年)など、さまざまな規定をクリアしなければなりません。
グラナ・パダーノチーズ品質保護協会に加入しているチーズ農家は147軒あり、年間460万個が生産され、うち28%(150万個)が輸出されています。日本は輸出第11位(2万5000個)とか。
さて、このグラナ・パダーノ、どうやって食べましょう?
名前の由来でもある、粒状(グラーナ)にボロボロっとしているチーズをひとくちサイズに割り砕き、それをそのまま食べても美味しいのですが(ワインのつまみにも最高!)、料理にも活用すると、いつもの料理がワンランク上の一皿に変わります。
例えば、下記のように すべてのお皿にグラナ・パダーノを使ったコース仕立て にすることもできます。
小さな前菜 かぼちゃのゼリー グラナ・パダーノのチャルダ添え
チャルダとは、円盤状に薄く焼いたもの。
グラナ・パダーノを粉末にしたものを薄くパリパリに焼いたものを、甘味のあるかぼちゃをペースト状にしたものに添えています。
トリッパと秋野菜のマリネ グラナ・パダーノ風味
ゆがいたトリッパを秋野菜のマリネをパウダー状にしたグラナ・パダーノで和えています。
チーズを粉末にすると料理に使いやすくていいですね。
グラナ・パダーノのトルテッリーニ バターとハーブのソース
トルテッリーニの中に、グラナ、生クリーム、マスカルポーネチーズが入っていて、口の中で小龍包のようにジュワーっと濃厚なチーズの風味が溢れ出します。
これはいいアイディアですね!
豚肩ロースのロースト グラナ・パダーノとバルサミコ酢ソース
低温でゆっくり真空調理した豚の上に、スライスしたグラナを乗せています。
しっとり上品な味わいの豚に、グラナが深みを与えています。
グラナ・パダーノのジェラート
チーズ風味が濃厚なジェラートです。ほんのり塩気のあるジェラートにセミドライイチジク、ドライアプリコットが絶妙にマッチ。
これは美味♪ (下記「イータリー」のジェラートショップで食べられるようです)
料理 「オステリア イータリー」
http://eataly.co.jp/eatin/osteria.html (東京都渋谷区代官山町20-23)
合わせたワインはこちら
左より)ロゼ泡、Friulano 2011(白)、Barbera d'Asti 2008(赤)、Moscato d'Asti(甘)
すべてイタリア北部のワインです。北イタリアのチーズであるグラナには、やっぱり北のワイン。
特に、濃さのある白のフリウラーノ(Bastianich)は、トリッパにもトルテッリーニにも豚肩ロースにもよく合いました。これは超オススメ
バルベーラ・ダスティ(Oddero)もワイン自体がおいしく、チーズをそのまま齧りながら飲むのにもオススメです。
グラナ・パダーノは、イタリアでは “キッチンのハズバンド” と呼ばれて親しまれています。
外見はパルミジャーノ・レッジャーノと似ていますが、やや白っぽい淡黄色で、塩気もマイルド。
旨味が乗り、食べやすく、買いやすいチーズですから、イタリアでよく食べられ、人気があるのは当然といえば当然ですが、日本であまり知られていないのはもったいない!
見かけたら、ぜひ気軽に試してみてはいかがでしょうか?
イタリアで最も生産量が多いDOPチーズが “グラナ・パダーノ” (GRANA PADANO)です。
*DOP:Denomination di Origin Protetta、原産地名称保護
Grana Padano
先週、グラナ・パダーノチーズ品質保護協会よりマーケティングディレクターのカルロ・カナーレ氏が来日し、グラナ・パダーノの魅力をたっぷりと紹介してくれました。
カルロ・カナーレ氏 /グラナ・パダーノチーズ品質保護協会
グラナ・パダーノは、西暦1000年頃にシトー派の修道僧によってミラノ郊外でつくられたチーズ が原形です。
修道士たちは、その日に残った牛乳を利用してチーズをつくりました。その頃は食べ物は貴重な存在でしたから、日持ちのしない牛乳を保存して食品として蓄えるためチーズが考案され、このチーズは修道士や教会のためだけでなく、一般の人々の保存食としても貢献しました。
グラナ・パダーノは、直径35~45cm、高さ18~25cm、重さ24~40㎏もある、大きな太鼓型の硬質チーズで、部分脱脂した無殺菌の牛乳でつくられます(加熱圧搾タイプ)。
30㎏のグラナ・パダーノを1個つくるのに、500~550リットルの牛乳が必要と言われていますので、大量のミルクをチーズの形に変えて保存するのは理にかなっていますよね。
ということは、30gひとかけらのグラナ・パダーノには牛乳500mlとほぼ同じ栄養価が含まれていることになります。
グラナ・パダーノを50g食べると、大人が1日に必要なカルシウムの60%、ビタミンB12の75%を摂取できるそうですから、忙しい現代人には手軽で嬉しい食材です。
グラナ・パダーノは、タンパク質33%、脂肪分28%、水分30%、残りがミネラルという構成になってますが、脂肪分の30%は不飽和(人体に有益な成分)であり、また吸収されにくいカルシウムも体内に吸収しやすい構造になっているのが特徴です。
食べ過ぎはカロリーオーバーになりますが、日頃の食生活にうまく取り入れたいですね。
注目したいのは、タンパク質と脂肪の比率。約1:1というこの比率が長熟に耐える大事な条件ということですが、この比率を中世の時代の修道士がすでに把握していたそうから驚きです。
現在、グラナ・パダーノはイタリア北部(ピエモンテ州、ロンバルディア州、トレンティーノ・アルト・アディジェ州、ヴェネト州、エミリア・ロマーニャ州)(ポー河流域、パダナ平原)で生産されています。
“DOP Grana Padano”と認定されるには、限定された地域であることのほか、牛の餌(干し草、決められた飼料)、原料乳、熟成期間(9か月~2年)など、さまざまな規定をクリアしなければなりません。
グラナ・パダーノチーズ品質保護協会に加入しているチーズ農家は147軒あり、年間460万個が生産され、うち28%(150万個)が輸出されています。日本は輸出第11位(2万5000個)とか。
さて、このグラナ・パダーノ、どうやって食べましょう?
名前の由来でもある、粒状(グラーナ)にボロボロっとしているチーズをひとくちサイズに割り砕き、それをそのまま食べても美味しいのですが(ワインのつまみにも最高!)、料理にも活用すると、いつもの料理がワンランク上の一皿に変わります。
例えば、下記のように すべてのお皿にグラナ・パダーノを使ったコース仕立て にすることもできます。
小さな前菜 かぼちゃのゼリー グラナ・パダーノのチャルダ添え
チャルダとは、円盤状に薄く焼いたもの。
グラナ・パダーノを粉末にしたものを薄くパリパリに焼いたものを、甘味のあるかぼちゃをペースト状にしたものに添えています。
トリッパと秋野菜のマリネ グラナ・パダーノ風味
ゆがいたトリッパを秋野菜のマリネをパウダー状にしたグラナ・パダーノで和えています。
チーズを粉末にすると料理に使いやすくていいですね。
グラナ・パダーノのトルテッリーニ バターとハーブのソース
トルテッリーニの中に、グラナ、生クリーム、マスカルポーネチーズが入っていて、口の中で小龍包のようにジュワーっと濃厚なチーズの風味が溢れ出します。
これはいいアイディアですね!
豚肩ロースのロースト グラナ・パダーノとバルサミコ酢ソース
低温でゆっくり真空調理した豚の上に、スライスしたグラナを乗せています。
しっとり上品な味わいの豚に、グラナが深みを与えています。
グラナ・パダーノのジェラート
チーズ風味が濃厚なジェラートです。ほんのり塩気のあるジェラートにセミドライイチジク、ドライアプリコットが絶妙にマッチ。
これは美味♪ (下記「イータリー」のジェラートショップで食べられるようです)
料理 「オステリア イータリー」
http://eataly.co.jp/eatin/osteria.html (東京都渋谷区代官山町20-23)
合わせたワインはこちら
左より)ロゼ泡、Friulano 2011(白)、Barbera d'Asti 2008(赤)、Moscato d'Asti(甘)
すべてイタリア北部のワインです。北イタリアのチーズであるグラナには、やっぱり北のワイン。
特に、濃さのある白のフリウラーノ(Bastianich)は、トリッパにもトルテッリーニにも豚肩ロースにもよく合いました。これは超オススメ
バルベーラ・ダスティ(Oddero)もワイン自体がおいしく、チーズをそのまま齧りながら飲むのにもオススメです。
グラナ・パダーノは、イタリアでは “キッチンのハズバンド” と呼ばれて親しまれています。
外見はパルミジャーノ・レッジャーノと似ていますが、やや白っぽい淡黄色で、塩気もマイルド。
旨味が乗り、食べやすく、買いやすいチーズですから、イタリアでよく食べられ、人気があるのは当然といえば当然ですが、日本であまり知られていないのはもったいない!
見かけたら、ぜひ気軽に試してみてはいかがでしょうか?