ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

農業法人が育てた特別なブドウでつくる甲州ワイン

2012-09-21 16:25:04 | ワイン&酒
昨日に引き続き、本日も 甲州ワイン を紹介します。

先日の試飲会でテイスティングしたものです。
以前から何度も出会っているワインですが、今回はワインメーカーからじっくり話を聞けました。


左) i-vines KOSHU 2011  右) KOSHU Barrel 2011 / i-vines&シャトー酒折(山梨県)

山梨県甲府市の「シャトー酒折ワイナリー」がつくる甲州ワインで、「i-vines」(アイ・ヴァインズ)という 農業法人 が栽培するブドウで仕込まれています。

ブドウ農家では、通常は生食用ブドウが栽培の主力となりますが、i-vinesはワイン醸造用のブドウに特化して栽培しています。

設立は2010年ですが、本格的に稼働したのは2011年ヴィンテージから。
畑は甲府盆地南東部の平らな個所にあり、2011年のワインの生産量は、各3000本。
醸造用ブドウ栽培に特化する農業法人とは、新しい試みですよね。

「醸造用ブドウのポイントは酸のバランスにある」と、シャトー酒折のワインメーカー井島さんは言います。

i-vines KOSHU はフリーラン果汁とプレスラン果汁の両方を別々に管理し、澱引き後にブレンドしています。熟成は約3カ月のシュール・リーを行っています。アルコール12%。
こちらは、ピュアできれいな果実味が楽しめる、新鮮味のある白ワインです。(1680円)

バレル の方は、ステンレスタンクとフレンチオーク樽の両方で発酵させ、発酵後にブレンドし、約3カ月の樽熟成を行っています。アルコール12%。
樽といっても新樽ではないので、また、ステンレスタンク発酵のワインともブレンドするので、オーク風味はやさしく、複雑味を与えるにとどまっています。(1890円)

甲州そのものの味わいを楽しみたい人は前者を、厚みや複雑味、ボリューム感を求める人は後者をオススメします。




甲州にごり  シャトー酒折

上記2本の隣に、「甲州にごり」 なるワインがありました。
発酵後のタンク内でうっすら濁った上澄みのワインをろ過せずに瓶詰めしたもので、注文を受けてから出荷するそうです。

これは新酒の解禁日となる“11月3日”から出荷するワインで、
「完成途中の不安定なワインですが、できたてのフレッシュ感を年1回味わって」と井島さん。

これは2011年のものですが、美味しく飲めました。
にごりワインは置いといても飲めるそうですが、ワインメーカーの本音としては、あまり置かずに飲んでほしいそうです。というのも、ろ過していないので瓶の中でシュール・リーが行われている状態であり、瓶内二次発酵が起きる危険性があるからとのこと。
せっかくのフレッシュな新酒ですから、早いうちに飲む方がその真髄を味わえそうですね。

このにごりワインは、山梨県の3地区(酒折、八幡、穂坂)のブドウそれぞれから順次つくられ、2012年は酒折から始まり、最後の穂坂まで、合計6回出荷されます。
地区ごとにワインの味わいが違うといいますから、飲み比べをするのも楽しそうです。
(各1460円)

酒折: 甘さと酸味のバランスがよく、フルーティ
八幡: しっかりしたボディで、香味豊かな味わい
穂坂: キリッとした酸味、警戒でフルーティな味わい

コメント
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