鶴見駅から一つ目の国道駅で下車しました。電車は鶴見駅を出てしばらくすると大きく左にカーブして東海道線や京浜急行電鉄の線路を渡ります。
これは上りの鶴見行き電車です。
国道駅は京浜国道(国道15号線)をよこぎっているのでつけられた名前とか。
心霊スポットのような階段を下りて改札を出ます。もちろんこじゃれたエスカレーターなどありません。横浜市鶴見区内の駅です。
改札を出ると高架下のドーム型の洋風建築です。かつては商店や住居が並んでいたようです。
古い古い、不動産屋さんの看板がありました。
さて少し旧東海道を歩いてみましょうか。
あまり海の近くとも感じません。
通りの奥に瑠璃光寺正泉院というお寺がありました。赤い幟がたなびいています。武相不動尊28か所の一つで御開帳の期間だそうです。
街を歩いていると何処に行ってもこんなお寺がすぐあるのがうれしいですね。
「鶴見のえびすさま」といわれて七福神のひとつ、地元で愛されているのでしょう。
戎さんと言われているのでやっぱり海が近いというか漁師さんの神様かな。でもご本尊は薬師如来だそうです。
道念稲荷神社
毎年6月第一日曜日に開催される「蛇も蚊も」祭は有名です。
約300年前に悪疫が流行してカヤで作った蛇体に悪霊を封じ込めて海に流したと言います。
現在も全長20mの大蛇をかついで街を練り歩くそうです。市の指定無形民俗文化財。
今でもアフリカではエボラ熱とか先進国でもインフルエンザのウイルスと闘っています。
人類はパスツールや志賀潔など偉大な人たちが感染症の予防を研究していたんですね。
ご隠居は子供の頃読んだパスツールの伝記が大好きでした。
生麦事件発生現場
1862年8月21日島津久光公の行列に乱入した騎馬のイギリス人たちを供回りの藩士が殺傷(1名死亡、2名重傷)した事件です。
歴史の好きな人なら良く知っているよと言われそうです。
幕府もそれまでもいざこざが多かったので外国人に大名行列にあった際の注意を英文で注意徹底していたそうです。
また島津藩の人達も大きな事件にしたくないので早く馬を降りろと手振り身振りで指示したのでしょう。
しかしそれでかえってパニックに陥った英国人は馬を引き返そうとして行列を乱してしまいます。
小さな事件でも大きな戦争でも偶然の衝突というのは思わぬところから置きそうです。
生麦事件碑(仮移転中)
斬りつけられて逃げ出したチャールズ・レノックス・リチャードソンはこの地で落馬してとどめを刺されました。
リチャードソンは親日家で日本が大好きでこの時も川崎大師に参拝途中で悲劇となってしまいました。
一方的に好意を持っていても結果はひどいことになるなんてあっちこっちにありますよね。
「どんな事があっちこっちにあるんだ」と訊かれると困っちゃいますが。
先日もライオンが大好きな飼育員の女性がどういうわけかこのライオンにかまれて大けがをしました。TVでみたライオンは穏やかな顔をしたメスのライオンでしたよね。
そうそう好きで好きで大好きな女性と結婚したのち、夫婦げんかで蹴飛ばされて骨を折ったなどと言うのもこのたぐいかもしれません。
ようするにね。世の中うまくいかないことが多いんですよ。
さらに歩くとおなじみのキリンビールの横浜工場がありました。
千葉から所属する団体のバス旅行で箱根方面に行く途中、とりあえずキリンビールにでも寄ってただのビールでも飲んでいくかという感じの気の毒な工場です。
何回も来ていますが今回は時間もあるので中をぶらぶらしたら公園も奇麗に整備されていてくつろげる所だなと思いました。
生麦という地名に麦酒工場があるのも洒落ていますよね。
京浜急行電鉄の生麦駅に向かいます。(生麦の商店街)
商店街をちょっと横に入ると生麦事件の参考館がありました。行ってみたら事前の予約が必要とのことで入館を断念。
生麦駅。隣の花月園駅が見えるくらい近い距離です。
ご隠居の大好きな1000系電車が来ました。エァポート急行なのでホームへの退避線に入らず本線を轟音と共に疾走していきました。
このあと1000系電車で浦賀まで行って観音崎に足を延ばそうと思いました。
東海道中膝栗毛です。
弥次さん北八さんは六郷の渡し(多摩川)をこえて川崎に入り奈良茶漬けで有名な万年屋に腰を掛ける。
(現在では川崎グランドホテルで昼の予約メニューとして奈良茶漬け弁当を用意しているそうです)
勘定をすませ万年屋をあとにすると生麦事件ではないが大名行列に遭います。
先払「下あに下あに。冠り物をとりましょうぞう」
北八「駆落者は、土下座しなくてもいいらしいねぇ」
弥次「なぜ」
北八「耳をほじくってきけよ。冠り物は通りましょうと、言ってらあね」
(冠り者は駆落ちしている人だから?)
先払「馬士(まご)、馬の口をとりましょうぞ」
北八「馬の口も取り外しができるのかい。ははは」
先払「あとの人、背が高いぞ」
弥次「おいらの事ですかい。高いはずよ、愛宕の坂で九文竜どんと背比べした、おあにいさんだ」(九文竜は大関の名前?)
北八「洒落なさんな。ひどい目にあわされるぜ」
弥次「ちょいと見ろ。粒選りの上等の奴ぞろいだ。裾もきりりと端折って、豪勢に尻が並んでらあ。なんのことはねえ、葭町新道、男娼の土用干しってとこだ」
北八「おや、おや、弓をかついでいる人の陣笠を見ねえ。お頭と延引仕り候だ」(笠が高いので首が延びているよう)
弥次「そのうえ、羽織も長すぎるよ。まるで暖簾から金玉がのぞいている、ってかっこうか」
(だんだん品が悪くなるのでこの辺で)