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ノモンハンの夏ー半藤一利

2019年06月22日 | 読書

評価5

昭和14年(1939年)5月~9月、満州西北部ノモンハンで勃発したモンゴルとの国境紛争が日ソ両軍の戦闘に拡大し日本軍は壊滅的な打撃を受けた。この「ノモンハン事件」を関東軍側、陸軍参謀本部側、ソ連側、三国同盟をもくろむドイツ側からの視点と厖大な資料を駆使して描き、分析した力作!わが母校出身の海相・米内光政と陸相・板垣征四郎との三国同盟をめぐる五相会議での激論に頁をめくる手が時々止まる。そして、兵士の命を軽んじたあまりにもずさんな作戦と統帥権の無視(干犯)に唖然。

注目すべき文章を上げておきます。

「完全に三宅坂上の秀才たちの官僚主義的集団主義を蔑視しきっている発言である。かれらはおごそかな会議をひらいてことを決める。決めると安心する。それ以上に決然起って自己の責任において、というようなことはないと見ぬいているかのようではないか。」
⇒ これは現場に立つ関東軍参謀が陸軍参謀本部作戦課を評した言葉を受けての文章。某会社にも当てはまる内容で至極納得(笑)。※三宅坂上=陸軍参謀本部

「その無計画、無知、驕慢、横暴のゆえに関東軍の秀才たちを責めねばならないのは当然のこと、いや、それ以上に三宅坂上の秀才たちの無責任さにノモンハン事件の悲惨の許すべからざる最大原因がある。」

「真の統帥を無視し、出先軍の心理や感情で勝手に兵を動かせるというような国は、滅びるにきまっているのである。」

「日本軍の下士官兵は頑強で勇敢であり、青年将校は狂信的な頑強さで戦うが、高級将校は無能である。」
⇒ これは、ソ連軍指揮官のジューコフがスターリンの質問に対して答えた言葉。