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火のみち(上)-乃南アサ

2020年05月14日 | 読書

評価5

終戦時、満州から引き揚げて貧しい暮らしを強いられていた南部家長男の次郎は昭和28年、妹をかばって男を撲殺して10年の懲役刑を受ける。刑務所で得た陶芸への情熱を抱く兄と女優として成長した妹・君子はついに再会を果たす。行方不明になっていた次男・満男も兄の陶芸工房にやって来て、新たな展開へ。次郎、君子、満男の行く末は?、昭和40年以降の世相も懐かしい!後半に期待!

次郎の熱い情熱は殺人に至るほどの血気と表裏一体。そんな男が静かに備前焼の窯に向かう姿がとてもいい味を出している。生き馬の目を抜く芸能界でしたたかに生きる妹・君子だが、兄弟と触れ合って素に戻った時の姿が清々しい。

悪い人が出て来ない珍しい乃南さんの作品は、相変わらず途中で頁をめくる手を止められないノンストップノベル!実に楽しい!