評価
再読(前回2019年10月14日)。
正岡子規が肺結核で逝き、明治37年2月10日、日露戦争の火蓋が切って落とされた。秋山好古は騎兵旅団を率いて遼東半島へ、弟真之は連合艦隊少佐として旅順へ向かう。ロシア側は野戦司令官のクロパトキンが登場し役者は揃った。本格的な闘いがこれから始まる。
旅順港口の汽船沈下における攻防や騎兵隊のつばぜり合いで日露双方のとらえ方の違いがわかって面白い。ロシア側の官僚的な思考が垣間見られる。実はこれが次巻以降の伏線となるのだ。
「ロシア人は、民族としてはお人よしだが、それが国家を運営するとなると、ふつう考えれないようなうそつきになるというのは、ヨーロッパの国際政界での常識であった。」この文章に思わずニヤリとしてしまった。<ロシア人=お人よし>についてはロシア語通訳者の米原万里さんのエッセイでも確認済み(笑)。