白堊スポーツ - since 2004.09.18

母校・盛岡一高や岩手のスポーツ情報、読書感想、盛岡風景などをお伝えします。

シアター!-有川浩

2019年03月13日 | 読書

評価3

小劇団・シアターフラッグは劇団の方向性をめぐる対立から大量の退団者を出し、解散の危機が迫っていた。「2年間で返せなければ劇団を潰す」ことを条件に主宰の春川巧は兄の司から300万円借りることになる。そこに、人気声優・羽田千歳が加わり劇団再生に向けて動き出す。

ちょうど「芝居見に行ったったな~」などと若い頃を思い出していたところに、あまりにも良いタイミングで手に取った作品。相変わらずのテンポの良さに頁をめくる手が止まらない。他人には言えない劇団員の葛藤、懐具合、舞台が出来るまでがわかってためになった。また芝居が見たくなった!

理由ー宮部みゆき

2019年03月10日 | 読書

評価4

1999年直木賞受賞作。
東京荒川の超高層マンションの部屋で男女3人が惨殺され20歳代の男性が転落死した。死者はそこに住んでいるはずの家族ではなかった。そして、4人による執行妨害のため競売物件であるその部屋の引き渡しを受けられずにいた買主が行方をくらます。

殺された4人は家族ではなかった。4人と人生をともにして来た家族たち、その4人と入れ替わっていた家族、行方をくらましていた買主の家族、その男が泊まっていた簡易宿泊所の家族、転落死した男の子どもを出産した女性の家族、それぞれの家族の姿をドキュメンタリー的手法で描写して現代社会の悲劇をあぶりだす力作。

う~む、まさに力作!もの凄い数の登場人物の家族における関係性や心の動きを細部まで語る表現力に驚いた。恐るべし!宮部みゆき!

霞町物語ー浅田次郎

2019年03月07日 | 読書

評価4

8つの話からなる連作短編集。
青山、麻布、六本木に囲まれた谷間にある夜が深まるほど霧が沸く街、霞町。時は昭和40年代半ば、そこで暮らす大学受験を控えた恋に遊びにと精一杯生きる高校生たちの物語。主人公の「僕」が暮らす写真館の祖父、祖母の生き様が心を揺さぶる甘く切ないお話。

いや~渋い。切ない。さすが浅田次郎。と、しか表現のしようがない名作です。私はおじいちゃん、おばあちゃんの物語、「雛の花」「遺影」が好き。