今シーズンの化石燃料の消費は終わりにしようと思います。ホントに大丈夫でしょうね!?もう勘弁してください。

評価

自衛隊員の経験を持つ作者が描く昭和40年代半ばの自衛隊生活を題材にした連作短編9作品。①若鷲の歌②小村二等兵の憂鬱③バトル・ライン④門前金融⑤入営⑥シンデレラ・リバティー⑦脱柵者⑧越年歩哨⑨歩兵の本領
大学受験に失敗して入隊した若者が久し振りにガールフレンドに会って淡い恋に別れを告げる「シンデレラ・リバティー」が良かった。佐々木二士の言葉に唸る。「勇気とは、できないことをする意志のことだ。」
随所に語られる作者の軍隊論が面白い。

評価

地元民と外部からやってきた住民との心のすれ違いが漂う海辺の田舎町。そこで暮らす車椅子の小1女児とその子を見守る少女。この二人を広告塔に自作の販売をもくろむ女性陶芸家。ここに母親同士の腹の探り合い、夫婦の関係、過去に起きた殺人事件がからまって予想外の結末に・・・
う~む、サスペンス?犯人探し?トリックもの?はたまた叙情ミステリー?
なんと言ってよいのか表現のしようがない作品。
ま~、湊かなえさんの人間心理をえぐる鋭さだけは確かです!
【追伸】
陶芸家のすみれが思ったほど悪い人ではなかったことが拍子抜け。

評価

長峰重樹の一人娘・絵摩が不良少年二人に凌辱された上殺された。復讐に燃える長峰は一人を惨殺し、猟銃を隠し持ち行方をくらましたもう一人の少年を追う。警察が少年を発見する前に長峰が復讐を成し遂げるか、上野駅での息もつかせぬ最終盤、俺は叫んでしまった。「あぁー!」
別に俺は密告者のことを知りたくてこの本を読み進んだわけではないのに・・・ただただ、長峰の願いを成就させてあげたかった。あんなくだらんガキのため一人娘を失い、そして自分も・・・あまりにも長峰がかわいそうだ。ラストで長峰の心を乱した和佳子を憎む。少年犯罪、少年法について調べてみようと思った。
【追伸】
東野圭吾作品の登場人物、夫婦のもう一方が病死や不慮の事故で死んでいるケースが多い。今時、そんなに病死が多いとも思えないが、物語に余計な情報(夫婦関係とか)を加えたくないからかな?

評価

ラスベガス好き作家による笑って泣いて夢を見る、エンタテイメント作品。友人に裏切られて全てを失った中年男・オーマエゴー(大前剛)、キャリアウーマンから娼婦に転職したカジノリサ(梶野理沙)、ベトナム帰りの元英雄・ジョンキングスレイの3人が1台のスロットマシンで史上最高の大当たり(ジャック・ポット)60億円を叩き出した!
アラブの石油王、老いぼれた殺し屋、元マフィアなどが続々登場、エンタテイメントのドタバタ感に頁をめくる手が止まらないが、所々に登場する「SMOKING SEAT」で語られる日本人論、アメリカ人論が興味深い。太平洋戦争を挟んでの日本人の変貌など、実は、これを語るために延々とラスベガスの狂喜乱舞を書き上げたのでは?と思うほど。いやはや、浅田次郎、凄い作家です。