15日、読売新聞編集手帳
菅首相は「初心を貫く 菅直人」と書いた。
小沢一郎氏は「小沢一郎」とだけ記した。
今月2日の公開討論会における記念の揮毫(きごう)である。
9年前の7月を思い出す。
与野党7党首による参院選の公開討論会で、
当時首相の小泉純一郎氏は俵万智さんの短歌をもじり、
「自民党がいいねと君が言ったから二十九日は投票に行こう」と揮毫した。
このときも、小沢氏は名前だけを書いている。
“たかが揮毫”に人物が表れることもある。
陳腐な座右の銘や戯ざれ歌を褒める気はさらさらないが、
名前しか書かない人よりは、意思を伝える「言葉」を重んじている証しにはなるだろう。
自分の政治資金を巡って元秘書らが3人も起訴されながら、
国会の場でただの一度も釈明しない。
記者会見では、質問者に逆さかねじを食わせるふりをして誠実な回答を拒む。
小沢氏が党員・サポーター票で菅氏に5倍の大差をつけられた民主党代表選挙の敗因は、
言葉を軽視、もしくは蔑視(べっし)する政治家に世間が示した拒絶反応とみるほかはない。
経験も指導力も財力もあるのに、「言葉」だけが致命的に欠落している。
もったいないことである。
菅首相は「初心を貫く 菅直人」と書いた。
小沢一郎氏は「小沢一郎」とだけ記した。
今月2日の公開討論会における記念の揮毫(きごう)である。
9年前の7月を思い出す。
与野党7党首による参院選の公開討論会で、
当時首相の小泉純一郎氏は俵万智さんの短歌をもじり、
「自民党がいいねと君が言ったから二十九日は投票に行こう」と揮毫した。
このときも、小沢氏は名前だけを書いている。
“たかが揮毫”に人物が表れることもある。
陳腐な座右の銘や戯ざれ歌を褒める気はさらさらないが、
名前しか書かない人よりは、意思を伝える「言葉」を重んじている証しにはなるだろう。
自分の政治資金を巡って元秘書らが3人も起訴されながら、
国会の場でただの一度も釈明しない。
記者会見では、質問者に逆さかねじを食わせるふりをして誠実な回答を拒む。
小沢氏が党員・サポーター票で菅氏に5倍の大差をつけられた民主党代表選挙の敗因は、
言葉を軽視、もしくは蔑視(べっし)する政治家に世間が示した拒絶反応とみるほかはない。
経験も指導力も財力もあるのに、「言葉」だけが致命的に欠落している。
もったいないことである。