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読書の秋

2010-09-26 23:55:24 | 編集手帳
  23日、読売編集手帳より抜粋


  ・・(略)・・


  谷川俊太郎さんが
  詩集『詩の本』(集英社刊)のあとがきで「匂い」に触れていた。
  〈…手にしたときの重さ、匂い、ページを繰るときの紙の手触りなど、
   栞(しおり)をはさむというささやかな行為すら、
   詩の一部だと感じさせるのが詩の本の魅力だろう〉と。

  “電子書籍元年”という声も聞こえるなかで迎えた読書の秋である。
  携帯端末で読む電子書籍にはそれなりの便利さがあるにしても、
  紙の書籍がもつ匂いの魅力が消えることはあるまい。

  自由律の俳人、尾崎放哉に一句がある。
  〈淋(さび)しい寝る本がない〉。
  猛暑を耐え忍ぶのに疲れ、読書どころではない夜がつづいた人もあろう。
  就寝の友を探しに、
  散歩の足を書店に向けるのもいい。

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